住宅ローン3500万円借りるには年収はいくら必要?

住宅ローンについて、希望している金額の融資が通るのか心配な方も多いと思いますが、融資金額が大きくなればなるほど、金融機関の住宅ローン審査が慎重になるのは当然です。

実際に住んでいる都道府県によって、住宅事情や物件価格の相場が異なることから、たとえば、「3,500万円」という多くの住宅ローン融資を受けた時に、優れた設備や大きな住宅を構えられる地域もあれば、ごく普通の一般住宅程度に留まってしまう地域もあることが十分に考えられます。

この理由として、お金の価値が同じであったとしても、それぞれの地域によって「物価が異なる」ためということが考えられますが、本記事では、通常、住宅ローンにおいて多額とされる「3,500万円」の住宅ローンをこれから借りることを想定し、はたして年収がいくらくらいあったら良いのかといったことについて解説を進めていきます。

1.3500万円の住宅ローンを借りるには、融資条件を確認することが重要

3,500万円の住宅ローンを借りるには、まずは、ご希望の金融機関が融資をするための「融資条件」について確認することが重要になります。

ここで言う「融資条件」には、主に以下のようなものがあげられます。

  • 金利
  • 返済方法
  • 返済期間
  • 事務手数料
  • 保証料
  • 団体信用生命保険料

上記における金融機関の融資条件は、それぞれ異なるだけでなく、自分自身が希望している返済金額や頭金のことを考慮した上で、比較検討しつつ選択しなければなりません。

そして、自分の身の丈にあった借入金額であるのか、完済まで無理なく返済を続けていくことができるのか、などといった部分を慎重に検討することも忘れてはならない重要なポイントになります。

なお、先の融資条件項目のほかにも、火災保険料、登記費用、固定資産税や都市計画税の分担金などといった住宅購入諸費用も住宅購入には必要となりますので、融資条件と併せて確認しておくようにしましょう。

1-1.借入可能額ではなく、返済可能額で考えなければ家計破綻の可能性が高くなる

住宅ローンの金額を検討する際の考え方には、「借入可能額から考える」ものと「返済可能額から考える」ものの2つの考え方があります。

これら2つの考え方の内、住宅ローンの審査に通過するためや住宅ローンの余裕を持った返済を考える際に重要な考え方とは、「返済可能額から考える」といった方になります。

以下、ここからは、住宅金融支援機構が取り扱っているフラット35を例に、「返済可能額から考える」重要性について解説を進めていきます。

年収400万円未満400万円以上
基準30%35%

参考:フラット35・1.収入に関するご利用条件の簡素化より

上記表の「基準」とは、総返済負担率のことを表しており、総返済負担率とは、年収に占める1年間の借入金の返済金額を割合に表したものになります。

たとえば、年収400万円の方が、フラット35の融資を希望する場合、総返済負担率が、「35%以下でなければならない」といった意味を表しており、具体的な金額は、以下のように導き出すことができます。

400万円 × 35% = 140万円(年間返済金額)
140万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 116,666円(1ヶ月の返済金額)

年間返済金額140万円とは、年収400万円の方が、総返済負担率35%で計算された「限度額」のことを示しており、要は、1年間の返済金額が140万円を上回る場合、住宅ローンの融資が通らないことを意味します。

これには、新たに融資を受ける住宅ローンも含まれるため、住宅ローンの申込前に、既存の借入金について完済しておくことが重要な理由とは、実は、この部分にあるわけです。

1-2.年収と総返済負担率から1ヶ月あたりの返済金額について検証してみた

住宅ローンを取り扱っている金融機関を含め、多くのサイトでは、無料で住宅ローンの借入可能額をシミュレーションできるのが現状です。

しかしながら、借入可能額を様々なシミュレーターで試算したとしてもどの数値もバラバラで信憑性に欠けてしまうのもまた事実です。

そこで本項では、年収と最大総返済負担率から、最大で借入をすることができると推測される借入可能額を合理的に計算し紹介していきたいと思います。

1-2-1.シミュレーション例:その1

  • 年収:399万円
  • 借入金額:フラット35の総返済負担率(30%)で借入を想定
  • 金利:1.09%
  • 返済期間:30年
  • 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし)
  • その他:他の借入はなし

上記の融資条件を下に、借入金額と1ヶ月あたりの返済金額を導き出してみます。

399万円 × 30% = 119.7万円(年間返済金額)
119.7万円 ÷ 12ヶ月 = 99,750円(1ヶ月の返済金額)
119.7万円 × 30年 = 3,591万円(借入金額)

住宅ローン審査に通過するのは、このシミュレーションとは全く別問題となりますが、仮に年収399万円の方が、返済期間30年で借りることができる金額を導き出したとしますと、3,591万円までが融資基準に沿っていると解することができます。

1-2-2.シミュレーション例:その2

  • 年収:500万円
  • 借入金額:フラット35の総返済負担率(35%)で借入を想定
  • 金利:1.09%
  • 返済期間:30年
  • 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし)
  • その他:他の借入はなし

前述したシミュレーションと同様に、借入金額と1ヶ月あたりの返済金額を導き出してみます。

500万円 × 35% = 175万円(年間返済金額)
175万円 ÷ 12ヶ月 ≒ 145,833円(1ヶ月の返済金額)
175万円 × 30年 = 5,250万円(借入金額)

仮に、5,250万円の融資を受けて、理想の住宅購入ができたとしても、1ヶ月145,833円を30年間という長きに渡って、滞ることなく返済し続けていかなくてはなりません。

これは、現実問題として、とても大変なことであり、住宅ローンの返済のほかに、毎日の生活、将来かかる子どもの教育費、突発的な大きな支出なども考慮したとすると、「これでは、さすがに返済をしていくことはできない」と思われる方も多いのではないでしょうか?

1-3.年収と返済負担率における返済金額の早見表を紹介

先に紹介した2つのシミュレーションは、総返済負担率が30%や35%といった負担割合が高い状態でのものになりますが、住宅ローンの審査を無事通過することや余裕を持った住宅ローンの返済を行っていくためには、「総返済負担率が低い借入を心掛ける」ことがとても大切です。

一般に、総返済負担率は「25%」程度が普通で、「30%」を超えると危険と言われますが、数値にあてはめて考えるのではなく、住宅ローンのシミュレーションを行った上で算出された返済金額に対して、大丈夫なのか、そうでないのかを判断する必要があります。

スポンサーリンク

年収と返済負担率における返済金額の早見表

年収返済負担率
20%
返済負担率
25%
返済負担率
30%
300万円5万円6.25万円7.5万円
400万円6.67万円8.33万円10万円
500万円8.33万円10.4万円12.5万円
600万円10万円12.5万円15万円
700万円11.7万円14.6万円17.5万円
800万円13.3万円16.7万円20万円
900万円15万円18.7万円22.5万円
1000万円16.7万円20.8万円25万円

こちらはモデルケースとなりますが、住宅ローンの返済に多くのお金を支出することになって、自分たちの人生が窮屈になるのが嫌だと感じた夫婦(世帯年収600万円、子ども2人)の総返済負担率は「14%」というものがあります。

住宅ローンの返済に余裕を持ちつつも、常にお金に余裕を持たせ、何かをやりたい時にいつでもやることができる体制が整っている家計は、とても幸せな家計だと思います。

住宅購入に価値観を重視するのか、充実した人生に価値観を重視するのか、それぞれの考え方で返済負担率は大きく変化することもあるでしょう。

1-4.借入する金利の違いや特徴も考慮しなければ危険

住宅ローンの融資条件でもある「金利」について、その違いや特徴についてあらかじめ考慮しておかなければ、返済途中で大きな危険を抱えてしまうことも時にはあります。

住宅ローンの金利の代表的なものとしては、変動金利、固定金利、期間選択型固定金利といったものがありますが、主に変動金利や固定金利期間が短い期間選択型固定金利は、金利が低く、固定金利や固定金利期間が長い期間選択型固定金利は、金利が高いといった特徴があります。

一方で、安定的な住宅ローンの返済ができるのが、金利が高いとされる固定金利であり、完済までの返済金額があらかじめ確定し把握できるという強みは大きいと考えることもできます。

いずれにしましても、先に解説した総返済負担率の考え方と同じように、金利選びにおきましても、その人の考え方が大きく影響することになりますので、やはり、あらかじめ金利の違いや特徴をしっかりと考慮しておくことが大切だと言えるでしょう。

住宅ローン商品と銀行の選び方:金利で選択する際のポイント

2017.03.07

1-5.住宅ローンの返済負担率は他のローンとの合計で決まる

先に解説した住宅ローンの総返済負担率は、これから融資を受ける住宅ローンの返済金額と現在抱えている債務の返済金額を合計した割合で計算される決まりがあります。

たとえば、年収500万円の世帯が、フラット35の融資を受ける場合、返済負担率の基準が35%以内と決まっていることから、年間返済金額は、175万円以内(500万円×35%=175万円)に収まっていなければなりません。

この時、自動車ローンの返済もあったと仮定し、年間48万円の返済をしなければならないとした場合、住宅ローンの返済金額は、年間127万円(175万円-48万円)以内で抑えなければならないことを意味します。

これは、総返済負担率が最大の35%で試算をしたものでありますので、余裕を持った住宅ローンの返済や確実な住宅ローン審査の通過といった目的を考慮した場合は、総返済負担率を低く見積もって計算をする必要があります。

具体的には、借入金額を減らすか、既存の自動車ローンを完済するなどの工夫が必要になってきますが、理想の住宅購入をするといった目的や自分たちが納得した住宅購入をするといった目的から外れてしまう可能性もありますので、返済負担率は慎重に検討したいものです。

1-5.住宅ローン以外に、生活費や教育費、貯金なども考慮しなければ危険

無事、住宅ローンの審査が通過して融資が実行されると、いよいよ住宅ローンの返済が長期に渡って始まることになります。

一般に、住宅ローンの返済は、毎月継続して行わなければならないことから、毎月の生活費や子どもの教育費、将来に備えた貯金のほか、毎年課される固定資産税や都市計画税(都市計画税がかからない地域および固定資産税に含まれている地域が別にあります)なども考慮した返済計画をあらかじめ立てておくことがとても重要になります。

こちらは、家計簿をつけている方であれば家計簿を利用した返済計画を立てるのが望ましいと思われますし、逆に家計簿をつけていない方は、専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーなどへ、しっかりとした返済計画を立ててもらうのも良いでしょう。

2.毎月の返済額は、いくらまでなら安心できるのか

これまでの解説から「毎月の返済額は、いくらまでなら安心できるのか」といった答えについて多くの方がすでにご理解できたと思っております。

この答えに明確な数値(金額)をあてはめることはできませんが、1つだけはっきりと申し上げられることは、「総返済負担率の低い借入金額が、安心できる返済金額になる」ということです。

前項で解説した生活費や教育費、貯金なども考慮した返済計画から導き出された返済金額が、結果として総返済負担率の低い数値を出していれば、理想的で余裕を持った住宅ローンの返済ができることにつながります。

まとめ ~3500万円の住宅ローンを借りるには、年収はいくら必要?~

本記事では、3,500万円の住宅ローンをこれから借りることを想定し、はたして年収がいくらくらいあったら良いのかといったことについて解説を進めさせていただきました。

3,500万円の住宅ローンを借りるための年収は、金融機関が融資基準としている「返済負担率」を満たしているかどうかによって決まります。

したがいまして、個々に異なる年収を基準とした返済負担率を算定するためには、「1-2.参考 年収と総返済負担率から1ヶ月あたりの返済金額について検証してみた」で紹介したようなシミュレーションを行う必要があります。

ただし、住宅ローンを借りることと、安全に返していくことは、全くの別問題であり、重要なことは、しっかりとした返済計画を立てて完済まで余裕を持った住宅ローンの返済を行っていくことです。

返済負担率の割合が低い住宅ローンの借入は、住宅ローンの審査基準の通過と余裕を持った返済といった一石二鳥の効果を得られることになりますので、これから住宅購入を検討されている皆さまには、積極的に活用して検証して頂きたいポイントであることは確かです。