住宅ローンやフラット35も対応している団信の三大疾病特約は必要?

多くの金融機関で取り扱っている住宅ローンの融資条件の1つに、「団体信用生命保険への加入」があります。団体信用生命保険は、団信(だんしん)とも呼ばれています。

もし、住宅ローン債務者(お金を借りた人)が死亡や高度障害になってしまった場合に、団信から支払われる保険金と残っている住宅ローンを相殺する仕組みです。

団体信用生命保険のイメージ

残された遺族が、住宅ローンの返済義務を負わないようにするための生命保険です。

現在では、死亡や高度障害だけでなく、日本人の三大死因である「三大疾病」や、幅広い生活習慣病とされる「8大疾病」にかかった場合でも団信が適用される保険も出てきています。

ただ、「保障は多いことに越したことはない」とはいえ、これらの保障は必要なのでしょうか。

そこで本記事では、団体信用生命保険の三大疾病特約に焦点をあてて、詳しく解説をしていきます。ここで紹介する内容をもとに、団信に三大疾病特約を付けるかどうか、判断するようにしましょう。

団体信用生命保険についてよくわからない方やあいまいな方は、本記事を読み進める前に以下の記事を一通り目通ししてから本記事に戻ってきていただいた方がより理解が深まると思われます。

7項目で解説!住宅ローンと一緒に入る団体信用生命保険とは

2016.04.06

1.住宅ローンの団体信用生命保険・団信の三大疾病特約とは

まず、一般的な団体信用生命保険と三大疾病特約付団体信用生命保険の違いを見ていきましょう。

とはいえ、これらは単純に、三大疾病についても保障されるか否かの違いだけです。

以下、比較すると簡単に理解できると思います。

保障内容一般的な団体信用生命保険三大疾病特約付
団体信用生命保険
死亡・高度障害
三大疾病×

三大疾病とは、「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」のことを指し、日本人の死因ベスト3を占めているとされています。

  1. がん
  2. 脳卒中
  3. 急性心筋梗塞
こちらは余談ですが、高齢者の場合は、「肺炎」が死因のベスト3に入っている時もあります。

たとえば、住宅ローン債務者が三大疾病にかかった場合、保障対象か否かの違いがあります。

民間金融機関の住宅ローンおよび、フラット35のいずれにおきましても、三大疾病特約付
団体信用生命保険を選べる場合がほとんどです。

2.三大疾病特約付きの団信の保障内容をフラット35の団信を下に解説

単に「三大疾病特約付団体信用生命保険」と言っても、保障の内容や範囲が民間金融機関の住宅ローンおよび、フラット35によってそれぞれ微妙に異なるところがあります。

このような理由を踏まえまして、本項では、フラット35で取り扱っている「三大疾病特約付団体信用生命保険」を例に解説していきます。

具体的には、「それぞれ、どのようなときに団信保険金が支払われるのか?」について紹介させていただきます。

2-1.ガンの場合における三大疾病特約付きの団信保険金の支払判定について

三大疾病特約付団体信用生命保険の保険期間中に、所定のがんにかかったと医師の医学的見解によって、診断確定されたときに団信保険金が支払われます。

ただし、以下の場合は、団信保険金は支払われません。そのため、合わせて押さえておくべきポイントになります。

  • 三大疾病特約付団体信用生命保険の保障開始日より前に所定のがんと診断確定されていた場合
  • 三大疾病特約付団体信用生命保険の保障開始日からその日を含めて90日以内に所定のがんと診断確定された場合
  •  三大疾病特約付団体信用生命保険の保障開始日からその日を含めて90日以内に診断確定された所定のがんの再発・転移等と認められる場合

なお、所定のがんには、上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは含まれません。

まとめると、三大疾病特約付団体信用生命保険の保障が開始になって90日が経過した以降に、医師の医学的見解(精密検査や病理検査など)によって、「がん」と診断されることで団信保険金が支払われることになります。

逆をいえば、それ以外は、支払われないということです。

2-2.急性心筋梗塞の場合における三大疾病特約付きの団信保険金の支払判定について

三大疾病特約付団体信用生命保険の保障が開始されてから、何らかの疾病が原因で急性心筋梗塞を発病したとします。

このとき、その急性心筋梗塞により初めて、医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと医師によって診断されたときに、団信保険金が支払われるのです。

なお、ここでいう「労働の制限を必要とする状態」とは、次のことを指します。

軽い家事などの軽労働や事務などの座業はできるものの、それ以上の活動では労働制限を必要とする状態のこと。

たとえば、急性心筋梗塞が発病し、緊急手術や入院を経た後に退院したとします。

ただ、今までの業務に制限がかかり、体に大きな負担となるようなことをしないように医師から診断されました。

このとき、急性心筋梗塞の発病から治るまでのトータルで経過した日数が、「60日以上」であれば団信保険金が支払われるといったイメージになります。

言うまでもなく、医師の医学的観点を踏まえて、保険会社の判断により支払の可否は決定されます。

2-3.脳卒中の場合における三大疾病特約付きの団信保険金の支払判定について

三大疾病特約付団体信用生命保険の保障が開始された後の疾病を原因として、保障期間中に脳卒中を発病し、その脳卒中により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたときに団信保険金が支払われます。

考え方イメージとしては、先に紹介した急性心筋梗塞のような考え方に置き換えて差し支えないと思われます。

こちらも医師の医学的観点を踏まえて、保険会社の判断により支払の可否は決定されます。

3.民間金融機関の住宅ローンとフラット35の団信の違いまとめ

民間金融機関が独自で取り扱っている住宅ローンの団信と、フラット35の団信の違いについて、平成29年6月現在の主な基準を表でまとめて紹介します。

内容民間金融機関フラット35
団体信用生命保険料基本的に無料ローン残高の0.3%程度
三大疾病特約付
団体信用生命保険料
適用金利に0.3%上乗せする
金融機関が多い傾向にある
ローン残高の0.6%程度

団体信用生命保険料は、民間金融機関の住宅ローンを選ぶかフラット35を選ぶかで、まずは団信保険料の支払方法が異なることを知る必要があります。

3-1.民間金融機関が取り扱っている住宅ローン団信の考え方

たとえば、借入金額が3,000万円、固定金利1.5%で住宅ローンの融資を受けたとします。

この場合、民間金融機関の団信の取り扱いは、以下のようになります。

スポンサーリンク

内容民間金融機関適用金利
団体信用生命保険料基本的に無料1.5%
三大疾病特約付
団体信用生命保険料
適用金利に0.3%上乗せする
金融機関が多い傾向にある
1.8%

三大疾病特約付団体信用生命保険を選ぶことで、本来の適用金利1.5%に0.3%が加わった「1.8%」で月々の住宅ローンを返済していく流れとなります。

そのため、当然に月々返済する金額が増加することになります。

つまり、この返済金額は「返済元金」「支払利息」「三大疾病特約付団信保険料」が合算されたものと考えることができます。

3-2.フラット35における団信の考え方

先の例と同じ条件で、借入金額が3,000万円、固定金利1.5%で住宅ローンの融資を受けたとします。

この場合、フラット35における団信の取り扱いは、以下の通りです。

内容フラット35適用金利
初年度団体信用生命保険料107,300円1.5%
初年度三大疾病特約付
団体信用生命保険料
164,000円1.5%

参考:機構団信特約料シミュレーション

フラット35の団信の場合、民間金融機関の団信と異なって、金利に上乗せされるのではありません。「住宅ローン残高」に対して、団信保険料が決定される仕組みになっています。

上記シミュレーションは、借入金額3,000万円に対する初年度の団信保険料です。

団信保険料と三大疾病特約付団信保険料は、年間で56,700円もの違いがあることが確認できます。

前述の通り、フラット35の団信保険料や三大疾病特約付団信保険料は、住宅ローン残高に対して保険料が計算される仕組みです。

そのため、毎年徐々に支払うべき団信保険料が減っていく特徴があります。

三大疾病特約団信保険料

クリックすると拡大できます

上記表は、以下の条件でシミュレーションした、三大疾病特約付団信保険料の推移になります。

  • 借入金額:3,000万円
  • 金利:1.5%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済

仮にフラット35を選んだ場合、毎月の住宅ローンの返済に加えて、年に1回、上記特約料を支払う資金を用意しておく必要があることも忘れられません。

ただし、団信特約料の支払方法は、一括払いに限りません。詳しくは、「フラット35」などへ直接尋ねてみることをおすすめします。

4.フラット35の三大疾病保障付き団体信用生命保険に加入するための条件

フラット35における三大疾病保障付き団信に加入するための条件には、以下の2つの条件があります。

  1. 告知日現在の年齢が、満15歳以上満51歳未満であること
  2. 引受生命保険会社の加入承諾があること

上記2つの条件を満たしている必要があるほか、保険金額が3,000万円を境に3,000万円以下であるのか3,000万円を超えるのかによっても、その取り扱いが異なる点も押さえておくべきポイントと言えます。

  • 保険金額が3千万円以下の場合は、告知書扱い
  • 保険金額が3千万円超の場合は、告知書に加え、医師による所定の「健康診断結果証明書」も必要

三大疾病保障付き団体信用生命保険の保険金額が3,000万円以下の場合は、「告知書に問題が無ければ良い」ことを意味しています。

一方、三大疾病保障付き団体信用生命保険の保険金額が3,000万円超の場合は、「告知書に問題が無ければ良いことに加えて、医師が判断した健康診断結果証明書の結果」で総合的に判断されることになります。

いずれにしましても、健康に問題が無ければ、さほど心配するようなことでないことがわかります。

参考:「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」の概要:加入資格・告知方法

5.フラット35における三大疾病保障付き団信の注意点

フラット35における三大疾病保障付き団信の注意点として、「満75歳の誕生日の属する日の月末まで」で保障が有効になります。

たとえば、6月9日で満75歳になった方は、6月30日で三大疾病保障付き団信の保障が終了となります。

なお、上記例の場合、7月1日から満80歳の誕生日の属する月の末日(6月30日)までは、3大疾病部分を除いた死亡・高度障害状態部分の保障が継続する仕組みとなっています。

つまり、75歳から80歳の間に三大疾病にかかって所定の条件を満たしたとしても、団信の保障が受けられないということです。

一方で、死亡や高度障害になった場合は、保障が受けられることを意味しています。

参考:「3大疾病保障付機構団体信用生命保険」の概要・3大疾病の保障終了年齢

なお、過去にガンの診断を受けた方は、三大疾病保障付き団信に加入できる可能性は極めて低いことも押さえておきたいポイントになります。

注意

民間金融機関が取り扱っている住宅ローンの三大疾病保障付き団信に加入される予定のある方は、引受会社(保険会社)の保険約款を必ずご確認下さい。

まとめ FPからのアドバイス!住宅ローンに団信の三大疾病特約は必要なのか?

本記事では、団体信用生命保険の三大疾病特約に焦点をあてて、詳しく解説をさせていただきました。

「将来の保障」を優先するのか、「負担するお金」を優先するのか、大きく分かれるところになると思います。

たとえば、「将来の保障」やライフプランなどを考慮すると、実際に団信保険金が支払われるハードルが高すぎるわけではないと推測されます。そのため、加入しても大きな無駄にはならないと思われます。

三大疾病特約を付加した団信に加入する年齢にもよります。

また、団信は、後から加入することができないといった最大の特徴があります。

つまり、加入チャンスは「一度きり」となることから、加入判断は冷静かつ真剣に考えなくてはなりません。

さらに、民間金融機関の住宅ローンを選ぶのか、フラット35を選ぶのかによっても、判断は大きく変わってきます。

そのため、仮に「団信の三大疾病特約は必要なのか?」といった問いに、「YES」か「NO」かのいずれかで答えるのは、やはり難しいものがあります。

「YES」と言うのは、簡単なことですが、家計の懐具合をはじめ、ライフプランを考慮する必要があります。

たとえば、団信の代わりに生命保険や損害保険を活用した方が、得策の場合も多くあります。

実際に、現在加入している三大疾病をカバーする生命保険に加入しているため、保障が二重になって重複すると大きな勘違いをされている方がいます。

そもそも加入している「生命保険の保障内容」や、「どのような時に保険金が支払われるのか」といった基本的な部分から確認しなければならない方も、多く見受けられます。

「団信の加入目的と効果」および、「現在加入している生命保険の加入目的と効果」を、いま一度確認してください。人生を大きく左右するような、誤った判断だけは、しないように心掛けたいものです。

「保障を取るか」「お金を取るか」真剣に考えたうえで、答えを出してください。