代位弁済とは:住宅ローンを滞納した際の問題と3つの対処法

マイホームを購入する場合、現金一括で支払いをするのは難しいです。そのため、住宅ローンを組む方はたくさんいます。

ただ、住宅ローンの支払いが途中で苦しくなることがあります。たとえば、普段の給料なども少なく、家計が圧迫されていることもあるでしょう。

このとき、住宅ローンの支払いが出来なくなったら、どうなってしまうのでしょうか。実は、住宅ローンを長期滞納すると、住宅ローンの保証会社が「代位弁済(だいいべんさい:債務者の代わりに保証会社が残ローンを清算すること)」することになります。

しかし、単に代位弁済といっても、これについて詳しく理解している人は少ないです。

そこでこのページでは、代位弁済の概要を分かりやすく解説するのはもちろんのこと、リスクや対処法も合わせて説明していきます。これを学ぶことで、財産の差し押さえや自己破産などの問題を回避できるだけでなく、金融機関との交渉術も身につきます。

目次

1.代位弁済とは

代位弁済とは、借金に保証人がついている場合、債務者(借入する人)がその借金を返済できなくなった際にその人が代わりに残りのお金を支払うことを指します。

住宅ローンを借入する場合、通常、保証協会や保証会社を付けます。そのため、債務者が住宅ローンの支払いを滞納すると、保証協会が代位弁済します。

つまり、あなたがもし住宅ローンの支払いができなくなってしまうと、「保証会社が残金を一括清算してくれる」ということです。

代位弁済のイメージ

保証協会が代位弁済したその後は、あなたに支払いの請求が来ることになります。

以下では、この代位弁済について、もう少し詳しく見てみましょう。

1-1.代位弁済は2種類ある

住宅ローンを組む場合、連帯債務(れんたいせきむ:夫婦で住宅ローンを組む場合、それぞれに完済する責任があるということ)にしたり、連帯保証人をつけたりすることが多いです。もし、連帯債務者や連帯保証人がいる場合に住宅ローンを滞納した場合、それらの人が代位弁済することになります。

そのため、代位弁済には以下の2種類があることが分かります。

  • 個人が連帯債務者や連帯保証人になっている場合
  • 信用保証協会や保証会社が連帯保証人になっているケース

中には、この両者を併用することも多いです。

1-1-1.保証人・連帯債務者がいる場合

連帯保証のイメージ

前述の通り、住宅ローンを組む場合、個人の連帯保証人をつけることがあります。また、夫婦などで連帯債務を組むことも多いです。

このように、連帯保証人をつけたり連帯債務を組んだりすると、収入の審査の際にその連帯保証人や連帯債務者の分も合算できます。すると、借り入れができる金額が大きくなったり、審査に通りやすくなったりするというメリットがあります。

ただし、連帯保証人や連帯債務者がいる場合、債務者が住宅ローンの返済を滞納してしまうと、債務者の代わりにその人たちが住宅ローンを返済しなければなりません。これが、1つ目の代位弁済のケースです。

1-1-2.信用保証協会に依頼する場合

住宅ローンの代位弁済のパターンとして、住宅ローンの連帯保証を信用保証協会に依頼するケースもあります。住宅ローンを組む場合には、個人の連帯保証人だけではなく、通常は信用保証協会などの保証機関にも連帯保証人になってもらいます。

この場合に住宅ローンを滞納すると、滞納分は信用保証協会が代わりに住宅ローンを支払います。この信用保証協会による支払が2つ目の代位弁済です。

1-2.信用保証協会とは

そもそも、信用保証協会とはどのような機関なのでしょうか。

信用保証協会とは、個人や中小企業などが金融機関から借入をする際に、「彼らが保証をすることによって借入がしやすいようにする」ことを専門としている機関のことです。

※全国信用保証協会のホームページはこちら

住宅ローン以外にも、たとえば日本政策金融公庫などから各種の融資を受ける際などにも、信用保証協会が保証してくれます。

1-2-1.信用保証協会はあくまでも保証人代わり

信用保証協会はなぜ必要になるのでしょうか。

通常、金融機関からお金を借りるには、連帯保証人などの保証人をつけることが要求されます。たとえ莫大な資産を有している金融機関であっても、「何の対策もないまま高額のお金を貸し付ける危険は冒したくない」と考えているからです。

たとえば、あなたが友人に大金を貸し出す際、「必ず返してくれる保証」がなければ断るはずです。

このとき、連帯保証人がいれば、もし主債務者(お金を借りた人)が借金の返済をしなくなっても、連帯保証人が代わりに支払ってくれるので安心です。

しかしながら、ここで主債務者が適切な連帯保証人を用意出来ないことがあります。また、連帯保証人を用意したとしても、必ずしも十分とは言えません。

そこで、信用保証協会に連帯保証をしてもらうのです。信用保証協会は、保証を専門にしている公的な機関であるため、主債務者が支払ができなくなった際に、必ず信用保証協会から全額の支払(代位弁済)を受けることができます。この方法で、金融機関は、確実に貸したお金を回収出来るのです。

この意味で、信用保証協会は、あくまでも住宅ローンの「保証人の代わり」と言えます。

1-3.保険ではないため、代位弁済後に保証協会へ返済が求められる

ここまでの内容を理解することで、住宅ローンを滞納してしまうと、信用保証協会が住宅ローンを代わりに支払う「代位弁済」が行われることが分かりました。このとき、「滞納した人は、そのまま支払をしなくてよくなるのか?」という疑問が生まれます。

保証協会による代位弁済が生命保険のようなものであれば、保証協会への支払は不要になるはずです。しかし、代位弁済は保険ではありません。

信用保証会社は、あくまで「保証」をしているだけであり、これは1種の立替払いのようなものです。そのため、信用保証協会が代位弁済した場合、債務者は、信用保証協会に対してその代位弁済分を返済しなければなりません。

つまり、信用保証協会は、一時的に住宅ローンをあなたの代わりに支払ってくれるだけであり、最終的な責任は、借りた本人にあるということです。

そのため、信用保証協会が代位弁済してくれたからといって、「もう支払わなくていい」とうわけにはいきません。

その後は、信用保証協会から代位弁済分の請求をされてしまうので、住宅ローンの返済を滞納していた頃よりも、さらに厳しい状況に追い込まれるケースも多いです。

1-4.代位弁済で支払われた金額は、必ず一括請求される

信用保証協会が住宅ローンを代位弁済したら、その後は、主債務者に対して代位弁済分を支払い請求してきます。

このとき、信用保証協会からの請求金額が気になるところです。

当然のことながら、信用保証協会がどのくらいの住宅ローンを金融機関に代位弁済したかで変わります。

そのため、代位弁済後に信用保証協会が返済請求する金額は、あくまで信用保証協会が実際に金融機関に対して立替払いをした金額になります。

また、信用保証協会が金融機関に代位弁済する場合には、通常住宅ローンのそのときの「残額」と「遅延損害金」を一括払いします。

遅延損害金とは、以下の1-6.の項目で詳しく説明しますが、「借金返済を遅延したことによって発生する損害金」のことです。これは年率計算で日割りで計算しますが、通常の利息の利率よりも相当高利率になることが多いです。

信用保証協会は、住宅ローンの残りの残金と遅延損害金の一括払いをするため、当然主債務者に対しても、同じように住宅ローンの残ローンと遅延損害金の一括払いを請求してきます。

要するに、住宅ローンを滞納して信用保証協会が代位弁済した場合、もはや住宅ローンの分割払いはできなくなり、一括請求されてしまうことになります。これを、求償権(きゅうしょうけん)と呼びます。

1-5.求償権とは

代位弁済の問題を考える際、求償権という言葉を知っておく必要があります。

求償権とは、連帯保証人や連帯債務者が主債務者(借金した本人)の代わりにその借金を返済した際に、主債務者に対して支払い請求をする権利のことです。

求償権とは

連帯保証人などは、主債務者が支払をしなくなったらその代わりに支払をしなければなりません。これは、代位弁済です。前項で述べた通り、代位弁済は、あくまで主債務者の代わりにいったん立替払いをしているだけです。

そのため、その後は「代位弁済分を返してほしい」と言って返済請求することができます。この返してもらうための返済請求権のことを「求償権」と言います。

信用保証協会が代位弁済後に主債務者に対して返済請求してくることも、この求償権を行使しているのです。

求償権については、「住宅ローンの代位弁済で発生する求償権を知る5つのポイント」で分かりやすく解説しているため、確認しておきましょう。

1-6.利息は発生しないものの、遅延損害金が発生する

ここまで、住宅ローンを滞納すると、信用保証協会などの保証会社が代位弁済が行われることが分かりました。そして、保証協会から、代位弁済分を求償権によって返済請求されることを理解できたと思います。

このとき、単に保証協会が支払った金額だけでは無く、遅延損害金という金額が加算されます。

遅延損害金については、上記でも少し説明しましたが、借金などの返済を遅延したことによって発生する損害金のことです。遅延損害金は、遅延している借金に対し、「年利〇〇%」といった割合で加算されます。

また、遅延損害金の割合は、通常の利息よりもかなり高額になります。

たとえば、通常の住宅ローン金利は、固定金利であっても年利2%くらいですが、遅延損害金の利率は年利14%以上になることは普通です。高額な遅延損害金が住宅ローン残額の全額に対して加算されます。

そのため、保証協会に返済しなければならない住宅ローンの金額は雪だるま式に増額されてしまいます。

たとえば、住宅ローンを滞納して、保証協会がそのときの住宅ローン残額である1000万円を代位弁済したとします。

このとき、遅延損害金の割合が年利14%の場合、1年で140万円もの遅延損害金が発生するということです。1ヶ月について10万円以上の遅延損害金が加算されていくことになります。

このことから分かるように、いったん代位弁済が起こると、債務の額が驚くほどの早さで膨らんでいくことになります。そのため、「支払うことができなくなったら代位弁済を適用すればよい」という考えは非常に危険です。

1-7.保証会社や債権回収株式会社も同様

ここまで、住宅ローンの保証機関として信用保証協会を例にとって説明してきました。

実は、信用保証協会に限らず、「民間の保証会社がついている場合」や、「住宅ローンの残額を債権回収会社が買い取った場合」も同様です。

信用保証協会以外の民間の保証会社が入る場合、保証会社が支払った代位弁済分については、後日、保証会社から主債務者に対して返済請求されることになります。もちろん、高額な遅延損害金も加算されます。

一方、債権回収会社も同様です。債権回収会社とは、不良債権(回収困難な債権を)を買い取り、もともとの債権者(回収する人)に変わって債務者に支払の請求をすることを目的としている会社のことです。

分かりやすく説明すると、焦げ付いた債権を安く買い取って、自分で債権回収することによって利益を得ている会社だと考えると良いでしょう。いわゆる「取り立て」です。

そのため、住宅ローンなどの借金を長期滞納していると、債権回収会社がもともとの債権者から、住宅ローンの残債権と遅延損害金の分の債権を買い取ってしまうことがあります。

すると、もともとの債権者から「債権譲渡通知(さいけんじょうとつうち:「債債権を譲渡しましたよ」という通知)」が届いて、その後は債権回収会社から住宅ローン残額の支払い請求を受けることになります。

債権回収会社のイメージ

この場合の請求内容も、保証協会が代位弁済した場合と同じように、住宅ローン残額の全額の一括払い請求となります。そして、同じように高額な遅延損害金が加算されます。

このように、住宅ローンを滞納した場合、どのようにしても保証協会や保証会社、債権回収会社などから支払い請求をされます。そのため、支払から逃れることはできません。

むしろ、一括請求される上に遅延損害金まで加算されるため、住宅ローンを分割で支払っていた頃よりも、さらに厳しい事態に追い込まれることになってしまいます。

1-8.自己破産しない限り、残元金を全額回収しようとしてくる

債務者

住宅ローンの返済を滞納して、保証協会や保証会社などが代位弁済した場合、住宅ローンの残額を求償されます。

しかし、そのような支払には応じられないことが普通です。そもそも、住宅ローンを分割でも支払えなかったから代位弁済が行われます。そのため、残りのローンの一括請求をされても返済ができないのは当然です。

1-8-1.求償された金額を支払えない場合

では、保証協会などから求償された金額を支払えない場合、どのようになるのでしょうか。また、保証協会が支払を免除してくれる制度なども気になるところです。

結論から申し上げますと、保証協会などは、求償権を自ら放棄してくれることはありません。最後まで支払を請求してきます。たとえ債務者にお金がなくて支払ができない場合であっても、あくまで請求をやめません。

最悪の場合、最終的には債務者に対して裁判を起こしてきます。そして、裁判の判決によって、住宅ローン残額と遅延損害金の支払い命令が出ると、保証協会はその判決にもとづいて債務者の財産を差し押さえてきます。これを強制執行(きょうせいしっこう)と言います。

差し押さえの対象になる財産は、債務者名義の預貯金や生命保険、株券など価値のあるもの全てです。また、債務者の給料も差押の対象になります。具体的には、給料の手取り額の4分の1を毎月差し押さえられることになります。

このように、給料まで差し押さえられたら、もはや生活することすら苦しくなってしまいます。

1-8-1.保証協会からの請求を逃れる方法は自己破産

実は、この保証協会からのしつような請求から逃れる方法が、1つあります。それは、債務整理する方法です。特に、自己破産する方法が有効です。

自己破産をすると、借金や債務の返済義務が完全に0になります。これにより、保証協会への求償債の支払い義務も無くなり、さらには遅延損害金の支払い義務も同様になくなります。

つまり、自己破産をすると、保証協会はそれ以上債務者に代位弁済分の返済請求ができなくなるということです。もちろん、保証会社や債権回収会社が支払い請求をしてきている場合も同じです。

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しかしながら、自己破産をすると借金はもちろんのこと、あなたが所有している財産も無くなってしまうため、よく考えてから答えを出す必要があります。

ここまで述べてきたことから分かるように、保証会社からの支払い請求は、債務者が自己破産をするまで続けられると理解しておくと良いでしょう。

このように、住宅ローンを滞納すると、一般的に思われている以上に大変なことになってしまうのです。

2.代位弁済が行われる際の流れ

代位弁済の流れ

第1項では、住宅ローンを滞納すると保証協会などが代位弁済が行われることにフォーカスして説明をしてきました。

では、この代位弁済が行われる際の手続きの流れはどうなっているのでしょうか。また、代位弁済が起こるまでに、「どのくらいの期間がかかるのか」なども知りたいところです。

そこで、以下では代位弁済が行われる際の流れを確認します。

2-1.期限の利益の喪失をすると代位弁済が行われる

住宅ローンを滞納した場合には保証協会が代位弁済します。

ただし、住宅ローンを滞納したからといって、すぐに代位弁済が行われるわけではありません。

実は、代位弁済が行われるのは、住宅ローンを長期滞納して、「期限の利益」がなくなった場合だけです。期限の利益とは、住宅ローンなどの借金を分割払いできる利益のことを指します。

本来であれば、借入したお金は一括払いしなければいけないはずですが、契約によって分割払いすることを定めます。このように、分割払いできることを「期限の利益」と呼びます。

ただ、期限の利益は、分割払いを何度か滞納すると、失われるとされることが普通です

住宅ローンの場合には、分割払いを3ヶ月以上や6ヶ月以上滞納した場合、期限の利益がなくなると定められていることが多いです。

住宅ローンを長期滞納して期限の利益がなくなり、分割払いが認められなくなると、その時点での住宅ローン残額を一括払いしなければならなくなります。

このように、期限の利益がなくなって住宅ローンを一括払いしなければならない状態になったタイミングで、保証協会や保証会社が代位弁済をします。

2-2.多くの場合、内容証明郵便で一括請求通知がくる

住宅ローンを長期滞納して期限の利益がなくなり、保証協会が代位弁済した場合、保証協会は、その代位弁済分を主債務者に対して返済請求(求償権)をしてきます。

このことを要約すると、住宅ローンを長期滞納すると、分割払いが実行されなくなる(期限の利益)ため、保証協会が代わりに支払い(代位弁済)、その分を借りた人に返済請求(求償権)してくるということです。

このとき、通常保証協会から「内容証明郵便(ないようしょうめいゆうびん)」と呼ばれる郵便を利用して代位弁済分の支払い請求をしてきます。

その請求内容は、これまでにも何度か説明しましたが、保証協会が代位弁済した金額の一括請求です。また、代位弁済以後の遅延損害金も加算されていることを忘れてはいけません。

以上が住宅ローンを滞納した場合の代位弁済の流れです。

3.代位弁済が行われるとどうなるのか

1・2の項の内容で、住宅ローンを滞納すると、保証協会が滞納分を代位弁済することを理解できたかと思います。

このとき、「代位弁済が行われると、どのような影響があるの?」と疑問を抱く方はたくさんいます。

そこで以下では、代位弁済が行われるとどうなるのかを確認しましょう。

3-1.団体信用生命保険の契約は解除される

一般的に、住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険に加入することが多いです。団体信用生命保険とは、住宅ローン返済中に主債務者が亡くなる、あるいは高度障害状態(重度の障害)になった場合に、その時の住宅ローン残額を保険から支払ってもらえるという生命保険のことです。

団体信用生命保険に関しては、「団体信用生命保険とは:基礎知識から注意点をまとめた7項目」の記事で詳しく解説していますので、目を通しておきましょう。

「夢のマイホーム」や「一生に一度の買い物」といわれるように、家は数千万円単位の非常に高額な買い物になります。

そのため、現金一括で購入できる人は圧倒的に少数であり、ほとんどの方は住宅ローンを組みます。値段が高いこともあり、住宅ローン返済の期間は非常に長いです。実際、「フラット35」と呼ばれる35年間の間、固定金利で借入できるローンを組む方はたくさんいます。

フラット35に関しては、「フラット35とは」のページで詳しく述べていますので、確認しておきましょう。

自動車のオートローンとは異なり、返済期間が長いため、その間に主債務者が死亡するリスクがあります。そこで、団体信用生命保険に入っていると、万が一のことがあっても、残ローンの支払いから免れるので、家族などが安心です。

ただ、住宅ローンを滞納して保証協会による代位弁済が行われた場合、この団体信用生命保険は失効してしまいます。

つまり、代位弁済後に主債務者が死亡または高度障害状態になったとしても、保証協会への返済義務がなくなることはありません。

そのため、残された家族は相続放棄をしない限り、高額な住宅ローンと遅延損害金の支払い義務から免れることはできなくなり、借金に追われる生活を余儀なくされます。

3-2.保証協会(保証会社)が担保を競売にかける

競売のイメージ

ここで気になるのは、「住宅ローンを滞納して保証協会が代位弁済をした場合、住宅自体はどうなるのか?」という疑問です。

この場合、保証協会が住宅の抵当権(ていとうけん)を実行して住宅を競売にかけてしまいます。

抵当権とは、住宅ローンが返済出来なくなった場合に、住宅を競売にかけることによって、その売却代金から住宅ローンを回収するために設定する担保のことです。住宅ローンを組む場合には、その住宅に抵当権を設定しています。

要するに、保証協会が代位弁済をした場合、この抵当権を実行して、保証協会が裁判所に住宅の競売申立をしてしまいます。そのため、放っておくとあなたの住宅競売手続きが進んでしまい、住宅は売却されて新たな所有者のものになってしまいます。

このとき、競売で売れた代金は、保証会社に支払われることになります。もちろん、その代金で残ローンが完済できれば債務者はその後の支払の必要はなくなります。

ただ、競売代金が残ローンの支払いに足りない場合、債務者はその不足分について、保証協会に更なる支払いを要求されます。家を失うばかりか、借金だけが残るということです。

この意味で、なるべく高く住宅が売れた方が債務者にとっても利益があるということになります。

3-2-1.任意売却する方法もある

保証協会が住宅について競売を申し立てをしてしまった場合、その後は黙って手続きが進むのを見ているしかないのでしょうか。実は、そのようなことはありません

住宅を競売で売却するのではなく、債務者が積極的に関与して任意売却(にんいばいきゃく)する方法があります。

任意売却とは、支払いが厳しくなって住宅ローンを滞納しているときに、債務者が保証協会の許可をとり、住宅を通常の不動産の売買市場で売却する方法のことを指します。先に述べた抵当権とは異なり、「あなた自身で住宅を売却できる」ということです。

この方法を利用すると、「抵当権で実行される競売で売却するよりも、住宅が高く売れる」というメリットがあります。

一方、抵当権によって、強制的に競売で不動産を売却してしまうと、市場の価格よりかなり低くなってしまう傾向があります。具体的には、競売で不動産を売却する場合の価格は、市場価格の7割程度になってしまいます。

先に説明したように、住宅が売れた金額は保証協会への支払に充てられます。そのため、住宅はなるべく高く売れた方が債務者にとって利益になります。

任意売却する場合、債務者は保証協会と連絡を取り、保証協会の了承をとりながら手続きを進める必要があります。もし、この任意売却の手続きが認められない場合、競売で住宅を売却するしかなくなります。

3-3.債務を完済するまで、信用情報に事故情報が登録される

住宅ローンを滞納すると、信用情報に事故情報が登録される問題もあります。事故情報とは、借金やローンなどの返済において、返済期間中に支払いが遅れたり滞納したりすることを指します。

個人の借入や返済などに関する信用情報は、信用情報機関という機関が保管しています。

※日本信用情報機関のサイトはこちら

そして、住宅ローンを長期滞納すると、信用情報機関に事故情報が記録されます。このとき、約3ヶ月程度滞納すると、事故情報が記録されてしまう場合が多いです。

このように、個人信用情報に事故情報が記録された状態のことを、一般的に「ブラックリスト状態」と呼びます。

3-3-1.ローンや融資を利用できなくなる

住宅ローンを滞納して信用情報に事故情報が記録されてしまい、ブラックリスト状態になってしまった場合、具体的にどのような影響があるのでしょうか。

一般的に、金融機関や貸金業者でのローンやクレジットカードなどの利用ができなくなります。

銀行などの金融機関や消費者金融などの貸金業者は、ローン審査の際に必ず信用情報を参照します。そこで、信用情報に事故情報が記録されていることを発見すると、ローン審査にはほぼ通らなくなってしまいます。

ブラックリスト状態になると、住宅ローンや自動車ローン、銀行ローンなどの各種のローンを組むことは出来ません。また、消費者金融のキャッシングもりようできませんし、ショッピングローンなども利用出来ません。さらには、自分名義でクレジットカードを発行することもできなくなるので、大変不便です。

住宅ローン滞納によって信用情報に事故情報が記録された場合、基本的にその債務を完済するまで信用情報に事故情報が記録され続けます。

事故情報が記録されている限り、ローンやクレジットカードの利用ができない状態は、継続していくことを覚えておきましょう。

4.代位弁済が行われた後の対処法

住宅ローンを滞納して保証協会などが代位弁済してしまった場合、その後はどのように対処すれば良いのでしょうか。

そこでこの項では、代位弁済が行われた後の対処法をご紹介します。

4-1.保証会社との交渉ができる

「1-4.代位弁済で支払われた金額は、必ず一括請求される」の項でも述べたように、保証協会が代位弁済をすると、債務者に対して残ローンの一括請求をしてきます。このとき、一括払いができないことが普通ですが、「分割払いの交渉ができる可能性は無いのか?」という疑問を抱く方は多いです。

当然のことながら、保証協会も、債務者にきちんと支払う意思があってその能力があれば、「代位弁済ではなく、支払ってもらいたい」と考えています。

そのため、条件次第では話し合いに応じてもらえます。

サラ金などの場合、話し合いが厳しいこともありますが、保証協会は意外と柔軟に対応してくれるケースがあります。

4-1-1.一括で払えない場合、長期分割できる可能性がある

保証協会と支払についての話し合いをする場合、一括払いではなく分割払いが認められる可能性があります。

また、債務者の状況によっては、長期分割払いができることもあります。

たとえば、債務者に支払の意思があるけれども「病気でほとんど収入が無くなっている場合」や、「高齢で収入が少なく生活が苦しい場合」などもあります。

このようなケースでは、当面、「月々1万円程度の支払」で見逃してくれるケースもあります。

4-1-2.元金はまず免除されないが、遅延損害金については相談できる

保証協会との間で代位弁済分についての返済方法を相談する場合、支払金額自体の免除や一部免除を受けることはできないのでしょうか。

この点、実際にはかなり困難です。特に、元本部分(代位弁済してもらった残ローン)の減額や免除は不可能でしょう。

ただし、遅延損害金については相談に応じてもらえる可能性があります。

しかしながら、遅延損害金の免除を受けられる場合であっても、「元金を完済する前」に話しを持っていっても保証協会が受け入れてくれることはほとんどありません。

そのため、遅延損害金の免除を受けたい場合、元金を完済して、完済間近になってから保証協会と交渉すると良いでしょう。

4-2.返済ができない場合、包み隠さずに正直に話す

住宅ローンの代位弁済後に保証協会と支払についての話し合いをする場合、自分の状況を包み隠さず正直に話すことが重要です。

保証協会は、支払についての話し合いをする際、債務者の収入や生活状況などについて確認してきます。そして、実際にどのくらいの支払能力があるのかを判断して、月にいくらの支払をしてもらうかを決定します。

このときに、ウソをついてごまかそうとして、それがバレると結局は信用を失って不利益を受けることになります。むしろ、苦しい状況を正直に説明して、状況を理解してもらうことが、返済交渉のポイントになります。

たとえば、先でも説明したように、病気で働けなかったり収入が少なかったりする場合、あるいは子どもがいてお金がかかることもあるでしょうし、高齢が収入が少ないこともあるでしょう。

このような債務者の状況であれば、先の述べたように当面の間、月々の支払金額が1万円に以下になることがあります。

そして、支払に関する状況が改善すれば、その時点で支払に関する方法を再検討することになります。

4-3.弁護士に相談する

保証協会が代位弁済した後の支払について、どうしても返済ができない人がいます。

この場合、上記でも少し説明しましたが、債務整理手続きを利用して解決するのが効果的です。

債務整理にはいくつか種類がありますが、たとえば自己破産をすると借金返済義務が完全に0になるので、非常に助かります。もちろん、代位弁済分の支払も遅延損害金の支払もすべて免除されます。

このとき、債務整理手続きを利用するためには弁護士に相談する必要があります。

それにより、いきなり債務整理をしなくても、弁護士が保証協会との交渉方法などについてアドバイスをしてくれます。

そのため、保証協会との間で交渉がうまくいかない場合、自己破産を考える前に弁護士に相談するのも1つの方法です。

まとめ

今回は、住宅ローンの返済を滞納した場合の代位弁済について解説しました。ここで一度、ここまでの内容を要約します。

代位弁済とは、連帯保証人や連帯債務者が、主債務者や他の連帯債務者の支払分について、代わりに債権者に返済することです。住宅ローンを組む場合、保証協会が連帯保証人になることが多く、滞納すると保証協会が代位弁済してしまいます。

すると、保証協会は債務者に対して、代位弁済分について返済請求してきます。この場合の返済請求のことを求償権と言います。

代位弁済分の返済が求められる場合、通常残ローンの一括請求となり、高額な遅延損害金が加算されてしまいます。

代位弁済後の支払ができない場合、保証協会は、支払が行われるまで請求を辞めません。裁判が起こされる可能性もあります。

代位弁済後の支払の方法については、保証協会と話し合うことができます。話し合いによっては、月々1万円程度の分割払いができることもあります。もしどうしても支払ができない場合には、弁護士に依頼して債務整理をしましょう。

このように、住宅ローンを組んでいる場合、滞納すると代位弁済が行われて大変な目に遭うことになります。よって、住宅ローン返済に不安があるときには、実際に返済が苦しくなる前に、ファイナンシャルプランナーに相談をして資金計画を見直しましょう。

ファイナンシャルプランナーについては、「現役FPが解説!FPへ相談する前に抑えておきたい4つのこと」で詳しく述べています。