住宅ローンの借り換えを考えたとき、「どのタイミングで行えばよいのか?」を迷う方は多いです。
残金や金利の変動などによって金額が大きく変わるからです。
通常、住宅ローンの家計負担は、最も割合が高いことが一般的でしょう。この割合を低くする(返済金額を少なくする)ことができれば、毎月の家計のお金に余裕が生じることになります。
いわゆる「住宅ローンの借り換え」は、金融機関に支払う利息を軽減させられる効果があります。これを賢く活用することによって、元金と支払利息を合わせた総返済金額を減らせる効果があります。
しかし、住宅ローンの借り換えをするにあたっては、様々な条件を比較し詳細なシミュレーションをしなければ、かえって損をしてしまう危険性が含んでいることも忘れられません。
このようなことを踏まえまして、本記事では、住宅ローンを借り換えする際に最適なタイミングや金利の考え方などについて解説していきます。
目次
1.住宅ローンの借り換えはベストなタイミングはあるのか?
住宅ローンの借り換えにあたり、基本的なベストタイミングというものは「借り換え効果が得られることが分かったとき」と考えることが最も自然です。
そのため、たとえばマイナス金利のように低金利だからといって、住宅ローンの借り換えに適した時期といった考え方をするのは危険です。借り換えることで利益がなければ、無駄だからです。
そうではなく、「住宅ローンの借り換えをすることで得をすることができるのか?」を必死に考える必要があります。
まずは実際に借り換えのシミュレーションをする行動に移さなければ、借り換え効果の良し悪しが分からないといった意味になるからです。
多くの方にありがちなものとしては、「目に見える金利の低下を待つ」といったものがあります。
しかし、目に見える金利が低くなっただけでは、住宅ローンの借り換え効果が得られるわけではありません。そのため、自己が考えているベストタイミングを伺ってばかりいる人は、最終的に効果的な借り換えができないことに繋がります。
それでは、住宅ローンに適した借り換え時期やタイミングの考え方は、どのようにしたら良いのでしょうか。
1-1.住宅ローンに適した借り換え時期やタイミングの考え方
前述の通り、住宅ローンに適した借り換え時期やタイミングの考え方は、「借り換え効果が得られることが分かったとき」です。
具体的には、一般に住宅ローンの借り換え効果が得られると言われている目安は、以下の通りです。
- 住宅ローン残高:1,000万円以上
- 住宅ローン返済期間:残りが10年以上
- 住宅ローン金利差:1.0%以上
上記3つの目安にあてはまっている場合、あるいはそれに近いのであれば、住宅ローンの借り換え効果が得られる可能性が高くなると考えられます。
ただし、専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーへ相談することをおススメ致します。比較シミュレーションをしてもらう行動を起こすことで、将来の総返済金額に大きな差がつくこととなるでしょう。
1-2.住宅ローンの借り換え効果を簡単にシミュレーション
住宅ローンの借り換え目安について知ることができたところで、実際にどの程度の借り換え効果があるのか簡単にシミュレーションしてみます。
シミュレーション条件は以下の通りです。
借入金額 | 3,000万円 当初借入金額 | 2,400万円 10年後借り換え金額 | 住宅ローン残高 1,000万円以上 |
金利 | 2.5% | 1.5% | 金利差1% |
返済期間 | 35年 | 25年 | 返済期間10年以上 |
返済方法 | 元利均等返済 | 元利均等返済 | - |
ボーナ払い | 無し | 無し | - |
1ヶ月の返済金額 | 107,248円 | 95,984円 | - |
総返済金額 | 45,044,397円 | 28,795,415円 (41,665,175円) | 借り換え効果3,379,222円 (諸費用含まず) |
上記表は、以下の条件にて、10年後に住宅ローンの借り換えをしたイメージとなります。
- 当初、住宅ローンの借入:3,000万円
- 金利:2.5%
- 返済期間:35年
- ボーナス払い:無し
- 元利均等返済で返済し続けていた人
なお、41,665,175円は、借り換え前の10年間で支払った総返済金額12,869,760円と25年間で支払う28,795,415円の合計です。
- 住宅ローン残高:1,000万円以上
- 住宅ローン返済期間:残りが10年以上
- 住宅ローン金利差:1.0%以上
上記3つの条件にすべてあてはまっていると仮定してシミュレーションした結果、約338万円の借り換え効果があるという試算結果になりました。仮に住宅ローンの借り換え諸費用として100万円かかったとしても、「238万円の得」といったことになります。
ちなみに、住宅ローンの借り換え目安は、あくまでも参考目安です。そのため、実際の数字を見て計算しなければ、確実な効果を検証することはできません。
簡易な計算式で算出されるようなものではないため、ご注意ください。
2.住宅ローン借り換え検討の最適なタイミングは、他にあるのか?
住宅ローンの借り換えタイミングは、先に解説したような借り換えシミュレーションを行い、効果が得られると分かったときに行うことがベストなタイミングです。
あくまでも参考となりますが、以下で解説する場合は、借り換え効果が得られる可能性もあることから知っておいても損はないと思われます。
2-1.住宅ローン金利の上昇が予測される場合や上昇し始めたとき
変動金利や期間選択型固定金利のような低い金利を選んでいた場合、時として住宅ローン金利の上昇が予測される場合や、上昇し始めることがあると思います。
仮に金利が上昇し続けていったとすると、かえって早い内に固定金利に切り替えてしまった方が結果として多くのお金を支払わなくともすむのです 。
逆に、低い金利が続くようなことがあったとすれば、返済期間や返済金額をシミュレーションして、固定金利から変動金利などに切り替える方が得策と考えることもできます。
そのため、金利の動向に合わせた適切な判断が必要です。
2-2.独立・起業・転職などを行う前
住宅ローンの借り換えは、住宅ローンの新規申し込みと同様に「安定した収入があること」が求められます。
そのため、たとえば独立・起業・転職などをした後という状態は、住宅ローンの借り換えの可否に大きな影響を与えてしまう結果になります。
このような理由があることから、独立・起業・転職をする予定があるときは、将来の収入がしっかりと確保できるのかどうかを、シミュレーションした上でこれらの前に借り換えを行う必要があります。
ただし、非常にリスクの高い方法であるため、あまりおすすめできる方法とは言えません。
2-3.住宅ローンの返済が苦しくなってきたと感じたとき
仮に住宅ローンの返済が苦しくなってきたと感じたときは、住宅ローンの借り換えを検討してみる価値は十分あると考えられます。
特に、住宅ローンの金利が2%台や3%台で返済し続けている中年世代の方であれば、激的な効果が得られる可能性が高いと推測されます。
一方、低い金利で融資を受けている場合は、住宅ローンの借り換えでメリットを得ることはなかなか難しいと考えられます。返済金額が少ないため、それ以上に返す額を減らしづらいからです。
そのため、最初の借り入れが重要なポイントになると言えます。
3.住宅ローンの借り換えにおける多くの悩みを紹介
現在、住宅ローンの返済をしている方の中には、住宅ローンの借り換えで何かしらの不安や疑問をお持ちの方も多いと思います。
そこで本項では、専門家であるFPが住宅ローンの借り換えを希望されている世帯の皆さまで、質問の多い不安や疑問をピックアップして紹介します。
それに対する解説を加えて紹介していくため、ぜひ、参考にしてください。
3-1.そもそも、借り換え審査に通るのでしょうか?
住宅ローンの借り換え審査は、住宅ローンの新規借入の審査と基本的に同じだと思っておく必要があります。
つまり、住宅ローンの借り換え申し込み時における状況で、借り換えの可否が決定されることになるということです。
安定した収入はもちろんですが、健康状態や返済負担率、完済時年齢などの条件を総合的に満たしている必要があります。
国土交通省より公表される「民間住宅ローンの実態に関する調査報告書」を確認すると、その年によって重視している項目が異なる特徴があります。
ただし、重視されている項目の割合を踏まえますと、総合的にすべての項目で懸念がないことがポイントになると推測されます。
住宅ローンの借り換えは、通常、返済を継続していくらか年数が経過していることも多いでしょう。
ことから、「完済時年齢」や「健康状態」「借入時年齢」は、正に住宅ローンの借り換えを希望している中高齢者には、高いハードルになってしまう可能性も否めないでしょう。
あくまでも最終的な判断は、住宅ローンの借り換えを申し込んだ金融機関が決定することです。
確実なことは言い切れませんが、イメージ図に掲載されているそれぞれの項目を個々にしっかりと満たせているのであれば、問題がないと思われます。詳しく知りたい方は、以下のコンテンツを読んでおくことをおススメ致します。
3-2.金利が最も安い時っていつですか?
残念ながら、金利変動については誰も予測することができません。
そもそも、金利が最も安いときで住宅ローンの借り換えを判断するのではなく、現時点で「住宅ローンの借り換え効果が得られるのかどうか」を確認することがまずは必要です。
たしかに、金利が低いほど、住宅ローンの借り換え効果を得られる可能性は飛躍的に高まることは間違いありません。
しかし、変動金利や固定金利、期間選択型固定金利など、それぞれの金利の特徴やメリットおよびデメリットを理解した上で、意思決定する必要があります。
あわせて、住宅ローン借り換え後から完済までの返済が、引き続き滞ることなく行っていける返済計画を立てることも大切だと言えます。
3-3.手続きが面倒なのではないでしょうか?
先に解説した通り、住宅ローンの借り換えは、新規の申し込みと基本的に同じです。
そのため、手続きも面倒であることはたしかです。
時間や住宅ローンの借り換え諸費用もかかることになるため、自分たちにとって「住宅ローンの借り換え効果」が面倒な手続きを行ってでも有利であることを、十分に確認した上で行わなくてはなりません。
なお、住宅ローンの借り換え手続きにおいて最も避けなければならないことがあります。
それは、あなたの判断で住宅ローンの借り換えをしたことによって、かえって、無駄なお金が増加し返済金額も増加してしまうことです。
面倒な手続きに時間を取られてしまったあげく、無駄なお金と返済負担が増加する構図が、一般の方であれば知らずしらずの内に簡単に陥っている可能性もあるわけです。
3-4.住宅ローンの借り換えにおける注意点を教えてください
住宅ローンの借り換えの前は、できる限り「個人信用情報」を確認しておきたいものです。
よく聞く、「ブラックリスト」に載っているかどうかを確認するためのものであり、仮に「異動」の文字があれば借り換えは100%できません。

個人信用情報は、誰でも簡単に取得することができます。「異動」という状況が、いわゆるブラックリストに載ったといったことになります。
先に解説させていただきましたように、住宅ローンの借り換え審査では、「完済時年齢」や「健康状態」、「借入時年齢」などが考慮されます。
しかし、「異動」のレッテルが張られた時点で「信用が無い人」ということになり、ローン全般はすべて組むことができません。
常日頃から、お金の返済や支払いは気を配っておきたいものです。
4.参考:住宅ローンの借り換えは何度でも申し込みができる
こちらは余談となりますが、住宅ローンの借り換えの申し込みに制限はありません。そのため、何度でも行うことが可能です。
ただし、借り換えの申し込みと可否は全くの別問題であるため、数を打ったらあたるものではないことはしっかりと理解しておきたいものです。
住宅ローンの借り換えのキーポイントとして、年齢や健康があげられることを調査結果から踏まえますと、できるだけ健康で早い内に行うのが得策だと言えるでしょう。
まとめ
住宅ローンの借り換え検討のタイミングや金利の考え方をはじめ、重要なポイントがご理解することができたのではないでしょうか。
住宅ローンの借り換えは、シミュレーションして比較検討することのほか、「どの程度の借り換え効果が得られるのか」を、確実に把握することが求められます。
そのため、できる限り、直接金融機関へ相談したり自分でシミュレーションする前に、中立な立場で公平なFPや住宅ローンアドバイザーへ相談してみることが得策だと考えます。
本記事のほか、住宅ローンの借り換えの費用や時期について詳しく解説している記事もあるため、あわせて確認しておくことをおススメ致します。