住宅ローンの代位弁済で発生する求償権とは:5項目で解説

住宅ローンを支払えなくなった場合、保証協会や保証会社が代位弁済(だいいべんさい)を行います。代位弁済とは、債務者(お金を借りた人)が住宅ローンの支払いを滞納した際に、保証人や保証会社がお金を借りた人に代わり、残ローンを全額一括で清算することを指します。

ただ、代位弁済はあくまでも債務者に代わって借金を立て替えただけに過ぎません。そのため、お金を借りた人に対して返済請求をしてきます。これを、「求償権(きゅうしょうけん)」と呼びます。

しかしながら、求償権という言葉はあまり耳に馴染みが無い方は多いです。いったいどのような意味なのでしょうか。そこで、求償権の概要から危険性、その対処法を5つのポイントに分けて分かりやすく解説していきます。

1.求償権とは

前述の通り、求償権とは、連帯保証人などの保証人が代わりに借金を支払った場合に、主債務者(お金を借りた本人)に対して返済請求してくる支払請求権のことです。

住宅ローンを滞納した場合、信用保証協会や保証会社がもともとの住宅ローン債権者(銀行などの金融機関)に住宅ローンの残ローンを支払います。これは、代位弁済です。そして、その後、債務者に対して立て替えたお金を返済請求すべく、「求償権」を行使(こうし:法的に行うこと)してくることがあります。

求償権とは

では、求償権が行使されると、具体的にどうなるのでしょうか。また、請求された場合の対処法なども知りたいところです。

そこで以下では、住宅ローンを滞納した場合に保証会社から請求される「求償権」と、その場合の対処法などについて解説します。

1-1.代位弁済とは

冒頭でも軽く解説しましたが、求償権の理解をより深めるために、代位弁済についても触れておきます。

求償権は、保証会社が請求してくるものですが、この求償権は、保証協会による「代位弁済」という制度と密接な関係があります。

代位弁済という言葉も、求償権と同じくらい耳なじみのないことが多いですが、いったいどのような意味なのでしょうか。

代位弁済とは、連帯保証人や連帯債務者がいる場合、それらの保証人らが主債務者や他の債務者の返済分を代わりに返済することです。

代位弁済のイメージ

連帯保証人は、主債務者(借金した本人)が支払ができなくなった際に、残金を支払わなければいけなくなります。また、連帯債務者も他の連帯債務者が住宅ローンを滞納した場合、同じように支払をしなければなりません。

基本的に、住宅ローンを組む場合、連帯保証人をつけることが多いです。

たとえば、配偶者や両親など、個人の保証人をつけることもありますが、通常は信用保証協会や保証会社などの保証を専門とする機関にも連帯保証人になってもらうことが普通です。

そこでもし、住宅ローンを長期にわたって滞納すると、保証協会や保証会社が、代わりに債権者に住宅ローンの残ローンを返済してしまいます。この保証協会などによる住宅ローンの立替払いが、住宅ローンを滞納した場合の代位弁済の内容です。

このように、住宅ローンには信用保証協会などが連帯保証をしていて、債務者が支払を滞納した場合、信用保証協会が住宅ローンの残ローンを代位弁済します。これにより、金融機関は確実に貸し出したお金を回収できるため、最終的に損をしない仕組みになっているのです。

今回問題になる求償権は、保証協会が代位弁済することによって発生する保証協会の権利です。求償権により、保証協会は、代位弁済後に主債務者(住宅ローンを借りた人)に対して返済請求ができるのです。

代位弁済については、代位弁済とは:住宅ローンを滞納した場合の問題と対処法についてのページにて分かりやすく解説しているため、こちらをご覧ください。

1-2.期限の利益を喪失とは

住宅ローンを滞納して保証協会などが代位弁済する場合、保証協会は金融機関(元々の住宅ローン債権者)に対して、残ローンの一括払いをします。

住宅ローンはもともと分割払いになっていたはずですが、一括払いになるのはなぜなのでしょうか。この問題は、住宅ローンの「期限の利益」という制度と関わりがあります。順番に説明していきます。

住宅ローンを設定する際、月々の分割払いにします。長いケースでは、35年などの長期ローンにすることが多いです。

このように、長期の分割払いができるのは、住宅ローンの契約時に特別に分割払いができる旨の約束をしているからです。

本来なら一括払いしなければならないところを、両者の合意によって分割払いにしているのです。このように、借金や債務がある場合に分割払いができることを「期限の利益」と言います。

ところが、この分割払いを長期滞納したときにまで分割払いを認めると、債権者(お金を貸した人)にとって大きな不利益になります。そこで、分割払いを認める場合であっても、分割払いを何度か滞納すると、そのときの残金を一括払いしなければならないという内容の約束をします。

このように、返済を滞納することによって分割払いができなくなり、そのときに残金を一括払いしなければならなくなることを「期限の利益の喪失」と言います。分割払いができるという利益がなくなるので、期限の利益の喪失です。

1-3.住宅ローンの場合の期限の利益喪失

「支払の滞納によって、分割払いができなくなる」という期限の利益喪失ですが、住宅ローン支払いの場合にも、同じことが起こります。

住宅ローン契約も同じように、月々の支払を何度か滞納すると、期限の利益がなくなってしまうため、住宅ローン残金を一括払いしなければならないと決められています。住宅ローンの場合、通常は3ヶ月、あるいは6ヶ月以上滞納した場合に期限の利益がなくなると定められています。

ただし、実際の期限の利益喪失までの滞納期間は契約内容によって異なります。そのため、「具体的にどのくらいの期間、滞納したら期限の利益がなくなるのか」については、契約書を確かめてみるようにしましょう。

そして、このように期限の利益が喪失されて、住宅ローンの残代金の一括請求が必要になった段階で、保証協会や保証会社が代位弁済を行います。

ここで述べたように、住宅ローンを滞納したとしても、いきなり保証協会が代位弁済するのではなく、滞納後3ヶ月や6ヶ月経って、分割払いが認められなくなった時点で、保証協会が代位弁済することになります。

1-4.保証協会が代位弁済分を一括請求してくるのが求償権

住宅ローンを長期滞納してしまい、保証協会などがもともとの債権者に残ローンを一括で返済(代位弁済)すると、その後、保証協会などは債務者にその代位弁済分の支払い請求をしてきます。

これが、住宅ローンの際に問題になる求償権です。

保証協会は、もともとの金融機関に対して支払をする際、残ローンの一括返済をしています。

それと同じように、保証協会が代位弁済後に債務者に対して求償権を行使して支払を請求するときには、一括請求してくることになります。

2.第三者弁済や保証人が弁済した場合に発生する

銀行窓口の様子

住宅ローンを滞納すると、保証会社などが住宅ローンの代わりに支払いを済ませ(代位弁済)、その後、その支払い分を請求してきます。これが求償権の内容です。

求償権は、具体的にどのようなケースで発生するのでしょうか。また、保証会社が代位弁済する場合以外にも発生することがあるのか、確認しておきたいところです。

求償権とは、保証人が主債務者(お金を借りた人)の代わりに債務の支払をした場合、その後に主債務者に対して実際に支払った分の返済請求ができる権利のことです。

これは、連帯債務の場合にも同様に認められます。

また、第三者弁済と言って、契約当事者ではない人が債務者の代わりに借金返済することができます。この場合であっても、求償権が発生することがあります。

以下では、「保証人(連帯保証人)の場合」と「連帯債務者の場合」、さらには「第三者弁済のパターン」別に分けて、求償権の内容を見てみましょう。

2-1.連帯保証人の場合

住宅ローンを組む際、主債務者が返済出来なくなったときにそなえて保証人をつけることが多いです。また、保証協会が保証する場合であっても、それらを連帯保証人として保証することになります。

これ以外にも、配偶者や親族などの個人の保証人を要求されることもあります。このとき、配偶者などを連帯保証人にすると、配偶者の分も収入を合算してローン審査を受けられるため、住宅ローン審査に通りやすくなるなどのメリットがあります。

なお、連帯保証人には求償権があります。もし、主債務者がローン返済を滞納して、連帯保証人が代わりに支払をした場合、その支払分について全額主債務者に返済請求することができます。これが連帯債務者の求償権の内容です。

連帯保証人に与えられる求償権のイメージ

住宅ローンの保証協会の場合も同じように、この連帯保証人のパターンの1つです。保証協会が残ローンを返済する際、その分を全額債務者に対して求償してくることになります。

また、個人の連帯保証人をつけている場合も同様です。妻や父親に住宅ローンの連帯保証人になってもらう場合、それらが残ローンの一部や全部を支払えば、妻や父親からその支払った金額について求償される可能性があります。

たとえば、あなたが他人の住宅ローンの連帯保証人になったとします。そして、債務者が返済を滞納した際に、金融機関は保証人であるあなたに一括返済請求をしてきます。それを支払ったあとは、主債務者に対して、支払った分のお金を法的に請求することができるのです。

このように、連帯保証人の場合、求償権の内容は、連帯保証人が支払った分の全額になります。

2-2.連帯債務者の場合

次に、連帯債務者の場合の求償権を見てみましょう。連帯債務者とは、複数の債務者が1つの借金を連帯して負担する場合の債務者のことを指します。この場合、連帯債務者は、一人一人が借金の全額を支払う必要があります。

たとえば、連帯債務者が2人いて、借金額が1000万円の場合、それぞれ1000万円の請求があれば応じないといけません。そのため、「自分の分は500万円だけ」とは言えないのです。

ただし、連帯債務者の間では負担部分があります。そこで、その負担部分を超えて債権者に支払った分については、他の連帯債務者に支払の請求ができるのです。これが連帯債務者の求償権です。

たとえば先の例で、2人の連帯債務者の負担部分がそれぞれ500万円の場合、1人の連帯債務者が1000万円全額の支払をしたとします。

連帯債務のイメージ

この場合には、1000万円の支払をした連帯債務者は、他方の連帯債務者に対して自分の負担部分を超えた500万円の請求ができることになります。

連帯債務の求償権

このように、連帯債務者にも求償権がありますが、連帯債務者の求償権の内容は、連帯保証人の場合と違って全額ではありません。自分の負担部分を超えて支払った部分に限られます。

たとえば、住宅ローンを妻との連帯債務にした場合に、妻が住宅ローンの全額を支払ったとします。このとき、妻は自分の負担部分を超えて支払った分について、求償権を行使されて、支払い請求される可能性があります。

ただ、実際に夫婦で住宅ローンの連帯債務を組んでいる場合に、どちらかの配偶者が相手に対して求償権を行使することはほとんどありません。

2-3.第三者弁済の場合

求償権が問題になるケースとしては、第三者弁済というパターンもあります。

2-3-1.第三者弁済とは

第三者弁済とは、契約当事者ではない第三者が主債務者の代わりに借金や債務を返済することです。

第三者代位弁済のイメージ

この場合の第三者には、連帯保証人や保証人は含まれません。連帯保証人や保証人は、債権者との間で保証契約を締結しているので、立派な契約当事者になるからです。

第三者弁済の「第三者」というのは、その契約に全く関与していない第三者のことを指します。

ただし、血縁や親族関係があるかどうかは無関係であるため、配偶者や両親、子ども、親戚などであっても第三者になる可能性はあります。

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住宅ローンの場合、借りた本人が返済ができないため、見かねた両親が代わりに支払うことは良くある話です。このとき、両親が連帯保証人、あるいは連帯債務者にもなっていないなら、第三者弁済になります。

2-3-2.第三者弁済が有効になる場合

第三者弁済は、常に有効になるわけではありません。これは、「契約による義務のない人が勝手に弁済してしまう」というものです。そのため、債務者の意思に反してすることはできないことになっています。

たとえば、先の例で、住宅ローンの主債務者(借りた本人)が住宅ローンを支払えなくなった場合、両親が「第三者弁済しよう」と考えます。

しかし、借りた本人が「親の世話になりたくない」と考えて、第三者弁済を拒絶してしまうと、第三者弁済は有効になりません。そのため、親は債務者の意思に反してまで、無理矢理第三者弁済することは出来ないのです。

これは、第三者弁済の求償権とも関連します。

当然のことながら、第三者弁済が行われる場合にも求償権は発生します。

ただ、第三者弁済が行われる場合の第三者には、本来支払い義務はありません。しかし、債務者に対して、支払った代位弁済分の全額を求償することができます。

そのため、債務者にしてみれば、第三者弁済が行われたところで、請求してくる相手方が変わるだけであり、支払に追われる状況は変わらないということがあります。

むしろ、第三者弁済した人がタチの悪い人であれば、より返済請求が厳しくなってしまい、状況が悪くなる可能性があります。

このようなリスクを防ぐために、第三者弁済は、債務者の意思に反しては出来ないことになっているのです。

2-3-3.第三者弁済の求償権

第三者弁済が有効になる場合、求償権が発生して、弁済した第三者は債務者に返済分の支払請求をすることができます。

第三者代位弁済で与えられる求償権のイメージ

前項、2-3-2.で挙げた例で言うと、もし親が子どもの住宅ローンを肩代わりして1000万円支払い、これについて債務者が特段反対しなかった場合、後日親は子どもに対して、その支払った1000万円を求償出来るようになります。

2-4.求償権の基本的な理解方法

以上が、代位弁済と求償権の仕組みです。基本的に、借金した本人以外の人が代わりに借金返済をした場合、その返済分に関して、後から借金した本人に対して支払請求出来る権利のことを求償権と言うのだと理解しておくと良いでしょう。

3.住宅ローンは無くなるが、借金は消えない

住宅ローンで求償権が問題になるタイミングは、たいていは保証協会や保証会社が住宅ローン債権者に代位弁済した後です。配偶者などが代位弁済した場合には、あえて求償権を行使することも少ないので、あまり問題にならないからです。

そこで、以下では保証協会や保証会社が代位弁済した後の問題について確認しましょう。

3-1.代位弁済によって住宅ローンがなくなる

債務者が住宅ローンを滞納して、保証協会や保証会社が代位弁済した場合、住宅ローンの残金は、一旦もともとの住宅ローン債権者に対して全額支払われることになります。

たとえば、銀行に対して3000万円の残ローンが残っているときに、保証協会が代位弁済をすると、保証協会は借り入れ先の銀行に対して、3000万円の全額を支払ってくれることになります。

そのため、住宅ローン自体はこの時点でなくなります。

3-2.返済先が保証協会に変わるだけ

保証協会が代位弁済すると、住宅ローンがなくなるのなら、その後は返済の必要がなくなるのでしょうか。ここまでで解説してきた求償権があるため、それはありません。

単純に考えれば、「支払を滞納して保証会社が代位弁済してもらうことで、残ローンから解放される」とすれば、住宅ローンは滞納した方が得だということになってしまいます。

そうなれば、まじめに返済することなどばからしくなってしまい、誰も住宅ローンを返済しなくなるでしょう。

しかし、実際にはそのようなことは認められません。住宅ローンを滞納して保証協会が代位弁済すると、保証協会は求償権を行使して、支払った分を全額債務者に支払請求してくるのです。

たとえば先の例で、保証協会が銀行に対して3000万円の残ローンについて代位弁済をした場合、保証協会は債務者に対して、その後3000万円の請求をしてくることになります。

結局、代位弁済によって住宅ローンがなくなるとは言っても、債務者にしてみれば、支払内容が求償権に変わって、支払先が保証協会に変わるだけのことです。

しかもその場合、基本的に一括請求されるため、分割払いができなくなります。また、高額な遅延損害金を加算されることになるため、住宅ローンを分割払いしていた頃よりも、むしろ状況は厳しくなります。

これらの分割払いや一括払いなどの問題については、次項で詳しく説明します。

4.求償権の内容

住宅ローンを滞納してしまい、保証協会などが代位弁済をして求償権を行使してくる場合、分割払いができなくなります。また、この場合、高額な遅延損害金が加算されてしまいます。以下では、これらの求償権の内容の問題を解説します。

4-1.求償権は、基本的に必ず一括請求される

保証協会などが代位弁済をして求償権を行使してくるとき、基本的に必ず一括請求になります。そのため、債務者はもともとの住宅ローンの支払いをしていた頃のように、分割払いをすることはできなくなります。

住宅ローン契約を結ぶ際、通常長期の分割払いができるように設定します。最近では、35年などの長期のローンを組むことは普通です。

しかし、住宅ローンを長期滞納すると、この分割払いが認められなくなります。先の1-2.の項目でも説明しましたが、このことを「期限の利益喪失」と言います。期限の利益が喪失されると、そのときの借金の残金を一括払いしなければならなくなります。

保証協会などが金融機関に代位弁済するということは、このような期限の利益が失われた後になります。そのため、保証協会は銀行に対して住宅ローンの残代金を分割ではなく一括払いしています。

そこで、保証協会は債務者に対してその代位弁済分を求償するのです。

すでに期限の利益がなくなった後に保証協会が銀行に一括払いしているのですから、保証協会が債務者に支払の請求をする場合(求償する場合)にも、もちろん一括請求になるということです。

このような仕組みがあるため、保証協会が債務者に求償権を行使して支払い請求する場合、必ず一括請求になってしまうのです。

4-2.高額な遅延損害金が加算される

保証協会などがもともとの住宅ローン債権者に代位弁済をして、債務者に求償してくるとき、その請求金額に対して高額な遅延損害金が加算されることが重大な問題になります。

遅延損害金とは、債務の支払を遅延していることによって発生する損害金のことです。年利〇〇%などの割合で、日割りで加算されていきます。

遅延損害金の割合は、通常の利息よりもかなり高額になります。住宅ローンの通常金利は固定金利でも2%程度ですが、遅延損害金の割合は年利14%にもなることがあります。

たとえば、残ローンが3000万円ある場合、年利14%の遅延損害金が加算されると年間42万円もの遅延損害金が加算されてしまうのです。

このように、保証協会が代位弁済をして、その後求償権を行使してくる際には、単に残ローンの支払いだけではなく、遅延日数に応じて高額な遅延損害金が加算されることに注意が必要です。

遅延日数が長くなればなるほど遅延損害金はかさんでいくため、残債務の金額は雪だるま式に増えていくことになってしまいます。

4-3.支払についての話し合いは可能

ただ、住宅ローンを滞納して保証協会が代位弁済をして、求償権で一括請求をしてきた場合、応じられないことが普通です。もともとあった分割払いですら支払うことができない人が、一括で返済できるはずがありません。

この場合、支払い方法について保証協会と話し合いをすることができます。保証協会としても、裁判を起こして取り立てるよりも、「債務者が任意で支払をしてくれた方が望ましい」と考えています。そのため、債務者に支払意思がある限り、話し合いに応じてくれます。

ただし、債務者が自分の都合で勝手なことばかり言っていても通用はしません。そのため、本当に支払の意思をもち、今の現状の収入や生活状況からできるだけの支払をする提案をする必要があります。これにより、保証協会も聞いてくれることが多いです。

実際に、上手に交渉すれば月々数万円程度、場合によっては1万円程度やそれ以下にまで分割金を抑えて様子を見てくれることもあります。

一方、保証協会からの一括請求を無視して放置してしまうと、裁判を起こされて財産を差し押さえられる可能性があるため、大変なことになります。

そのため、保証協会が求償権を行使して一括請求をしてきても、あきらめて放置するという行為は絶対にしてはいけません。きちんと保証協会と連絡をとり、支払についての話し合いをしましょう。

5.自己破産、または時効が訪れるまで支払いの義務は消えない

保証協会が代位弁済をすると、その後は求償権を行使されますが、これを放置することによって支払い義務が消えることはないのでしょうか。

もし、何らかの方法で支払い義務を消すことができるなら、苦しい弁済から解放されることになるので是非とも知っておきたいところです。

ただ、求償権の支払い義務は基本的に免除されません。

たとえば収入が少なくて生活が苦しかったり障害があったりする場合、あるいは病気で働けないなど、どうしても支払ができない事情はいろいろあります。しかし、これらの事情によって求償権への支払い義務がなくなることはありません。

求償権への支払義務がなくなる場合は、自己破産した場合か求償権が時効にかかるケースしかないのです。

以下では、それぞれについて確認します。

5-1.自己破産で求償権がなくなる

求償権への支払い義務をなくす方法の1つ目として、自己破産があります。自己破産とは、裁判所に申立をしてすべての借金や債務の支払い義務を無くしてもらう手続きのことです。

自己破産をすると、求償権も含めてすべての支払い義務が0になります。もちろん、遅延損害金の支払い義務も無くなります。そのため、高額な求償請求をされてどうしようもない場合、自己破産することによって効果的に解決することができます。

ただ、自己破産をすると、自分名義の目立った財産は基本的にすべて失うことになってしまいます。

たとえば、預貯金や生命保険、車なども失う可能性があるので、注意が必要です。

このことから、自己破産を選択する際は、特に守るべき財産などが無い場合に限ります。失っては困るものが無ければ、自己破産をして求償権支払い義務をなくす方法は、1つの有効な対処法になります。

5-2.求償権の消滅時効

前述の通り、求償権への支払義務がなくなるもう1つのパターンとして、求償権が時効にかかるケースがあります。

実は、債権には消滅時効があります。消滅時効とは、権利を行使せずに一定期間が経過することによって、権利が失われることです。

求償権に関しても、返済しない期間が長く続くと消滅時効にかかります。

5-2-1.求償権の消滅時効の期間

住宅ローンの信用保証協会の求償権の消滅時効の期間は、10年です。ただし、民間の保証会社が連帯保証人になっている場合には、時効期間は5年です。

公的な機関である信用保証協会と、民間の会社である保証会社とでは時効期間が異なるので、注意しましょう。

このように、信用保証協会が求償権を取得後、10年間一回も返済をしない状態が継続すると(民間の保証会社の場合には5年)、基本的に求償権は時効にかかってなくなります。

ただし、時効の進行は裁判をすることによって止めることができます。

そのため、信用保証協会が時効の完成前に裁判を起こして判決が出ると、さらにその時点から再度10年の時効期間が進行することになります。実際、保証協会などが、時効完成の間近になって突然裁判を起こしてくるケースは多いです。

このように、裁判手続きを繰り返すことによって、時効を永遠に完成させないことも可能です。

5-2-2.時効が完成したら援用が必要

時効が完成した場合であっても、何もしなければ求償権が消滅した効果を得ることは出来ません。

時効が完成したら、「時効の援用(えんよう)」をする必要があります。時効の援用とは、「時効の利益を得ます」、という意思表示のことです。

時効の援用をする方法としては、信用保証協会に対して内容襲名郵便という郵便によって、通知を送る方法がベストです。この方法により、「きちんとその時に時効の援用をした」という証拠を残すことができるからです。

また、時効の完成前や完成後に、保証協会から請求を受けて、求償債務を一部でも返済してしまうと時効の効果が失われてしまいます。そのため、そのような間違いを起こさないように注意しましょう。

以上のように、保証協会が代位弁済して求償権を行使してきた場合、状況によっていくつかの対処法があるので、覚えておくと良いでしょう。

ただし、きちんと保証協会と連絡をとって、支払についての話し合いをすることが基本になります。

まとめ

今回は、住宅ローンを滞納した場合の「求償権」の問題について解説しました。このように、住宅ローンを支払えなくなって放置すると、保証会社から求償権を行使されて大変な目に遭います。

また、対処法なども説明しましたが、実際に代位弁済が行われて求償権が適用されてしまうと、分割払いしているときよりも支払いが厳しくなってしまう可能性があります。

そのようなことのないよう、ファイナンシャルプランナーなどに事前に相談して、きちんと資金計画を立てておくことが大切です。

ファイナンシャルプランナーについては、「現役FPが解説!FPへ相談する前に抑えておきたい4つのこと」で詳しく述べています。