住宅の購入にかかるお金の支払総額とは、土地や建物といった不動産価格のほか、住宅購入諸費用や住宅ローンの支払利息を加えたものになります。
あこがれのマイホームを購入する手段としては、住宅ローンの申し込みをするのが最も一般的です。このとき、住宅ローンの支払利息も家の支払総額を考える上でとても大切な項目になります。
これを考慮せずに資金計画をしてしまうと、住宅ローンの支払いが厳しくなってしまう可能性があるため、十分にご注意ください。
本記事では、住宅購入金額と支払総額の考え方について解説していきます。「あなたが理想としている家を購入することが最も大切」であるため、これを実現するためにも、是非、ご活用ください。
1.住宅購入金額と支払総額の考え方
はじめに、このページの要ともいえる「住宅購入金額と支払総額の考え方」について解説していきます。
以下、説明していく内容は、あくまでも目安としてお役立ていただき、あなたの理想の家を購入するための判断材料としていただければと考えます。
1-1. 坪単価だけでは判断できない
これから家の購入を検討している方であれば「坪単価」という言葉を一度は見聞きしたことがあるのではないでしょうか。
一般に「坪単価」とは、住宅を建てる、あるいは買う場合、「1坪あたりの価格」とされています。不動産用語として「1坪は畳2畳分」といった、あいまいな表現を見かけますが、実は「坪」や「畳」の寸法に明確な決まりはないのです。
私たちが家を買う際に気にする価格は、土地や建物といった不動産価格のことであり、坪単価ではないことがわかります。
それ以前に、最初から坪単価を気にされて家を購入される方は、もしかしたらあまり多くないのかもしれません。
その理由は、「希望の場所に、理想の家を建てて住みたい」と考えるのが普通だからです。自分たちが住みたい場所には、それぞれ「相場」があります。その金額は、高かったり、低かったり実にさまざまです。
もちろん、不動産を取り扱う業者によっても相場金額が上下変動します。
しかし、著しく平均相場から金額が離れているということは、時間をかけてたくさんの物件を見て目を慣らしていくことで自然と身に付けることができます。
大切なことは、あくまでも「坪単価」といった目先の金額に捉われないことです。そして、「希望の場所に、理想の家を建てて住みたい」というマイホームに対する想いを最優先に考えることではないでしょうか。
1-2.マイホームの建築で実際に必要になるお金の内訳
ここからは、マイホームの購入を検討しているあなたにとって、気になるそれぞれのお金の内訳について解説していきます。
なお本項では、マイホームを建築する際に最もお金がかかる「注文住宅」を例に解説します。
1-2-1.建物本体(マイホーム)の価格
建物本体にかかる価格は、「本体工事費」のほか、「本体工事費にかかる消費税」や「建物の設計料」、「外構工事費」、「追加工事費」、「電気・ガス・水道にかかる引き込み費用」などの諸費用から構成されています。
- 本体工事費
- 本体工事費にかかる消費税
- 建物の設計料
- 外構工事費
- 追加工事費
- 電気・ガス・水道にかかる引き込み費用など
選択したグレードが高くなればなるほど、費用がかさむことになる点も家を購入する際にしっかりと押さえておきたいポイントです。
1-2-2.土地代金(土地も購入する場合)
土地の代金にかかるお金は、「土地本体の価格」の他に、「仲介手数料(仲介の場合)」「固定資産税や都市計画税の清算金」「地盤改良費用(土地が軟弱な場合)」があります。
- 土地本体の価格
- 仲介手数料(仲介の場合)
- 固定資産税や都市計画税の清算金
- 地盤改良費用(土地が軟弱な場合)
1-2-3.住宅ローンの金利も考える
住宅ローンの金利はもちろんですが、住宅にかかる融資関係の費用として、「融資事務手数料」「保証料」「火災保険料」「団体信用生命保険料」「登記関係費用」「つなぎ融資費用」といったものがかかります。
- 融資事務手数料
- 保証料
- 火災保険料
- 団体信用生命保険料
- 登記関係費用
- つなぎ融資費用
これらは、選んだ住宅ローンの種類や金融機関によってすべて異なります。
そのため、住宅ローンの金利だけでなく、「住宅ローンの内容そのもの」を比較検討することが大切になります。
1-2-4.その他諸経費について
これはケース・バイ・ケースではありますが、住宅を購入するためのその他経費として「引っ越し費用」「家電・家具の購入費用」「仮住まいのための費用」などがかかります。
その他諸経費は、必ずしもかかる費用ではないことから、人によってかかる、かからないといった部分が大きく左右される費用といえるでしょう。
一例として、実際に住宅を購入されたT様が支払った諸経費の事例を以下の記事で見れます。
2.住宅購入の総額を事例で確認
住んでいる地域や選ぶ不動産業者などによって、住宅の金額は全く異なります。
しかし、住宅購入にかかる総額をイメージしておくことで、頭金や住宅ローンの申し込み方が変わると思われている方も多いことでしょう。
そこで本項では、住宅購入の総額について2つのパターンを例にシミュレーションして紹介します。大まかな目安として、役に立つと思われますので、最後まで目通ししてみることをおすすめ致します。
なお、住宅ローンの共通の返済条件は以下の通りとし、「総額」とは、土地や建物の価格に住宅購入諸費用を加えた金額であるものとします。
- 固定金利:1.5%
- 返済期間:35年
- 返済方法:元利均等返済
以下に事例を用意したので、見ていきましょう。
2-1.総額2,000万円で注文住宅を建てた場合の例
1ヶ月の返済金額 | 年間返済金額 | 総返済金額(総額) |
---|---|---|
61,236 | 734,832 | 25,719,492 |
住んでいる地域にもよりますが、総額2,000万円の注文住宅の場合、かなり小さめの家になると予測されます。家の中に設置する設備なども、グレードの高い物とは決していえないでしょう。
借入金の総額2,000万円に対して、総返済金額が約2,572万円になるため、35年間に支払う利息は、約572万円であることもわかります。
2-2.総額2,500万円で注文住宅を建てた場合の例
1ヶ月の返済金額 | 年間返済金額 | 総返済金額(総額) |
---|---|---|
76,546 | 918,552 | 32,149,366 |
借入金の総額2,500万円に対して、総返済金額が約3,215万円です。35年間に支払う利息は、約715万円になります。
2-3.総額3,000万円で注文住宅を建てた場合の例
1ヶ月の返済金額 | 年間返済金額 | 総返済金額(総額) |
---|---|---|
91,855 | 1,102,260 | 38,579,239 |
借入金の総額3,000万円に対して、総返済金額が約3,858万円になります。そのため、35年間に支払う利息は、約858万円です。
2-4.目に見える総額に捉われないようにするために
住宅ローンの借入総額を2,000万円、2,500万円、3,000万円と3つのパターンに分けて総返済金額を紹介しました。
その結果、35年間で支払う総額は、利息分も含めると高額になっていることがわかりました。
このシミュレーション結果だけを見てしまうと、金利が低い「変動金利」や「期間選択型固定金利」を選んでしまいがちです。「低い金利で住宅ローンを受けたい」といった気持ちにもなるからです。
仮に住宅ローンを選ぶときに、金利が低いものを選んで解決するのであれば、「そもそも最初から金利の種類を分ける必要がない」「専門家であるファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談する必要がない」などといった考えになるのではないでしょうか。
しかし、実際のところ、住宅ローンの金利の種類はさまざまあるだけでなく、金融機関によって良し悪しがあります。また、「専門家へ相談して失敗しない住宅ローン選びをしたい」といったニーズも多いのが現状です。
このような理由から、これから住宅ローンの申し込みを検討している方は、個々に金利の特徴やメリット・デメリットについて学ぶ対策も必要になってくると考えることができます。
なお、住宅ローンの総返済金額を抑える方法の1つに「繰り上げ償還(繰り上げ返済)」といったものがあります。
繰り上げ返済とは、ある程度まとまったお金をローンの返済に充てることによって支払う利息を少なくさせることをいいます。支払う利息が少なくなるということは、トータルで返済するお金が定期的に返済するよりも少なくて済むといった効果があるということです。
これは、シミュレーションで適用した固定金利を選んだとしても、将来における住宅ローンの返済計画をしっかりと立て、ライフプランやライフイベントを考慮した繰り上げ償還を賢く活用することで、総返済金額を削減することができることを意味します。
ここまで目通ししていただきますと、住宅ローンの選び方や家の購入とは、時間や労力がとても必要なものと改めて感じ取ることができるのではないでしょうか。
3.総額を知りたいなら住宅会社に見積りを依頼するのが一番確実
注文住宅の総額を知りたい場合は、やはり住宅会社へ見積りを依頼するのが最も確実な方法です。
ただし、自動車や他の物を購入する際に利用する「相見積もり」は、いくつかの業者に絞っておいた方が無難でしょう。当然のことながら、不動産業者は「家を売りたい」と考えているからです。
そのため、「DM」「メール」をはじめ「電話」「直接訪問」といったアクションをする業者もあります。あまりにも見込みの不動産業者が多くなりすぎてしまいますと、かえってストレスが溜まり、最高の家づくりに支障をきたしてしまいます。
たしかに、たくさんの不動産業者を回ってみて、自分たちにあった業者を探すのは言うまでもありません。
しかし、見て回って自分たちに合わないと思った業者には、個人情報を提供しないことや早めに購入しない意思を伝えた方がよいでしょう。
できれば、、あなたが「この会社に依頼したい!」と思えるような不動産業者を見つけてから、見積りを依頼するのが良いと思います。
なお、注意点として、「同時契約」や「手付金の支払い」は見積もりと同時に行わないようにして下さい。不動産の契約や手付金の支払いには、大きな落とし穴や重大な注意点があるからです。
業者に言われるがまま、何でも署名・捺印することは厳禁です。わからない場合は、いったん保留にしたり、書類を持ち帰ってじっくり確認するといった対策を取るようにして下さい。
3-1.ファイナンシャルプランナーに資金計画をしてもらう
不動産業者の多くは、住宅購入のための資金計画を無料サービスとして行ってくれるのが一般的になっています。
ただ、残念ながらその作成された多くの資金計画は、「不動産業者のためになったとしても、購入する側のためにならないもの」がほとんどです。この理由として、不動産業者が作成した資金計画とは、「家計全体を把握したものになっていない」ことがあげられます。
仮に不動産業者が、ファイナンシャルプランナーに資金計画の作成を委託していた場合、その資金計画に信頼を持つことができる可能性が極めて高くなります。
しかし前述の通り、不動産業者の資金計画は、「住宅を購入するためだけの資金計画」です。そのため、将来にわたって余裕を持って安全に返済できる資金計画ではないのです。
ここで、少し考えてみていただきたいことがあります。
- 不動産業者に資金計画を依頼する時に家計簿を見せたことがありますか?
- 不動産業者に源泉徴収票や確定申告書を見せたことがありますか?
- 住宅ローンの返済金額について理由を付けて安全と言われたことがありますか?
- 不動産業者から変動金利や期間選択型固定金利の住宅ローンのデメリットについて説明を受けたことがありますか?
- 不動産業者から将来を見据えた住宅ローンの返済計画について説明を受けたことがありますか?
安全な資金計画を立てるための一例を箇条書きさせていただきましたが、まずもってすべての項目を満たしている不動産業者はいないでしょう。
しかし、安全な資金計画を立てるということは、上記5項目のほかにも確認すべきところが実にたくさんあります。なぜ、不動産業者はこのような資金計画を行うことができないのでしょうか。
答えは簡単です。それは、家を売ることが不動産業者の本来の仕事だからです。
もし、あなたに対して時間をかけて丁寧に資金計画を作成したのにもかかわらず、住宅の売買契約が決まらなかったらどうでしょう。時間と労力をかけたものが、すべて無駄になってしまいます。
費用対効果(お客様に対して使用したお金に対する効果)が低くなってしまうリスクがあるからこそ、多くの不動産業者では、顧客が必要としている資金計画を行うことができないというわけです。
このような理由から、住宅購入における資金計画は、やはり専門家であるファイナンシャルプランナーに依頼するのが最適だと考えます。これまでの懸念をすべて解決できるような資金計画の作成ができるのは、ファイナンシャルプランナーというわけです。
まとめ
家を購入してから住宅ローンを完済するまでにかかる総返済金額のイメージや注意点を確認することができたでしょうか。改めて、本記事の要点をまとめて紹介します。
- 住宅購入金額と支払総額の考え方は、坪単価だけでは判断できない
- 金利や目に見える総額に捉われない
- 総額を知りたいなら住宅会社に見積りを依頼
- 住宅ローンの資金計画は専門家が作成したものを参考にする
住宅ローンの返済条件は、それぞれの世帯によって最適なものが全く異なります。
総合的な住宅ローンの返済計画や資金計画を立てるということであれば、住宅購入にかかる総額を業者から聞いたうえで、専門家へ将来の計画を立ててもらうのが最適だと考えます。
時間や費用は要しますが、「安全で安心な住宅ローンの返済をしたい」というニーズは、永遠のテーマです。
あなたが住宅ローンに求めるニーズは、今後どのようにしたらより良く解決することができるのかを、本記事を含め、最適な方法を探してみることをおすすめします。
住宅購入で大損せずにおトクに家を建てるには
私が注文住宅を建てる際、危うく328万円も損をするところでした。
しかし、友人のある一言のおかげで、損をせずにお得に建てることができたのです。
>>注文住宅の購入で大損を回避して328万円も安く購入した方法