住宅ローンの審査は、申し込みした方の収入や債務状況など、さまざまなことを総合的に審査・判断して融資が決定される流れとなります。
この時、クレジットカードの利用履歴や新たな使用についても、住宅ローンの審査に大きな影響を与えることになります。
住宅ローンの審査に通過した後、融資実行前のクレジットカードの利用方法には、注意が必要なこともあるのです。
そこで本記事では、住宅ローンとクレジットカードの利用における関係性について解説を進めていきます。
目次
1.住宅ローン審査後、融資実行前にクレジットカードを利用する際の注意点まとめ
クレジットカードは、おもに買物やサービスを受けた際の代金を後で支払う「ショッピング機能」と、いつでも必要な時にお金を借入することができる「キャッシング機能」といった2つの機能を持ちあわせている場合が一般的です。
また、ショッピング機能には、代金を後でまとめて支払う「一括払い」のほか、複数回にわけて支払う「分割払い」や「リボルビング払い」といった方法があります。
基本的には、住宅ローンの審査に通過した後、融資実行前までにクレジットカードを利用することは、以後、融資実行までに影響を及ぼす場合とそうでない場合に分けられます。
大まかな分類は、以下の表の通りです。
住宅ローンの審査通過後、融資実行前までに新たにかかる影響一覧
クレジットカード利用方法 | 住宅ローンの審査通過後、融資実行前までに新たにかかる影響 |
ショッピング (一括払い) |
× (影響なし) |
ショッピング (分割払い) |
△ (分割払いの回数によって影響が生じる可能性もある) |
ショッピング (リボルビング払い) |
〇 (影響あり) |
キャッシング (現金を借入して支払う方法) |
〇 (影響あり) |
上記一覧表をもとに、それぞれのクレジットカード利用方法が、なぜ影響を与えることになったり・ならなかったりするのか、個別に解説を進めていきます。
1-1.クレジットカードを一括払いで利用した場合
住宅ローンの審査通過後から融資実行前までにクレジットカードを一括払いで利用したとしても、基本的に融資に対して何ら影響を与えることはありません。
この理由は、クレジットカードを一括払いで利用した履歴は、個人信用情報に記載されることがないためです。
一般に、住宅ローンの融資をする金融機関が融資の決定をしますと、融資実行までの期間において「個人信用情報に著しい変化がないか」「勤務先に引き続き在籍しているか」などを再確認する場合があります。
この時、クレジットカードを一括払いで利用した履歴が個人信用情報に記載されることがないということは、結果として、住宅ローンの審査前と審査後の変化がないことを意味します。
このため、融資に対して影響を及ぼすことはないと考えられるわけです。
ただし、クレジットカードを利用して一括払いで買物やサービス代金を支払う場合で、クレジットカード会社が指定している引き落とし日に代金が決済されない場合は、個人信用情報に代金を遅延した履歴が残ることになるため注意が必要です。
1-2.クレジットカードを分割払いやリボ払いで利用した場合
住宅ローンの審査通過後から融資実行前までに、クレジットカードを分割払いやリボ払いで利用した場合は、融資実行に対して何らかの影響を与えてしまう懸念が生じることになります。
たとえば、クレジットカードの分割払いで、2回払いなど支払回数が少ない場合であれば、大きな影響を与えることはないと考えられます。
なぜなら、融資実行から住宅ローンの返済開始までの期間において、決済が完了していると思われるためです。
しかしながら、
- 分割払いの回数が多く年単位での支払いとなる場合
- リボ払いの場合
これらの場合には、住宅ローンの審査項目にあたる返済負担率に大きな影響を与えてしまう可能性が生じます。
この結果、住宅ローンの審査が再度やり直しになってしまう可能性も否めません。
最悪なケースとしては、融資の白紙撤回です。
当然のことながら、これはご自身の不手際によって生じたものでありますから、「知らなかった」では済まされません。
事前の注意事項として、必ず知っておかなければならないことなのです。
以下、懸念されるパターンの一例を紹介しておきます。
住宅ローン本審査通過後のクレジットカード使用について
先日、住宅ローンを申込み2200万の融資を受けれることになりました。
住宅ローンの本審査を申し込んだ日にクレジットカードの支払いを「後からリボ」のサービスを利用し35万円ほどリボ払いにしました。
本審査の申し込み日と同じ日にリボ払いにしたので結果が心配だったのですが融資可能ということで連絡を頂きました。
融資は上棟の時、内装完成時、引き渡し時と3回に分けて工務店に支払われる予定です。
銀行からは電話での融資可能という連絡を受けただけで後日、銀行に行き通帳を作る予定になっています。
その為、銀行からクレジットカードを使用するな、などという条件は何も言われていません。
融資可能ということだったのでリボ払いがあることも含めて住宅ローンに通ったのだと思ったのですが、リボ払いにしたのが申し込み日と同じだった為、信用機関にはまだリボ払いということが反映されていなくてリボ払いが無いということで審査に通ってしまったのではないかと不安になっています。
今後、融資実行前になってリボ払いが原因で融資不可となることもあるのでしょうか?銀行側が融資実行前や契約前に再度、信用機関を調べることもあるのでしょうか?
もう既に解体、建設も始まっており不安で仕方ありません。
(弁護士ドットコムより引用)
クレジットカードを利用して当初一括払いを選んでいたのにも関わらず、途中で資金面の理由からリボルビング払いに変更していることが、質問内容から確認できます。
また、リボ払いにしたのが申し込み日と同じだった為、「信用機関にはまだリボ払いということが反映されておらず、リボ払いが無いということで審査に通ってしまった」という予測は正にその通りです。
35万円と高額なリボルビング払いは、少なくとも返済負担率に影響を及ぼすことになります。
そんため、住宅ローン審査当初から余裕を持った返済負担率であれば問題ないと解される一方で、ギリギリの返済負担率であれば厳しい状況に陥ることも十分予測できます。
1-3.クレジットカードのキャッシングを利用した場合
住宅ローンの審査通過後から融資実行前までにクレジットカードのキャッシングを利用した場合は、融資実行に対して影響を与えてしまう懸念が生じることになります。
キャッシングは、借入目的を問わない借金であり、住宅ローンを融資する金融機関側はこの手の借金があることを非常に嫌うのです。
したがって、こちらも住宅ローン審査当初から余裕を持った返済負担率であれば何とか問題ないと解される可能性がある一方で、ギリギリの返済負担率であれば厳しい状況に陥ることを覚悟しなければならないでしょう。
1-4.住宅ローンが融資実行されるまで派手なことをしなければ何も問題は生じない
これまでの解説をざっくりまとめますと、要は、住宅ローンが融資実行されるまで派手なことをしなければ何も問題は生じないと結論付けることができます。
どうしてもクレジットカードを活用しなければならないのであれば、一括払いに留めておくようにしましょう。
仮に、質問例のように高額な利用をしなければならないのであれば、夫婦で支出金額を分けてそれぞれ一括払いをする、とにかく融資実行が完了するまで待つ、といった工夫が必要です。
分割払いやリボ払い、キャッシングは融資実行まで控えること、ただそれだけのことでありますから、何ら難しいことは無いはずです。
2.新たなローン契約や新たなクレジットカード契約も絶対に避ける
住宅ローンが融資実行されるまで派手なことをしなければ何も問題は生じないことをお伝えしましたが、分割払いやリボ払い、キャッシングに加え、新たなローン契約や新たなクレジットカード契約も絶対に避ける必要があります。
住宅ローンの本審査が通過すると、いよいよ夢のマイホームが手に入るということで、どうしても浮足立ってしまうのはわかります。
しかし、無事に融資実行されるまでは、気を引き締めておかなければなりません。
ファミリーカーを一新するために自動車ローンを契約したり、新たな家具や家電の購入に際して、新たなクレジットカードを契約するなどといったことは、定番のありきたりなパターンとも言えますが、融資実行まで我慢するように心掛けましょう。
まとめ
住宅ローンの審査通過後において、融資実行前にクレジットカードで買物するのは問題ありません。
ただ、あくまでも一括払いでクレジットカードを利用した場合のみと理解しておく必要があります。
ちなみに、インターネットを通じてさまざまな情報が公開されておりますが、たとえば、住宅ローンの審査通過後から融資実行前までに、分割払い・リボ払い・キャッシングなどを行っても大丈夫だったという体験談もあることは確かです。
しかしながら、これらの体験談を参考にしてもリスクが高すぎることを十分ご自身が理解しておきましょう。
それと同時に、事前対策として、できる限りクレジットカードを活用するのを控え、新たな信用取引を絶対に行わないことを心掛けましょう。
本審査終了から融資実行までに極端に長い日数がかかるわけではありませんので、たったその短い期間を我慢すれば良いだけなのです。
リスクを犯してまで短い期間を待たない理由がどこにあるのか自問自答した上で、冷静な判断と対策が必要になることは言うまでもないでしょう。