収入合算(ペアローンと連帯債務者と連帯保証人)の違いと控除

住宅ローンの申し込みをする際において、あなた一人では希望金額の融資を受けることが難しい場合があります。

そこで、時にあなただけでなく、パートナーの協力が必要になります。

たとえば、あなたの所得と配偶者、あるいは両親と収入を合わせて、いわゆる「収入合算」が協力の典型パターンです。実は、このパートナーにかかる協力には様々な方法があります。具体的には、以下の3つです。

  1. 連帯債務
  2. 連帯保証
  3. ペアローン

通常、住宅ローンの返済は何十年という長期に渡って行われるべきものです。そのため、これらの方法を正しく理解し最適な方法を選ぶことは、住宅ローンの返済に欠かすことはできない知識と言えます。

ただ、初めて住宅ローンを借りるあなたにとって、それぞれの違いはよくわからないはずです。

そこで本記事では、「連帯債務」「連帯保証」「ペアローン」における収入合算や、住宅ローン控除などの制度における違いを分かりやすく解説していきます。

収入合算で住宅ローンの借り入れを検討されている方は、ぜひ、参考にしてください。

1.そもそも収入合算とは

収入合算とは、住宅ローンの審査基準を通過するのに1人の収入では厳しいと判断される場合において、配偶者や同居をする予定の両親と収入を合わせてローンの申し込みを行うことを言います。

つまり、1つの住宅ローンを借入するために、パートナーと収入を合算して借入するということです。

たとえば、夫の給料が「380万円」だとします。ここに、妻のパート代「80万円」をプラスして、460万円の世帯収入でローンの審査を受けられるということです。

収入合算のイメージ

一般に収入合算をすると、1人の収入で住宅ローンを組む単独ローンよりも、借入可能額が大きくなるメリットが得られます。

それだけでなく、住宅ローンの審査に通過しやすくなり、希望の融資金額が借りやすくなるなどのメリットもあわせて得られることになります。

1-1.夫婦の収入はどの程度の割合で合算できるのか

大前提として、実際に夫婦で収入合算できる割合は、金融機関によって異なります。そのため、住宅ローンの申し込み前に事前確認しておく必要があります。

この理由として、あなたが思っていたような収入合算ができないことによって、希望の融資が通らない可能性があるからです。

その結果、かえって申し込みを行う金融機関を変えなければならないこともあります。

このような事態に陥らないためにも、必ず事前に確認しておくことをおススメいたします。

収入合算の一例ではありますが、夫婦の収入合算について夫婦いずれの収入もすべて合算して考慮してくれる金融機関もあります。この場合、主に副債務者(収入の少ない方)の収入の50%までを主債務者(収入の多い方)の収入に合算できるといった方法など様々です。

夫婦がそれぞれ稼いでいるからといって、全て収入合算できるわけではないため、注意してください。

1-2.収入合算では、夫婦それぞれが返済責任を負う

収入合算の際、夫婦それぞれは次項で解説していく「連帯債務者」、もしくは「連帯保証人」になることが合わせて求められます。

収入合算をするということは、あなたの持分(借金)だけではなく、あらかじめ大きなリスクを抱えてしまうことも理解しておく必要があります。こちらに関しましては、後程詳しく解説していきますが、

2.収入合算における主な3つの種類

冒頭で述べた通り、住宅ローンの収入合算は、以下の3つの方法があります。

  1. 連帯債務
  2. 連帯保証
  3. ペアローン

本項では、これら3つについてそれぞれ解説していきます。

2-1.連帯債務・連帯債務者とは

連帯債務とは、夫婦それぞれが金融機関に対して、「返済をしなければいけない」という債務を抱えることを言います。そして、夫、妻、それぞれを連帯債務者と言います。

連帯責務・連帯責務者のイメージ

たとえば、夫婦で2,000万円の住宅ローンを連帯債務で申し込んだとします。

連帯債務は、夫婦それぞれが2,000万円の住宅ローンを共に返済していかなければならない返済義務を負うことになるのです。これと同時に、夫の債務を妻が、妻の債務を夫がそれぞれ抱える特徴もあります。

実務上では、夫の持分、妻の持分を決定し登記することとなります、

しかし、自分の持分の債務を返済すればよいといったことではなく、あくまでも夫婦で同一の債務を返済していく(この場合は2,000万円)方法が連帯債務です。

2-2.連帯保証・連帯保証人とは

連帯保証とは、夫もしくは妻のいずれかが金融機関に対して債務を抱えることを言います。そして、もう一方がその債務を連帯して返済する義務を負う方法のことです。

連帯保証人のイメージ

たとえば、夫が2,000万円の住宅ローンの融資を受け、妻が連帯保証人になったとします。

このとき、夫は金融機関に対して2,000万円の債務を当然に抱えることになります。もし、夫が住宅ローンの返済ができなくなってしまった場合、妻が夫の代わりに債務を弁済する義務を負うのが連帯保証です。

連帯債務と連帯保証について、それぞれの立場と違いをざっくりまとめます。

内容
連帯債務返済義務 〇返済義務 〇
連帯保証返済義務 〇返済義務 △

妻の立場で連帯債務と連帯保証を考えると、その違いが分かりやすいと思います。

連帯債務の場合、必ず債務を弁済(べんさい:返済すること)する義務があります。

一方、連帯保証の場合、夫が住宅ローンの債務を弁済できなくなった時などにおいて代わりに返済義務を負うことになります。そのため、当初から返済義務を負っているか、そうでないかの違いになります。

2-3.ペアローンとは

ペアローンとは、同居予定の親子や夫婦が、1つの住宅を購入する際にそれぞれ別々に住宅ローンを組むことを言います。

連帯責務・連帯保証人のイメージ

ペアローンの特徴と致しましては、住宅ローンの契約が2つに分かれ、親子や夫婦がそれぞれの名義で1つずつ住宅ローンを組むことになります。

たとえば、夫「1,000万円」妻「1,000万円」といった具合です。

ペアローンの詳細につきましては、当サイト内に別記事として詳しく掲載しています。以下の記事を参考にしていただくことを、おすすめ致します。

共働きで住宅ローンを返済するペアローンとは?:メリット・デメリット

2017.05.11

3.「住宅ローン控除」の違い

金融機関などから住宅ローンの融資を受けて住宅購入をした場合、一定の条件を満たすことで「住宅ローン控除」の適用が受けられます。

住宅ローン控除とは、年末(12月31日)時点の住宅ローン残高に、一定割合を掛けた金額が所得税と住民税から直接控除される制度のことをいいます。

控除期間における税負担が、大幅に軽減される効果が期待できるメリットがあります。

住宅ローン控除の詳細につきましては、同サイト内の以下リンクから確認してください。本項では、連帯債務や連帯保証、ペアローンにおける住宅ローン控除の取り扱いについて、以下、表にまとめて紹介します。

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住宅ローン控除(減税)とは:必要書類から確定申告の方法まとめ

2016.04.07
内容連帯債務連帯保証ペアローン
住宅ローン控除の
適用の有無
×
制度の取り扱い
による違い
なし(すべて共通)
注意点債務の持分に対して控除が受けられる

3-1.住宅ローン控除の適用の有無

住宅ローン控除は、連帯債務とペアローンの場合は、夫婦それぞれが制度の対象になります。

連帯保証の場合は、主債務者のみの対象となるため、注意が必要です。

夫婦共働きでどちらも税負担がある場合、または税負担が懸念される場合などにおかれましては、できる限り「連帯債務」や「ペアローン」といった方法を選択する方が「連帯保証」よりも得策な場合もあります。

住宅ローン控除の恩恵を、最大限受けられるからです。

ただし、ペアローンの場合、住宅ローンの契約をそれぞれが行う必要があります。そのため、諸費用などの負担が多くかかってしまうデメリットも、あらかじめ理解した上で検討する必要性があります。

参考:共働きで住宅ローンを返済するペアローンとは?:メリット・デメリット 3.ペアローンのデメリット

3-2.住宅ローン控除の取り扱いによる違いや注意点

親子間や夫婦間で住宅ローンを組む場合において、連帯債務やペアローンを利用した住宅ローン控除の取り扱いによる違いはありません。

ただし、注意点として、債務の持分に対して控除が受けられることがあげられます。イメージは以下の通りです。

  • 借入金額:3,000万円
  • 金利:固定金利1.5%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • ペアローンの持分:夫3分の2・妻3分の1
  • 返済月:1月から開始
比較項目単独ローンペアローン(夫)ペアローン(妻)
年末住宅ローン残高29,343,23319,562,1559,781,078
初年度
住宅ローン控除額
293,400195,60097,800

連帯債務もペアローンも、住宅および債務の持分を決定して登記手続きを行います。

この持分に対して住宅ローン控除が適用になるため、双方が単独ローンのような大きな優遇を受けられるわけではないことに注意が必要です。

4.「団体信用生命保険」の違い

団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者が「死亡」、あるいは「高度障害状態」になったときに、保険会社から支払われる保険金によって、残っている住宅ローンを遺族に代わって全額支払ってくれる保険のことを言います。

つまり、住宅ローンが完済され、支払い義務がなくなるということです。

本項では、連帯債務や連帯保証、ペアローンにおける団体信用生命保険の取り扱いについて解説していきます。

項目団体信用生命保険の取り扱い
連帯債務連帯債務者がそれぞれ単独で団体信用生命保険に加入する

(金融機関によっては夫婦連生団信といって、どちらかが亡くなるか高度障害に陥ることで債務がすべて免除になるものもある)
連帯保証主債務者のみ加入および保障の対象となる
ペアローンペアがそれぞれ単独で団体信用生命保険に加入する

団体信用生命保険は、住宅ローンの債務者が加入できる生命保険です。そのため、連帯債務者の双方やペアローンのペアは、個々に加入するものになります。

ただし、連帯保証の場合は、主債務者のみが団体信用生命保険に加入できます。

以下のイメージ図で、団体信用生命保険の効果を解説していきます。

  • 借入金額:3,000万円
  • 金利:固定金利1.5%
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利均等返済
  • ペアローンの持分:夫3分の2・妻3分の1
  • 返済月:1月から開始
比較項目単独ローンペアローン(夫)ペアローン(妻)
年末住宅ローン残高29,343,23319,562,1559,781,078
初年度
住宅ローン控除額
293,400195,60097,800

仮に、夫が住宅ローンを「単独ローン」で組んで団体信用生命保険に加入したものとし、不幸にも年末(12月31日)に亡くなってしまったとします。

このとき、抱えていた債務額29,343,233円は、団体信用生命保険の保険金で完済され、残された遺族に住宅ローンの返済義務は生じないこととなります。

また、「ペアローン」で住宅ローンを組んだ時も同じです。夫が年末に亡くなってしまった場合、19,562,155円が団体信用生命保険の保険金で完済されます。

ただ、残された妻は、自分が抱えている債務9,781,078円を引き続き返済していく必要があります。

ただし、「連帯債務」の場合で夫婦連生団信に加入していた場合、夫の債務19,562,155円だけではなく、妻の債務9,781,078円もあわせて返済免除されることになるのです。

夫婦連生団信は、保障が極めて優れている分、団体信用生命保険料が高い特徴があります。そのため、その辺りの注意点も視野に入れながらどのように団体信用生命保険に加入するのが、得策なのかしっかりと検討することが大切です。

参考:7項目で解説!住宅ローンと一緒に入る団体信用生命保険とは 1-5.夫婦が連帯債務者の場合、デュエット(夫婦連生)がある

まとめ

本記事では、「連帯債務」「連帯保証」「ペアローン」における収入合算や住宅ローン控除などの制度における違いを解説してきました。

また、これに加えて、団体信用生命保険に関する取り扱いについて分かりやすく解説させていただきました。

首都圏や地方では、収入や住宅購入に関する事情が様々異なることから、それぞれお住いの地域の実情に合わせたベストな選択肢というものがあると思われます。

たとえば、首都圏では高層マンションが立ち並ぶ一方で、地方ではマンションそのものがあまり建設されずに注文住宅や建売住宅といった持ち家率が高い特徴があります。

そのため、住宅ローンの組み方も「連帯債務」「連帯保証」「ペアローン」のどの方法が良いとは、はっきりと言い切ることはできません。

夫婦の収入におきましても、このような地域間の格差が生じていることから、尚更、住宅ローンの組み方における「連帯債務」「連帯保証」「ペアローン」のどの方法が良いとは、はっきりと言い切ることはできないわけです。

このような理由から、仮に住宅ローンを「連帯債務」「連帯保証」「ペアローン」のいずれかで検討している場合には、一度、融資の申し込みをしようと検討している金融機関へこれらの取り扱いが可能であるかどうかを必ず確認するようにして下さい。

その際、合わせて収入合算についても確認し、「収入金額」が合算できるのか「所得金額」が合算できるのかについても詳しく確認しておきましょう。どの程度合算できるのか、確実に問い合わせておきたいものです。

これは、「住宅ローンの審査」や「将来の住宅ローン返済」に極めて大きな影響を及ぼすため、忘れずに問い合わせておきましょう。