地震の火災は火災保険では補償されない:地震保険の必要性

地震大国「日本」において、いつ、どこで未曾有(みぞう:いまだかつてない)の地震災害が起こるのか予測することは現代の化学では不可能です。その中で私たちが今、地震に対してできることはいったいどのようなことなのでしょうか。

「平成28年熊本地震」が発生したことで、今や日本各地どこで巨大地震が起きてもおかしくない時代に突入し、地震保険に関する需要や関心が高まっております。

このようなことを踏まえ、本記事では未曾有の大震災から学び、あなたとその家族、財産を守るための地震保険について徹底解説していきます。非常に重要なことを詰め込んであるため、地震保険の完全マニュアルとして多くの読者さまへ幅広く提供していきたいと思います。

なお、本記事の解説において「建物」の表現を「住宅」に置き換えて解説することでよりイメージをわきやすいようにしておりますので、あらかじめご了承ください。

目次

1.地震保険とは

地震保険のイメージ

地震保険とは、正式名称を「家計地震保険」と呼びます。「地震」や「噴火」、「地震が原因の津波」などによって生じた「火災」「損壊」「流失」「埋没」などの損害を補償するための「地震災害専用の保険」のことをいいます。

ただし、地震保険の補償対象となるものは、家計地震保険という名だけあって「住宅」と「住宅の中の家財」のみになります。

1-1.地震保険は単独で加入できない

損害保険会社が取り扱っている地震保険には、「地震保険単独」の保険商品は存在しません。必ず、火災保険とセットでなければ加入することができないことになっています。

また、地震保険は住宅やその中にある家財を対象とした火災保険を契約した時に原則としてセットで加入することになります。これを「自動付帯(じどうふたい)」と呼び、仮に地震保険の加入を希望しない場合には、地震保険の契約だけ外すことも可能です。

逆に、火災保険の契約当初、地震保険に加入していなかったとしても、途中から地震保険に入ることももちろん可能です。

1-1-1.火災保険では、地震による火災は補償されない

仮に地震保険に加入していない状態で未曾有の大震災が発生し、住宅が火災に巻き込まれてしまったとします。このとき、火災保険では地震による火災についていっさい補償されません。

さらに付け加えますと、火災保険では、地震や噴火で住宅が損壊したり、これらの影響による津波で住宅が倒壊したりしても、それに対する補償はありません。また、住宅の中の家財が流失した場合などについても、いっさい補償されません。

つまり、「地震による補償は地震保険でなければ補償されない」ことになります。そのため、「火災保険に入っているから火事になっても大丈夫」という考えは危険です。災害に備えて、必ず地震保険にも加入するようにしましょう。

1-2.地震保険はなぜ原則付帯なのか

前述の通り、火災保険では、通常地震や噴火、またはこれらによる津波によって生じた火災による損害は補償されません。そのため、関東大震災や新潟地震といった大きな地震の場合などにおいて、火災保険では罹災者(りさいしゃ:災害にあった人・被災者)を救済する保険として役立たなかった背景がありました。

そこで、火災保険の契約に地震保険を一本化することで、地震に対する補償を備えるだけでなく「利便性も向上させる」といった意図のもとで地震保険は火災保険に対して原則付帯となっています。

「1‐1.地震保険は単独で加入できない」の項でも解説した通り、地震保険が不要な場合は、いつでも外すことができます。また、必要な場合は、いつでも加入することができることから、地震保険の存在を知らずに加入できなかった場合に比べますと、契約当初から原則付帯の方が契約者にとって親切なのかもしれません。

1-3.地震保険でいう「全損」「半損」「一部損」とは

地震保険における損害の程度は、「全損」「半損」「一部損」の3つの段階に分けられます。そして、これら3つの段階は、現地の損害調査などが行われることによって認定されることになります。

このとき、認定基準は「住宅の場合」と「家財の場合」で以下のように定まっています。

1-3-1.住宅の認定基準

表を見たほうが理解が深まるため、まずは以下を確認してください。

住宅の損壊具合①主要構造の損害②損害を受けた
床面積
③床上浸水
全損住宅の時価の50%以上の損害延床面積70%以上の損害基準なし
半損住宅の時価の20%以上50%未満の損害延床面積20%以上70%未満の損害基準なし
一部損住宅の時価の3%以上20%未満の損害基準なし住宅が床上浸水するか地盤から
45cmを超える浸水を受けた場合で、
住宅が全損・半損・
一部損のいずれにも
該当しないとき

まず、地震保険における損害の判定は、「①主要構造の損害」か「②損害を受けた床面積」のどちらかが上記表の認定基準に該当しているかを確認します。ここでいう①の主要構造とは、軸組(じくぐみ:骨組み)や基礎、屋根、外壁などを指しています。

「①主要構造の損害」か「②損害を受けた床面積」のどちらの認定基準にも該当しない場合には「③床上浸水」の認定基準に該当するか確認します。

もし、すべてに該当しない場合は、地震保険からの保険金は支払われないことになります。

1-3-2.家財の認定基準

家財の認定基準は、以下の通りです。

住宅の損壊具合認定基準
全損家財の損害額が
時価の80%以上の場合
半損家財の損害額が
時価の30%から80%未満の場合
一部損家財の損害額が
時価の10%から30%未満の場合

2.地震保険はどこの保険会社で入っても保険料が変わらない

実は、地震保険の保険料は、どこの損害保険会社から加入したとしても保険料が変わりません。これは、国の法律に基づいて、政府と損害補償会社が共同で運営している公共性の高い保険だからです。

ただし、住んでいる都道府県や住宅の構造(鉄骨・コンクリート・木造)によって地震保険料が異なるといった特徴があります。そのため、これについては、住んでいる地域の損保会社に問い合わせてみることをお勧めします。

なお、未曽有の地震に備えて、地震保険は経費を除いた額を保険金の支払いのために積み立てることが義務付けられています。そのため、地震保険をお客様に勧めたとしても、損保会社が儲かることはありません。

3.地震保険料の4つの割引

地震保険の保険料は、以下で解説する4つの割引制度があります。

ただし、これら4つの割引制度を適用するためには、「申請」と「要件に合致していること」が必要になります。これらの条件を満たすことができれば、割引率は10%から最大で30%となっているため、割引効果は大きいといえます。

なお、以下4つの割引制度が仮に重複して適用されるとしても、実際に適用される割引はいずれか1つになります。そのため、その点にはあらかじめ注意が必要です。

3‐1.【1】建築年割引

対象住宅が「1981年6月1日以降」に新築された住宅および、その建物の中にある家財においては、10%の割引率が適用されます。

3‐2.【2】免震建築物割引

対象住宅が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」などに定められた耐震等級を満たしている場合に10%から30%の割引率が適用されます。

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3‐3.【3】耐震等級割引

対象住宅が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」などに定められた「免震建築物」である場合は30%の割引率が適用されます。

3‐4.【4】耐震診断割引

対象の住宅が、1981年(昭和56年)以前に建てられた住宅で地方公共団体などが耐震診断や耐震改修を行った結果、建築基準法の耐震基準を満たした場合は10%の割引率が適用されます。

4.補償内容の詳細

ここからは、地震保険の補償対象をはじめ、地震保険が支払われる場合と支払われない場合などについて詳しく解説していきます。

4-1.地震保険の補償対象

地震保険の補償の対象となるのは「居住用の建物 = 住宅」と「家財」になり、事業用のみの建物は地震保険の補償対象外となります。

4-1-1.地震保険は住宅・家財それぞれに加入する必要がある

地震保険の補償は「住宅」と「家財」とセットになっておらず、それぞれ別々の契約になっております。

そのため、地震保険の補償において「住宅」と「家財」の両方について補償を求めている場合、それぞれの契約に加入しなければなりません。

4-1-2.自動車や30万円を超える貴金属類については補償対象外

地震保険の家財補償に加入していたとしても、「1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や美術品」、「現金」「株や国債などの有価証券」「自動車」などは、地震保険の補償対象外です。

ただし、自動車につきましては、加入している自動車保険の特約などによって地震で損害を被った自動車を補償してくれるものもあります。そのため、自家用車に関しては、現在加入している損保会社に相談するようにしましょう。

4-2.地震保険の保険金が支払われる場合

地震保険は、「地震」や「噴火」、「地震が原因の津波」などによって生じた「火災」、「損壊」、「流失」、「埋没」などの損害を補償するものです。ここでは、具体的な例をあげて、地震保険の保険金が支払われる場合を解説していきます。

4-2-1.地震が原因で火災が発生して家が焼けてしまった場合

地震が原因で火災が発生して家が焼けてしまった場合、「地震によって生じた火災によって家が損害を受けた」と考えることができます。そのため、地震保険の保険金が支払われる場合に該当します。

4-2-2.地震が原因で家が倒壊してしまった場合

地震が原因で家が倒壊してしまった場合、「地震によって家が損壊した」とまさに地震保険の補償そのものに該当するため、地震保険の保険金が支払われます。

4-2-3.地震が原因で津波が発生して家が流された場合

地震が原因で津波が発生して家が流された場合、「地震が原因の津波によって家が流失した」ことに該当するため、地震保険の保険金が支払われます。

4-2-4.地震が原因で家が沈没した場合

地震が原因で家が沈没した場合、「地震によって生じた埋没によって家が損害を受けた」と考えることができます。そのため、地震保険金の支払い対象に該当します。

4-2-5.地震が原因で噴火になり、家が損壊した場合

地震が原因で噴火になり、家が損壊した場合、「噴火によって家が損壊した」という地震保険金が支払われる場合に該当するため、こちらも地震保険金が支払われます。

4-3.地震保険の保険金が支払われない場合

残念なことに、地震保険に加入していたとしても、保険金が支払われないケースも存在します。これは、先に解説した3つの段階の損害に該当しない場合のほか、「免責事項」に該当していることがあげられます。

免責事項とは、保険契約者(地震保険の保険料を支払っている人)などが「故意」「重大な過失」「法令違反」などを行った場合に、保険金を支払わないといった取り決めです。

さらに地震保険の場合は、以下の2つに該当したときも同じように、保険金の支払い対象外となります。

4-3-1.地震が発生した日の翌日から起算して10日後に生じた損害

地震の多くは、本震によって大きな被害が起こったり、度重なる余震で被害が拡大したりすると考えられます。

そのため、地震が発生した日の翌日から起算して10日後に生じた損害については、保険金の支払い対象外となっています。

4-3-2.保険対象の紛失盗難の場合

残念なことに、地震によって多くの方が避難している一方で、それを狙った犯罪をする「空き巣」が後を絶ちません。しかし、この空き巣によって生じた家財などの損害は、保険金支払いの対象外です。また、家財が何かしらの原因で紛失してしまった場合においても、同様の取り扱いになります。

5.損害程度によって支払われる保険金について

地震が発生し、地震保険の保険金請求をした場合、現地に行って損害状況を確認、調査することになります。この結果、「全損」「半損」「一部損」と認定された場合に支払われる保険金の基準は以下の表のとおりです。

損害内容/対象物住宅家財
全損の場合住宅に対する地震保険金額の【100%】
(時価額が限度)
家財に対する地震保険金額の【100%】
(時価額が限度)
半損の場合住宅に対する地震保険金額の【50%】
(時価の50%が限度)
家財に対する地震保険金額の【50%】
(時価の50%が限度)
一部損の場合住宅に対する地震保険金額の【5%】
(時価の5%が限度)
家財に対する地震保険金額の【5%】
(時価の5%が限度)

上記表を見ると、補償金額に規則性があることがわかります。

具体的には、住宅であっても家財であっても「全損の場合は100%補償」「半損の場合は50%補償」「一部損の場合は5%補償」になっていることが確認できます。

5-1.3つの損害に該当しない場合、保険金は支払われない

地震保険に加入していた場合において、判定の結果、「全損」「半損」「一部損」のいずれにも該当しない場合は、保険金は支払われないことになります。

地震保険に加入しているのにもかかわらず保険金が支払われない憤りがあるものの、ここでは「損害が少なくてすんだ」という考えを持つことが大切でしょう。

5-4.液状化による被害であっても、補償される場合がある

地震による地盤の液状化現象によって生じた損害は、地震保険で補償される場合があります。「補償される場合がある」とした理由は、住宅の構造や住宅の傾斜角度によって保険金の支払い条件が異なっているためです。

たとえば、木造住宅や鉄骨造住宅の場合、「傾斜が1度を超える場合」「住宅の沈下が30cmを超えた場合」に全損とされます。

このように、住宅の構造や傾斜角度の条件が合致しなければ、地震保険の支払い対象とはならないことがあるため、必ずしも補償されるものではない点に注意が必要です。

5-5.門や塀、垣のみに損害があった場合、保険金の支払い対象外

地震保険は、地震によって損害を受けた全体で損害の程度を判断することになります。

そのため、仮に門や塀、垣のみに損害があった場合、一部損にも該当しないことが考えられます。したがって、地震保険からの補償については、残念ながら難しいと考えるべきでしょう。

まとめ

本記事では、地震保険について重要な部分を幅広く解説しました。平成23年に発生した東日本大震災から間もなく、誰も予想しえなかった「平成28年熊本地震」が起きました。このことから、日本のどこで、いつ未曾有の地震が発生してもおかしくない時代に突入しています。

地震という偶発的な事故に見舞われながらも、生活を再建をしていくためには、やはり地震保険に加入しておくことが必要不可欠です。これに付け加えて、災害に備えた準備もあらかじめしておくことが大事です。

中には、「他人事」のように考えている方もいますが、被災してから保険に入ることはできません。「後悔は先に立たず」という言葉があるように、目先の生活だけでなく、明日、大きな災害が発生したとしても、大切な家族を守るための準備があるとないとでは大きな差が生まれます。

また、地震保険には、万が一の地震に備えるだけでなく、1年間に支払った地震保険料が所得税や住民税の税負担の緩和にもつながるといったポイントもあります。

この記事を読んだことで、地震保険に対する考え方を見直していただくことができれば幸いです。