住宅ローン手数料の保証料とは?計算方法や相場を公開

保証料

住宅ローンにかかる諸費用の1つに「保証料」があります。

「保証料」と聞くと、万が一、住宅ローンの返済が続けていけなくなってしまった場合に、後の返済をしなくともよくなるためのお金と大きな勘違いをされている方も多いのですが、残念ながら、そのような甘い考えで解決できるようなものではありません。

では、この保証料とは、いったい何のために支払う必要があり、どのような役割をしてくれるものなのでしょうか?

本記事では、住宅ローンの諸費用の1つでもある「保証料」に焦点をあてて、計算方法や相場なども含めて幅広く解説をしていきます。

1.住宅ローンの保証料とは?

住宅ローンの保証料とは、住宅ローンを融資する金融機関側が、不良債権を抱えるのを避けるために取られる対応策の1つであり、その保証料を住宅ローンの申込者に支払わせる仕組みとなっています。

つまり、住宅ローンを取り扱っている金融機関の多くは、住宅ローンを融資するための条件に「保証料を自分(金融機関)の代わりに保証会社へ支払うこと」を加えており、これに同意しなければ、そもそも住宅ローンの融資が受けられないことを意味しています。

当然、住宅ローンの融資を受けたい私たち申込者からすると「なぜ、保証料を支払わなければいけないのか?」といった気持ちになると思いますが、多額のお金を融資する金融機関側としますと、万が一のデフォルトリスク(住宅ローンの返済が滞って貸したお金が回収できなくなる危険)を回避するためにやむを得ないことと認識しておく必要があります。

1-1.住宅ローンを支払えなくなった場合、保証会社が保証してくれるのか?

住宅ローンには、民間金融機関が取り扱う独自の住宅ローンとフラット35といった種類があるのですが、本項の解説は、民間金融機関が取り扱う独自の住宅ローンにかかる保証の解説となります。

はじめに、冒頭でも触れましたように、「保証料」と聞くと、万が一、住宅ローンの返済が続けていけなくなってしまった場合に、後の返済をしなくともよくなるためのお金と思っている方が多い傾向にあります。

しかし、残念ながらそれは「大きな勘違い」です。

つまり、住宅ローンを支払えなくなった場合、保証会社が保証してくれるのは確かですが、あくまでも住宅ローンの債務がすべて無くなるのではなく、住宅ローンの返済相手が金融機関から保証会社に変わるだけにすぎないのです。

保証会社ありの場合の保証と担保の関係

仮に、住宅ローン債務者が住宅ローンを支払えなくなった場合、保証会社は、住宅ローンを融資した金融機関に対して住宅ローンの残債を一括弁済するのです。

こうすることで、金融機関側は融資したお金を確実に回収することができる仕組みになっています。

この仕組みを「代位弁済(だいいべんさい)」と言います。

代位弁済とは:住宅ローンを滞納した際の問題と3つの対処法

2016年4月2日

最終的に住宅ローンの返済を保証会社に行っていくことができない場合は、自ら任意売却をするか、土地や建物といった不動産は、裁判所を通じて差し押さえられ、競売にかけられることになります。

1-2.ネット銀行など、保証料無料の金融機関がある理由

住宅ローンの保証料は、すべての金融機関でかかるわけではなく、たとえば、ネット銀行など保証料が無料のところもあります。

ただし、保証料が無料の分、同じく住宅ローンの諸費用にあたる「事務手数料」が多額の場合がほとんどです。

つまり、保証料もしくは事務手数料のいずれかが多額であり、費用を負担する側としては、結果としてどちらも変わらないことになります。

このように考えますと、ネット銀行など、保証料無料の金融機関がある理由は「どうでもよい」と思わざるを得ません。

民間金融機関は、あくまでも営利目的および保証会社がグループ会社である場合も普通にありますので、ネット銀行のように保証料を無料とする目に見える戦略を売りとする理由もあると推測できます。

2.住宅ローンにおける保証料の相場はいくらなのか

住宅ローンにおける保証料の相場はいくらくらいなのか、気になる方も多いと思います。

結論から申し上げると、金融機関・借入金額・返済方法によって負担するべき保証料が異なります。

このほか、その計算方法も具体的に明示されていない金融機関が多く見受けられます。

本項では、日本のメガバンクと呼ばれる、三菱東京UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の三行の「住宅ローン商品説明書」より、それぞれの保証料について紹介していきます。

なお、保証料の支払方法につきましても、それぞれの銀行で呼び名が異なっておりますのであらかじめ留意しておくようにして下さい。

2-1.三菱東京UFJ銀行の住宅ローン保証料の場合

一括前払い型利息組込み型
借入時に、住宅ローン申込者が保証会社へ保証料を支払う方式

例:借入金額1,000万円、借入期間30年、元利均等返済方式、元金返済据え置きなしの場合、191,370円
住宅ローン申込者が銀行へ支払う金利の中から銀行が保証会社へ支払う方式

借入利率が一括前払い型に比べて年0.2%高くなる

参考:平成29年5月15日現在・三菱東京UFJ銀行・住宅ローン説明書より

三菱東京UFJ銀行の住宅ローン保証料の場合における「一括前払い型」とは、住宅ローンを借入する時に、一括でまとめて保証料を支払ってしまう方法のことを言います。

一方、まとまったお金を一度に負担するのが大変という方には、「利息組込み型」といった、いわば「保証料の分割払い」ができるタイプのものもあり、どちらか自分たちに適した方法を選択できることが分かります。

2-2.みずほ銀行の住宅ローン保証料の場合

保証料を一部前払いする方式保証料を前払いしない方式
住宅ローン借入時に、一括して所定の保証料の一部を支払う保証料は、借入金利に含まれる

借入時に一括して保証料を支払う必要はないものの「保証料を一部前払いする方式」の金利に年率 0.2%上乗せした金利が適用される

住宅ローンの申込時に「保証料を前払いしない方式」を選んだ場合でも、審査結果によって、「保証料を一部前払いする方式」に変更されることが場合によってある
みずほ銀行の住宅ローンの保証料

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参考:平成28年10月14日現在・みずほ銀行・住宅ローン説明書より

先に紹介した三菱東京UFJ銀行の保証料と比べて大きく異なっているところはないことが確認できると思います。

むしろ、上記表のように支払保証料例を大まかに公開しているだけ良心的なような気も致しますが、三菱東京UFJ銀行と同様に、保証料の計算方法は公開されておらず、直接銀行に尋ねてみる必要性があります。

2-3.三井住友銀行の住宅ローン保証料の場合

保証料外枠方式保証料内枠方式
住宅ローンの融資時に一括して、保証会社に所定の保証料を支払う住宅ローンの融資時に、一括して保証料の支払いをする必要はありませんが、適用される融資利率は保証料外枠方式に比べて高くなります

三井住友銀行が指定する保証会社に対して手数料および保証料を支払う必要があります。

・保証会社手数料:32,400円(消費税込)

三井住友銀行の住宅ローンの保証料

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保証料:融資金額100万円につき上記のとおりです。(消費税非課税)

参考:平成26年10月2日現在・三井住友銀行・住宅ローン説明書より

上記表を例に、借入金額が3,000万円、返済期間が35年で返済方法が元利均等返済の場合、保証料外枠方式の保証料は「618,600円~2,473,110円」と考えることができます。

3,000万円の融資に対して、さすがに100万円単位の保証料は、なかなか考えられませんが、万が一の「含み」として押さえておく必要性はあると言えるでしょう。

2-4.住宅ローンの保証料は審査結果や金融機関によって変動する

これまで日本国内のメガバンク三行の住宅ローンにおける保証料について紹介してきましたが、それぞれの金融機関や返済条件などによってまったく異なることが確認できます。

住宅ローンは、それぞれの銀行のホームページなどで大まかな部分が確認できる一方で、一般の方が保証料など細かな部分を調べるには、銀行へ直接尋ねる方法が最も望ましいと考えることができそうです。

また、住宅ローンの申し込みを検討されている多くの皆さんが抱えている「住宅ローンの保証料は一括払いと分割払いどちらがお得なのか」といった疑問におきましても、あらかじめご希望の金融機関を絞った上で、直接尋ねてシミュレーションしてもらうのが最も確実な方法だと思われます。

たとえば、専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーに依頼して住宅購入のプランニングをしてもらう場合におきましては、これらの専門家が、相談者様のご希望を確認した上で適した金融機関から金額を尋ねるような流れになると考えられ、本人が尋ねるか、専門家が尋ねるかの違いになると推測されます。

2-5.一括払いをしている場合に限り、繰り上げ返済をすると一部返金される

住宅ローンの保証料の支払方法は、各銀行間によって呼び名は違えども、一括払いと分割払いの2つの方法があるということがご理解できたと思います。

たとえば、三菱東京UFJ銀行の住宅ローンで、借入金額1,000万円・借入期間30年・元利均等返済方式・元金返済据え置きなしの場合、191,370円の保証料がかかるということを住宅ローンの商品説明書から確認できますが、この金額は借入期間30年の合計金額です。

したがいまして、繰り上げ返済のように一部の住宅ローンを返済した場合、それに見合った保証料を多く支払っていることになりますので、結果として、その多く支払ったとされる保証料は払い戻されることになります。

とはいえ、繰り上げ返済を実行する場合の多くは、繰上げ返済手数料が発生するため、結果として手数料と保証料の返金が相殺されるといった何とも金融機関側にとって都合の良い仕組みになっているのもまた事実です。

3.住宅ローンの借り換えをすると保証料はどうなるのか?

住宅ローンの借り換えをした場合の保証料も、基本的には繰上げ返済と同様の考え方で問題ありません。

つまり、あらかじめ保証料を一括で前払いしているのであれば、住宅ローンの借り換えによって既存の債務が完済されることになるため、その分にかかる前払いした保証料は戻ってくることになります。

ただし、借り換えた新たな住宅ローン債務に対する保証料を支払わなければならないことから、結果としてさほど大きな変化があるとは限らない見方もできます。

むしろ、逆に大きな保証料負担がかかってしまう懸念もあり得ますので、借り換えシミュレーションをしっかりと行った上で比較検討することが望ましいと思われます。

まとめ

本記事では、住宅ローンの諸費用の1つでもある「保証料」に焦点をあてて、計算方法や相場なども含めて幅広く解説をさせていただきました。要点は以下の通りです。

住宅ローンの保証料を支払ったとしても、返済が滞った際の住宅ローン債務はすべて無くなることはない

本記事の要点は、上記、一文に集約されると言っても決して過言ではありません。

日本のメガバンク三行の保証料をそれぞれ比較してお分かりのように、具体的な保証料の計算方法が明示されていません。

このことから、正確な金額を導き出すには、直接銀行側へ尋ねることが望ましいことがご理解できたと思います。

この理由は、「住宅ローンの融資条件によって保証料が異なる」といった仕組上やむを得ないことであるが故に、計算式を明示することができず、概算となっていることも十分に予測することができます。

そのため、住宅ローンの保証料における相場につきましても、同様に金額の幅が広くなってしまうこともご理解できたと思います。

特に、三井住友銀行の住宅ローン商品説明書から合理的に計算した結果、「618,600円~2,473,110円」と金額の幅が生じていることが確認できましたが、これは、銀行側が保証料の目安について明示してくれているためであると言えます。

住宅ローンの諸費用は、高額かつ負担が大きく、特に保証料や事務手数料は、住宅ローンの融資を希望している金融機関の融資条件をしっかりと確認し比較検討することが大切になります。

また、住宅ローンの事前審査基準も金融機関によって異なることから、すべり止めやスムーズな住宅ローン手続きが進められるように、複数の銀行と話を進めておくことが望ましいでしょう。

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