フラット35で住宅ローンを借入する場合、土地や建物の購入資金は融資の対象となります。
ただし、土地や建物をフラット35で借入する場合において、先に土地を取得する場合もあり、必ずしも土地と建物を同時に購入するとは限りません。
このような場合におきましては、フラット35で住宅ローンを借入する場合に注意点もあることから、事前にその注意点をしっかりと確認しておくことが大切です。
そこで本記事では、フラット35で住宅ローンを借入する際の土地購入代金を中心に注意点や審査のポイントについて解説を進めていきます。
目次
1.フラット35で土地を購入する場合の注意点
フラット35で土地を購入する場合の注意点は、フラット35のWEBサイト上でわかりやすく紹介しているため、そちらを引用して解説を加えていきます。
土地の購入資金も融資対象になりますか。
住宅の建設と併せて購入した土地であればお借入れの対象となります。
ただし、次の事項にご注意ください。(1)土地の購入日が、お申込日の前々年度の4月1日以降であることが必要です。
※土地の購入日とは、所有権移転登記日となります。
※土地を購入済みの場合であっても、お借入額は土地の購入費と建設費の合計金額以内です。
(2)土地の購入費のみに対するお借入れはできません。
(3)土地の購入費に対するお借入れのみ先に行うことはできません。建設費のお借入れと同時に行います。
(4)併用住宅(店舗、事務所等を併せ持つ住宅)の場合は、住宅部分の割合に応じて土地の購入費を計算します。※ 注文住宅の場合で、住宅竣工前に土地購入資金のお支払が必要なときは、いったん自己資金をご用意いただくか他のローンをご利用いただくなどの必要があります。なお、他のローンを利用して土地を取得される場合、ローン残高ではなく、土地の取得に要した売買金額が【フラット35】の融資対象となります。
(フラット35公式サイトより引用)
質問に対する回答についてポイントをまとめると、土地を購入するだけの目的でフラット35の借入を行うことはできず、建物とセットで借入しなければならないことがわかります。
また、土地と建物をセットで借入する場合であっても、先に土地代金を借入することはできないことになっています。
このため仮に、土地の代金を先に決済しなければならない場合は、自己資金を用意するか、つなぎ融資(他のローン含む)を利用する必要性があるのです。
また、土地を先行取得した場合は、所有権移転登記日から起算して前々年度の4月1日以降でなければフラット35で借入ができません。
あまり例がない事例と思われますが、前々年度を2年前と解した場合、少なくとも「土地を取得してから2年間が経過するまでに建物を建てなければならない」と、大まかに解釈することもできそうです。
2.フラット35の制度変更を知ろう
フラット35は、2018年4月より制度変更され、これまでは借入が対象外であった住宅ローンにかかる諸費用も借入の対象になりました。
これによって、土地を購入してその土地の上に建物を建てるといった、注文住宅がフラット35で行いやすくなったことを知っておく必要があります。(参考ページ:【フラット35】2018年4月の主な制度変更事項のお知らせ)

(出典:フラット35制度変更のお知らせ)
上記表の赤字の部分が、フラット35の制度改正によって新たに借入することができる対象になったものです。
土地の購入にかかるおもな項目には、金銭消費貸借契約に貼付する印紙代・仲介手数料・登録免許税・登記に係る費用・融資手数料など数多くの項目があることがわかります。
仮に自己資金がない場合は、これらの項目もフラット35で借入できることになったため、住宅ローンの返済計画さえしっかり立てていればフラット35をフルローンで借入することも実質的に可能になったと考えることができます。
3.フラット35の審査における土地の担保評価と注意点
フラット35や民間金融機関が取り扱っている住宅ローンには、それぞれ審査項目が設けられています。
国土交通省が毎年公開している統計より、どのような審査項目が重要視されているのか確認することが可能です。

(出典:平成29年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書)
上記統計データを見ますと、担保評価は上位4番目に位置していることが確認できます。
つまり、フラット35を含む住宅ローンの融資にあたり、土地や建物の担保評価はかなり重要視されているとお考え下さい。
では、土地を購入するにあたって「担保評価が低くなる土地」というのは、どのような土地なのでしょう?
以下、あくまでも一例となりますが、一般的に土地の担保評価が低くなると考えられるものを紹介します。
- 道路より高い位置にある宅地、または、低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
- 地盤に甚だしい凹凸のある宅地
- 震動の甚だしい宅地
- 騒音、日照阻害、臭気、忌み(いみ)などによって、取引金額に影響を受けると考えられる土地
- 建築基準法の42条2項道路に面した宅地(狭い道路に面した土地)
- 旗竿地
- 不整形な土地
- 傾斜のある土地
- 不人気な地域にある土地 など
上記の項目が複数合致すればするほど、土地の担保評価は低くなると考えられます。
ただし、フラット35の審査は、土地や建物の担保評価のみで決定するのではなく、先に紹介した住宅ローンの審査項目を総合的に審査して可否決定されるものです。
そのため、希望の土地が上記のような条件に合致したとしても「ローンの審査に通過しない」といったことではない点に注意が必要です。
4.希望の土地よりも将来の土地の資産価値が気になる場合
住宅購入は、一生に一度の大きな買い物と言われています。
このことから、希望の地域に土地を購入する方が多いと思われますが、中には将来の土地の資産価値を気にして土地を購入される方もおられるでしょう。
仮にこのような考え方をお持ちの方は、土地を購入する前に、土地の資産価値がわかる「立地適正化計画」を確認しておくことをおすすめします。
4-1.立地適正化計画とは
国土交通省のWEBサイトでは、立地適正化計画について、以下のように制度が創設された趣旨を公開しています。
我が国の都市における今後のまちづくりは、人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現すること、財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能とすることが大きな課題です。
こうした中、医療・福祉施設、商業施設や住居等がまとまって立地し、高齢者をはじめとする住民が公共交通によりこれらの生活利便施設等にアクセスできるなど、福祉や交通なども含めて都市全体の構造を見直し、『コンパクト・プラス・ネットワーク』の考えで進めていくことが重要です。
このため、都市再生特別措置法が改正され、行政と住民や民間事業者が一体となったコンパクトなまちづくりを促進するため、立地適正化計画制度が創設されました。
(国土交通省公式サイトより引用)
上記の説明では、イメージがまったくわかないと思いますので、以下のイメージ図で立地適正化計画を考えてみます。

(出典:国土交通省公式サイト)
黄緑色が立地適正化計画区域に該当するのですが、ざっくり解説すると居住誘導区域(水色)よりも外のエリアである立地適正化計画区域は、土地の担保評価が低くなります。
なぜなら、将来に渡って街が集約されるエリアから外れているためです。
そのため、このエリアに土地を購入して住宅を建てる場合、当初は良くても、将来に渡ってインフラや施設が無くなることによって住みづらい地域になってくるというわけです。
4-1-1.立地適正化計画区域は、重要事項説明にあてはまらない
土地や建物といった不動産を購入する場合、仮に、売主が不動産業者などの宅地建物取引業者である場合は、法律に則って重要事項を説明しなければなりません。
ただし、立地適正化計画区域は宅地建物取引業者が説明しなければならない重要事項にあてはまりません。
そのため、顧客に対して説明をしなくても良いことになっています。
それゆえ、希望の土地よりも将来の土地の資産価値が気になる方であれば、立地適正化計画区域であるかどうかをご自身で確認して調べておく必要があるのです。
なお、立地適正化計画区域であるかどうかを調べるには、お住いの市区町村のWEBサイトから調べられるほか、わからない場合は市区町村の担当部署へ尋ねてみるのも良いでしょう。
おわりに
フラット35を利用して土地の購入代金を借入する場合は、特殊な事情がない限り、スムーズに借入できることは確かです。
その一方、購入する土地が一般的に担保評価が低くなると考えられる場合は、フラット35の審査において、担保評価以外の審査項目で懸念されないような対策を事前に行っておくことがとても大切になります。
また、土地の購入にあたり、生涯の生活場として「場所」を優先するのか、将来の「資産価値」を優先するのか、考え方によっても事前対策が異なることもわかりました。
ただし、基本的に人気のある地域や利便性に優れた地域の土地というのは、立地適正化計画区域にあてはまらない場合がほとんどです。
このほか担保評価も低くなることは考えにくいため、この辺も意識した土地選びをしてみるのも良いでしょう。
審査が甘いフラット35を選ぶなら超低金利の今がチャンス
全期間固定金利であるフラット35を選ぶなら、間違いなく今がチャンスです。歴史的な超低金利が今も続いているものの、一生続くことは考えられないからです。
今後、少しずつ金利は上がっていくことが予想されるため、固定金利(当初10年など)や変動金利は金利上昇のリスクがあります。
その点、フラット35であれば契約とともに総支払額が確定します。
仮に金利が急激に上がっても、安定した支払いが可能です。
金利の変動で住宅ローンの支払いで破産する人は多いですが、フラット35なら家賃と同じように支出が見えるので家計のやりくりが簡単になります。
また、審査が緩いため、「年収が低い」「転職したばかりで勤続年数が少ない」などでも融資してもらえる可能性が高いです。
これらは融資条件に含まれていないからです。また、「自営業の方」や「派遣社員(パート・アルバイトを含む)」であっても審査が通りやすいのはフラット35だけになります。
「低金利のまま、最後まで安定した支払いを希望される方」や「審査に不安があるという方」はフラット35を選ぶようにしましょう。

自営業者の方はこちら↓↓↓
