住宅・家の購入後の年間維持費:マイホームのランニングコスト

単に「家」といっても、一戸建てやマンションといったものがあります。どちらの住宅を購入したとしても、購入後は「維持費」が必ずかかることになります。

これを一般に「ランニングコスト」と呼びます。おもに、「固定資産税」や「都市計画税」といった税金のほか、「火災保険」や「地震保険」などの損害保険料、住宅ローンの契約によっては「団体信用生命保険料」といったものまであります。

これらの維持費は、一定金額ではなく、人によってまったく異なります。あなたが住んでいる都道府県や市町村によっても負担する税率や、保険料が変わってくる場合があるといった特徴があるからです。

とはいえ、これから家の購入を検討しているあなたからすれば、「家を購入した後の維持費が、おおよそいくらぐらいかかるものなのか知りたい」と考えるのは当然です。

そこで本記事では、家の購入後にかかる年間の維持費(ランニングコスト)について、注文住宅を購入した想定で幅広くまとめて紹介、解説していきます。これを学ぶだけで、マイホームにかかる年間の維持費を把握できるようになります。

1.注文住宅を買った後もかかり続ける維持費:ランニングコスト

はじめに、誤解のないように申し上げておかなければならないことがあります。

家を購入した後の維持費は、一戸建てやマンションといった家の種類や新築、中古といった状態を問わずかかるものであることを知る必要があります。

冒頭で触れさせていただきましたように、家を購入した後の維持費は、すべての人や住んでいる地域によって異なるだけではありません。新築、中古といった家の状態によって税金の軽減があったり、なかったり、その軽減が大きかったり、小さかったりといったように実に細かいのが現状です。

そのため、次項から解説する内容は、一般論も含め、例示する金額等は「参考目安」としてお役立て下さい。

1-1.家の維持費の代表!固定資産税と都市計画税とは

家の維持費の代表といえば、何と言っても「固定資産税」や「都市計画税」です。

固定資産税とは、土地や建物といった固定資産の価値に対してかかる税金のことです。これは、お住いの市町村が所有者に対して課税する地方税になります。

仮に注文住宅を建てるということは、土地を購入した後に建物を建設する流れになります。そのため、結果として土地と建物の両方を所有することになります。

つまり、注文住宅を購入した後は、土地と建物の価値に対してかかる固定資産税を納めなければならないことになるわけです。

一方、都市計画税とは、「市街化区域」にある土地と建物にかかる税金のことを指します。こちらも地方税になります。

都市計画法という法律では、都市計画税が必要な市街化区域について「原則1万人以上の人口で、商工業事業への従事者が50%以上である場合」などのように、一定の要件を満たしている地域にある土地や建物の所有者に対して課される税金のことです。

これら2つの税金をざっくりまとめると、家を購入した後に固定資産税は必ずかかりますが、都市計画税は必ずしもかかるとは限らないということになります。

1-1-1. 固定資産税評価額は、市町村が決定する

土地や建物の価値は、一般に「固定資産税評価額」と呼ばれ、固定資産税や都市計画税は、この固定資産税評価額に税率を乗じて計算されます。また、固定資産税評価額や税金額は、あなたがお住いの市町村が決定するものであり、自分で計算するものではありません。

このような仕組みを「賦課課税方式(ふかかぜいほうしき)といいます。

1-1-2.固定資産税の計算方法

課税標準額(固定資産税評価額) × 標準税率(1.4%~)

固定資産税は、市町村が決定した固定資産税評価額に税率を乗じることで求められます。固定資産税の税率は、「標準税率」という名前があるように、「1.4%」が標準の税率であり、実際のところ、この税率よりも高い市町村も存在します。

ほとんどの市町村では、標準税率(1.4%)が採用されているのが一般的です。

ただし、念のため「あなたがお住いの地域は、税率が何%なのか?」を市町村のホームページなどで確認しておくことをおすすめします。

1-1-3.固定資産税の軽減措置

家を注文住宅で建てる場合、一定の条件を満たすことで、土地と建物について「固定資産税の軽減措置」が受けられることになっています。それぞれの軽減措置の条件は、以下の通りです。

区分条件軽減措置
土地(宅地)敷地面積のうち
200㎡以下の部分
固定資産税評価額の
6分の1に軽減される
敷地面積のうち
200㎡を超から家屋の床面積の10倍までの部分
固定資産税評価額の
3分の1に軽減される

敷地面積200㎡以下と見てもあまりピンとこない方が多いと思います。はっきりと申し上げて敷地面積200㎡に注文住宅を建てるには、かなり大きな家が建つとイメージしてもらって差し支えありません。

むしろ、「敷地に余りが生じてしまうのではないか?」といったぐらい土地が広いイメージを持っていただいてもよいかもしれません。

一般に注文住宅を建てる場合、ほとんどの方が「固定資産税評価額の6分の1に軽減される」軽減措置を受けられているイメージをお伝えするために、かなり大まかな解説をさせていただきました。

区分条件軽減措置
建物居住用部分の床面積が2分の1以上で50㎡以上280㎡以下であること詳細は以下解説文を参照

新築で家を建てた場合、建物に対して固定資産税の軽減措置の適用が受けられます。

注文住宅で家を建てた場合、新築住宅となることから、「居住用部分の床面積が2分の1以上で50㎡以上280㎡以下であること」という条件にあてはまることが必要です。

床面積の合計のことを「延べ床面積」と呼びます。これについて何のことかわからない場合、以下のコンテンツを見ていただければ図解付きなのですぐに理解できます。

上記の条件にあてはまっており、かつ、3階建て以上の耐火建築物・準耐火建築物である場合は、「120㎡までの部分について、一般住宅は5年分、認定長期優良住宅は7年分の固定資産税額を2分の1に軽減される」効果があります。

また、同じように「居住用部分の床面積が2分の1以上で50㎡以上280㎡以下」という条件のみ満たしている場合は、「120㎡までの部分について、一般住宅は3年分、認定長期優良住宅は5年分の固定資産税額を2分の1に軽減される」効果があります。

1-1-4.都市計画税の計算方法

課税標準額(固定資産税評価額) × 税率(最高で0.3%)

都市計画税の計算方法は、固定資産税の計算方法と同じになります。

ただし、都市計画税の税率は、最高で0.3%までといった決まりがあり、こちらもお住まいの市町村のホームページなどで調べてみるのが確実でしょう。

1-1-5.都市計画税の軽減措置

都市計画税にも軽減措置がありますが、「土地に対してのみ」であり、建物に都市計画税の軽減措置はありません。

とても大切なポイントですので、解説が重複しますが、都市計画税が必要な市街化区域に該当している場合に対してのみ、都市計画税は課されることになります。そのため、必ずしも都市計画税をすべての人が負担しなければならないものではありません。

固定資産税の税率を確認するのとあわせて、都市計画税がかかる市街化区域であるかどうかについても確認しておくことをおすすめします。

区分条件軽減措置
土地(宅地)敷地面積のうち
200㎡以下の部分
固定資産税評価額が
3分の1に軽減される
敷地面積のうち
200㎡を超から家屋の床面積の10倍までの部分
固定資産税評価額が
3分の2に軽減される

1-1-6.固定資産税と都市計画税の初年度における負担イメージ

実際に数値に置き換えてみると固定資産税や都市計画税の負担イメージがわきやすいと思います。

そこで、ここでは、前提条件をあげて固定資産税と都市計画税の負担イメージを紹介していきたいと思います。

なお、固定資産税や都市計画税は、地方税であり市町村によって調整額が入ることがありますので、あくまでも目安とするようにして下さい。

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  • 土地の固定資産税評価額:1,800万円
  • 土地の敷地面積:150㎡
  • 建物の固定資産税評価額:1,200万円
  • 建物の床面積:75㎡
  • 注文住宅:2階建て:市街化区域に該当:固定資産税率1.4%:都市計画税率:0.3%
項目土地建物
固定資産税42,00084,000
都市計画税18,000
合計60,00084,000

1年間に納めるべき固定資産税と都市計画税は、144,000円であることがわかりました。軽減措置が適用されての金額になりますので、かなり負担が大きいことがわかります。

なお、固定資産税評価額は、3年に1回評価替えがされます。固定資産税評価額が変更になることから、固定資産税や都市計画税の負担が増減することになります。

1-2.火災保険料・地震保険料

住宅ローンの契約にあたり、建物に対して火災保険の加入を義務付けしている金融機関が一般的です。

これは、万が一、火災が発生し建物が焼失してしまった場合、火災保険の保険金で住宅ローンの債務を充当するためのいわば「担保」としての役割があるためです。

平成29年2月現在、火災保険は「10年間」が最長契約となるため、住宅ローンの返済期間中に「更新契約」をする手続きが必要になります。

つまり、火災保険を更新するための火災保険料が、最長で10年ごとに必要であることを意味します。

地震保険は、加入が任意の保険となっており、それぞれの考えの下、選択決定する必要があります。仮に住宅ローンの返済中に、地震が発生し家に被害を受けた場合、地震保険に加入していなければ補償されないものがたくさんあります。

実際に、東日本大震災や熊本地震、鳥取県中部地震など大規模な地震が発生したことによる住宅ローンの返済は深刻です。地震保険の損害算定や債務整理のガイドラインも見直され、地震保険の需要は年々高まっています。

なお、地震保険料は、都道府県によって違いはあるものの、保険会社による地震保険料の違いはありません。

要するに、都道府県が同じであれば、どこの保険会社で加入したとしても地震保険料は同額になるということです。地震保険についてさらに詳しく知りたい場合、以下の記事を見ていただければ全て理解できるのでおすすめです。

地震の火災は火災保険では補償されない:地震保険の必要性

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1-3.外壁や屋根などの建物のメンテナンス費用(修繕費)

建物は、年数を重ねるに連れ、自然に劣化していきます。そのため、外壁や屋根が劣化した際に修繕するためのメンテナンス費用を計画的に積み立てておく必要があります。

注文住宅の場合は、家がすぐに劣化するとは考えにくいため、向こう20年や30年後に向けて少額でもお金を積み立てていく対策を施しておきたいものです。

具体的には、以下の2つのポイントが重要であると考えてください。

  1. 外壁の塗り替えは10年間隔が目安
  2. 屋根の葺き替えは使用されている建材によって異なる

1-4.団体信用生命保険料

団体信用生命保険とは、住宅ローンを抱えている債務者(借りた人)が、死亡や高度障害などに陥った場合に残っている住宅ローン債務を保険金と相殺するための生命保険です。

7項目で解説!住宅ローンと一緒に入る団体信用生命保険とは

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金融機関によって団体信用生命保険の加入に関する取り扱いは異なりますが、ほとんどの場合「加入が必須」となっています。

また、団体信用生命保険料は、「住宅ローンの金利に上乗せ」される場合と「別途、保険料として支払う」パターンがあります。こちらも、住宅ローンを申し込んだ金融機関によってその取り扱いが異なります。

たとえば、全期間固定金利のフラット35におきましては、団体信用生命保険の加入は「任意加入」となっているほか、「別途、保険料として支払う」タイプのものになっています。

以下、シミュレーション条件を設定し、住宅金融支援機構が提供している「機構団信特約料シミュレーション」を利用して概算の団体信用生命保険料を計算して紹介していきます。

  • 借入金額:3,000万円
  • 金利:1.5%
  • 返済方法:元利均等返済
  • 返済期間:35年
  • 段階金利:なし
  • 3大疾病保障:なし
  • 夫婦連生団信:なし
住宅金融支援機構 機構団信特約料シミュレーション

参考:住宅金融支援機構・機構団信特約料シミュレーションより

シミュレーターに返済条件を入力することで、上記のような団体信用生命保険料の概算金額が出力されます。

特約料を12ヶ月で割ることで、1ヶ月に負担する概算保険料が計算できるほか、ボーナス払いやクレジットカード払いなど支払方法が多様化されている特徴もあわせ持っています。

住宅ローンをフラット35で申し込む場合は、団体信用生命保険料の概算金額をしっかりと確認し、返済計画に反映するのを忘れないよう心掛けたいものです。

フラット35とは?金利や仕組みメリット・デメリットをわかりやすく解説

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2.すべてを合計した1年間あたりの家の維持費

冒頭で述べた通り、注文住宅を建てた場合における1年間の維持費は、人それぞれ異なります。

また、市町村が実際に評価する土地や建物の固定資産税評価額は、実際の購入金額よりも少なくなるのが一般的です。

たとえば、土地を1,000万円、建物を2,000万円で注文住宅を建てた場合におきましても、これらの金額が固定資産税評価額にはならないことを意味します。

注文住宅は、実際に家が建ってみなければ固定資産の評価のしようがないからです。そのため、市町村にどのくらいの税金がかかるのか問い合わせたところで、「建ってみてからでなければわからない」と即答されます。

また、都道府県や市町村、市街化区域であるかなどの細かな条件のほか、住宅ローンの組み方や火災保険の補償内容など、さまざまな項目によって維持費が決定されます。

そのため、先に解説した計算例などを目安に資金計画を立てておくことをおすすめしたいと思います。

3.維持費を無理なく払うために、定期的にお金を積み立てておく

家を購入した後の維持費は、マイホームを所有している限り何かしらの費用が必ず発生することになります。特に固定資産税は、原則として年4回で毎年納めなければならない維持費であり、住宅ローンの返済金額とは、別途切り離して考える必要があります。

実際のところ、人によって家の維持費のかかり方は、まったく異なります。

しかし、無理なく維持費を支払っていくためには、やはり定期的かつ計画的にお金を積み立てておくことが大切になります。

まとめ

注文住宅を建てた後にかかる維持費を再度、まとめて箇条書きします。

  • 固定資産税:必ずかかる。3年に1回評価替え
  • 都市計画税:市街化区域にかかる
  • 火災保険料:加入を義務付けている場合がほとんど
  • 地震保険料:加入は任意
  • 団体信用生命保険料:フラット35や保険料支払タイプの場合は負担が必要
  • 家の修繕積立金:経年劣化による家の修繕費用の積立金

住宅ローンの組み方や火災保険の加入の仕方などを考慮することで、家を建てた後の維持費は極度に心配する必要はないと思われます。

むしろ人生で最も高い買い物であるからこそ、家の維持費よりも家の価値観を重視する考え方を持っても自然だと思います。

本記事より固定資産税評価額が、家の維持費に大きな影響をご理解いただけたかと思います。これをもとに、不動産業者に近所の相場について尋ねてみたり、家を建てる近くに知り合いがいれば訪問してみたりする方法も一策でしょう。

また、市町村の固定資産税課税台帳を閲覧するなどで、周りの評価額を確認することも可能です。あなたに合った方法を探し出し、実践してみることをおすすめ致します。