世帯年収600万円の方の住宅ローンの平均や限度額はいくら?

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「世帯年収600万円」と聞いて、多い・少ないという感じ方は、個人差があると思いますが、実際のところ、お住いの都道府県によって世帯年収600万円における住宅の「質」は大きく異なると推測されます。

この理由は、設備の整った質の高い住宅が建てられる・建てられないといった違いは、年収と都道府県によって生じ方が大きいと予測され、「住宅建築の相場」が異なるためと考えられます。

しかし、住宅ローンの融資におきましては、基本的に都道府県による大きな違いはありません。

あくまでも年収や所得を基準として、融資金額の上限をそれぞれの金融機関が定めているのが一般的です。

そこで本記事では、世帯年収600万円を1つの基準として住宅ローンの平均や限度額など、多くの方が気になる点について解説を進めていきます。

1.世帯年収600万円の住宅ローンの借入限度額はいくらなのか?

はじめに、世帯年収600万円前後における住宅ローンの借入限度額はいくら程度になるのか、以下、ヤフー知恵袋で質問された内容を参考に解説を進めていきます。

質問内容

年収600万円の住宅ローンの借入限度額はいくら位ですか?

私の友人で年収610万で4,800万円の住宅を検討している方がいますがこれって可能なのでしょうか?可能だとしても生活は成り立つんでしょうか?

話を聞いていて少し不安に思ったので質問します。因みに年齢は38歳で頭金は100万円位だそうです。奥さんは専業主婦なので収入はゼロです。

子供は1歳の子供が居ますが後2人ほしいみたいです。この手に詳しい方、もしくは専門の方回答お願いできますか?

ヤフー知恵袋:年収600万円の住宅ローンの借入限度額はいくら位ですか?より引用

見解

上記の質問に対して、ここではフラット35を利用すると仮定して解説を進めていきますが、通常どの金融機関におきましても、住宅ローンの申し込みにおきましては、融資の上限が定められています。

実際のところ、住宅ローンを取り扱っている多くの金融機関では、融資上限について「返済負担率が年収の35%まで」としていることが多いようですが、フラット35では、融資上限について以下のようにホームページで公開しています。

年収400万円未満400万円以上
基準30%35%

フラット35:平成19年10月1日以降のお申込みからのご利用条件より引用

質問内容より、年収が610万円であるため、上記表より融資上限は、返済負担率が年収の35%までといったことが確認できます。

住宅ローンの毎月々の返済金額平均と年収に見合う返済負担率とは

2017年2月22日

つまり、1年間の借入金の返済上限が2,135,000円(610万円 × 35%)に留まっていなければならないことを意味し、これを月額に換算すると約177,916円となります。

仮に4,800万円の住宅ローンについて、金利1.12%・返済期間35年・元利均等返済(ボーナス払いなし)で大まかに計算すると、1ヶ月の返済金額は138,198円となり「基準を満たしている」と表面上では判断することができます。

住信SBIネット銀行 住宅ローン - ご返済額試算を下に管理人シミュレーション

住信SBIネット銀行:住宅ローン – ご返済額試算を下に管理人シミュレーション

ただし、1ヶ月あたり138,198円を35年間返済し続けながら、後に2人の子どもが誕生し生活を維持していくことを考えますと、先行きをしっかりと確認しなければならないと前置きしつつも、かなり厳しくなりそうだと予測します。

また、住宅ローンの申し込みを受けた金融機関が、融資基準に即しているとはいえ、確実に融資をするといった保証もありません。

総合的に判断した結果、返済に懸念が生じそうだと金融機関が判断を下した場合は、融資が見送られることになります。

なお、こちらは余談となりますが、よく聞く「借入可能額は、年収の5倍」などの話につきましては、まったく根拠がなく、あてにならない情報です。

細心の注意が必要なことも申し添えておきたいと思います。

1-1.世帯年収600万円は、住宅購入に適した平均金額なのか?

住宅購入は、自分たちだけのものでありますから、基本的に周りと比べることや何かの平均を比較して一喜一憂することは、適切とは言えません。

しかし、多くの方は「何かと比べて安心を求めたがる」需要があるようですので、ここでは、参考までに「世帯年収600万円は住宅購入に適した平均金額なのか?」について、国土交通省の統計データを下に紹介していきます。

国土交通省 平成28年度住宅市場動向調査報告書 2. 結果の概要 2.3.3 世帯年収

国土交通省:平成28年度住宅市場動向調査報告書 2. 結果の概要 2.3.3 世帯年収より抜粋

住宅の種類によって異なりはあるものの、分譲マンションを除いて世帯年収の平均が「600万円台」になっていることが統計データから確認することができます。

ただし、この統計データを取った際の対象地域は、全国ではなく首都圏や大都市圏であることを踏まえますと、対象地域外に住まれている方の参考目安にはならないことになります。

統計データは、あくまでも目安であり参考値でありますから、次項から解説する内容を読み進めていただきながら、自分基準で住宅ローンを考えるように心掛けていただきたいものです。

1-2.世帯年収600万円で3,500万円〜4,000万円の借入は不可能なのか?

「1.世帯年収600万円の住宅ローンの借入限度額はいくらなのか?」で例にあげた世帯では、世帯年収610万円に対して4,800万円の借入希望ということでしたが、住宅ローンの審査の目安というものは「年収と借入金額で一概に決定されるものではない」ことをあらかじめ理解しておく必要があります。

このようなことを踏まえまして、参考までに2つの質問事例と世帯状況等から考えられることを記載していきたいと思います。

質問事例:その1 住宅ローンを、3500万円の35年間、頭金ゼロで借入する話があります。

住宅ローンを、3500万円の35年間、頭金ゼロで借入する話があります。お恥ずかしながら、今現在貯蓄は100万円弱です。

主人の年収は、だいたい480万円位で、月々返済額12~13万円になる見込みです。

主人は、現在33歳、私31歳。子供二人(小2、年中)です。

私は頭金を少しでも貯めてから、と考えていたのですが、これから住宅ローンの金利、消費税があがる事も考え、主人は今買った方が絶対に得!と言ってききません。

融資の方も、ハウスメーカーの方が口をきいてくれて何とか通りそうとの事でした。

私は、あまりにも無謀な計画にかなり心配でしょうがない状態なのですがハウスメーカーの方が次から次に計画を進めておられ、主人も納得させられてしまい、このまま契約になってしまいそうです。

このまま契約してしまって大丈夫なのでしょうか?

ちなみに今は親と同居で、生活費として月に8万円払っております。皆様のご意見をお聞かせください。お願い致します。

ヤフー知恵袋:住宅ローンを3500万円の35年間、頭金ゼロで借入する話がありますより引用

質問に対する見解

上記の質問は、2006年7月にされたものでありますが、平成29年8月現在の状況に照らし合わせたとしても共通して注意しなければならない内容となりますので、じっくり読み進めていくことをおすすめ致します。

はじめに、住宅ローンの大原則として「不安を抱えたまま申し込まない」ことがあげられることから、心配事や不安はすべて払拭してから契約を済ませなければなりません。

質問内容の雰囲気からは、決して住宅ローンの返済がうまくいくことが残念ながら微塵も感じられません。

むしろこのまま契約した場合、子どもたちの将来がとても心配な印象を受けます。

また、ハウスメーカーの口車に乗ってしまっていることも伺えるだけでなく、住宅ローンの返済計画が立てられていないことも明白であることから、非常に危険な状態であると懸念します。

月々の返済金額を試算する以前に、まずは、家計の収入と支出の状況を確認し、自分たちの懐具合を確認するところから始めるべきでしょう。

おそらく親と同居していることから、1ヶ月にかかる支出などを把握しておらず、金銭感覚に欠けていることも予測できそうです。

いずれにしましても、この世帯の場合、住宅ローンの融資が仮に受けられたとしても完済までに苦しい状況に立たされてしまう可能性が極めて高いでしょう。

質問内容:その2 年収600万、住宅ローンで3500~4000万借りた方いますか?

年収600万、住宅ローンで3500~4000万借りた方いますか?

住宅ローンに関する本を何冊か読み、夫の年収から考えて3100~3200万の借入がギリギリかな、と思っています。購入する物件もほぼ決まっています。

しかし姑(二世帯住宅で一緒に住みます)が、あと数百万借りれば庭付きの物件が買えるのにと言います。

確かに銀行はもう少し貸せると言いました。(夫は公務員なので)

しかし返済の事を考えると、借りれるだけ借りるというのは後が大変だと思います。

子供は小学生と保育園で、私も働いていますがパートという不安定な身なので、私の収入は考慮しないで返済の計画をたてています。

しかし姑は「借りてしまえば返せるもんだ」と言うし、旦那も「そうやな、庭は欲しいな」と言い出し始めました。都心部なので、庭を望むなんて贅沢すぎると私は思っているのですが・・・。

周りに建っているのは1階が車庫の3階建が圧倒的に多いです。

年収600万で4000万弱借りた方、もしいれば返済はどんな感じか教えていただきたいです。

ヤフー知恵袋:年収600万、住宅ローンで3500~4000万借りた方いますか?より引用

質問に対する見解

質問の内容を読み進めていきますと、はじめに、質問者様の危機管理能力はすばらしいものがあると思います。

しっかりとした住宅ローンの返済計画を立てることで、この世帯の場合、問題なく返済し続けていけるのではないかと推測します。

二世帯住宅で住むのであれば、姑さんの資金援助などがないものかが気になったところですし、資金援助やその他の援助がない状態で「あと数百万借りれば庭付きの物件が買えるのに」といった言い分はさすがに首を傾げてしまうのは私だけではないと思います。

また、「借りてしまえば返せるもんだ」など、あまりにも無責任かつ他人事である言い分を踏まえますと、住宅ローンの返済よりも毎日の生活の方に懸念が生じそうな気もしてしまいます。

質問内容から基本情報が少なすぎているため、大まかな推測になってしまいますが、金融事故やその他の問題が無い場合、年収600万円に対して4,000万円の住宅ローンの借入は十分に行えると思われます。

ただし、子どもの将来にかかるお金や家計を支えるためにも、引き続き、質問者様のパートは継続していきたいものです。

2つの質問事例を踏まえまして「世帯年収600万円で3,500万円〜4,000万円の借入は不可能なのか?」といった結論として、「ケース・バイ・ケースになる」と回答するのが無難でしょう。

次項で解説する「2つの質問事例から住宅ローン考える上で大切なこと」を読み進めつつ、できる限り専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーの詳細な見解を得ておきたいものです。

2.2つの質問事例から住宅ローン考える上で大切なこと

前項では、住宅ローンの借入に悩む2組の世帯の質問事例について簡単な解説を付させていただきましたが、同じ年収600万円であったとしても借入金額や世帯状況が異なることを感じていただけたと思います。

ただし、いずれの質問に対しても共通して言えることは、「住宅ローンは借入できる金額ではなく、無理なく返済できる金額でなければ家計破綻する可能性がある」という大切な考え方があり、最優先でこの考え方を踏まえた住宅ローンの返済を検討していかなければなりません。

2-1.住宅購入は金利だけでなく、高額な諸費用がかかることを知ろう

住宅購入をするには、住宅ローンの金利だけではなく、高額な諸費用がかかることもあらかじめ知っておかなくてはなりません。

具体的な金額は、以下のコンテンツで紹介させていただいております。

住宅・家の購入の金利や利息を合計したマイホームの支払い総額

2017年3月5日

また、選んだ住宅ローンの金利タイプや借入期間によって、1ヶ月の返済金額や総返済金額も変わることになるため、単純に「現在支払っている家賃程度」で住宅を購入できるわけではないこともあらかじめしっかりと押さえておかなくてはならないポイントになります。

「今住んでいる家賃で家を買えますよ」はセールストークであり、騙されてはいけません。

前述の通り、住宅ローンの金利だけではなく、高額な諸費用がかかるからです。

そのため、「注文住宅の家を建てる際に気になるマイホームの平均予算の決め方」をよく読み、「どの程度の費用が実際にかかるのか?」を完璧に把握して、正しい予算決めを行うようにしましょう。

2-2.住宅ローンの返済以外にもランニングコストがかかることを知ろう

住宅購入後は、毎月の住宅ローンの返済のほか、固定資産税や都市計画税の納税や火災保険料や団体信用生命保険料(選んだ住宅ローンによって必ず必要になるものではない)などのランニングコストがかかることを知っておく必要があります。

つまり、住宅ローンの返済計画を立てる上で、毎月の生活費や貯蓄などといったお金を考えた後に、住宅ローンの返済金額やランニングコストを加味しておかなければ、長い期間に渡って苦しい住宅ローンの返済を強いられることに繋がります。

なお、住宅にかかるランニングコストに関してさらに詳しく知りたい場合、以下のコンテンツがオススメです。

「何に対して、どの程度の費用がかかるのか」を解説させていただいているため、シミュレーションしながらイメージを膨らませておきましょう。

住宅・家の購入後の年間維持費:マイホームのランニングコスト

2017年3月3日

3.2つの質問事例から余裕を持った住宅ローンの返済をするために検討しておきたいこと

本記事の最後に、2つの質問事例から余裕を持った住宅ローンの返済をするために、検討しておきたい3つのことを解説していきます。

  1. 物件価格を抑えることを検討する
  2. 頭金を入れることを検討する
  3. 収入合算することを検討する

順を追って解説させていただきます。

3-1.物件価格を抑えることを検討する

年収に対して表面上、住宅ローンが借入できる金額であったとしても、完済まで継続して返済できる金額でなければならないため、時には物件価格を抑えることを検討しなければならないこともあります。

どうしても物件価格を抑えられない場合は、後述する2つの項目について検討してみましょう。

3-2.頭金を入れることを検討する

頭金とは、住宅購入における自己資金のことを言い、頭金が多ければ多い程、住宅ローンの借入金額が少なくて済むため、結果として月々の返済金額も少なくなります。

つまり、無理のない住宅ローンの返済ができることに繋がります。

住宅ローンにおける頭金の必要性と費用・相場や平均はいくら?

2017年2月18日

3-3.収入合算することを検討する

夫婦共働きの場合、お互いの収入を合算して住宅ローンの申し込みをする「収入合算」をすることができます。

収入合算をすることで、住宅ローンの融資が受けやすくなるだけでなく、月々の返済につきましても負担が軽減されるメリットを得ることができます。

収入合算(ペアローンと連帯債務者と連帯保証人)の違いと控除

2017年5月14日

まとめ

本記事では、世帯年収600万円を1つの基準として平均や限度額など、多くの方が気になる点について解説を進めさせていただきました。

あくまでも、金融機関が定めている基準に合致しているほか、無理のない借入であれば基本的に住宅ローンの審査や返済を極度に心配する必要はありません。

「人の振り見て我が振り直せ」と言われますように、ヤフー知恵袋の質問事例と見解から自分自身はどうなのか、再確認してみることを強くおすすめ致します。

なお、世帯年収に関わらず考え方は共通しておりますので、世帯年収600万円に縛られず多くの方の参考にしていただければと思っています。

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