自営業の住宅ローン審査|借入に自己資金・頭金は必要なのか

住宅ローンの頭金

住宅ローンの借り方や返し方の考え方は、一昔前に比べて現在では大きく変化を遂げています。

それに伴い、「頭金」に関する考え方や金融機関の取り扱いも、大きく変化しています。

具体的には、これまで住宅ローンの申し込みを行う上では、頭金の用意は必須とされていました。

頭金がなければ「住宅ローンの融資が受けられない」といったこともあったのです。

しかし現在では、頭金が用意できなくても住宅ローンを申し込みし融資が受けられる状況になっています。

これを踏まえまして、本記事では、自営業が住宅ローンの融資を受ける際の頭金に焦点をあて、どのような考え方で頭金を活用するべきなのかについて解説を進めていきます。

1.自営業に限らず、頭金は多ければ多い程、有利になる

住宅ローンの考え方として、一昔前は、「借入金額の◯%の頭金を用意する」といった考え方がありましたが、現在、この考え方はまったくの誤りです。

この理由は、冒頭でもお伝えしました通りです。

一昔前は、住宅ローンの申し込みの際、頭金の用意は必須とされておりましたが、現在では、住宅ローンの頭金を用意しなければならないルールが、ほぼすべての金融機関で撤廃されています。

いわば、頭金を用意せずとも住宅ローンの申し込みができるようになっているためです。

ただし、これまでと同様に頭金を用意している申込者に対しては、それぞれの金融機関が独自で金利優遇を行っている場合がほとんどです。

このことから、住宅ローンの金融機関選びや頭金の有無によって、住宅ローンは有利に借りられる時代となっています。

2.自営業でも頭金なしで住宅ローンを利用できる

住宅ローンは、頭金がなくても審査に通過することができます。

これは、自営業といった職業が問われることはありません。

ただし、自営業は、会社員や公務員に比べて安定した収入が確保しにくいとされている職業であることには変わりありません。

このことから、住宅ローンの頭金は、以下の役割があることを、ご理解いただく必要があります。

  • 金利優遇が受けられる
  • 住宅ローン審査に通過しやすくさせる

そのため、できる限り住宅ローン審査を有利に進めるためには、頭金があることに越したことはありません。

住宅ローンの申し込み前の段階から、あらかじめ十分な頭金を用意しておくことが望ましいでしょう。

3.自営業の方が、頭金なしで住宅ローン審査に通過するための対策方法

仮に、自営業の方が、頭金なしで住宅ローンの審査に通過するためには、どのような部分に注意し、対策をしておく必要があるのでしょうか。

本項では、そのような疑問をお持ちの方に対する「住宅ローン審査の対策ポイント」を、個別に解説していきます。

3-1.これまでの「所得」から無理のない返済額と、購入できる住宅の金額を計算する

住宅ローンの審査では、申し込みをする金融機関によって、提出が求められる過去の確定申告書は異なります。

ただ、一般には、民間金融機関が取り扱っている住宅ローンの申し込みをする場合、直近3年分の確定申告書の提示が求められます。

そのため、この3年間における事業の所得金額が、住宅ローン審査における「安定した収入があるかどうか」の判断基準になるのです。

このほか、「希望借入金額に対して無理なく返済できる金額かどうか」が審査されることになります。

このため、事業の黒字化はもちろんのこと、希望借入金額に対して十分な所得金額があるかどうかを確認しておく必要があります。

たとえば、「3,000〜3,500万円の住宅を買いたい」と考えていたと仮定しましょう。

この時、自営業者でも比較的住宅ローン審査に通過しやすいとされている「フラット35」で申し込みを検討している場合のイメージを1つ紹介しておきます。

なお、イメージ解説における前提条件は以下の通りとします。

  • 直近3年間の平均所得金額:300万円
  • 借入金額:3,000万円
  • 適用金利:年2.0%
  • 返済期間:35年間
  • 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし)
  • 頭金:なし

上記の借入条件で住宅ローンのシミュレーションをした結果は、以下の表の通りです。

1ヶ月あたりの返済金額  99,378円
1年間の返済金額 1,192,536円
35年間の支払利息  11,739,108円
35年間の総返済金額 41,739,108円

この時、所得金額300万円に対して1年間の住宅ローン返済金額である1,192,536円が、どのくらいの割合になるのか計算する必要があるのですが、これが「返済負担率の計算」にあたります。

【返済負担率とは】

(自営業の方の場合)平均所得金額に占める、年間返済額(元金+利息)の割合のことをいい、「金融機関が、いくらまで貸してくれるのか」を判断するための数字です。

返済負担率は、以下の式で計算します。

(1年間の返済額÷平均所得金額)×100%

たとえば、平均所得金額500万円の方が、1年間に100万円返済する場合、(100万円÷500万円)×100%返済負担率は20%となります。

金融機関等では、借入条件(融資条件)として、返済負担率の上限を設定しています。

本ケースの場合の返済負担率は、以下の通りです。

返済負担率=(1,192,536円÷3,000,000円)×100%=約39.75%

フラット35では、返済負担率の上限を明示しているため、これを参考に判定します。

フラット35

(参考:フラット35 【フラット35】ご利用条件

平均所得金額が300万円ですので、返済負担率の上限基準が30%までであることが確認できます。

この場合、返済負担率が約39.75%とオーバーしていることから、3,000万円以上の借入について、フラット35で行うことはできません。別の対策を施さなくてはならないと判断できます。

このイメージを踏まえまして、頭金なしで住宅ローン審査に通過するための対策方法について、次項より具体的に解説を進めます。

3-1-1.配偶者との収入合算を検討する

夫婦共働きが増えていることもあり、配偶者も働いている場合は、「配偶者との収入合算」によって、希望の借入金額を融資してもらえる可能性が高まります。

たとえば、ご自身の平均所得金額が300万円で、配偶者の収入を100万円合算することができた場合を考えてみましょう。

この場合、400万円の収入があるものとして判断されることになり、具体的には、以下のような取扱いになります。

フラット35ご利用条件

(参考:フラット35 【フラット35】ご利用条件

返済負担率=(1,192,536円÷4,000,000円)×100%=約29.81%

返済負担率の基準35%以下に収まっているため、収入による基準はクリアしていると判断されます。

配偶者が会社員や事業専従者として給料を貰っている場合は、収入合算を活用することによって、希望借入金額を借りられる可能性があるのです。検討してみる価値は十分にあると言えます。

3-1-2.融資条件を見直す

返済負担率が高いということは、収入と希望借入金額のバランスが合っていないことを意味します。このような場合は、融資条件を見直すことも時には必要です。

融資条件を見直すとは、以下のような様々な方法があります。

  • 希望借入金額を減額する方法
  • 金利を変動金利などの低い金利へ変える方法
  • 返済期間を長くする方法
  • ボーナス払いを加える方法 など

ご自身の返済計画に合った方法へ見直すことが重要です。

たとえば、配偶者との収入合算が難しく、かつ、頭金も準備することが難しいといった場合を考えてみましょう。

先の例と同じように、平均所得金額が300万円であった時、返済負担率が30%以内に収まるようにするためには、1年間の返済金額を90万円以内、1ヶ月あたり75,000円以内にしておかなければなりません。

住宅ローンの返済は、長期に渡るものです。

このため、余裕を持った住宅ローンの返済を実現するためには、ご自身の収入に見合った借入をする必要があります。

そのためには、思い描いている借入ができないことも理解しておかなければなりません。

3-2.今後の事業計画をしっかりと立て、「安定収入が見込めること」を示す

ご自身が思い描いている希望の借入金額を実現するためには、やはり、「事業計画を精査し、安定収入が見込めるための努力」が必要不可欠です。

住宅ローン審査では、「将来に渡って、きちんとローンを返済できるかどうか」が審査・判断されます。

このため、これまで通り、そしてこれまで以上に、「安定した収入が見込める状態」が期待できるのかを、明確に説明できるような体制が整っていることが望ましいのです。

自営業であるからこそ、この辺の説明はしっかりと出来るようにしておきたいものです。

3-3.フラット35の利用を検討する

一般に、自営業の方は、民間金融機関が取り扱っている住宅ローンの審査に通過するためのハードルが比較的高いとされていることは確かです。

ただこれは、自営業を営んでいる方の所得金額やその他の状況によって大きく左右される部分ではあります。

仮に、民間金融機関が取り扱っている住宅ローンの審査に通過するのが難しい場合には、住宅金融支援機構が取り扱っている長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の利用を検討されることをおすすめ致します。

フラット35は、住宅ローンの申し込みに対して、開業年数が3年以上といった実績が問われません。一応の形式上、1年未満の開業年数であったとしても申し込みは可能となっています。

ただし、少なくとも2年間の開業実績(確定申告書の提出)を求められることを考慮しますと、ここが住宅ローン審査に通過するための1つの基準になると言っても過言ではありません。

これを満たしていない場合は、厳しい審査になることは間違いないでしょう。

4.「頭金ゼロ」で住宅ローンを利用する場合と「頭金あり」の場合の違いについて知っておこう

これまでの解説では、自営業の方は、会社員や公務員に比べて安定した収入が確保しにくいとされている職業であることから、住宅ローンの頭金があるということは、

  • 金利優遇が受けられる
  • 住宅ローン審査に通過しやすくさせる

この役割も担っていることをお伝えしました。

そこで本項では、頭金を用意する場合とゼロの場合における違いを比較していきます。

住宅ローン審査に影響を及ぼす返済負担率の関係も、あわせて紹介しておきたいと思います。

なお、比較シミュレーションにおける前提条件は以下の通りとします。

  • 直近3年間の平均所得金額:400万円
  • 借入金額:3,000万円
  • 適用金利:ARUHIにおける平成30年3月実行金利を参考とする
  • 返済期間:35年間
  • 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし)
  • 頭金:300万円
  • 団体信用生命保険に加入するものとする
  • フラット35sの適用が受けられるものとし、金利優遇適用期間は5年間とする(ただし、頭金の有無による違いを解説するため、計算するための金利は35年間、一定とします)
比較内容  頭金あり(300万円)  頭金なし
金利 1.36% 1.80%
1ヶ月あたりの返済金額 80,830 96,327
1年間の返済金額  969,960 1,155,924
返済負担率  24.24% 28.89%
35年間の支払利息 6,948,892 10,457,513
35年間の総返済金額  33,948,892 40,457,513
頭金の有無によって生じる差 ▲6,508,621

比較した結果、頭金300万円があることによって、頭金がない場合に比べて35年間の住宅ローン返済によって生じる差額は、「6,508,621円」であることがわかります。

返済負担率も、頭金がある場合は、24.24%と申し分ありません。

一方、頭金がない場合は、28.89%と懸念されます。他の借入金があった場合は、住宅ローン審査に通過するのは厳しくなってくることが予測されます。

このように、頭金があるということは、金利優遇が受けられるだけではなく、住宅ローン審査に通過しやすくさせるための役割も担っていることがわかります。

ちなみに、頭金を確保するといった意味では、「親の資金援助」は、頭金の捻出方法としておすすめです。

すべての方に対して有効な方法ではありませんが、まずは相談してみるのが得策です。

5.無理のない返済プランを組めば、頭金ゼロでも大丈夫

住宅ローンの考え方として、「借入金額の◯%の頭金を用意する」といった考え方や「頭金ゼロは危ない」といった考え方が世の中には出回っています。

しかし、現在の住宅ローン事情において、これらの考え方は、時代に即しておらず、誤った考え方です。

すでに解説をさせていただきましたように、頭金があることによって、住宅ローンの審査に通りやすくなるだけでなく、金利優遇が受けられる場合が多いことから、住宅ローンの申込者にとって有利に働くお金が「頭金」なのです。

そのため、頭金がゼロであるということは、住宅ローンの審査が通りにくくなる可能性も含みつつ、金利優遇は受けられないといった程度に留まるとお考えください。

一昔前のように、住宅ローンそのものが融資されないといったことではありません。

また、無理のない返済プランを組めば、頭金ゼロでも余裕を持った返済を続けていけることを、確実に知っておく必要があります。

まとめ

本記事では、自営業が住宅ローンの融資を受ける際の頭金に焦点をあて、どのような考え方で頭金を活用するべきなのかについて解説を進めさせていただきました。

自営業という職業であるからこそ、頭金が持つ役割は極めて重要です。

できる限り、頭金を用意できている状態で、住宅ローンの申し込みを行っておきたいものです。

  • 頭金は、返済負担率を低下させる効果が認められ、住宅ローン審査にプラスの影響を与える
  • 頭金があることによって、金利優遇を設けている金融機関がほとんどのため、恩恵が受けられる

上記2項目が、本記事の要点にあたります。

自営業の方でこれから住宅ローンの申し込みを検討されている方は、この2項目について再度ご確認いただきまして、頭金の確保に努められることを強くおすすめ致します。

自営業・個人事業主の方はフラット35が審査に通りやすくておすすめ

自営業の場合、会社員や公務員に比べて審査が通りづらいです。売上によって収入が変動するため、「不安定」という見方をされるからです。

ただし、フラット35(全期間固定金利)であれば話は別です。

民間金融機関の住宅ローンの場合、多くは「年収400万円以上で、安定した収入がある状態でなければ、そもそも申し込みすらできない」といった縛りがありますが、フラット35では、そのような収入に対する審査基準は一切ないからです。

さらに、通常は3年程度必要な過去の業績も、フラット35であれば、半年や1年の業績さえあれば審査への申し込みが可能です。

そのため、フラット35は自営業・個人事業主の方であっても審査に通りやすく、ほとんどの経営者がこれで住宅ローンを組んでいます。

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