クレジットカードを契約する場合や住宅ローンの融資を受けるためには、いずれも申し込み先から審査が行われることになります。
そして、その審査に通過しなければなりません。
この時、クレジットカードを契約するための審査と住宅ローンの融資を受けるための審査は、審査は審査でも、その審査内容がまったく異なります。
このため、どちらの審査も同じものとして考えてはいけません。
つまり、仮に、クレジットカードの契約審査に落ちて、クレジットカードが作れない場合であったとしても、住宅ローンの審査も落ちてしまうといったことはないのです。
あくまでも別々の話であるとお考え下さい。
そこで本記事では、以下を詳しく解説させていただきます。
- クレジットカードの審査に落ちてカードが作れない理由
- 住宅ローンの審査に通過できない理由
あわせて、これらの審査におけるポイントも、紹介していきます。
目次
1.クレジットカードや住宅ローンの審査に通過できない4つの共通理由
クレジットカードを契約するための審査と住宅ローンの融資を受けるための審査は、どちらの審査も同じものとして考えてはいけません。
ただし、いずれの審査においても、審査に通過できない共通の理由があることも確かです。
以下、それぞれの共通理由について、個別に解説を進めていきます。
1-1.個人信用情報に問題がある
クレジットカードを契約することや住宅ローンの融資を受けることは、いずれも申込者の信用を担保に行う取引にあたります。
仮に、申込者の個人信用情報に問題がある場合は、どちらの審査にも通過することは絶対にありません。
なお、個人信用情報に問題がある場合とは、たとえば、
- ローンの返済を連続で遅延した場合
- 代金の決済を連続で遅延した場合
- 1年間を通じて、複数回に渡って支払等を遅延した場合
これらなどがあてはまります。
ちなみに、個人信用情報を申し込み先から確認された結果、いわゆるブラックリストへの情報異動が確認された場合は、一発で審査が見送りとなります。
1-2.年収や所得が低い
クレジットカードが作れない理由や住宅ローンの審査が通過しない理由には、年収や所得が低いことも関係します。
たとえば、クレジットカードを利用した代金やキャッシング機能を活用した借入金の返済、住宅ローンの毎月の返済は、当然安定した収入から支出されるものになりますよね。
年収や所得がこれに見合ったものでなければ、審査に通過することはないと考えられます。
1-3.勤続年数や開業年数が短い
勤続年数や開業年数が短い場合は、「安定した収入が得られる」といった信用が欠けてしまう懸念は、どうしても否めません。
安定した収入が得られない懸念は、クレジットカードを利用した代金やキャッシング機能を活用した借入金の返済、住宅ローンの毎月の返済において、滞納の懸念にもつながります。
このことから、勤続年数や開業年数が短い場合は、審査落ちの原因になってしまうことが考えられます。
1-4.債務(借金)が多額にある
債務(借金)が多額にある場合は、「クレジットカードを利用した代金やキャッシング機能を活用した借入金の返済」「住宅ローンの毎月の返済」などが、継続して滞ることなく支払われる可能性が低いと判断されます。
これは仮に、安定した収入があったとしても、同様です。
収入に対して債務(借金)が過大な(いわゆる多重債務に陥っている)場合や、多重債務の懸念がある場合は、いずれの審査も通過するのが難しい原因の1つとなるのです。
2.クレジットカードを作れない特別な理由
前項では、クレジットカードや住宅ローンの審査に通過しない4つの共通理由について解説を進めてきました。
実のところ、住宅ローンの審査には極めてプラスに働くものの、クレジットカードの審査ではマイナスに働いてしまう可能性がある、特別な理由があります。
それは、「クレジットカードをこれまでに一度も作ったことが無く、使用実績や履歴がまったく無い場合=ホワイトの状態」です。
2-1.ホワイトの状態が、クレジットカードの審査に与える影響
ホワイトの状態が、クレジットカードを作れない可能性がある理由とは、「審査の不安材料になる懸念が生じるため」です。
たとえば、20代や30代の方で収入が低い方や、クレジットカードを持つ特別な理由が無い場合は、クレジットカードを作ったことが無いとしても不自然なことはないと思われます。
その一方で、40代や50代などの年代でホワイトの状態である場合は、「一昔前に大きな金融事故を起こしたことがあるのではないか」といった見方がされてしまう可能性も否めません。
当然のことながら、以下の場合、クレジットカードを作ることはできません。
- 自己破産や任意整理といった、いわゆる債務整理をした場合
- 保証会社から代位弁済を受けたことなど、金融事故履歴がある場合
つまり、「以前、金融事故などによって個人信用情報に大きな問題を抱えてブラックリストに情報が異動したことによってクレジットカードが作れなかったため、ホワイトの状態がそのまま継続しているのではないか」と思われてしまう場合もあるわけです。
クレジットカード会社からしますと、申込者のホワイトの状態が、審査をするための判断材料が乏しく、かえって審査の不安材料になってしまうことも、クレジットカードが作れない可能性がある理由と考えられます。
3.住宅ローンの審査に通過できない特別な理由
クレジットカードの審査に通過できない特別な理由がありますように、住宅ローンの審査におきましても、クレジットカードの審査では無関係な特別な理由があります。
ここでは、その特別な理由について、以下、2つのポイントをそれぞれ個別に解説していきます。
3-1.申込者の健康状態
申込者の健康状態は、クレジットカードの審査で問われることはありませんが、住宅ローンの審査におきましては、融資の可否に関わる重要な審査項目の1つとなります。
この理由は、団体信用生命保険への加入が、住宅ローンの融資を実行するための絶対条件としている金融機関がほとんど(フラット35は除く)であるためです。
住宅ローンの返済途中で、住宅ローンの融資を受けている債務者が死亡や高度障害になってしまった場合に、生命保険金と住宅ローンの債務を相殺するためのものです。
団体信用生命保険に加入することによって、住宅ローンを融資する金融機関側としては、融資したお金が確実に戻ってくる「担保」としてのメリットが得られます。
また、遺族側としては、住宅ローン債務を引き継がなくても良いメリットが得られることになるのです。
3-2.購入した住宅など不動産の担保価値
購入した住宅など不動産の担保価値も、クレジットカードの審査で問われることはありません。
しかし、住宅ローンの審査におきましては、こちらも融資の可否に関わる重要な審査項目の1つとなります。
この理由は、住宅ローンの債務者が、住宅ローンの返済を継続して行うことができなくなってしまった場合における金融機関側の「担保」としての意味があるためです。
仮に、住宅ローンの返済を継続して遅延した場合で、金融機関からの催促や督促などに対して対応ができなかった場合は、最終的に土地や建物などの不動産が競売にかけられて売却されることになります。
この時、当然のことながら売却された代金は、住宅ローンの債務に充当されることになります。
しかし、残っている住宅ローン債務がすべて無くなることはなく、引き続き、保証会社に対して債務を弁済する義務を負うこととなります。
つまり、住む場所を失い、債務は引き続き残るといった最悪な結末をむかえることを意味します。
4.クレジットカードや住宅ローンの審査に通過できない理由まとめ
これまで解説したクレジットカードや住宅ローンの審査に通過できない理由を表にまとめますと以下のようになります。
なお、それぞれの審査に影響があるものは〇を、影響がないものは×を示しています。
審査内容 | クレジットカード | 住宅ローン |
個人信用情報 | 〇 | 〇 |
年収・所得 | 〇 | 〇 |
勤続年数・開業年数 | 〇 | 〇 |
審査前の債務状況等 | 〇 | 〇 |
クレジットカードの契約履歴(無い場合) | 〇 | ✖ |
申込者の健康状態 | ✖ | 〇 |
担保価値 | ✖ | 〇 |
クレジットカードの契約と審査には、担保が求められることはありません。
その一方で、住宅ローンの審査の場合は、融資する金額が基本的に高額となることから、担保を設定しなければならない点が大きな違いと言えます。
また、信用情報にあたるクレジットカードの契約履歴が無い場合の取り扱いも大きな特徴です。
住宅ローンの審査ではプラスの影響を与える一方、クレジットカードの審査においては、マイナスに働く可能性がある点も特殊なポイントでしょう。
まとめ
クレジットカードの審査と住宅ローンの審査は、それぞれ異なる審査です。
クレジットカードが作れないからといって、住宅ローンの審査には通らないといったことはありません。
また、クレジットカードの審査や住宅ローンの審査の特徴がわかれば、それぞれの審査に通過するための対策は決して難しくはないと考えることもできます。
ただし、住宅ローンの審査に通過することは、クレジットカードの審査に通過するよりもハードルが極めて高いとお考え下さい。
しかし、クレジットカードの契約履歴や使用履歴などが無い、「ホワイトの状態」は、住宅ローンの審査にプラスの影響を与えることは確かです。
そのため、これから住宅ローンの申し込みを検討される方は、この辺も十分に考慮した対策が必要だと言えます。
逆に、クレジットカードを持ちすぎている場合は、住宅ローンの審査にマイナスの影響を与えてしまうことにつながる可能性が大きいため、こちらについても事前の対策が必要でしょう。
なお、クレジットカードを持ちすぎている場合は、以下の記事も参考にしていただけますと幸いです。