住宅ローンで団信がおりる高度障害状態とはどんな状態なのか

団信に入れる健康状態のイメージ

住宅ローンの融資を受けるためには、「団体信用生命保険(以下、団信とします)」に加入できることが多くの金融機関の融資条件の1つとして明示されています。

団信は、住宅ローンの債務者(お金を借りた人)が「死亡」もしくは「高度障害」になった場合に保険金が支払われる保険です。具体的には、保険金と現在抱えている住宅ローン残高を相殺する仕組みの生命保険です。

団体信用生命保険のイメージ

ただ、「死亡」は考えればわかりますが、「高度障害」とは、一体どのような状態のことをいうのでしょうか。聞きなれないため、想像すらつかないはずです。

そこで本記事では、団信における高度障害に焦点をあてて、どのような状態が高度障害にあたるのかについて、「フラット35の団信」を例に解説していきます。

団信は要件を満たさなければ保険金は支払われないため、必ずこのことを確認しておきましょう。

注意

少々面倒であると思いますが、民間金融機関の団信に加入する場合、金融機関が提携している引受会社(保険会社)の団信約款に目を通して高度障害の内容について確認するようにして下さい。

団信はすべて同じではないからです。

目次

1.フラット35の団信で保険金が支払対象となる8つの高度障害状態とは

冒頭で述べた通り、団信の保険金は、住宅ローンの債務者が「死亡」もしくは「高度障害」に該当した場合に、一定の手続きを経て保険金が支払われることになります。

ここでいう「高度障害」に該当する場合とは、以下、8つの場合に該当することを指します。

  1. 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  2. 言語またはそしゃくの機能を全く永遠に失ったもの
  3. 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  5. 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  6. 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  7. 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  8. 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

上記8つの高度障害状態について、機構団信「債務弁済(保険金請求)手続きのご案内」から引用して解説をしていきます。

1-1.両眼の視力を全く永久に失ったものとは

高度障害状態のイメージ

※クリックすると拡大できます

参照:債務弁済(保険金請求)手続きのご案内

医学的専門知識が必要であることを踏まえますと、私たちが大まかに理解しておくこととして「両方の目がほぼ失明状態」であれば、高度障害状態に認定される可能性があるという考え方で事足りると思われます。

本項を含み、以下、すべての高度障害における最終判断は保険会社が下すものです。

そのため、ここでは大まかに高度障害の内容を押さえておくことで足りるでしょう。

1-2.言語またはそしゃくの機能を全く永遠に失ったものとは

高度障害状態のイメージ

※クリックすると拡大できます

参照:債務弁済(保険金請求)手続きのご案内

上記の解説を見ると、高度障害に認定される項目として「言語の機能を全く永久に失ったもの」と「そしゃくの機能を全く永遠に失ったもの」の2つに分けられることが確認できます。

「言語の機能を全く永久に失ったもの」とは、上記イメージ図の①~③までの3つすべてにあてはまっている必要があると推測できます。

そのため、1つないし2つのみあてはまっている場合、該当しないと考えることができるでしょう。

一方、「そしゃくの機能を全く永遠に失ったもの」とは、流動食しか摂取することができない状態であることを指しています。

1-3.中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するものとは

「中枢神経系」とは、神経系の中で、全神経の統合・支配など中枢的役割を果たしている部分のことを指します。

このような重要な神経や精神による障害によって、死亡するまで「常に」他人の介護を要する状態でなければ、高度障害に認定されません。

参考:[事案 21-25]高度障害保険金請求

1-4.胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するものとは

高度障害状態のイメージ

※クリックすると拡大できます

参照:債務弁済(保険金請求)手続きのご案内

胸部や腹部の内臓障害によって、死亡するまで常に他人の介護が必要な状態であることが、高度障害と認定されるために求められます。

上記解説にも記述しておりますように、寝たきりの状態や寝たきりに近い状態でなければ、高度障害として認められるのは難しいと考えることもできます。

仮に以下の項目の内、いずれか1つでも自分でできると判断されてしまうと、この条件には該当しなくなってしまう可能性が高いです。

  • 食事
  • 排便・排尿およびその後の始末
  • 衣服着脱
  • 起居
  • 歩行
  • 入浴

ご覧の通り、かなり厳しめの判断基準と言えます。

1-5.両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったものとは

部位の例示

「両上肢とも、手関節以上で失った」状態とは、両手が無い状態のことを指しています。

また、「その用を全く永久に失ったもの」とは、以下の解説のように、両手が麻痺で完全に動かない場合などのことを指します。

高度障害状態のイメージ

※クリックすると拡大できます

参照:債務弁済(保険金請求)手続きのご案内

1-6.両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったものとは

部位の例示

「両下肢とも、足関節以上で失った」状態とは、両足が無いことを指します。

また、「その用を全く永久に失ったもの」とは、両足が麻痺などで完全に動かない場合などをいうと考えてください。

1-7.1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったものとは

部位の例示

1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったものとは、「片手と片足が無い状態」や「片手と片足が麻痺で完全に動かない場合」を指します。

スポンサーリンク

1-8.1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったものとは

部位の例示

1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったものとは、片手が完全に麻痺で動かせない状態に加え、片足が無い状態(足関節以上)であることが必要です。

これらは、団信の保険金請求をされた保険会社が、医者の発行した診断書やその他、関係する書類を総合的に判断し決定されることになります。

そのため、ここでは住宅購入の一般知識として、大まかに押さえておくことで足りるでしょう。

3.介護保険法に基づく要介護認定を受けても、団信が下りるとは限らない

年齢が40歳以上になると、すべての方が介護保険に強制加入となります。

中には、先に解説したような高度障害を負ったことによって、要介護認定を受けることもときにはあります。

しかし、団信の保険金が支払われるか否かの判断は、あくまでも団信の引受会社である保険会社の保険約款に基づいたものです。

そのため、介護保険法や要介護認定とは全く関係がないことは、しっかりと押さえておくべきポイントになります。

4.団信の保険金が受け取れない14のケース

団信の保険金が受け取れないケースは、以下の通りです。

  1. 住宅ローン債務者が、団信の保障開始前に死亡または高度障害になった場合
  2. 住宅ローン債務者が、団信を止めた後に死亡または高度障害になった場合
  3. 住宅ローン債務者が、満80歳の誕生日の属する月の末日以降(たとえば、6月8日で80歳を迎えた場合、6月30日で保障が終了し7月1日から団信保障は無い状態)
  4. 住宅ローン債務者が、住宅ローンをすべて完済した翌日以降に死亡または高度障害になった場合
  5. 住宅ローン債務者が、団信の保障が開始されてから1年以内に自殺した場合
  6. 住宅ローン債務者が、団信に加入する際に告知義務違反をした場合
  7. 住宅ローン債務者が、故意に高度障害状態になった場合
  8. 住宅ローン債務者が、団信の保障が開始される前の傷害や疾病によって所定の高度障害になった場合
  9. 住宅ローン債務者が、戦争やその他の変乱によって死亡または高度障害になった場合
  10. 住宅ローン債務者が、詐欺や不法取得の目的で団信に加入していた場合
  11. 住宅ローン債務者が、団信の保険金を詐取する目的で事故を招いた場合や暴力団関係者など反社会的勢力である場合
  12. 住宅ローン債務者にかかる重大な問題によって団信契約が解除された場合
  13. 住宅ローン債務者が、住宅ローンを借りる際の契約書の条項に抵触し債務の全部について期限の利益を失った場合
  14. 夫婦連生団信に加入している場合で、夫婦いずれかの故意によって、もう一方の方が死亡または高度障害になった場合

参考:債務の完済(保険金の支払い)がされない場合

団信の保険金が受け取れないケースは、「告知義務違反のようなモラルに抵触している場合」や「犯罪に絡む場合」、「犯罪に絡む恐れのある場合」などが多く見られます。

通常、住宅ローン債務者が、所定の高度障害に該当して保険金が支払われないといったことは逆に考えづらいと思われます。

どちらかと言えば、高度障害の解釈について、団信の保険約款に書かれている内容と、住宅ローン債務者が置かれている苦しい状況がマッチングしていないことによる、保険金支払いが非該当になることによってのトラブルの方が多い印象を受けます。

参考:[事案 21-25]高度障害保険金請求

このようなことに陥らないためにも、本記事で紹介している内容を、しっかりと学び、覚えておきましょう。

5.高度障害による債務弁済(保険金請求)手続きの流れ

住宅ローン債務者が高度障害になった場合、付き添いの家族などが保険会社に対して団信の保険金を請求しなければ、保険金が支払われることは絶対にありません。

そこで本項では、高度障害による債務弁済(保険金請求)手続きの流れを紹介していきます。

5-1.保険金請求に必要な書類を準備して金融機関へ提出する

保険金請求に必要な書類は、以下の通りです。

必要書類必要枚数備考
団信弁済判定依頼兼弁済届【高度障害用】1枚金融機関から受け取った用紙に、必要事項を記入する
か自分で印刷して記入し提出する
障害診断書1枚金融機関から生命保険会社所定の障害診断書用紙を受け取り、加療中の医師に記入を依頼する

所定の用紙以外では判定受付はできない

5-2.2つの必要書類に不備が無いかを確認し、生命保険会社が支払可否の審査を行う

所定の高度障害状態に該当するか否かを確認し、仮に該当した場合は、高度障害の症状固定日について審査を行う流れになります。

提出された書類では判断できない事項(治療の経過・内容、事故の状況、症状の固定日等)があった場合は、必要に応じて生命保険会社(もしくは生命保険会社の委託会社)より、直接、家族や主治医などに照会や確認を行うこともあります。

なお、審査結果は保険金請求の手続きをした金融機関、もしくは住宅金融支援機構から連絡がくる流れとなります。

5-3.高度障害保険金の支払事由に該当した場合、該当しなかった場合

高度障害保険金の支払事由に該当した場合、住宅ローン債務はすべて完済となります。

一方、高度障害保険金の支払事由に該当しなかった場合は、住宅金融支援機構が生命保険会社から受領した「非該当説明文書」などが送付されます。

6.手堅い保障を望む場合、「3大疾病特約」「8大疾病特約」も検討する

団信には、死亡や高度障害に該当するほか、「3大疾病」や「8大疾病」のような所定の病気や支払要件に合致した場合に、すべての住宅ローン債務が完済されるタイプの団信も存在します。

これらは、一般に「3大疾病特約」「8大疾病特約」などと呼ばれます。

なお、住宅ローンを取り扱っている金融機関によって、これらの特約の有無が異なる点に注意が必要です。

3大疾病

  1. がん(悪性新生物)
  2. 急性心筋梗塞
  3. 脳卒中

8大疾病

  1. がん(悪性新生物)
  2. 急性心筋梗塞
  3. 脳卒中
  4. 高血圧症
  5. 糖尿病
  6. 慢性腎不全
  7. 肝硬変
  8. 慢性膵炎

団信における高度障害で保険金が支払われるためのハードルは、「非常に高い」と感じられた方も多いと思います。

実は、3大疾病および8大疾病の特約が付いた団信も同じように、保険金が支払われるためのハードルが実のところかなり高いのが現状です。

また、加入するための保険料はさらに上乗せされるため、毎月月の住宅ローン返済額が大きくなることも忘れてはいけません。

さらっと話を聞いたり、目で確認すると良い団信に見えてしまいがちですが、団信の保険約款を確認し保険金が支払われる条件を、確実に確認してから加入することが重要です。

なお、「住信SBIネット銀行」であれば、団体信用生命保険はもちろん、8疾病特約に加えて、病気やケガで働けなくなった際に有効となる全疾病保証が無料で付帯しています。金利も業界最低水準であるため、大入り候補として考えていくことを強くおススメ致します。

まとめ

本記事では、団信の保険金が支払われる高度障害状態について解説しました。

おそらく、多くの方が「ほぼ高度障害状態にはならないのでは?」と感じられた方も多かったのではないかと思います。

死亡と同様の取り扱いとなる高度障害は、相当な高度障害状態でなければ認定されることはないと考えたほうが無難です。

そのため、完済するまでの住宅ローンを考える上で、仮に団信の保険金が支払われないような大きな障害を抱えることになった場合も想定しておく必要があります。

そして、どのような対策を取っておくべきか、考えておくことも必要でしょう。

仮に住宅ローン返済途中で大病になったことが原因で、住宅ローンが支払えず、結果として家を手離すことになってしまうことも十分考えられます。

しかし、最終的な責任は、万が一の対策を施さなかった「自分自身」にあります。

住宅ローンの申し込みをする前、および住宅ローンの返済期間中において、健康と事故に気をつけることは言うまでもありません。

これに加え、万が一の場合を想定したリスク回避策は、確実に取っておきたいものです。

団信に入れる健康状態のイメージ