住宅ローン変動金利のリスクや推移をまとめた5つのルール

住宅ローンを検討している方の多くは、変動金利と固定金利という2種類の金利があることをすでにご存じだと思います。さらに付け加えますと、変動金利は「金利が低い」といったメリットを、すでに理解しているのではないでしょうか。

ただ、これだけの知識では不十分です。変動金利は固定金利に比べて知っておかなければならないデメリットが実にたくさん存在しており、安易に変動金利を選択してしまうことは大変危険です。

そこで、本記事では変動金利のみに特化することで、絶対に学ばなければならない5つのルールを詳しく解説していきます。これを読み終えることで、住宅ローン最大の悩みともいえる金利選びを正しく判断できるようになります。

目次

1.変動金利とは

変動金利のイメージ

変動金利とは、上記図の「肌色の部分」のように、時の経過と共に金利が上下変動するものをいいます。冒頭で述べた通り、変動金利の最大のメリットは金利が安いことですが、それに伴いデメリットも存在します。

この上下変動によって生じる変動金利のメリットとデメリットは以下の通りです。

1-1.変動金利のメリット

まず、変動金利のメリットを紹介します。住宅ローンの借り入れで変動金利を選ぶ際に、確実に抑えておきたい内容です。

1-1-1.住宅ローンを早く返済できる「可能性」がある

変動金利のイメージ

変動金利は、「金利の低さ」が最大の魅力です。

もし、経済情勢に大きな変化が見られず、低い金利水準のまま時が経過した場合、上記図の「青色部分」である元金分が多く返済されることとなり、結果として住宅ローンを早く返済できることになります。

ただし、「あくまでも金利の低い状態が長い期間続くといったことが前提」とななるため、「可能性」に留めなければならない部分には注意が必要です。

1-1-2.金利が低い

ここまで何度も説明している通り、変動金利は金利が低いといった特徴があり、代表的な固定金利に比べてもその金利差は大きいものがあります。

1-2.変動金利のデメリット

次に、変動金利のデメリットについても触れていきます。これはメリットよりもはるかに重要な内容になるため、金利選択で悩まれているのであれば、熟読するようにしましょう。

1-2-1.金利の上昇変動で支払額が増える

変動金利を選んだ場合、世の中の経済情勢の変化によって住宅ローンの金利も常に変動します。そのため、金利が上昇した場合、5年ごとの一定周期で返済金額が増えてしまうことがあります。

たとえば、借入時の金利が1%であったとしても、その後金利が上がる可能性があります。

ただし、すぐにその金利が適用されるわけではなく、5年間は一定です。そして、借り入れから5年経過した後、見直しが行われて、返済金額が増えたり減ったりします。

つまり、金利の変動は誰にも予測できるものではないため、5年ごとに支払金額が高くなっていくリスクがあるということです。

1-2-2.金利が上昇すると、元金の返済割合が減る

変動金利のイメージ

上記図の解説のとおり、途中で金利がアップすると、返済額のうち利息分の割合が大きくなります。金利が上がり過ぎてしまうと、毎月の返済のほとんどが金利になってしまう可能性があります。

たとえば、住宅ローンを月々8万円返済していれば、元金は確実に減っていると思うのが普通です。しかし、金利が上昇すると、実際は利息のみを支払っていることになり、元金は一向に少なくならないという大きなリスクがあります。

そのため、毎月一定金額を返済していたとしても、内部では元金よりも利息の方を多く支払っているといった厳しい現実を知ることもあります。

1-2-3.資金計画が立てづらい

先に解説したように、変動金利は5年ごとの一定周期で返済金額が見直されるといった特徴があります。

そのため、仮に金利が上昇した場合、毎月の返済金額が増加することになります。その結果、資金計画や返済計画が立てづらい原因になります。

2.2つの金利と5種の金利を理解する

金利には、代表的な「変動金利」と「固定金利」の2つの種類があります。

ここで解説する金利は、金融機関が住宅ローンを融資する際に関係する「5種の金利」について解説していきます。それぞれの金利の特徴を理解することで、あなたが住宅ローンを選ぶ際に、有利に融資してもらえることにつながります。

2-1.店頭金利(基準金利・表面金利)とは

店頭金利とは、金融機関がそれぞれ独自に設定している金利のことを指します。また、「基準金利」や「表面金利」などとも呼ばれますが、意味はまったく一緒です。

それぞれの金融機関によってこれらの金利は異なるため、いわゆる「金融機関の売り(強み)」と考えて差し支えないでしょう。

2-2.適用金利(優遇金利)とは

適用金利とは、金融機関が設定しているさまざまな条件をクリアすることで受けられる「金利の割引」のことをいいます。適用金利は、別に「優遇金利」とも呼ばれます。

たとえば、店頭金利が2.0%で適用金利(優遇金利)が1.5%であった場合、実際に適用される金利は0.5%といったイメージになります。こちらも前述した店頭金利と同様に、金融機関によって金利が異なるため、「金融機関の売り」と考えるべきです。

2-3.金融機関のホームページなどで公開している金利とは

金融機関の店頭やホームページで公開されている金利は、「2-1.店頭金利(基準金利・表面金利)」で解説した金利になります。つまり、店頭金利 = 基準金利 = 表面金利ということです。

2-3-1.適用金利(優遇金利)を上手に活用する

実際の金利を低くするには、金融機関が定めている適用金利(優遇金利)を上手に活用することが重要です。これには、返済条件や借入金額、資産状況など金融機関それぞれによって条件が異なります。

そのため、いかにあなたにとってより優遇される金融機関が見つけられるかが、1つの重要なポイントになるといえるでしょう。

3.金利の見直しについて

変動金利の見直しには、さまざまなルールが定められています。そこで、変動金利を選択する前に絶対に理解しておかなければならない重要な部分を、以下で図解を交えて解説していきます。

3-1.金利の見直しは半年に1回行われる

金利見直しのイメージ

変動金利の見直しは、半年に1回行われる仕組みになっています。具体的には、毎年4月と10月の半年に1回ずつ金利が見直されます。そして、見直された金利は、7月と翌年1月より実行されます。金利の見直しイメージは以下の図のとおりです。

返済月金利実行金利
1月1.0%1.0%
2月1.0%1.0%
3月1.0%1.0%
4月1.2%1.0%
5月1.2%1.0%
6月1.2%1.0%
7月1.2%1.2%
8月1.2%1.2%
9月1.2%1.2%
10月1.1%1.2%
11月1.1%1.2%
12月1.1%1.2%
翌年1月1.1%1.1%

3-2.返済金額の見直しは5年に一度

変動金利のデメリットである、「1-2-3.資金計画が立てづらい」でも解説しましたように、変動金利を選択した場合、返済金額の見直しは5年に一度の周期で行われます。

たとえば、住宅ローンを35年で返済する場合、5年おきに見直しが行われ、計6回の返済金額の見直しがあるということです。

3-2-2.金利の変動に応じて利息と元金の割合が内部変動する

前述の通り、変動金利の返済額は5年間一定です。ただし、毎回の返済額が同じであるのにもかかわらず、下記図の「肌色部分(利息分)」と「青色部分(元金分)」のように、金利の変動に応じて利息と元金の割合が内部変動しています。

変動金利の5年ルール

最悪の場合、金利が急激に上がってしまうと、毎月の支払は利息のみになってしまいます。また、利息が返済金額を超過してしまうと、「未払い利息」と呼ばれるものが発生します。これについては、以下の「3-4.金利の上昇により、未払い利息が発生することがある」で解説していきます。

これが、変動金利の大きな落とし穴(罠)になるのです。

3-3.返済額の増加は最大で1.25倍まで

変動金利を選択した場合、5年ごとの周期で返済金額が変化することになります。

そのため、仮に金利が上昇して返済金額が増加したとしても、増減上限が決められています。上昇した金利に合わせて返済金額を一気に上げてしまうと、返済が滞ってしまったり、生活に支障が出たりしてしまう恐れがあるためです。

そのため、変動金利の返済額の増加は、「最大で1.25倍まで」と定められています。

たとえば、月々8万円の返済をしていた場合、5年後の返済額の見直しは、最大で10万円までとなり、「それを超えて上昇することはない」といったことになります。

ただし、さらに5年後の見直しで、支払金額がさらに1.25倍になる可能性は十分にあります。

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3-4.金利の上昇により、未払い利息が発生することがある

借り入れ当初は低金利で住宅ローンを組めたとしても、経済情勢によって金利が急激に上昇した場合、下記図のオレンジ箇所のように、返済したすべての金額が利息になってしまうといった「寝耳に水」の事態もあり得ます。

未払い金利のイメージ

さらに、上記図の「赤色」箇所のように、「未払い利息」といった、後に支払わなければならない利息まで生じる危険性が変動金利にはあります。

このような事態に万が一、陥ってしまった場合、「元金」が返済されず「利息」ばかり支払っていることになるため、ローンがいつまで経っても減少しないといった状況になってしまいます。

3-5.変動金利から固定金利への変更は難しい

変動金利を選択して住宅ローンを支払い始めた後でも、途中から固定金利に変更することができます。

しかしながら、固定金利に金利を変更するということは、月々の返済額が大きく増加することになるため、実際問題として「相当な抵抗」を感じると予測されます。固定金利は変動金利よりも毎月の返済金額が高いからです。

そのため、住宅ローンを組む前に、変動金利・固定金利のどちらの金利を選択するかが大きなポイントになることはいうまでもないでしょう。

4.住宅ローンシミュレーションを活用する

借り入れを実行する前に、住宅ローンの返済が月々どのくらいになるのかを知っておくことは大切です。そのためには、住宅ローンシミュレーターなどで概算計算を行う必要があります。

おおよその借入金額や金利、返済年数といった必要事項を入力することで、返済金額を知ることができます。「いくらまでなら返済できるか」、「現在いくらくらいまで借りられるのか」といった基本情報を確認しておくのに効果的です。

ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、「いくら借り入れできるのか」ではなく、「いくらなら返していけるのか」を考える必要があるのは言うまでもありません。

住宅ローンのシミュレーションは、「住宅保証機構株式会社の住宅ローンシミュレーション」のページで行うことができます。以下では、住宅ローンシミュレーションをする際のポイントを一つずつ解説していきます。

4-1.金利が変わらない場合をシミュレーションする

変動金利を選択した場合、「金利が変わらない」といったことはあり得ませんが、極端な金利変動がないものとしたシミュレーションは行ってみてもよいかもしれません。

あくまでも一つの候補としてではありますが、知らないよりは知っておくべきです。

4-2.金利が大幅に上がった場合のシミュレーションをする

シミュレーションすることで、月々の返済金額を知ることができます。その金額に1.25倍したものが、返済額の上限になるのは先に述べた通りです。

そこで、仮にその金額になってしまった場合に、返済していけるかどうかを確認しましょう。

たとえば、毎月の返済金額を8万円で考えている場合、5年後の見直しで10万円になったと仮定します。変動金利は常に支払金額が変わるリスクがあるため、しっかりとシミュレーションをすることが大切です。

もし、「返済が厳しい」と感じるのであれば、資金計画を見直す必要があります。

4-3.借入したい金融機関を絞り込む

住宅ローンの比較サイトなどで、希望の条件にあった金融機関を選ぶことは大切です。

ただし、手当りしだい金融機関に対して審査を申し込むのは避けなければなりません。仮審査や本審査に通らなかった履歴が数か月間残ることがあるからです。

これがあると、「何か信用情報に問題があるのではないか」といった懸念を持たれかねないため、じっくり比較検討し最も良いと感じた金融機関へ申し込むべきでしょう。

5.変動金利を選択する人には「向き」「不向き」がある

ここまで、変動金利のメリット・デメリットの両方について触れてきました。それのことを考慮すると、変動金利は誰にでも適している金利ではないことを理解できるはずです。変動金利のデメリットが与える影響が、あまりにも大きいからです。

そこで、失敗しない変動金利選びを避けるためにも、ここでは変動金利に「向いている方」と「向いていない方」について解説していきます。

5-1.変動金利に向いている方

大きなデメリットがある変動金利ですが、人によっては固定金利よりもこの金利の方が向いている方もいます。もし、あなたが以下の項目に当てはまる場合、変動金利を選択しても良いかもしれません。

5-1-1.返済金額が変わっても対応できる方

「3-2.返済金額の見直しは5年に一度」の項で述べた通り、変動金利を選択した場合、5年ごとの周期で返済金額が変化します。

このとき、金利が低くなったことによって返済金額が少なくなる場合には問題がありませんが、逆に金利が上昇して返済金額が多くなってしまう可能性があります。

もし、金利が大きく上がったときの返済金額に対応できるのであれば、変動金利に向いている方だと言えます。デメリットがある変動金利であっても、柔軟に対応できれば得られる利益は大きいからです。

5-1-2.手持資金に余裕のある方

こちらも前述した解説に近い内容ですが、貯金や収入が多いなど、手持資金に余裕がある方の場合、金利が上昇して返済金額が変わったとしても対応できることにつながります。これに当てはまる人もまた、変動金利に向いていると考えられます。

また、金利が低いまま推移した場合においては、手持資金をまとめて返済に充てることも可能です。結果として、早くローン返済ができることにもなると考えることができます。

資金力があれば繰り上げ返済できるため、これを有効に使えば最低限の金利の支払いかつ、最短で住宅ローンを完済することができます。

なお、繰り上げ返済については、「住宅ローンを賢く返済する秘訣:繰り上げ返済6つのポイント」にて分かりやすく解説しているため、こちらにも目を通しておきましょう。

5-1-3.借入金額が少なく、返済期間が短い方

そもそもの借入金額が少なかったり、返済期間が短かったりする場合、金利の変動リスクを極端に受けにくいと考えることができます。つまり、低い金利で返済額が少なく抑えられる可能性が高まるということです。

そのため、この内容に当てはまる住宅ローンを組む方であれば、変動金利が向いているといってよいでしょう。

5-2.変動金利に向いていない人

次に、変動金利に向いていない人について解説をしていきます。

もし、以下の内容に当てはまる場合、今一度、資金計画を練り直したり、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談したりすることをお勧めします。

5-2-1.手持資金に余裕のない方

手持資金に余裕がない場合、金利変動の危険性と返済額の増加に耐えられる可能性が低くなると考えられます。返済が滞ってしまう危険性や、生活が苦しくなると考えられる場合には変動金利を選択しないようにするべきでしょう。

5-2-2.返済金額が変わらないことを望んでいる方

変動金利を選択した場合、5年ごとに返済金額が見直されることになります。もし、「常に同じ金額を返済したい」と考えている方の場合、変動金利を選択しないようにするべきでしょう。

金利が上がらなければ良いですが、急激に上がった場合、確実に返済できなくなってしまいます。

また、「固定金利だと金利が高くて支払いが厳しいが、変動金利であれば返済できる」という考えは非常に危険です。前述の通り、金利が上がらなければ問題ありませんが、この保証はどこにもありません。

そのため、無理に住宅ローンを組む前に、資金計画を見直すことをお勧めします。無謀な借り入れをする前に、「住宅ローンとは:金利や返済、融資先まで理解する9つの極意」を読み、冷静な判断をしてください。

5-2-3.収入が大きく上がる見込みのない方

毎年の給与のベースアップが小さい場合や、収入が大きく上がる見込みのない人は、変動金利をできる限り避けるべきだと思われます。変動金利を選択する場合、特に先を見越した考えは厳禁です。もし、以下のような安易な考えを持っているのであれば、住宅ローンで苦しむ可能性が高いです。

  • 〇〇年後に給料があがる
  • △△年後は昇進するから
  • ☐☐年後は賞与があがる

このような考えは、あくまでも憶測にしかすぎないため、仮に先を見越したとおりにならなかった場合のことを考える必要があります。つまり「現在、返済していけるのか?」といったことを常に考える必要があるのです。

そのため、最後まで支払い金額が一定になる固定金利も視野に入れて、冷静な判断をするように心がけましょう。これについては、「図解で分かる!住宅ローンで悩む固定金利と変動金利の選び方」が参考になります。

まとめ

本記事では、変動金利を選ぶ前に絶対に学ばなければいけない5つのルールを解説しました。以下へ5つのルールを再度まとめて紹介していきます。

  1. 変動金利のメリット・デメリットをしっかりと把握しておく
  2. 「店頭金利=基準金利=表面金利」および「適用金利=優遇金利」の関係を理解する
  3. 変動金利は金利と返済額が変化するのを理解する
  4. 変動金利で住宅ローンのシミュレーションをしておく
  5. 変動金利が自分にとって「向き」か「不向き」なのかを把握しておく

一般的に、「住宅ローンの返済額は、少しでも安く抑えたい」と考えるのが一般的です。そのため、つい変動金利の利率で住宅購入を検討してしまいがちですが、変動金利に隠されている大きなデメリットや団体信用生命保険の上乗せ金利などを考慮しないことは大変危険です。

本記事の中でも、特に「5.変動金利を選択する人には「向き」「不向き」がある」を再度確認していただき、自分はどうなのか考えてみることをおすすめします。

もし、このページを一読した上で、内容に不安を持たなかった人であれば、「変動金利を選んで問題のない人」であると言い切ってよいと考えます。

住宅ローンは、「借入金額」「金利」「返済期間」「返済方法」など、いずれか1つが変化するだけで金額がまったく異なってきます。そして、個々によって最適な条件は変わってくるため、「これ」といった1つの答えに絞り込むことができない難しさが住宅ローン選びにはあります。

このように考えたとき、大きなお金が関係することを踏まえ、専門家であるFPへ報酬を支払ってでも最適な条件をプランニングしてもらう方法も効果的だと考えられます。

FPについては、「現役FPが解説!FPへ相談する前に抑えておきたい4つのこと」を確認することで、いかに専門家に相談することが重要なのかを理解できるはずです。

目先のお金に捉われずに、将来のお金を考える広い視野を持つことができれば、結果として住宅ローンにおける返済金額を抑えることに繋がります。この記事を読み終えることで、あなたにとって安全で余裕のある住宅購入のヒントになれば幸いです。