住宅を購入するタイミングで多い傾向としては、やはり家族が増えて、現在住んでいる所が手狭になった時と思われます。
しかし、これから住宅を購入しようと検討している方々にとってみますと、それぞれ様々な購入理由があるわけであり、実際に住宅を購入したいと思った時に住宅を購入できる状況が整っていることが最も望ましいとされます。
あわせて、住宅購入は自分自身を含めた家族全体のことでありますから、決して周りと比べるものではなく、自己を中心として安心で確実な住宅購入計画を立てることが大切です。
とはいえ、住宅購入にあたり、なぜか不思議と周りと比べることや統計値と比べて一喜一憂する方が非常に多く見受けられます。
それだけでなく、そのような需要が多いのもまた事実です。
そこで本記事では、国土交通省が公開している住宅購入に関する統計データや厚生労働省が公開している統計データをもとに、住宅を購入するタイミングや住宅ローン借入の平均年齢といった多くの方が気になっていることについて紹介し解説を進めていきます。
目次
1.住宅を買う(住宅ローンを組む)平均年齢
国土交通省が公開している平成28年度住宅市場動向調査報告書によると、初めて住宅を買ったとされる「一次取得者」の年代は、30代が最も多く、次いで40代となっています。
また、初めて住宅を買った時の平均年齢は、住宅の種類によって若干の違いが見られるものの、39.4歳から43.4歳となっています。
このデータはあくまでも「初めて住宅購入した平均年齢」に関するデータであり、住宅ローンを組んだものではありません。
しかし実際には、住宅購入のほとんどが住宅ローンを利用するという実態を考慮しますと、初めて住宅ローンを組む平均年齢も同じくらいであると考えることもできるでしょう。
1-1.結婚や出産、どのタイミングが多いのか?
結婚や出産といったライフイベント毎の統計データというものは、国土交通省の統計データでは公開されていません。
しかし、初めて住宅を購入する世代に30代や40代が多いことから、子どもが小さい場合や子育てをする環境をしっかりと確保するために住宅購入する考えを持っている世帯が多いと推測することができます。
また、この場合、子どもがすでに誕生している場合が多いと予測されることから、結婚後や出産後で「子育てに奮闘中」であるタイミングが最も多いと考えるのが合理的かつ無難でしょう。
2.購入(借入)金額はいくらくらいなのか?
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国土交通省:平成28年度住宅市場動向調査報告書・2.4 資金調達に関する事項 (2) 一次取得・二次取得別の購入資金より引用
初めて住宅購入した際の平均金額は、
- 注文住宅:4246万円
- 分譲戸建住宅:3673万円
- 分譲マンション:4203万円
- 中古戸建住宅:2581万円
- 中古マンション:2523万円
このような結果になっています。
住宅の種類によって差が生じているものの、土地と建物を購入する注文住宅が最も高く、中古住宅は、戸建て・マンションともさほど変わらないことが確認できます。
ただし、中古住宅の場合、リフォームやリノベーションといった工事費用も別途必要です。
このため、それらを合わせると分譲戸建住宅や分譲マンションを購入するのとさほど変わらない場合がある可能性も時には生じます。
2-1.頭金(自己資金)はどの程度用意しているのか?
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国土交通省:平成28年度住宅市場動向調査報告書・3.4 資金調達に関する事項 (3) 住宅建築資金と土地購入資金の合計より引用
平成28年度における頭金(自己資金)の平均は1298万円となっています。
平成24年度から平成28年度までの5年間において、最も低い金額となっていることが確認できます。
こちらのデータは「注文住宅を購入する際」のデータであり、いわゆる土地を購入した後に建物を建築する場合における頭金(自己資金)と住宅ローンの関係を示したものとなります。
従いまして、たとえば、建売住宅や中古住宅の購入を希望している方の平均金額とは若干数値が離れていることもあります。
あくまでも参考としていただくのと同時に、ご自身の希望に沿ったデータを見つけて確認してみることが大切になります。
データの解釈が難しい場合は、FPなどの専門家へ相談し、データの解説やご自身の今後の住宅購入にどのような対策を施していけばよいのか確認してみることをおすすめします。
2-2.共働きの人は多いのか?
厚生労働省が公開している「専業主婦世帯と共働き世帯の推移」によると、平成8年度で両世帯が同じくらいの割合であったものの、平成9年度から平成26年度にかけて、共働き世帯が増加し続けていることが確認できます。
平成29年8月現在におきましても、共働き世帯の方が専業主婦世帯に比べて多くなっていることは明らかです。
住宅ローンの申し込みにおきましても、単独で申し込む形式から夫婦の共有名義で住宅ローンを申し込む形式が増加しているのも確かです。
これは、不況やデフレと言われる状況下で収入が増加せず、支出負担が年々増加している表れでもあり、一昔前のように夫1人の収入や信用では住宅ローンの融資が受けにくいといった実態も少なからずあると推測できます。
日本銀行が、平成28年2月にマイナス金利政策を施行した後に歴史的住宅ローンの低金利時代に突入したことは多くの皆さんがご存じである一方、金融機関側としては、住宅ローンの融資に対してより慎重になったことから、住宅ローン審査が厳しくなったことも理解しておかなくてはなりません。
つまり現在、住宅ローンの融資を受けるためには、より信用を得られるための確実な事前対策が求められるのです。
夫婦共働きを活かした「収入合算」もその対策の内の1つとして多くの世帯に活用されています。
夫婦共働きによる収入合算に関して詳しく知りたい場合、以下のコンテンツをご覧ください。
2-3.貯金は残しておくべきなのか?
住宅購入にあたり、頭金と呼ばれる住宅購入の自己資金は、多ければ多いほど望ましいのは確かです。
ただし、貯金の多くやすべてを頭金に充ててしまうことは、住宅ローンの返済期間中や万が一の突発的な支出に対応することができなくなってしまいます。
そのため、「貯金は必ず残しておかなければならないお金」であることは間違いありません。
では「いくらくらい貯金を残したらよいのか?」といった疑問を抱く方もおられると思いますが、世帯の収入や状況はさまざまであることから一概に金額を明示することは正しい解説であるとは言えません。
そのため、残しておくべき貯金額とは、最終的に自己判断で決定されるべきものとなってしまいます。
ただ、貯金は万が一のリスク回避するための手段であることから、あえて頭金として充てるのではなく、手元に残した状態で「フルローンを組む」のも1つの方法です。
多くの情報サイトでは、フルローンを組むことに対して否定的なものが多いのですが、現在の住宅事情を踏まえますと、フルローンで住宅ローンの融資を受けたとしても、たとえばFPや住宅ローンアドバイザーといった専門家の知見のもとで合理的かつ確実な住宅ローンの返済計画を立てられるのであれば、決して無謀な方法とは言えません。
また、昨今の住宅購入や住宅ローンに関する書籍の内容を見ていますと、専門家と呼ばれるFPが監修している書籍や実際にFPが執筆している書籍におきましても、フルローンを組むことに対して否定的ではなく、むしろ有効な対策方法であることを解説しているものも多いのが現状です。
いずれにしましても、住宅購入のための頭金(自己資金)よりも貯金を残しておくことの方が優先して行わなければなりません。
フルローンを検討することやある程度まとまった頭金が貯まるまで住宅購入を保留にするなどの決断も時には必要になることを理解しておく必要があります。
3.住宅ローンはいくらまで借りられるのか?
住宅ローンの申し込みを検討する段階で、「自分は住宅ローンをいくらまで借りられるのか?」と考える方が多い傾向にあります。
実のところ、この考えは住宅ローンの返済を考えていく上で「誤った考え方」になりますが、多くの皆さんに需要があるということを踏まえまして、参考目安として紹介します。
年収 | ローン借入額 |
|||
シングル | カップル | ファミリー | 平均 | |
400万円未満 | 2,092万円 | 2,171万円 | 2,297万円 | 2,186万円 |
400万円台 | 2,522万円 | 2,763万円 | 2,750万円 | 2,678万円 |
600万円台 | 2,939万円 | 3,216万円 | 3,159万円 | 3,104万円 |
800万円台~ 1,000万円未満 | 3,183万円 | 3,526万円 | 3,455万円 | 3,388万円 |
スーモ 年収別8213人 家とお金調査 2013を参考に管理人作成
住宅ローンの借入可能額が年収によって上記表のような型にはめて考えることができるとするならば、これほど楽な仕事はないと思いますし、そもそもFPや住宅ローンアドバイザーといった資格がある意味というものはないのではないでしょうか?
たとえば、金融機関は住宅ローンを融資した際に受け取る利息が収入となり、不動産業者は土地や建物といった不動産を販売し建築して収入を得ていますよね。
このため、とても荒い表現になってしまいますが、借入可能額が多かろうが無理な借入であろうが、関係のないことです。
一方で、FPや住宅ローンアドバイザーは顧客となるお客様から報酬をいただくわけでありますから「借入可能額が多かろうが無理な借入であろうが関係ない」といったわけにはいきません。
あくまでも顧客にとって有利になる情報提供やサービスを提供していきます。
立場が異なるといったことをユーザーの皆さまには、再度認識していただいた上で、当サイト内「FP監修住宅ローン比較館:住宅ローン審査に関わる年収情報まとめ」をご覧いただき、住宅ローンにかかる年収情報について正しい知識を身に付けていただきたいものです。
4.住宅を買う(住宅ローンを組む)のは何才までに借りるべきなのか?
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国土交通省 平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書 2.長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査等(2)審査項目より一部抜粋引用
国土交通省が、住宅ローンを融資している金融機関に対して調査をしている「平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、住宅ローンの審査項目のうち「完済時年齢」という審査項目を最も重視していることが確認できます。
完済時年齢というのは、住宅ローンをすべて返済し終える上限年齢のことです。
多くの金融機関では、完済時年齢「80歳」を基準としています。
つまり、80歳までに住宅ローンをすべて返済し終える状況や返済期間でなければ住宅ローンの融資をそもそも受けられないことを意味しています。
たとえば30歳で住宅ローンの融資を受け、35年間かけて住宅ローンを返済するとした場合、完済時年齢は65歳になるといったイメージです。
このようなことから、「住宅を買う(住宅ローンを組む)のは何歳までに行うべきなのか?」といった疑問に対しては「完済時年齢に余裕を持った年齢」とするのが最も合理的だと思います。
つまり、若ければ若い程、完済時年齢の審査項目は簡単に満たせることになるほか、返済期間を長く設定したとしても、住宅ローンの申し込みや審査に影響を与えにくくなることが推測できます。
4-1.平均年齢ではなく、確実に返していけるタイミングを見定めよう
これまでの解説では、国土交通省の統計データを下に解説を進めて参りました。
住宅ローンは、何十年という長い期間をかけて返済し続けていかなくてはならない借金であるからこそ、最も大切なことは「平均年齢がどのような統計結果か」ではなく、確実に返していける自分なりのタイミングを見定めることです。
具体的には、「月々いくらまでなら無理なく住宅ローンを返済していくことができるのか」といった返済可能額を把握し、将来における家族のライフイベントを確認しながら確実に住宅ローンを完済していくことができる返済計画を立てることになります。
これらの内容がしっかりとしていることは、少なくとも住宅ローンを確実に返していけるタイミングを見定められていると考えることができます。
まとめ
本記事では、国土交通省が公開している住宅購入に関する統計データや厚生労働省が公開している統計データをもとに、住宅を購入するタイミングや住宅ローン借入の平均年齢といった多くの方が気になっていることについて紹介し解説を進めさせていただきました。
政府の統計を閲覧する際に、本当に気を付けなければならない重要事項があるのですが、以下のような調査の概要を仮に見落としてしまったら少なからず住宅購入に大きな影響を受けると予測されます。
これまで解説した調査結果の対象地域は、上記の地域であることから、これ以外の地域に住まれている方が、統計や本記事を閲覧した場合、「自己の地域との差が大きい」可能性が極めて高いことを意味しているわけです。
つまり、政府の統計だからといった理由で統計値をそのまま信用してしまうことは、これから住宅購入する上で大きな落とし穴にはまってしまう可能性があり、大変危険です。
冒頭でも触れさせていただきましたように、これから住宅を購入しようと検討している方々にとって本当に大切なのは、「住宅購入は自分自身を含めた家族全体のこと」だということです。
決して周りと比べるものではなく、自己を中心として安心で確実な住宅購入計画を立てることになります。
そして、正しい情報と知識を吸収した上で、理想の住宅を購入していかなければならないことを改めて本記事を通じて感じ取っていただければと思います。
住宅購入で大損せずにおトクに家を建てるには
私が注文住宅を建てる際、危うく328万円も損をするところでした。
しかし、友人のある一言のおかげで、損をせずにお得に建てることができたのです。
>>注文住宅の購入で大損を回避して328万円も安く購入した方法