住宅ローンの借り換えで満額借りるには?減額される理由と4つの対策

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住宅ローンの借り換えをすることによって、金融機関に対して支払う利息や借入金を少なくすることができる場合があるのですが、借り換えの申し込みの結果、時として希望の借入金額よりも少ない金額を申し込みの金融機関から提示される場合があります。

これを「減額承認」といい、イメージとしては、3,000万円の借り換えの申し込みをしたのにも関わらず、2,500万円までなら融資できますといったものになります。

減額承認がされる理由につきましては、本記事中で詳しく解説を進めさせていただきますが、仮に、借り換え申し込みの満額が借りられず、減額承認となってしまうことによって、家計のバランスが崩れたり返済計画に大きな支障をきたしたりしてしまうことも十分予測できるのです。

そこで本記事では、住宅ローンの借り換え申し込みにおいて、減額承認される理由や満額で借り換えができるようにするための対策方法について詳しく解説を進めていきます。

1. 住宅ローンの借り換えでは、融資額を減額されてしまうことがある

仮に、住宅ローンの借り換え申し込みの結果、減額承認を受けてしまった場合は、「なぜ融資額が減額されてしまったのか」といった原因を探る必要があります。

本項では、減額承認がされてしまう主な原因について、以下3つに分けてそれぞれ個別に解説を進めていきます。

1-1.借り換え申し込み者の「返済負担率」が高いため

減額承認がされてしまう1つ目の原因として、借り換え申し込み者の「返済負担率」が高いためといった理由が考えられます。

【返済負担率とは】

収入に対する1年間の借入金の返済負担割合を示すものです。

大まかなイメージは、以下の通りです。

年収400万円未満400万円以上
基準30%以下35%以下

出典:フラット35:借換融資のご利用条件より引用

たとえば年収500万円の方が、フラット35の借り換えを申し込むものと仮定します。

申し込み時点で、1年間の返済状況が以下の状況であった場合に、どのようになるのか考えてみます。

  • 自動車ローンの1年間の返済金額 36万円
  • 借り換え後の年間住宅ローン返済金額 114万円
  • クレジットカードにる割賦返済 24万円

 

  • (36万円+114万円+24万円)÷500万円=0.348
  • 0.348×100=34.8%

この場合の返済負担率は「34.8%」になると計算され、返済負担率の基準に収まっているものの、ぎりぎりの範囲内で余裕がないことから、減額承認がされてしまう可能性や借り換えが不可といった与信判断がなされてしまう危険性も十分に考えられます。

1-2.銀行によって、借り換えの審査基準が違うため

減額承認がされてしまう2つ目の原因として、銀行によって「借り換えの審査基準が違うため」といった理由が考えられます。

たとえば、先に解説した「借り替えの返済負担率」や後述する「住宅等の担保評価額」の基準は、住宅ローンの借り換えを申し込んだ金融機関によってすべて異なっています。

このほか、借り換え申込者の年収やその他の事項といったことも審査に加味されることを踏まえますと、借り換えを申し込んだ銀行などによって判定が大きく変わってしまうことが予測できます。

1-3.自宅の「担保評価額」が低いため

減額承認がされてしまう3つ目の原因として、自宅の「担保評価額」が低いためといった理由が考えられます。

住宅ローンの借り換えを検討されている方はすでにご存じの通り、住宅ローンの融資が実行になる前には、購入した土地や建物に対して金融機関が万が一の債務不履行の担保として1番抵当権の設定を融資条件としています。

そして、司法書士を通じて土地や建物に抵当権設定登記を行います。

仮に、住宅ローンの借り換えが無事行われることになったとしても、従来の抵当権を一旦抹消し、新たに融資を受けた金融機関が1番抵当権となるような抵当権設定登記が必要となります。

この時、住宅ローンの借り換え金額が「担保として設定した土地や建物以上である場合」は、住宅ローンの借り換えが断られる場合や減額承認となる場合があるのです。

土地や建物の担保価値というものは、お住いの都道府県をはじめ、築年数や戸建てかマンションか、などによって異なることになりますが、少なくとも物の築年数が浅い内に借り換えを行う」方が、担保価値を大きく減らさなくても済む可能性が極めて高いと考えられます。

2.住宅ローンの借り換えで、満額を借りるための対策

これまで、住宅ローンの借り換えにおいて減額承認がなされてしまう理由について3つほど解説をさせていただきました。

ここからは、住宅ローンの借り換えで満額を借りるための4つの対策について、それぞれ個別に解説を進めていきます。

2-1.返済負担率を下げるために、住宅ローン以外のローンを完済しておく

住宅ローンの借り換えを満額受けるためには、住宅ローンの借り換え後における返済負担率が、収入に対してできる限り低くなっていることが重要です。

実際に、住宅ローンの借り換えにおける年収と返済負担率の基準はそれぞれの金融機関で異なっていることから、一概に何%とは言い切れない部分もあります。

ただ、フラット35の例で見てみますと、余裕を持って「返済負担率が25%以下」になるようにしておきたいものです。

そのためには、現在抱えている住宅ローン以外のローンを完済しておくことが手っ取り早い方法ではありますが、完済がどうしても無理な場合は、キャッシングや割賦払いといった細かな返済を事前に完済しておくことが望ましいでしょう。

また、クレジットカードを不要に多く持っている場合は、ショッピングやキャッシングの枠が返済負担率に多大なる影響を与えてしまうことになります。

このことから、カードは必要最小限(1枚や2枚)に抑え、それ以外のカードは借り換え申し込みの前に解約しておく必要もあります。

後述する「夫婦の年収を合算して世帯収入で借り換えを申し込む場合」におきましても、前述した考えは同様です。

夫婦それぞれが保有している不要なクレジットカードは、解約して整理しておく必要があることもご留意下さい。

2-2.夫婦の収入を合算して、「世帯収入」で借り換えを申し込む

住宅ローンの借り換えを満額受けるためには、夫婦の収入を合算して「世帯収入」で借り換えを申し込む方法も効果的です。

住宅ローンの借り換えが「世帯収入」として認められるということは、前項で解説した返済負担率も大幅に低く抑えられる可能性が高くなります。

このほか返済が滞ってしまうリスク(デフォルトリスク)も軽減されることから、金融機関としては、ご希望の満額でお金を融資しやすくなる効果も期待できます。

ただし、夫婦の収入を合算して「世帯収入」で借り換えを申し込む際の重要な注意点として以下の項目があげられますので、あわせて押さえておくようにして下さい。

2-2-1.夫婦いずれかに個人信用情報の問題が生じている場合、夫婦合算は使えない

夫婦で収入を合算する場合は、夫婦それぞれの信用が健全であることが絶対条件として求められることになりますので、夫婦それぞれの「個人信用情報」にそれぞれ問題がないことが必要になります。

信用情報とは、クレジットやローンの契約や申し込みに関する情報のことで、客観的な取引事実を登録した個人の情報です。そして、この信用情報は、クレジット会社が顧客の「信用」を判断するための参考資料として利用されます。そのため、信用情報には人種や思想、保健医療、犯罪歴などの項目は、一切含まれません。

出典:CIC:信用情報についてより引用

つまり、夫婦それぞれ、もしくはいずれかが、クレジットや各種ローンにおける返済の遅延や懸念があった場合、信用が無い方に対して住宅ローンの融資が行われないことになります。

結果として、収入合算が出来なくなるといった仕組みになっています。

なお、個人信用情報は、あらかじめ「情報開示」をすることによってクレジットの契約内容や支払い状況等の信用情報を確認できることになっており、誰でも簡単に自分の情報を取得することが可能です。

住宅ローンの借り換え前には、クレジットや各種ローンの返済遅延を防止することはもちろんですが、すでに解説させていただきましたように、不要なクレジットカードの解約も同時に行っておくことが極めて大切です。

2-2-2.夫婦の収入をすべて合算できるとは限らない

住宅ローンの借り換えをする上で、夫婦の収入をすべて合算することができるとは限らない点も、注意しておかなければならないポイントになります。

たとえば、これから住宅ローンの借り換えの申し込みを行うからといって、「専業主婦だった配偶者が直ちにパートに出て働きに行く」といった滑り込みのような対応は認められないため注意が必要です。

そのため、住宅ローンの借り換えをする予定があり、かつ夫婦の収入合算を希望している場合は、夫婦それぞれの勤続年数が最低でも3年程度あることが望ましいとされます。

仮に、専業主婦だった配偶者のパート収入を合算したいのであれば、少なくとも半年の勤続年数が必要のところもあることから、あらかじめ事前対策として行っておくことが極めて重要になります。

また、金融機関によっては夫婦それぞれの収入が全額収入合算とできない場合もあるため、こちらは、ケース・バイ・ケースとなりますが、住宅ローンの借り換えをする金融機関に対して確認しておくことが望ましいでしょう。

2-3.銀行ごとに審査基準は違うため、複数の銀行へ借り換えを申し込む

住宅ローンの借り換えは、事前の対策や信用情報も含めて総合的に良い評価を得なければ融資が実行されないものになりますので、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」といったことは基本的に無いと思って下さい。

こちらの対策につきましては、あくまでも基本的な部分がしっかりとしていることが前提である上でのすべり止めとして参考までに紹介しておきますが、複数の銀行へ借り換えを申込みしすぎるのは、かえって逆効果になる場合がありますので要注意です。

2-4.「フラット35」で借り換えすることを検討する

住宅金融支援機構が取り扱っている長期固定金利の住宅ローン「フラット35」は、民間金融機関が取り扱っている独自の住宅ローンよりも比較的融資が受けやすいことは確かです。

仮に、所有している土地や建物の担保評価額が低いことによって減額承認を受けることになったとしても、フラット35では民間金融機関と異なり、担保評価が割れていたとしてもそれだけで減額承認されることはありません。

また、フラット35の審査金利(返済負担率などを計算する際に用いる審査専用の金利)は、民間金融機関よりも低く設定されていることから、収入に不安のある人でもより多くの金額を借りられる可能性が高いことになります。

ただし、フラット35は「固定金利」であることから、金利が高めであるデメリットがあります。

住宅ローンの借り換えをするにあたり、諸費用を含めた総合的な借り換え試算で確実に効果が得られるのかどうかを、あらかじめシミュレーションしておくことが重要です。

3.もし、減額承認を受けてしまった場合、担当者へ理由を聞いてみるのも一策

必ずしもそうではありませんと前置きしつつ、仮に、減額承認の結果が出てしまった場合は、担当者に対して「条件変更することで、満額を借りることができるのか?」聞いてみることも一策です。

通常、住宅ローンの審査結果について、その原因について答えることは一切ありませんが、借り換えの条件変更することで対応が可能な「惜しい」場合は、時として対応をしてくれる可能性も含んでいると考えられます。

こちらの内容は、あくまでも「おまけ」のような内容でありますので、これまで解説した内容を1つずつ確実に満たしているか確認しながら対策を取っておくことが重要であることは言うまでもないでしょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンの借り換え申し込みにおいて、減額承認される理由や満額で借り換えができるようにするための対策方法について詳しく解説を進めさせていただきました。

住宅ローンの借り換えは、住宅ローンを新規で借入するよりも「担保評価」が低くなってしまう分、難しくなってしまう場合もありますが、基本的には、住宅ローンを新規で申し込んだ時と同じような心持ちで臨むことが大切です。

借り換えする際も、頭金の有無・信用情報の健全性・健康状態・安定した収入など、基本的に重要な審査項目は新規で住宅ローンを申し込む場合と共通していることが多いです。

改めてこれから住宅ローンの借り換えを検討されている方は、それぞれの審査項目を1つずつ確認しながらしっかりと対策を練っておくことを強くおすすめ致します。

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