住宅ローンを申し込みする際に、すでに抱えている借金やその他の債務は、住宅ローンの審査にマイナスの影響を及ぼすことになります。
特に、クレジットカードによるキャッシングや消費者金融からの借入については、これから住宅ローンを申し込みされる多くの皆さまにとって、とても気になる内容であることも確かです。
そこで本記事では、クレジットカードによるキャッシングを住宅ローンの審査直前に完済した場合における審査やその他の影響を中心に解説を進めていきます。
目次
1.クレジットカードのキャッシングを住宅ローン審査直前に完済した時の影響
はじめに、本記事の結論となりますが、クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借入について、仮に、住宅ローン審査直前に完済したとしても、プラスの影響は与えにくいのは確かです。
これには、主に2つの理由が考えられるのですが、以下、それぞれの理由について詳しく解説をしていきます。
1-1.あくまでも完済している状態であり、新たな借入が可能である
住宅ローンの審査前に、クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借入について完済したとしても、あくまでも「完済して借金が無い状態」です。
いつでも、「新たな借入が可能」であるため、住宅ローンの審査にプラスの影響は与えにくいと考えられます。
また、クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借入で可能な借入上限額は、住宅ローンの審査前にすべての債務を完済してあったとしても、借入上限額まで借金をしているものとみなして、審査や返済負担率の計算がなされます。
年収(自営業の方の場合は平均所得金額)に占める、年間返済額(元金+利息)の割合のことをいい、「金融機関が、いくらまで貸してくれるのか」を判断するための数字です。
返済負担率は、以下の式で計算します。
(1年間の返済額÷年収)×100%
たとえば、年収500万円の方が、1年間に100万円返済する場合、(100万円÷500万円)×100%=返済負担率は20%となります。
金融機関等では、借入条件(融資条件)として、返済負担率の上限を設定しています。
このような理由から、住宅ローンの審査にマイナスの影響を与えてしまう可能性が極めて高いとお考え下さい。
1-2.個人信用情報の履歴から、住宅ローンの審査にマイナスの影響を与える可能性がある
クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借入があったという事実だけで、住宅ローンの審査に大きな影響を及ぼすことはありません。
しかし、これはあくまでも、住宅ローンの保証会社が判断することです。一概に影響がないとは言い切れない部分があります。
そのため、個人信用情報の履歴から、クレジットカードのキャッシングや消費者金融からの借入があったことに対して、住宅ローンの審査にマイナスの影響を与える可能性がある点はどうしても否めません。
ちなみに、これらの借入は、お金の使い道が自由です。
それに加え、貸付利率が高利であることから、住宅ローンを融資する側の金融機関は、当然に嫌います。
このほか、返済に遅延があった場合は、信用に対して大きく懸念することも確かです。
なお、複数回の返済遅延や連続した返済遅延などがあった場合は、極めて難しい住宅ローンの審査になることをあらかじめ肝に銘じた上で審査に臨む必要があるでしょう。
2.クレジットカードのキャッシング完済と住宅ローン審査の影響における相談事例を紹介
これまでの解説を踏まえながら、ここでは、実際にクレジットカードのキャッシングをしていた方が住宅ローンの審査を申し込みした場合における相談事例について、ヤフー知恵袋の質問内容を引用して紹介します。
住宅ローンの事前審査直前にキャッシングの返済をしましたが、おそらくマイナスの要素しか残っていませんよね。
後悔しています。
眠れない状態が続いています。
もしご存知の事があれば教えていただきたく思います。
違法と知りつつ、のっぴきならない理由で旦那のクレジットカード2枚から内緒で計100万の借り入れをして返済していました。
途中、何度か再利用したりしつつ延滞なしで支払いをしています。
先月末、旦那が住宅新築を思い立ち用地決定から事前審査申し込みまでをバタバタと済ませてしまい、現在結果待ちの状態です。
最初は黙っているつもりだったのですが、結局それがマイナスの要素しか与えないとこちらで知り、先週火曜日、ハウスメーカーの方に審査用紙の申込書提出前に話をし、来週半ばにもキャッシングその他を完済し、カードを早急に解約する方向であると伝えました。
現在、週明けに端数分を完済して解約する方向で旦那には話しているのですが、審査結果が出るまで約1週間といわれていたので、即時完済・解約しても審査が通らない可能性が高いと思うと旦那に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ちなみに申し込み先はろうきんで、頭金は300万。
支払い率は収入の16%です。
自分の無知を悔いています。
こんな状況下ですが、事前審査通るようになることはありますか?
ちなみに車のローンはなく、使っていないカードの解約も進めております。
(ヤフー知恵袋より引用・一部改変)
2-1.質問に対するポイントについてFPが解説
質問内容と、すでに解説しているクレジットカードのキャッシングを住宅ローン審査直前に完済した時の影響を全体的に踏まえつつ、質問に対するポイントについてそれぞれ個別に解説を進めていきます。
2-1-1.住宅ローンの事前審査直前にキャッシングの返済をしました
質問の冒頭には、「住宅ローンの事前審査直前にキャッシングの返済をしました」と記載されています。
しかし、質問内容の途中で「現在、週明けに端数分を完済して解約する方向で旦那には話している」とあることから、住宅ローンの申し込み時点で完済していないことが予測できます。
つまり、「クレジットカードのキャッシングをして借金を抱えている状態」で住宅ローンの申し込みをしているということでしょう。
するとやはり、住宅ローンの審査においてマイナスの影響を与えてしまうことは否めません。
2-1-2.旦那のクレジットカード2枚から内緒で計100万の借り入れをして返済していました
質問者様もご承知の通り、仮に、配偶者のクレジットカードであったとしても、本人以外が使用し、また、他人に使用させることは当然に禁止されています。
それをわかった上で利用していた心情に対しては、とても同情の余地はありません。
住宅ローンの申し込みを受けた金融機関側としては、ご主人様がキャッシングをしているものとして、当然に扱われるのです。
この時問題となるのは、住宅ローンの審査項目である「返済負担率」です。
質問内容より、返済負担率は16%であることが確認できますが、クレジットカード2枚の利用上限額も返済負担率の計算に加味されることになります。
結果として、「どのくらい返済負担率が増加するのか」が大きな問題となるのです。
以下の場合には、かなり不利な住宅ローン審査が行われる可能性も決して否めません。
- ご主人様の年収が高く
- クレジットカードのキャッシング枠が2枚とも多額である場合
あわせて、質問の最後に「使っていないカードの解約も進めております」とありますよね。
このことから、使用している2枚のクレジットカードのほかにもクレジットカードを所持していることも予測できます。
これらのクレジットカードにもキャッシング枠が付帯されていたら、住宅ローンの審査の可否に更なる影響を与えることにつながるのだとお考え下さい。
2-1-3.何度か再利用したりしつつ延滞なしで支払い
クレジットカードのキャッシングは、毎月の返済期日までに返済することが原則です。
フリーローンとしての性質や高金利といった性質の借入であることを踏まえますと、返済の延滞は、住宅ローンの審査に通過するのが相当厳しいものと見ても良いでしょう。
ただし、今回の質問の場合は、延滞なしでの利用となっていることから、まだ、審査通過の可能性は残っていると考えるのが無難です。
ちなみに、住宅ローンの審査内容によりますが、保証会社によっては「完済証明書・解約証明書の添付」や「解約します」で承諾になっても、信用情報機関に正式申込時に載っていれば融資不可とする場合もあります。
このことから、単純な審査になることは考えにくいと言えそうです。
3.クレジットカードのキャッシングは、完済ではなく解約することが重要
クレジットカードのキャッシングをしている状態で住宅ローンの審査を受ける場合は、あらかじめすべての借金を完済するだけでは足りず、クレジットカードそのものを解約することが重要です。
最も重要なことは、キャッシングができない状態を作り出すところにあるのです。
クレジットカードに付帯されているキャッシング機能のみを使えないようにしてもらい、ショッピングは、これまで通り使用できるようにする方法でも問題はありません。
中には、クレジットカードを大量に保有されている方もおられると思います。
これらを大量に保有しているクレジットカードのすべてにキャッシング機能が付帯されている場合は、以下の対策を取るようにしましょう。
- 早急にクレジットカードを解約して減らす
- キャッシング機能の廃止手続きを取る
そのままにしてしまった場合、「キャッシングをしていないのに住宅ローンの審査に落ちてしまう」といった、おかしな現象も十分にあり得るためです。
だからこそ、この部分は、特に注意してあらかじめ対策を取っておくことが重要であるとお考え下さい。
3-1.消費者金融からの借入も考え方は同じ
クレジットカードのキャッシングについての対策方法について解説を進めておりますが、消費者金融からの借入につきましても、基本的には、クレジットカードのキャッシングと同じ性質のものです。
そのため、消費者金融からの借入がある状態で住宅ローンの審査に臨むことは、おすすめできません。
まずは、以下を行うことが最低条件であるとお考え下さい。
- すべての借金を完済する
- あわせて消費者金融との契約を解約する
これは、金融機関によって審査の考え方が異なるといったものではなく、どの金融機関においてもマイナスに影響します。
前述した最低条件を満たしていることで、審査通過の土台に上げていると考えても差し支えないでしょう。
安易に借りることができる借金は、住宅ローンの審査をする上で、まずもってマイナスに働くものと考えておくのが無難であると言えます。
まとめ
クレジットカードのキャッシングを完済したからといって、住宅ローンの審査にプラスの影響を与えることは残念ながらありません。
ただし、
- すべての借金を完済し、かつ
- 解約をして新たな借金をすることができない状態を作り出し、それを証明する
このことによって、住宅ローンの審査が無事通過するといった結果が見えてきます。
個人信用情報に履歴が残らないようにするためには、年単位での対策が必須です。
それにも関わらず、多くの方は、住宅ローンを申し込みする前の段階や審査中の段階で気付かれます。
このようなことから、住宅ローンの審査や懸念事項をまとめて解決するための対策として、専門家であるFPや住宅ローンアドバイザーなどへ相談し、具体的な問題点と解決方法を個別に確認されてみるのも良いでしょう。