住宅ローンのワイド団信とは?うつでも加入できるのか基準を解説

住宅ローンを取り扱っている民間金融機関の多くは、融資条件の1つに「団体信用生命保険(以下、団信とします)に加入できること」を求めています。

団信は、住宅ローンの返済途中で債務者が死亡や高度障害になったことで、住宅ローンの返済ができなくなってしまうのを防止するためのいわば「担保」です。死亡保険金と住宅ローン債務が相殺される仕組みです。

団体信用生命保険のイメージ

一般に、団信は生命保険であることから、原則として健康な方でなければ加入できません。

しかし現在では、持病や病歴によって団信に加入することができないハンデのある方でも加入しやすい「ワイド団信」というものがあります。

本記事では、このワイド団信について詳しく解説していきます。

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1.ワイド団信とは

ワイド団信とは、通常の団信に加入することができない健康状態を抱えた方のために、加入条件が緩和された団体信用生命保険のことを言います。

たとえば、通常の団信に加入することができない「高血圧症」や「糖尿病」、「肝機能障害」といった病気を発症している場合であっても、加入できる可能性がある団体信用生命保険がワイド団信の特徴です。

ただし、あくまでも住宅ローンを取り扱っている金融機関が提携している保険会社の基準に準じる必要があります。確実とは言い切れないため、ご注意ください。

1-1.住宅ローンは、健康状態が良好でなければ審査が通らない

住宅ローンの審査は、総合的にさまざまな項目を確認されて、融資の可否が決定されるものになります。

実のところ、健康状態が良好であることは、多くの金融機関が優先的に考慮している項目であることが、統計データから確認することができます。

融資を行う際に考慮する項目

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出典:国土交通省・平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書より

上記図を見てみると、住宅ローンの融資を行う際に考慮する項目の内、最も多いのが「完済時年齢」となっています。

そして、「健康状態」はそれに次いで、高い優先順位になっていることが確認できます。

このことから、住宅ローンは、健康状態が良好でなければ審査が通りにくいことが分かります。以下、リンクから詳しい内容を合わせて確認してみることをおすすめ致します。

住宅ローンの審査基準:団信に加入できる健康状態であること

2017.05.19

1-2.ワイド団信の加入基準は保険会社によって異なる

ワイド団信に加入するための加入基準と判断は、金融機関が決めるのではありません。提携している引受会社(保険会社)が、決定することになります。

また、金融機関によって引受会社が異なることから、ワイド団信にかかる加入基準も各々異なることになります。

たとえば、イオン銀行の「ワイド団信付住宅ローン」を申し込んだ場合、引受会社は、クレディ・アグリコル生命保険株式会社という保険会社での加入基準による判断によって、加入の可否が決定されることになります。

引受保険会社

クレディ・アグリコル生命保険株式会社
カスタマーサービスセンター:0120-60-1221
受付時間 月~金曜日9:00~17:00(祝休日・年末年始の休日を除く)

出典:イオン銀行・ワイド団信付住宅ローンより引用

1-3.参考:ワイド団信で加入できる可能性のある病気一覧

持病や病歴があることにより、団信の加入可否によって融資が大きく左右されることを踏まえると、実際にどのような病気が加入できて、逆にどのような持病だと加入できないのか、とても気になる所だと思います。

そこで以下に、イオン銀行のワイド団信付住宅ローンの引受実績について、同社ホームページから引用して紹介します。

目安として参考にしてみることをおすすめ致します。

おもな疾病のカテゴリーワイド団信で過去に引受実績のある主な例
代謝異常による病気糖尿病、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)、高尿酸血症・痛風など
心臓・血圧の病気狭心症、心筋梗塞、不整脈、心房細動、期外収縮、心臓弁膜症、高血圧症、血栓性静脈炎(静脈血栓症)など
脳の病気脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、脳動脈瘤(脳動脈解離)、てんかん、ギランバレー症候群など
精神・神経の病気うつ病・うつ状態、自律神経失調症、適応障害、不安障害、強迫性障害、パニック障害、睡眠障害、神経症など
食道・胃・腸の病気潰瘍性大腸炎、クローン病、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープなど
肝臓・胆道・膵臓の病気肝炎・ウイルス肝炎(B型肝炎・C型肝炎)、肝機能障害、脂肪肝、胆石、胆嚢ポリープなど
呼吸器(胸部)の病気喘息、気管支炎、肺炎、肺血栓塞栓症、結核、睡眠時無呼吸症候群など
目・耳・鼻の病緑内障、白内障、網膜剥離、難聴、副鼻腔炎など
ホルモン・免疫異常による病気バセドウ病(甲状腺機能亢進症)、甲状腺機能低下症、リウマチ性疾患、橋本病、全身性エリテマトーデスなど
血液・造血器の病気・異常貧血、赤血球・白血球の数値異常など
妊娠・女性特有の病気妊娠、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮頸部異形成、子宮内膜炎など

出典:イオン銀行・ワイド団信付住宅ローンより引用

注意

あくまでも、住宅ローンを申し込んだ金融機関が提携している引受会社(保険会社)によって基準が異なります。

1-4.通常の団体信用生命保険との違い

通常の団信とワイド団信の違いは、申込書兼告知書に記載されている内容や数になります。

団信そのものの加入は、比較的緩やかではありますが、ワイド団信は、内容をさらに緩くして住宅ローンの融資が受けられるような対策を施している生命保険です。

保障は、通常団信およびワイド団信共に共通しており、住宅ローンの債務者が死亡、もしくは高度障害に陥ったときになります。

詳しくは、以下、団体信用生命保険のページで確認しておきましょう。

7項目で解説!住宅ローンと一緒に入る団体信用生命保険とは

2016.04.06

1-5.三大疾病特約付き団信との違い

通常の団信には、住宅ローン申込者の希望によって「三大疾病特約付き団信」といった三大疾病でも保障される団信へ、グレードアップすることができる仕組みとなっています。

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三大疾病とは、日本人の死因ベスト3を占めている病気で「がん」「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳血管疾患(脳卒中)」がこれにあたります。

つまり、三大疾病特約付き団信は、「これらの病気にかかった時に住宅ローン債務の返済が免除になる」という優れた団信です。

ただし、実際に保険金が支払われるための要件をしっかりと確認しておく必要があります。

実際には、三大疾病にかかっただけではなく、それに加えて保険金が支払われるための約款に記載されている要件を、すべて満たしている必要があります。そのため、安易な加入は厳禁です。

必ず、事前に確認するようにしましょう。

住宅ローンやフラット35も対応している団信の三大疾病特約は必要?

2017.06.12

ワイド団信と三大疾病特約付き団信との違いは、以下の通りです。

  • ワイド団信:持病やがあっても入りやすい
  • 三大疾病特約付き団信:死亡や高度障害状態に加え、三大疾病になったときも保険が下りて住宅ローンが相殺される

2.ワイド団信に申し込むための要件と注意点

先に解説した通り、ワイド団信に申し込むための要件は、引受会社(保険会社)によって異なります。

そのため、住宅ローンを申し込む予定の金融機関のホームページなどで、要件を確認しておくことが大切です。調べる手間を省くといった意味では、直接電話などで問い合わせてみるのが良いでしょう。

以下、参考までに「イオン銀行のワイド団信」と「みずほ銀行のワイド団信」の要件を同社ホームページより抜粋して紹介します。

ご利用になれる方

イオン銀行の住宅ローンのお借入れ条件を満たし、本保険のご加入をご希望される方で、同時に以下の条件を満たされる方

お借入れ時の年齢が満20歳以上満50歳未満で最終ご返済時の年齢が満80歳未満の方
保険会社が加入を承諾した方(告知内容等により審査が必要です)
※ ご加入にあたっては、お客さまの健康状態等について所定の書面により告知いただきます。告知の内容により、保険会社がご加入をお断りする場合があります。

出典:イオン銀行・ワイド団信付住宅ローン商品内容より引用

ご利用いただける方 上記ローンを新規でお借入される方のうち、以下の条件を満たす方

  • お借入時の年齢が51歳未満の方
  • 「加入条件緩和割増保険料適用特約付団体信用生命保険」にご加入が認められる方

出典:みずほ銀行・ワイド団信概要より引用

似ているようで異なる部分があることを、確認できたと思います。

あくまでも、ワイド団信の申込書兼告知書を記入し提出した後、引受会社がそれを見て加入基準に照らし合わせ、判断すると考えてください。

このとき、ワイド団信に申し込むための注意点として、「告知義務違反を絶対にしない」ことがあげられます。

要するに、団信に加入したいがために、ウソの記載をして団信に加入しようとする行為を告知義務違反と言います。

たとえ告知義務違反をして、一時的に団信もしくはワイド団信への加入が引き受けされたとしても、このようなウソの記載は必ずいつかばれてしまうことに繋がるのです。

告知義務違反をした場合、当然に保険金が支払われることはありません。

そのため、残された遺族が、住宅ローン債務を引き続き返済し続けていかなければならないのです。

通常、団信保険料やワイド団信の保険料は、金融機関が保険契約者として支払っています。このことを踏まえると、時に損害賠償問題にすら発展しかねないと考えることもできるでしょう。

健康問題による住宅ローンの融資に悩まれている方は、独自の見解と行動で自らの首を絞めるような行為をしては本末転倒です。できれば、専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーなどの意見やアドバイスを下にしてみるべきだと思われます。

3.ワイド団信の保険料と返済金額の違いについて

ワイド団信は、保険契約者(保険料を支払う人)と保険金受取人が「住宅ローンを融資する金融機関」であり、被保険者(団信の対象となる人)が「住宅ローンの債務者」になります。

仕組みは、通常の団信と同じです。

団体信用生命保険のイメージ

通常、団信保険料およびワイド団信保険料は、金融機関が引受会社に対して保険料を支払います。また、団信保険料は「無料」、ワイド団信保険料は「住宅ローンの融資金利に0.2%~0.3%上乗せ」されるのが一般的です。

たとえば、「住信SBIネット銀行」の場合、団信に加え、全疾病保証が無料で付帯されているから驚きです。

仮にワイド団信に加入した場合における返済金額の違いについて、以下、シミュレーション条件を下に表にまとめて紹介しておきます。

シミュレーション条件

  • 借入金額:3,000万円
  • 固定金利:1.5%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済(ボーナス払い無し)
内容団信加入ワイド団信加入ワイド団信加入
金利1.5%1.7%(0.2%上乗せ)1.8%(0.3%上乗せ)
1ヶ月の返済金額91,855円94,822円96,327円
総返済金額38,579,239円39,825,513円40,457,513円

35年間という長期の返済期間になりますと、0.2%や0.3%といった違いが返済金額に大きな差を生じさせてしまうことが分かります。

たしかにワイド団信は、持病や病歴がある方でも住宅ローンの融資が受けやすくなるメリットがあります。

その一方で、金利が上乗せされることにより、返済金額や総返済金額が増加してしまうデメリットがあることを知っておきましょう。

4.団信への加入義務がないフラット35を検討するのも一策

実はフラット35の場合、原則として団信の加入は任意となっています。そのため、民間金融機関が取り扱っている独自の住宅ローンの融資がなされなかったとしても、フラット35であれば、融資が受けられる可能性があります。

参考までに、「住信SBIネット銀行のフラット35」にて、事前審査をしてみることをおススメ致します。

これはあくまでも、住宅ローン申込者のさまざまな状況が判断され、決定されることになります。

そのため、一概に申し上げられることではありませんが、比較的緩やかな基準で住宅ローンの審査を希望しているのであれば、フラット35も選択肢の1つとして考えて良いと思われます。

まとめ

ワイド団信は、住宅ローンを取り扱っている多くの金融機関において、手続きを取ることが可能です。

ただし、あらかじめ加入条件を、しっかりと確認するところからはじめておく必要があります。

具体的には、告知内容や金利の上乗せ分などの詳細を、しっかりと確認しておくことが大切です。

健康状態に何かしらの不安を抱えている方で、仮に住宅ローンの申し込みに行く予定の金融機関が決まったとします。この場合は、あらかじめ健康状態に不安がある旨を、伝えておいた方がスムーズかつ効果的だと思われます。

こちらはあくまでも憶測になりますが、「住宅ローンを借りたい」という顧客に対して、金融機関は当然にお金を借りて欲しいと考えるはずです。

そのため、少なからず何かしらの協力に努めることでしょう。

仮に、希望の金融機関から住宅ローンの申し込みが断られたとしても、それは、その金融機関の基準に合わなかっただけです。他の金融機関の基準に合う可能性は、十分にあることを決して忘れないでいただきたいと思っています。