住宅ローンで家を買う・購入、建てるには貯金額はいくら必要?残すべき?

住宅ローンを組んで、これから住宅購入を検討されている方が抱えている悩みや疑問は、実にさまざまです。これは、数千万円単位の借金を数十年間抱えていかなければならない現実があるためであり、大まかな悩みから非常に細かい悩みまで尽きることがありません。

その中でも、「家を買うために貯金は必要なのか?」「貯金は残しておくべきなのか?」ということで悩む人は驚くほど多いです。

住宅ローンの審査はもちろん、貯金を全て頭金に回してしまうと、急な出費に耐えられなくなってしまうからです。

本記事では、住宅購入を検討されている人が抱えている疑問で主に「頭金」や「貯金額」の必要性や残すべき金額の考え方について解説していきます。

現在の住宅ローン事情に特化した情報と、余裕を持った住宅ローンの返済ができるための情報を得られるため、ぜひ最後までお目通しいただくことをおすすめ致します。

1.住宅購入における頭金が2~3割必要はウソ?

住宅購入における頭金が2~3割必要という情報は、残念ながら現在の住宅ローンの申し込みの実態と比較するとかけ離れていると言わざるを得ません。

たしかに、住宅ローンを組んで住宅購入するのに、多くの頭金があったことに越したことはありません。

しかし、昔の住宅ローン事情のように、「頭金が無ければ住宅ローンを組むことができない時代」ではなくなったのは事実です。頭金が2~3割必要というのは、現代においては正しい情報とは言えないでしょう。

現在は、頭金が無くとも住宅購入をすることができる時代なのです。

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1-1.住宅ローンを組むのに貯金額はいくらあれば安心できるのか

住宅ローンを組むのに、貯金額はいくらあれば安心できるのか。答えは、「多いに越したことはありません」が正解です。

答えになっていないと思われるかもしれませんが、極端な例として、お金の専門家であるプロのFPが「住宅ローンを組むのに貯金額は10万円で大丈夫です」とアドバイスをしたとしたら、あなたはどのように感じるでしょうか。

おそらく、「ほんと? もっと必要だと思うけど」と感じるはずです。

それでは、現在、貯金がほとんど無いに等しい方が、余裕を持った返済金額で住宅ローンを組んだとしたらどうでしょう。住宅ローンを返済しながら、確実に貯金ができる資金計画を立てたとするならば、それは今、貯金が無いとしても誤った住宅ローンの組み方と言えるでしょうか。

このような理由から、貯金額も頭金も多いに越したことはありませんが、「〇円必要」といった考え方は、住宅ローンを組んで住宅購入するのに不適切です。

重要なのは、自分たちの家計基準に合わせた資金計画です。現在の状況と比較した頭金や、貯金額を考慮した総合的な資金計画が、何よりも重要であることを確実に理解していただきたいと思います。

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1-2.住宅購入における頭金の平均はいくらなのか

住宅購入において、「周りの人はいったいいくらぐらいの頭金を用意しているのか?」どうしてもその金額が気になっている方も多いと思います。

そこで、住宅購入における頭金の全国平均を表にしました。

住宅の種類2014年(平成26年)
頭金の全国平均金額(相場)
2015年(平成27年)
頭金の全国平均金額(相場)
注文住宅498.6万円497.3万円
建売住宅450.0万円409.4万円
マンション837.4万円889.3万円
中古戸建278.5万円239.3万円
中古マンション425.9万円372.9万円

住宅の種類によって異なりますが、中古戸建の239.3万円からマンションの889.3万円まで、実に金額の幅が広いことが確認できます。ポイントは、「全国平均金額」であり、目安に留めておくところにあります。

先の例を思い出していただきたいのですが、もしもプロのFPが「マンションを購入するためには頭金に889.3万円が必要です」と言ったらどう感じますか。おそらく、ほとんどの方がマンションに住むことができないと思うことでしょう。

実際は、889.3万円もの大金を頭金として用意しなければならないといったことは、必ずしもないわけです。解説が重複致しますが、自分の家計やお住いの地域の事情を優先して考える必要があるのです。

1-3.住宅の購入予算を考える方法

住宅の購入予算を考えるにあたり大切なことは、「完済まで返済し続けていくことができる金額であるかどうかを見極めること」になります。

たとえば、住宅の購入予算を以下の計算式にあてはめて考えたとき、率直に最初の感想がどうなのかを感じ取る必要があります。

住宅の購入予算 = 頭金(自己資金) + 住宅ローン借入額

住宅の購入予算が3,000万円で頭金が無い場合、住宅ローンの借入額は3,000万円となります。このとき、元利均等返済、返済期間35年、固定金利1.7%とすると、1ヶ月の返済は94,822円となり、「この金額が自分にとってどうなのか」を感じ取らなければなりません。

仮に変動金利の場合、1ヶ月の返済金額が少なくなりますが、上下変動する金利のリスクやルールをしっかりと知った上で検討をしなければなりません。

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住宅の購入予算から1ヶ月の返済金額を算出し、その金額が自分たちの無理のない返済をできるかどうかが重要なポイントです。

つまり、結果として頭金(自己資金)と住宅ローンの借入額の両者のバランスが大切であることにつながります。

2.貯金を全額頭金に入れてしまうと失敗する理由

現在ある貯金を全額頭金に入れてしまうことは、時として住宅ローンの返済計画が円滑に回らない大きな要因となってしまうことがあります。ここでは、貯金と住宅ローンの返済余力を残す考え方について、解説していきます。

2-1.頭金(貯金額)は「いくら出すか」ではなく「いくら残すか」が重要

先に解説しましたように、「頭金はいくらあれば良い」といった考え方は厳禁です。

同じ様に、「頭金をいくら出すか」といった考え方をするのではなく、「頭金にいくら入れて貯金をいくら残しておくか」といった考え方が重要になります。

この理由は、次項の解説の通りです。

2-2.大前提として、この先何があるかわからないことを認識する

「頭金にいくら入れて貯金をいくら残しておくか」という考え方が大切な理由には、大前提として、この先何があるかわからないことを認識しておかなければならないためです。

たとえば、住宅ローンの返済期間は数十年という長期間に渡ることが一般的です。

そのため、この間、会社の倒産やリストラをはじめ、病気、交通事故といった問題が発生してしまいますと、毎日の生活や月々の住宅ローンの返済に大きな支障をきたしてしまいます。このような場合のリスク回避策として、貯金はとても重要なお金になります。

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また、子どもの教育費や将来の仕送りといった学生生活における生活費が必要になってくる場合におきましても、貯金は有効活用することができるお金です。

一方、貯金がない場合は毎月の給料をあてにする生活を強いられることになります。ただ、会社の倒産やリストラであれば、そもそも給料が入ってくることがなくなってしまいます。

病気や交通事故で働けなくなってしまうと、会社員などは給料が減少し、自営業者の場合は、売上が大幅にダウンしてしまいます。

不運にも住宅を購入してすぐにこのようなことが起こってしまった場合、家計はすぐに破綻してしまうことになり、最悪の場合、購入した住宅を手離さなくてはならなくなります。

このような事態を避けるためにも、今ある貯金をすべて頭金に回すことは厳禁です。そして、住宅ローンを返済しながら貯金することができる流れを作ることが重要です。

なお、こちらは余談ですが、貯金を生活予備費に置き換えますと、おおよその目安は以下の通りです。

生活予備費は、家計によって個人差が生じますが、多いことに越したことはありません。また、職業によって備えておく目安が異なる見方もあります。おおよその目安として、自営業者であれば1年から2年分の生活費、サラリーマンなど会社員等の場合は半年分の生活費は最低でも押さえておきたいものです。

マイホームの家を建てる住宅ローンの頭金の相場や平均はいくら?より引用

2-3.余裕ができたら「繰上げ返済」できることも忘れずに

住宅ローンの返済を続けながらお金の余裕ができた場合は、「繰り上げ返済」を視野に入れるのも良いでしょう。繰り上げ返済とは、ある程度まとまったお金をローンの返済に充てることによって支払う利息を少なくさせることをいいます。

繰り上げ返済には、返済期間を短縮させることができる「期間短縮型」と月々の返済金額を減額させることができる「返済額軽減型」の2つの方法があります

どちらの方法を利用するにしても、将来、まとまったお金が必要となることがないかを確認してから行うのは言うまでもありません。あるとすれば、概ねどのくらい必要なのかといったことを、念頭に入れて繰り上げ返済を実行する必要があります。

また、先に解説した貯金の考えと同様に、繰り上げ返済は余力を残した上で実行することは言うまでもありません。

専門家であるFPへ繰り上げ返済後の将来のお金の流れをはじめ、その効果を合わせて相談してみるのも効果的でしょう。

3.貯金を全額頭金に入れてしまい、返済が苦しくなってしまうイメージ

本項では、貯金を全額頭金に入れてしまい、返済が苦しくなってしまうイメージについて紹介していきます。

住宅ローンの借入額は3,000万円、元利均等返済、返済期間35年、固定金利1.7%という条件でシミュレーションします。

初年度

項目1ヶ月あたり1年間あたり
手取金額300,0003,600,000
支出合計150,0001,800,000
住宅ローン返済94,8221,137,864
貯金0662,136
貯金できるお金55,178

初年度は、順調に推移しており、毎月の貯蓄も55,178円できていることから大まかに見ると問題がありません。ここで、もしも次年度に病気で仕事を休まなければならなくなったと仮定し、収入が60%に減額になったとします。

次年度

項目1ヶ月あたり1年間あたり
手取金額180,0002,160,000
支出合計150,0001,800,000
住宅ローン返済94,8221,137,864
貯金662,1360
貯金できるお金▲64,822借金 115,728

病気で仕事を休むと、収入を健康な状態と同じように確保するのが難しくなります。

上記の例ですと、1ヶ月あたり64,822円のマイナスとなり、初年度の貯金で一時的に補填することができます。

しかし、この状態が引き続いた場合、11ヶ月目は、家計の赤字累積が713,042円となり、貯金額662,136円を超えてしまいます。結果、この超えた分は借金になってしまうことが分かります。

次年度は、結果として115,728円の借金を抱えていることが分かり、3年目も同じ状態が続いたとすると・・・。病気に限らず、倒産であったとしてもリストラであったとしても、同じような状況に陥ることが予測できます。

つまり、住宅ローンの返済が始まる前にある程度の貯金があるということは、もしもの時のリスク回避策に大いに役立つことが分かります。

4.住宅購入は目先の金額ではなく、将来を見据えた資金計画が重要

本記事に目通しいただいているユーザー様の多くは、これから住宅購入を検討されている方が多いと思います。そして、もしかしたら、不動産業者などから「返済例」と称した月々の返済金額の提示を受けておられるかもしれません。

何度も解説している通り、住宅購入は目先の金額ではなく、将来を見据えた資金計画が重要であることはいうまでもありません。

しかしながら、不動産業者が提示する「返済例」には十分な注意が必要です。返済例に利用される金額は、安く見せかけるための返済プランであり、同時に将来の返済金額が増加するパターンがほとんどです。

「うまい話にはわけがある」という言葉が正にぴったりあてはまると思いますが、「こんなに安い金額」と感じた金額は、「ずっと続く金額ではない」ことを最低限知っておく必要があります。

後悔は先に立ちませんし、何よりも住宅ローンの借り換えには、相当な費用がかかる事情があります。このことから、将来を見据えた資金計画を確実に立てつつ、できる限り1回で希望に沿った住宅ローンを組むことが重要になります。

まとめ

本記事では、住宅ローンにおける主に「頭金」や「貯金額」の必要性や残すべき金額の考え方について解説させていただきました。まずは、本記事の要点を改めてまとめて紹介していきます。

  • 住宅購入における頭金が2~3割必要という情報は現代に即さない
  • 住宅購入において頭金や貯金額は多いに越したことはない
  • 頭金や貯金額は自分の家計やお住いの地域の事情を優先して考える必要がある
  • 頭金(自己資金)と住宅ローンの借入額の両者のバランスが大切
  • 住宅購入は目先の金額ではなく、将来を見据えた資金計画が重要

住宅ローンを組む場合、頭金や貯金は「自己資金」にあたります。そのため、「いくら残す必要があるのか」について、現在と将来を見据えて金額を決定する必要があります。

当然のことながら、住宅購入予算があてはまっている前提になります。

このとき、頭金や貯金といった自己資金とのバランスを調整して、余裕を持って返済できる金額になっているかについても再検討する必要があります。

住宅購入に対する希望を細かくまとめておき、専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーに最適な方法をプランニングしてもらう方法も十分効果が見込めます。

自分で考える不安や負担が軽減されることになるため、時にはアウトソーシングする考え方を持つことも大切であることも頭の中に入れておきましょう。