マイナス金利と住宅ローンの関係を理解する6つのポイント

平成28年2月16日から施行された「マイナス金利政策」は、これから住宅購入を検討している人にとって追い風となるニュースとなりました。

ただ、マイナス金利という言葉は聞きなれないため、「住宅ローンにどれだけ好影響があるのかが分からない」という方は多いです。

当然のことながら、政府が決定し実行する政策は、どのような政策においても、得する人と損する人が必ずいます。

そこで本記事では、住宅ローンをこれから申し込む個人の方を対象に「マイナス金利と住宅ローンの関係を理解する6つのポイント」について解説していきたいと思います。この内容を理解するだけで、マイナス金利における住宅ローンの借り入れで損することは限りなくゼロに近づきます。

※金融政策であることから、あくまでも断定的な表現ではなく、動向や予測といった解説が多くなりますので、あらかじめご理解いただけましたら幸いです。

1.マイナス金利とは

まず、この項ではマイナス金利についての理解を深めていただきます。

マイナス金利とは、金融機関が日本銀行に対して預け入れたお金に対して、適用されるマイナスの金利のことを言います。

たとえば、年金利1%で10,000円を預け入れたとすると、1年後には100円の利息が付くことになります。一方で、これが年金利-1%の場合は、1年後には100円の利息を逆に支払わなければなりません。

これがマイナス金利のイメージです。

1-1.今のところ、日本銀行と各金融機関における金利の話

マイナス金利政策の適用は、日本銀行と金融機関との間における金利についての話です。そのため、普段、私たちが金融機関に預け入れている預金などに対してマイナス金利が適用されるものではありません。

1-1-1.今まで預けていた分のお金に関しては、これまで通りの金利

マイナス金利は、金融機関が日本銀行へ今まで預け入れていた分のお金に対しては適用されることがありません

。仮にこのようなことをしてしまえば、金融機関は日本銀行へ預け入れしている全てのお金に対して莫大なお金を支払わなければならなくなってしまうため、かえって日本経済が混乱してしまう原因になってしまうからです。

1-1-2.新規で預けるお金に関しては、マイナス金利が適用される

マイナス金利は、マイナス金利政策が施行された平成28年2月16日以降の預け入れに対して適用されます。マイナス金利政策を導入した狙いにつきましては、次項で解説していきます。

2.マイナス金利を導入することの狙い

政府がマイナス金利政策を導入することの狙いは、日本経済を活性化するためであるのは言うまでもありません。本項では、マイナス金利を導入することによって好影響を受ける流れについて簡単に解説していきます。

これを理解することで、住宅ローンとマイナス金利の関係性が少しずつ見えてくるはずです。

2-1.企業の設備投資と賃上げ

マイナス金利は、金融機関が日本銀行に対して預け入れるお金に関する、いわば「ペナルティー」と置き換えるとイメージがわきやすいかもしれません。つまり、お金を預けて日本銀行にペナルティーを支払うよりも、「お金を借りたい」と考えている企業や個人にお金を貸した方が、金融機関側は利息を儲けられることになります。

このとき、お金を借りてもらいやすくするために金利を低く設定することで、よりお金を借りたい企業や個人は借り入れしやすくなります。そして、その資金を元手にして企業は設備投資を行い、生産性や収益性などを高めていきます。

結果として、増収増益となり社員の賃上げも実現されるといった構想を政府は描いているというわけです。

2-2.景気の向上

前項で解説した流れが実現されることによって、景気が向上し、賃上げや新規の雇用が生み出されることで、消費も拡大していくといった流れがマイナス金利政策を導入する意図であると考えられます。

2-3.最終的に物価上昇率2%に近づけて行きたい

よく耳にする「物価上昇率」とは、またの名を「全国消費者物価指数」とも呼ばれます。平成28年5月現在において、総務省統計局のホームページで公開している物価上昇率は下記の通りです。

平成22年基準 消費者物価指数 全国 平成28年(2016年)3月分

 年平均(前年比%)月次(前年同月比 %)
2013年2014年2015年2015年
12月
2016年
1月
2016年
2月
2016年
3月
総合0.42.70.80.20.00.3▲0.1
生鮮食品を
除く総合
0.42.60.50.10.00.0▲0.3
食料及びエネルギーを
除く総合
▲0.21.81.00.80.70.80.7

出典 総務省統計局ホームページ:平成22年基準消費者物価指数より引用

政府が掲げている物価上昇率(全国消費者物価指数)の2%は、上記表を見ても分かりますように、まだまだ遠いことが見て取れます。

景気が向上することは、物価が上昇する原因になりますが、消費増税への問題など物価が上昇することとは真逆の政策になっていることに対して、矛盾が生じているといっても過言ではありません。

3.マイナス金利は私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか

マイナス金利は、日本銀行と金融機関の間に関係する金利でありますが、仮に個人に対してもマイナス金利が適用された場合、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか少し考えていきましょう。

3-1.預貯金を利用しない

現在預けている預貯金に影響がなければ、そのままでも問題がないと考えられます。

しかし、マイナス金利が個人にも適用になってしまうことは、当然に預貯金を利用した貯蓄という選択肢を選ぶ人は激減することが考えられます。

3-2.資産運用やタンス貯金を強いられる

投資といった資産運用が増加したり、すでに行われているタンス預金が増加したりすることが考えられます。どの自宅にも現金があるといったことが予測されることから、当然に犯罪が増加することは言うまでもありません。

3-3.預金利息を支払わなければならなくなる

マイナス金利は、預け入れたお金に対するペナルティーであるため、当然に個人に対して適用されたマイナス金利につきましても、利息を支払わなければならなくなるでしょう。

3-4.定期預金の金利も引き下げられる

普通預金の金利がマイナスになって定期預金の金利が引き下げられないといったことは、一般にあり得ません。したがいまして、定期預金の金利についてマイナスになるかどうかはさておき、金利が引き下がることは必至だと考えられます。

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3-5.今以上に住宅ローンや自動車ローンの金利が低くなる可能性がある

個人にマイナス金利が適用されるということは、現在の金融機関のように自分たちで保有している資産の運用が求められます。

住宅ローンの金利や自動車ローンの金利が現在よりも引き下げられることで利用を促すことも考えられますが、株や国債といった金融商品への投資運用についても動きが活発になる可能性も十分考えられます。

4.日本では個人に対してマイナス金利が適用になる可能性はあるのか

平成28年5月現在において、日本では個人に対するマイナス金利は適用されておりません。

ただ、海外に目を向けて見ると、スイスやデンマーク、スウェーデンといったヨーロッパの国でマイナス金利が導入されているようです。

日本では経済においてさまざまな問題を抱えていることは言うまでもありませんが、1つだけ言い切れるとすれば、「今、マイナス金利を個人にも適用することは、日本経済は大パニックになってしまう」ということです。この理由は、これまでに解説してきた内容を読んでいただけたあなたには容易に予測できると考えております。

そのような理由から、現在は実行しないと考えつつ、将来の経済情勢に応じて日々変化するのが金融政策であることを踏まえますと、決してないとは言い切れない部分もあるのではないでしょうか。

5.マイナス金利が住宅購入に与える影響

マイナス金利は、住宅購入においてさまざまな影響を及ぼすことになります。ここでは主に、3つの立場に沿ってマイナス金利が住宅購入に与える影響を解説していきます。

5-1.「住宅ローン申込者」は、総返済金額が少なくて済むようになる

住宅ローン申込者の立場でマイナス金利が住宅購入に与える影響を考えると、従来よりもローンの金利が低い状態で融資を受けることができます。これにより、結果として総返済金額が少なくて済むようになると考えることができます。

ただし、変動金利を選択した場合において、極端な経済情勢の変化や悪化に伴う金利変動によって金利が上昇した場合を除きます。変動金利の場合、日本のみならず、世界の経済情勢が大きく関係することになるため、その点における金利上昇リスクについてもあらかじめ理解しておかなければなりません。

変動金利のリスクに関しては、「住宅ローン変動金利のリスクや推移をまとめた5つのルール」を読むことで理解できるはずです。

5-2.「金融機関」は、融資に対して慎重になる

金融機関にとっては、住宅ローンを貸しやすくなると思われている人は多いです。

しかし、実際はむしろその逆であり、融資に対して慎重になることが考えられます。これは、今までの金利で住宅ローンを貸し出すことができなくなったことによる「減収」になるリスクを取らなければならなくなるためです。

金融機関が増収増益になるためには、今までよりも低い金利で貸し出すことになるため、より多くの資金を貸し出すこととイコールです。しかしながら、結果として「貸し倒れ」といったことになってしまっては本末転倒です。

だからこそ、住宅ローン申込者に対する融資審査がより厳しいものになるわけです。

表向きは、「金利が低いからどんどん借りてください」といったことが見て取れますが、多くの資金を融資するといった「数」をこなさなければならなくなった金融機関の立場からすると、苦しい状況であるのは必至です。

5-3.「不動産業者」は、物件が売れることで増収増益につながる

不動産業者からすると、マイナス金利の影響は営業活動に大きな追い風となるのは当然でしょう。フリーペーパーやポスティングされる不動産のチラシに目を通すと、あこがれのマイホームがこんな金額で手に入ると思わせる「常套手段(じょうとうしゅだん)」には、消費税の増税に引き続いてあきれ返るばかりです。

もし、「増税前に家を買ったほうがお得じゃないの?」と感じた場合、「消費税10%の増税前に住宅購入をしてはいけない5つの理由」に目を通しておきましょう。不動産業者の手法を読み取れるようになります。

チラシに掲載している返済例は、最も低い金利で借りた場合によるものであるため、さらに平たく解説すると「1ヶ月の返済金額が最も少なくなるように調整している」だけなのです。この条件で借りたら最後。数年後、寝耳に水のローン返済地獄が始まる可能性が少なからず生じる世帯もあるでしょう。

マイナス金利政策は、住宅ローン申込者の需要が高まる結果に繋がるため、自ずと不動産業界もその流れに転じて活気がよくなるのは当然のことです。そのため、あくまでも不動産業者の言われるままに購入するのは注意しなければならない重要なポイントです。

6.今後、さらなるマイナス金利はありえるのか

住宅ローンの金利は、マイナス金利政策の導入によってもたらされておりますが、今後、さらなるマイナス金利の可能性は「ある」と予測します。

平成28年5月現在において、ネット銀行が取り扱っている住宅ローンの変動金利が最低で「0.497%」となっており、「ついにここまできたか」といった感じがします。金利が極端に上昇しなければ、借り入れた元金が多く減っていく現象が起こるため、この機会を1つの借入時期として住宅ローンを組むのも一策かもしれません。

まとめ

本記事では、マイナス金利と住宅ローンの関係を理解する6つのポイントについて、住宅ローンを検討している人を対象に解説しました。ここでもう一度6つのポイントについておさらいしていきましょう。

  1. マイナス金利は、日本銀行と各金融機関における金利の話です
  2. マイナス金利を導入することの狙いは、日本経済を好景気にすることです
  3. マイナス金利が個人にも適用されると私たちの生活は大変苦しくなります
  4. 将来、日本でも個人に対してマイナス金利が適用になる可能性はあるかもしれません
  5. マイナス金利が住宅ローン申込者に与える影響は好影響よりです
  6. 今後、さらなるマイナス金利もありえるかもしれません

住宅ローン申込者にとって、追い風のマイナス金利政策ですが、経済情勢はまさに「生き物」であり、いつ、どのような変化が生じるのか誰も予測ができません。仮に予測できていたとすれば、15年もデフレが続いているといったおかしな現象になるわけはありません。

分かりやすい例で解説しますと、いつ起こるか分からないイスラム国のテロや、アメリカ大統領選挙の結果などにおいても世界経済や日本経済にかかる影響は大きく左右し変動していきます。これを確実に当てることなど預言者でなければできないでしょう。

大切なことは、現在の情勢や状況をいかに自分にとって有利に進めていくかだと思います。住宅ローンを検討している人にとってみると、マイナス金利が導入されている現在、住宅ローンの金利が低くなっているのは紛れもない事実です。そのため、この時期をチャンスとするかどうかは自分次第といったことになります。

自分一人ではその判断がつかない場合、専門家であるファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談料を支払ってでも、十分有益な情報を得ることができると思われます。これも1つの資産運用方法なのかもしれません。