40歳を過ぎてくると、「定年を超えてしまうが、35年の住宅ローンを組めるのか?」という不安を抱く方は多いです。「完済時年齢が高くなり、住宅ローンの審査に通りづらくなってしまうのでは?」と心配になるからです。
平成29年5月現在において、厚生労働省が公表している日本人の平均寿命は、平成27年(2015年)の統計で男性が「80.79歳」女性が「87.05歳」となっています。
- 男性の平均寿命:80.79歳
- 女性の平均寿命:87.05歳
これを一つの指標として考えると、40歳から35年の住宅ローンを申し込んだと仮定した場合、平均寿命に達する前にすべての住宅ローンを完済する計算にならなければいけません。また時として、公的年金の支給を受けながら住宅ローンの返済をしていくことが予測できます。
このような予測が成り立つ中で、はたして40歳から35年の住宅ローンを借りることはできるのでしょうか。
本記事では、40歳から35年の住宅ローンを申し込む際における注意点や、住宅ローンの審査について懸念されることなどについて幅広く解説していきたいと思います。
目次
1.40歳でも35年の住宅ローンを借りられるのか
結論から申し上げますと、基本的に40歳から35年の住宅ローンを借りることは可能です。もちろん、住宅ローンの申し込みを行う人の状況によって左右されるため、一概に問題ないとは言い切れません。
また、年齢を問わず住宅ローンの融資を受ける上で最低限必要となる、「安定した収入」や「金融事故履歴がない」などといった複数の条件をクリアしていることは言うまでもありません。
ただ、住宅ローンを組むほとんどの方が初めての体験であるため、審査基準について十分に理解できている人は圧倒的少数です。
そこでこの項では、40歳を超えた場合に重要視される審査基準に関して、解説させていただきます。
1-1.原則として完済期間は定年までを考える
40歳から住宅ローンを申し込むということは、通常、定年退職まで20年から25年となります。公的年金の支給開始が原則として65歳であるため、25年後になると考えることもできます。
つまり、40歳で35年ローンを組むということは、年金生活をしながら住宅ローンの返済が続いていくことを意味します。
そのため、住宅ローンを35年で組んだとしても、あらかじめ返済計画は「定年退職まで」と考えるのが一般的です。もしくは、「65歳まで」で確実に完済できる計画を立てておくことが望ましいです。あくまでも、返済期間ではなく、完済期間であることに注意して下さい。
以下、一例となりますが、3,000万円を固定金利1.5%、元利均等返済、返済期間を20年と35年にした場合の違いは以下の表の通りです。
返済期間 | 20年 | 35年 |
---|---|---|
1ヶ月の返済金額 | 144,763 | 91,855 |
1ヶ月の返済金額が約5万円も異なっているため、完済期間ばかりを意識しすぎると無理な借入をすることになり、大変危険です。たとえ返済期間を35年にしたとしても、確実な返済計画を立てられれば何も問題がないことを理解しておく必要があります。
また、返済計画を立てる上で、上記返済金額のほかに、ランニングコストである固定資産税や都市計画税(かからない地域もある)のほか、火災保険なども定期的な間隔で負担を強いられることも忘れることはできません。
40歳から住宅ローンを組む人の場合、「結婚をするのが遅かった」、「子どもが授かるのが遅かった」、「やっと金融機関からの信用を得られた」など、特殊なケースも多いものと予測されます。
そのため、住宅ローンの返済計画だけに留まらず、将来のライフプランやライフイベントを考慮、検討しながら余裕を持った住宅ローンの返済および完済ができるように努めることが大切です。
1-2.頭金はあった方がよいのか
住宅ローンの申し込みにあたり、頭金はあった方が自分たちにとって有利に事が進むことは間違いありません。金融機関からの審査面ももちろん、金利の優遇が受けられる場合もあるため、無理をしない範囲内で頭金の準備をしておくことが望ましいでしょう。
また、仮に「フラット35」で住宅ローンの申し込みを行う予定がある場合におきましては、頭金の十分な確保が必須と言っても過言ではありません。
この理由は、フラット35で融資を受けられる範囲が「購入する土地や建物などの物件価格に限られている」ところにあります。
たとえば、住宅購入諸費用とされる登記手続きに係る報酬や事務手数料、火災保険料、団体信用生命保険料などは手持ちの資金から手出ししなければいけないということです。そのため、頭金がなければ諸費用を支払っていくのが難しくなると考えられる理由もあります。
以下、「頭金300万円がある場合」と「頭金300万円がない場合」の一例となりますが、3,000万円をフラット35固定金利1.5%、元利均等返済、返済期間を35年にした場合の違いは以下の表の通りです。
比較項目 | 頭金300万円あり | 頭金300万円なし |
---|---|---|
金利 | 1.06% | 1.5% |
1ヶ月の返済金額 | 85,527 | 91,855 |
1ヶ月の差額 | 6,328 | - |
参考:フラット35(平成29年5月金利)を下に筆者作成シミュレーション
仮に頭金があると、金利の優遇効果で月々の住宅ローンの返済金額が抑えられることが確認できます。
これはフラット35に限らず、民間の金融機関におきましても多種多様です。あわせて、住宅には一般住宅と長期優良認定住宅の2種類があり、長期優良認定住宅の場合は、さらに金利の引き下げ効果があるため、この辺も押さえておきたいポイントと言えます。
1-3.夫婦共働きの場合はどうなのか
40歳になってから35年の住宅ローンを夫婦共働きで申し込む場合であったとしても、先に解説した内容と基本的な考え方が変わることはありません。
ただ、夫婦それぞれの「個人信用情報」や「収入状況」などが大きく関わってくるため、住宅ローンが借りやすくなる一方で夫婦の収入合算ができない場合もあります。
たとえば、夫婦が会社員(正社員)などの場合は特に問題がないと推測できます。
しかし、一方が自営業、一方が会社員といった場合や一方が会社員、一方がパート・アルバイトなどの場合は、あらかじめ収入合算ができそうか事前確認しておくことをおすすめ致します。
2.40歳で3,000万円借入した場合の分岐点を考える
40歳で3,000万円を借り入れするか否かを迷っている人の質問を、以下で紹介していきます。人生の分岐点において、あなたも同じ立場で考えていただくことをおすすめ致します。
現在の家賃:10万
夫の年収:650万
妻(私):専業主婦
子供をつくる予定:なし
現在、新築マンションの購入を検討中。具体的には、40代中半で住宅ローンを3000万円、30年程度の返済期間で考えている。
ただ、現在40代で仮に30年借り入れした場合、返済完了が70歳を過ぎてしまうことが不安だ。はっきり言って、「無謀」であるような気さえしている。
返済計画としては、頭金1000万を入れて、貯金が800円残る予定。ただし、諸費用や引越し代などに関しては、貯金から捻出する予定であるため、手元に残る金額は少なくなります。
購入を検討している物件は、駅から徒歩10分圏内の大規模マンションの一室。設備が充実しているのはもちろん、特急停車駅で近隣の施設も色々あって便利だ。当初は、中古マンションの購入を検討していたが、検討しているエリアの方が人気だったため、こちらを検討中。
ただ、築10年であるにもかかわらず、新築分譲時の価格と変わらない。そのため、最近では「新築マンションの方がよいのでは?」と思い始めてきた。
実家はすでに兄弟が入っているため、夫婦は2人とも帰ることはできない。近隣の民間の家賃は12万、URの家賃も10万を超えている。車は所持していないため、中心街を離れたところへ行くことは考えていない。
年齡から考えて、ローンを組むチャンスはこれが最後だろうと考えている。しかしながら、定年までに完済するのは厳しいだろうし、本当にこれでいいのか悩んでいる。
住宅購入の経験がないため、これが本当に正しいことなのかどうかの判断ができるように、アドバイスをしてほしい。
住宅購入は、家族構成や将来のライフプランによってそれぞれ異なります。
また、最終的には本人の希望や判断で意思決定されるものであるからこそ、正しい、間違いといった答えを決めつけてしまうのはいささか問題があります。
ただし、ご自身で感じておられるように「定年まで返済できない」「子どもがいない」といった問題点を考慮すると、はたして新築のマンションを40歳から大きな金額をはたいて購入する意義を見出さなければならないことは確かです。
病気になるリスクも多少なりとも考慮しなければなりませんし、子どもがいないのであれば、老後は施設に入所しているかもしれません。問題点が山積みになっているほか、様々なリスクが潜んでいます。
人によってこの答えは異なるため、住宅ローンを申し込む金融機関へ相談することをオススメ致します。
3.40歳で35年の住宅ローンを賢く借りるポイントと注意点
40歳で、35年の住宅ローンを賢く借りるポイントと注意点は、以下の通りです。
- 頭金をフル活用して金利の優遇を受ける
- 優良住宅を購入することでさらに金利優遇を受ける
- 健康状態によっては住宅ローンが受けられない可能性があるため注意
- 子どもの教育費用や親の介護費用に注意(後述)
- 老後生活の資金対策も視野に入れておく(後述)など
以下、それぞれについて詳しくまとめておりますので参考にしてみることをおすすめ致します。
3-1.40歳以上の方は、何年ローンを組むべきなのか?
大前提として、金融機関の完済時年齢が80歳になっていることがほとんどです。このことを踏まえると、それまでの返済期間で住宅ローンの申し込みをしなければなりません。
したがいまして、住宅ローンの審査が通る、通らないといったこととは別の話であると言えます。仮に35年ローンを組むのであれば、少なくとも45歳を一つの目安にしなければならないことになります。
また、住宅ローンは「確実に完済できること」「余裕を持った返済ができること」といった最低限の条件を満たした返済計画を立てておく必要性があります。そのため、これらに沿った範囲内で住宅ローンを組まなければなりません。
つまり、「何年といった答えはなく」、それぞれの状況に合わせて最適な返済期間は異なることになります。
40歳からの住宅ローンの申し込みは、できる限り専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーなどに事前相談した上で最適なプランを実行していくことを強くおすすめしたいものです。
3-2.老後破産とならないために、徹底した資金計画が鍵を握っている
40歳からの住宅ローンの申し込みは、返済条件にもよるものの、年金生活が開始となる65歳を超えて債務が残っている場合もあると推測されます。
言うまでもなく、年金生活をしながら住宅ローンの返済を続けていくことは、実質的にかなり厳しくなることが予測できます。そのため、事前の徹底した資金計画と返済計画が大きな鍵を握ることとなります。
当然、失敗すれば「死活問題」になる極めて重要な問題となることは明白なだけに、やはり専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーなどに事前相談した上で最適なプランを実行していくことが望ましいと考えられるわけです。
3-3.住宅ローンの返済計画に退職金も入れることを視野に考える
退職金は、老後の生活資金という考え方があることを踏まえると、一般論では住宅ローンの返済に充てることは誤った考え方と思われるのかもしれません。
しかし、40歳から住宅ローンを申し込む場合、「65歳までの完済」を1つの目標として考えた時に、退職金で完済するといった選択肢は極めて重要な判断の1つとなります。
老後の資金対策を取りつつ、退職金を充てて住宅ローンを完済し、残った退職金と老後の資金対策をしたお金と年金で賢く充実した老後生活を送ることは十分可能です。
当然のことながら、専門的な知見や将来を展望するためのスキルが必要となることから、ここでも専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーの協力を得て、事前のアウトソーシングをしておくことで安全・安心・確実を手に入れておく方が得策であると思われます。
3-4.資金計画には、教育費や親の介護費用も含めて考える
40歳からの住宅ローンの返済におかれましては、子どもの教育費や親の介護費用も大きな負担になってしまうと推測することができます。そのため、住宅ローンの資金計画では、これらの費用も考慮した余裕のある計画を立てておく必要性があります。
住宅ローンの申し込み前には、資金計画や返済計画を「正確」に立てておくことが、将来を左右する結果につながることは言うまでもありません。
3-5.当たり前ですが、最後まで無理なく返済できる計画を立てる
先の解説に重複致しますが、基本中の基本として、毎月無理のない返済ができる金額でローンを組むことが重要です。具体的には、収入(手取金額)から支出(生活費等)を差し引いて正味余ったお金で住宅ローンの返済をすることが望ましいです。
このとき、ランニングコストである固定資産税の納付や貯蓄の余力を残していることが「大前提」です。これには、「返済負担率」が重要になるため、必ず以下のコンテンツを読み、情報武装しておくことを強くお勧めいたします。
3-6.老後の資産形成も同時に対策を行いましょう
40歳からの住宅ローンの申し込みは、返済期間の途中で定年退職を迎える場合や年金生活が始まってしまう可能性を踏まえますと、住宅ローンの返済をしながら、老後の資産形成も同時に行っておく必要性が高いと考えることができます。
貯蓄という選択肢のほか、積立投資や確定拠出年金、個人年金保険などのような老後の資産形成も同時に対策を取っておくことも大切です。これにより、定年退職や公的年金の支給時期に合わせた、収入減少リスクを補填することが可能となります。
3-7.子供がいる場合、親子リレーローンという選択肢もある
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出典:フラット35・ご利用条件について
住宅ローンには、「親子リレーローン」といった世代に渡って住宅ローンを返済していく方法もあります。主に二世帯住宅を購入する時などは、住宅ローンの返済における選択肢と使われることもありますが、核家族化が進んでいる昨今では、あまり使われることがない方法と言えそうです。
4.40歳に適した住宅ローンの選び方
40歳という世代は、働き盛りであり、様々なことにお金がかかる時期であると言えます。
住宅ローンに関しましては、ケース・バイ・ケースではあるものの、収入が安定しながらもこの先さらに多くの収入が得られると見込まれます。そのため、「変動金利」で「定年退職までの短期間」という選択肢もありなのかもしれません。
ただし、多くのお金を抜けさせたくない場合におきましては、「細く長い返済」が効果的です。そのため、あえて「変動金利」で「35年返済」という選択肢も十分効果が見込まれると考えられそうです。
あくまでもこれらは、一例であり収入と支出の状況を含め、今後のライフイベントやキャッシュフローといったお金の流れを確認しなければ正確なことを伝えることは困難です。
したがいまして、何度も申し上げておりますように、40歳からの住宅ローンの申し込みについて不安要素がある場合は、FPや住宅ローンアドバイザーといった専門家の知見を有意義に活用するべきだと考えます。
まとめ
本記事では、40歳から35年の住宅ローンを申し込む際における注意点や、住宅ローンの審査について懸念されることなどについて幅広く解説させていただきました。
40歳は、収入や貯蓄を含めて安定している世代であると言えます。このことを踏まえると、住宅購入における資金計画や返済計画をしっかりと立てることで、無理なく住宅購入が可能な世代であることは間違いありません。
しかし、40歳ともなると、子どもや親に対してお金の支出が大きくかかる世代です。年金生活をしながら、住宅ローンの返済をしていかなければならないリスクが含まれていることも忘れてはならない世代でもあります。
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40歳を過ぎて住宅ローンを組む場合、最も気にすべきことは「完済できること」です。健康でいれば問題ないとしても、年をとっていくほどケガや病気のリスクが大きくなって行くからです。
何かのきっかけで働けなくなった場合、支払いができなくなってしまい、最悪の場合は家を失ってしまう可能性もあります。
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