住宅ローン長期固定金利のフラット35は30年、35年どちらが得?

長期固定金利で有名なフラット35で借り入れを行う際、返済期間を35年にしたら良いのか、もう少し短く(30年)設定したら良いのか、悩むところですよね。

しかし、住宅ローンは借り入れ期間で考えるのではなく、「完済まで無理なく返していける金額であるのか?」を最優先に考える必要があります。返済ができなくなれば、家を失うことになってしまうからです。

ただ、初めて住宅ローンを借入する人にとって、長期固定金利の30年と35年の具体的な差がわからないはずです。

そこで本記事では、実際に頭を悩ませている方の疑問や質問を例に対策方法や考え方について解説させていただきます。専門家であるFP監修の下、要点を詳しく紹介していきたいと思います。

1.全期間固定金利(長期間固定金利)とは

全期間固定金利のイメージ

全期間固定金利とは、住宅ローンの借入当初から完済までの金利が変わらない特徴を持っている金利になります。

よく聞く「フラット35」は、全期間固定金利にあたります。

1-1.フラット35であっても、30年固定金利で借入可能

フラット35の借入期間は、最短で15年間、最長で35年間となっています。そのため、必ずしも返済期間が35年に固定されているわけではありません。

15年(ただし、お申込みご本人または連帯債務者の年齢が満60歳以上の場合は10年)以上で、かつ、次の1または2のいずれか短い年数(1年単位)が上限となります。

  1. 「80歳」-「お申込時の年齢(1歳未満切上げ)」
    ※年収の50%を超えて合算した収入合算者がいる場合には、お申込みご本人と収入合算者のうちいずれか、年齢の高い方を基準とします。
    ※親子リレー返済を利用される場合は、後継者の方が収入合算者となるかどうかにかかわらず、後継者の方の年齢を基準とします。
  2. 35年

フラット35:【フラット35】のご利用条件より引用

フラット35のご利用条件から、内容を簡単にまとめます。

返済期間が15年から35年の間であれば、ご自身の住宅ローンの返済計画やライフプランに合わせて、最適な返済期間を選択して申し込むことが可能です。

1-2.期間選択型固定金利との違い

期間選択型固定金利のイメージ

期間選択型固定金利とは、借入当初に選んだ固定金利期間中、金利が変わらないといった特徴を持った金利になります。

そして、選択した固定金利期間が終了した後に再度、変動金利か固定金利を選ぶといった特徴を持った金利になります。

たとえば、当初10年の固定金利を選択した場合、10年間は固定金利で返済をします。期間が終わった10年後に、変動金利か固定金利を選びなおすイメージです。

期間終了後の経済情勢によって、有利な金利を選択できるメリットがあります。

しかし、当初の優遇金利が適用されないことによる返済金額の増加が生じる懸念がデメリットとしてあげられます。

詳しく知りたい場合、以下のコンテンツもあわせて読んでおきましょう。

住宅ローンの3年・5年などから選ぶ当初固定金利期間選択型とは

2017.06.05

1-3.変動金利との違い

変動金利のイメージ

変動金利とは、金利の変動によって返済する「元金分」と支払う「利息分」が上下変動するものをいいます。

変動金利の主な特徴としては、金利が低いほか、金利の上昇は最大で1.25倍までといった「125%ルール=1.25倍ルール」や返済額は5年間変わらない「5年ルール」といったものがあります。

変動金利のメリットやデメリットおよび特徴に関しましては、同サイト内の以下の記事で詳しく解説しているため、そちらを参考にされることをおすすめ致します。

住宅ローン変動金利のリスクや推移をまとめた5つのルール

2016.04.29

2.全期間固定金利住宅ローンのメリット

全期間固定金利の住宅ローンは、安定したローンの返済を求めている方向けと言えます。

ここでは、主なメリットとして以下、2つのメリットについて紹介していきます。

2-1.完済するまで、返済金額が大きくなるリスクがない

全期間固定金利住宅ローンの1つ目のメリットは、「完済するまで、返済金額が大きくなるリスクがない」ことがあげられます。

完済まで金利が変わらないということは、「確実に元金が減っていく」こととイコールです

また、元利均等返済、元金均等返済のどちらの返済方法を選んだとしても、毎月返済する金額が大きくなるリスクがないため、気持ちやお金に余裕を持つことができます。

さらに、金融機関等に支払う利息も確実に少しずつ減っていく効果も認められます。

2-2.総返済金額が確定するため、ライフプランの設計が立てやすい

全期間固定金利住宅ローンの2つ目のメリットは、「総返済金額が確定するため、ライフプランの設計が立てやすい」ことがあげられます。

なお、総返済金額とは、完済までに返済する元金と支払利息の総額のことを言います。

全期間固定金利の住宅ローンは、借入金額や金利、返済期間、返済方法といった「借入条件」が決まることで、完済までの総返済金額が確定します。そのため、将来のライフプランの設計や住宅ローンの返済計画が立てやすいメリットが得られます。

3.全期間固定金利住宅ローンのデメリット

次に、全期間固定金利のデメリットにも触れておきます。

全期間固定金利住宅ローンのデメリットは、変動金利や期間選択型固定金利など、他の金利に比べて利率(金利)が最も高いことがあげられます。

そのため、仮に完済までの長期間に渡って金利の上昇がなかったとした場合、元金と支払利息を合わせた総返済金額が最も高くなってしまいます。

ただ、金利の動向は誰にも予測はできないため、じっくりと考えるポイントであるといえます。

4.長期固定金利の30年ローンと35年ローンを検討する際の考え方

住宅ローンの返済期間は、長い程、月々の返済金額が少なくてすむ特徴があります。

その一方で、総返済金額が多くなってしまうといった特徴も併せ持っています。借り入れ期間が長くなる分、金利が上乗せされるからです。

本項では、これから住宅購入をフラット35で検討されている方の質問内容を参考に、長期固定金利の30年ローンと35年ローンを検討する際の考え方について紹介していきます。

今回は、ヤフー知恵袋:30年ローンと35年ローンにあった質問に対して、答えていきます。

来春、新築します。主人年収480万、借入2200~2300万、フラット35を予定しています。

主人が現在31歳なので、30年ローンで考えています。特に銀行などで相談したわけではありません(まだ変更の可能性あり)将来的に、繰り上げ返済を予定しています。

私の周りでは、ご主人が30歳を超えた方でも35年ローンをされている方がほとんどです。

つまり、定年しても払い続けるか、繰上げ返済の見込みがあるか、退職金で一気に支払ってしまうかを見込んでのことだと思います。

しかし、35年ローンだと月々の返済額が30年ローンに比べて数千円おさえられても、総支払金額が30年と35年では500万以上も違ってきます(シュミレーションで計算しました)。30年ローン・35年ローン、それぞれのメリットとデメリットを教えてください。

ヤフー知恵袋:30年ローンと35年ローンより引用

上記質問から、長期固定金利の30年ローンと35年ローンを検討する際のそれぞれの考え方について以下、総括していきます。

4-1.定年前に、できるだけ早く返済したい場合、30年ローンの方が良いのか?

住宅ローンをできるだけ早く返済したいと思うのは、住宅ローンを組んでいるすべての人に共通する想いです。

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しかし、その想いと返済期間を短く設定することとは、また別の問題と考える必要があります。借り入れ期間が短くなるということは、その分毎月の支払金額が大きくなり、負担になるからです。

通常、住宅ローンの返済期間は、縮めることはできますが、延ばすことはほぼ不可能です。

そのため、不測の事態に備えた対策として、「返済期間は長めに設定することが望ましい」と考えられます。

4-1-1.返済期間を縮めることはできるが、延ばすことはほぼ不可能

当初設定した住宅ローンの返済期間は、「4-1-2繰上げ返済を行えば、返済期間を縮めるのは簡単」で後述する「繰上げ返済」を利用することで縮めることはできます。

しかし、返済期間を延ばすことは実質不可能です。

ただし、フラット35では以下のような理由があれば、返済方法を変更することができる場合もあります。

  • 経済事情や病気等で収入が減少し、返済が大変になった場合
  • しばらくの間、返済額を減らして返済したい場合
  • ボーナス返済が負担になっている場合

このときの変更手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 返済方法変更メニューの中から、自分に合うタイプを検討する
  2. 返済中の金融機関(融資のお申込み先の金融機関)に変更手続きについて相談する
  3. 返済中の金融機関に返済方法変更申請をする
  4. 適用が可能かどうかの審査がなされる
  5. 変更適用が可能である場合は、返済方法変更の契約を結ぶ

参考:フラット35月々の返済でお困りになったときは

なお、住宅ローンの返済条件が変更されることを「リスケジュール」と言います。

リスケジュールを適用した場合、「返済するための約束がしっかりと守られなかった」ということでマイナス評」になります。

通常、リスケジュールを行うことによって、他のローンを組むことができなくなる可能性が極めて高くなります。

そのため、慎重に判断し意思決定することは言うまでもないほか、厳しいと少しでも感じた場合、早めに専門家であるFPへ相談し対策を練ってもらうべきでしょう。

最初から、銀行へ相談に行くことは、できる限り避けることを強くおすすめ致します。

4-1-2繰上げ返済を行えば、返済期間を縮めるのは簡単

仮に最長35年の住宅ローンを組んだ場合であっても、住宅ローンをできるだけ早く返済する方法はあります。

具体的な対策方法として、「繰上げ返済」を行うことで返済期間を縮めることが簡単に可能となります。フラット35の場合、繰上げ返済にかかる手数料は無料です。

ただし、「100万円からでなければ繰上げ返済を行うことができない」といった独特の特徴があります。

この繰上げ返済を行うことで、「返済期間を縮める」か「返済金額を少なくする」ことができ、ます。その時々の希望に沿った効果を得ることができるため、そもそも当初、住宅ローンの融資を受ける際の返済期間を無理に縮めて設定する必要がないのです。

繰り上げ返済を上手に活用すれば、余裕ができたときに一気に返済することもできます。そのため、まずは長く借りて、無理なく返せるときに繰上げ返済をする方法もあります。

繰上げ返済の詳細を知りたい場合、以下の記事を参考にしてください。

住宅ローンを賢く返済する繰り上げ返済の適切なタイミングとは

2016.04.12

4-2.30年ローンの方が総返済金額は少ないが、対策次第で大差はない

住宅ローンを30年で返済する場合と35年で返済するパターンでは、当然に長く返済する35年の方が総返済金額は多くなります。もちろん、元利均等返済なのか元金均等返済なのかといった返済方法による違いもあります。

たとえば、住宅ローンを2,300万円で借入し固定金利1.5%、元利均等返済で返済期間が30年で返済した場合と35年で返済した場合を比較してみましょう。以下の通りです。

総返済金額の違い 借入金額2,300万円 固定金利1.5%

返済方法
返済期間
30年返済35年返済差額
元利均等返済28,575,720円29,577,240円1,001,520円
元金均等返済28,189,200円29,051,670円862,470円
差額386,520円525,570円139,050円

ご覧の通り、30年と35年の総返済金額の差額は、1,001,520円といった見方になります。

ここで、もう一度「4.長期固定金利の30年ローンと35年ローンを検討する際の考え方」における質問者の内容を確認してみます。

35年ローンだと月々の返済額が30年ローンに比べて数千円おさえられても、総支払金額が30年と35年では500万以上も違ってきます(シュミレーションで計算しました)

ヤフー知恵袋:30年ローンと35年ローンより引用

計算過程が記述されていないため不明ですが、「総支払金額 = 総返済金額」が「一般の方が独自でシミュレーションしたもの」と「FPがシミュレーションしたもの」で、なぜこのような違いが生じるのでしょうか。

おそらく、原因としては以下のようなものが考えられます。

  • シミュレーターに不具合が生じている
  • 同条件でシミュレーションしていない
  • シミュレーションする人の知識不足・入力ミス

100万円の違いなのか、あるいは500万円の違いなのかは、ミスで済まされるべき問題ではありません。

返済期間が30年と35年では、5年間という比較的短い期間しか変わりません。そのため、実質、500万円もの差が生じることはありえないのです。

結論を申し上げますと、先に紹介・解説した繰上げ返済を賢く利用することで、「5年間の差」による利息軽減は十分に図ることができます。

そのため、対策次第で大差がないと捉えることが無難です。

5.長期固定金利で住宅ローンを組む場合、30年、35年どちらを選ぶべき?

結論から申し上げますと、長期固定金利で住宅ローンを組む場合、迷わずに「35年返済」を選ぶべきです。

なぜなら、無理のない返済ができる上に、余裕があれば繰越返済をして返済期間を短くできるからです。繰上げ返済は、そもそも利息の軽減効果が得られる対策です。

そのため、計画的にお金を貯めて繰上げ返済を賢く利用することで、総返済金額は返済期間を30年で組んだ時よりも少なくさせることが十分可能です。

住宅ローンの返済を考える上で最も大切なことは、金利や支払総額といった目に見えることではありません。「完済まで無理なく返していける金額であるのか?」といったことです。

これを「返済可能額」といい、収入や支出をはじめ家族構成や職業などの状況によって返済可能額はすべて異なります。詳細を知りたい場合、以下の記事をあわせて読んでおきましょう。

住宅ローンの毎月々の返済金額平均と年収に見合う返済負担率とは

2017.02.22

金融機関や不動産業者の住宅ローンシミュレーションは、返済可能額ではなく、「借入可能額」から算出されています。そのため、安全でかつ確実な住宅ローンの返済シミュレーションとは言えません。

一般の方が、個人でやるシミュレーションであれば尚更です。

まとめ

本記事では、実際に頭を悩ませている方の疑問や質問を例に対策方法や考え方について専門家であるFP監修の下、要点を詳しく紹介、解説させていただきました。

一般の方が独自でシミュレーションを実行して大きな誤りをしているのを目の当たりにしたことで、個人で判断するのではなく「やはり専門家へ依頼するべきだな」と感じられた方も多かったのではないでしょうか。

このように感じられた方は、賢明な判断をされた方だと評価できます。

しかし、自分の誤りに気が付くことができない方は、大変危険であることも合わせてご理解できたと思います。

先に述べた通り、住宅ローンの返済を考える上で最も大切なことは、金利や支払総額といった目に見えることではなく、「完済まで無理なく返していける金額であるのか?」です。

おそらく、個人でシミュレーションされる方は、ご自身の「返済可能額」を導き出すことはできないと思われます。

それは、先の例のように、ご自身の誤りに気が付くことができないからです。

また、FPに支払う数万円の報酬を節約して、「誤った考えのまま組む住宅ローン」と「正しい判断の下、組む住宅ローン」のどちらがご自身にとって得策なのか言うまでもありません。

失敗しない住宅ローンを組んで、ロスのない安全かつ余裕を持った返済をしていきたいものです。