自営業者が住宅ローン審査を通過するには年収がいくら必要?

自営業者が住宅ローンの審査を通過するためには、会社員や公務員と同じような考え方で対策をするには不適切です。

この理由として、自営業者が住宅ローンの審査をされる際の年収の基準が、会社員や公務員と明らかに異なるということがあげられます。

実際のところ、多くの自営業者の皆さまは、所得税や住民税をはじめ国民健康保険税などといった、いわゆる税金の節税対策を施している方がほとんどだと思いますが、住宅ローンの審査通過といった目的におきましては、裏目に出てしまう場合があることは確かです。

そこで本記事では、自営業者が住宅ローン審査に通過するための解説に焦点をあて、収入面の考え方について詳しく解説を進めていきます。

 住宅ローンは数社比較が必須!!

自営業の場合、住宅ローンは1社だけの審査ではとにかく通りづらいです。また、節税で低所得の年収で希望の金額を確実に融資してもらいたいなら、「住宅ローン一括審査申込」を活用して審査が緩い銀行を選びましょう。

1.重要 「年収」と「所得」の違いを理解する

冒頭でも軽く触れましたように、自営業者が住宅ローンの審査をされる際の収入における審査基準が、会社員や公務員と明らかに異なるのですが、具体的に、「自営業者は、所得金額によって判断される」ことになります。

ここで言う「所得金額」とは、いわば「利益(儲け)」のことを指します。

つまり、金融機関側は、自営業者に住宅ローンを融資する際の審査として、利益(儲け)がどの程度あるかを確認し、確実に住宅ローンの返済を継続できそうか、否かを審査していることを意味します。

一方、会社員や公務員などのように、毎月給料を貰っている方の場合は「年収」で判断されます。

ここで言う「年収」とは、「目に見える表面上の総支給金額」のことを指し、手取金額ではない点に注意が必要です。

2.自営業者の場合、いくら程度の所得が必要なのか?

前項の解説より、自営業者が住宅ローンにおける収入について審査される基準は、所得金額であることが分かりました。

以下、参考となりますが、新生銀行では、自社の住宅ローンに申し込むことができる対象についてホームページ上で公開をしております。

自営業の方については、業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得(経費控除後の金額)を有すること。

参考:新生銀行・住宅ローン・お申し込みいただける方より一部抜粋・引用

自営業をはじめて2年以上経過しているということは、少なからず確定申告を2回は行っているということになりますので、「業歴2年以上」については、クリアできると思われます。

問題は、「2年平均300万円以上の所得(経費控除後)」をクリアすることです。

ざっくり申し上げると、普段から節税をされている方にとってみますと、この融資基準は「ハードルが高く」後の税負担が重くなってしまう大きな要因となります。

次項では、もう少し具体的に所得金額と審査の関係性について解説を進めていきます。

3.自営業者の場合、どの数字が審査基準になるのか?

先に紹介した「2年平均300万円以上の所得(経費控除後)」という審査基準は、あくまでも新生銀行によるものでありますから、すべての銀行に共通している審査基準ではありません。

しかしながら、自営業者の場合、どの数字が審査基準になるのか分からなければ、対策のしようがないことも確かです。

確定申告書類

自営業者の場合、上記、確定申告書における「赤枠で囲った部分」の金額が、審査基準となる所得金額になります。

したがいまして、たとえば、新生銀行の「2年平均300万円以上の所得(経費控除後)」という条件にあてはめて考えますと、赤枠に囲われた部分の金額を2年分足して2で割った時の平均金額が300万円以上でなければならないと解することができます。

なお、こちらはかなり専門的な解説になってしまいますが、「減価償却費」や「青色申告特別控除」については、現金の支出を伴わない経費となることから、通常、その分を加味した引き直し計算がなされることになりますが、こちらにつきましては、融資を希望する金融機関へあらかじめどのように見られるのか確認しておくことが望ましいでしょう。

3-1.所得を少なく申告している場合、住宅ローンの審査に通りづらい

前項の解説からすでに多くの方が所得の考え方についてご理解できたと思われますが、仮に節税対策などを含めて所得を少なく申告している場合、住宅ローンの審査に通りづらい場合や、そもそも住宅ローン審査の土俵にすら上げてもらえない懸念が生じることになります。

したがいまして、自営業者の方で、将来、住宅購入をする予定がある場合は、節税対策も大切ではありますが、住宅ローン審査に照準を合わせた対策が必要になることは言うまでもありません。

3-1-1.修正申告を行うこともできる

こちらは参考となりますが、毎年、2月16日から3月15日までの確定申告期間が終了した後に、確定申告をした内容について自ら修正し、再度申告をする「修正申告」を住宅ローンの審査対策の1つとして行うことも可能です。

ただし、無駄な加算税や手間と時間がかかるほか、税理士などの専門家へ修正申告を依頼している場合は、別途、報酬も必要となってくることから、とてもおすすめできる対策方法とは言えません。

むしろこのようなことを避ける意味でも、あらかじめ顧問の税理士や専門家であるFPと相談と対策を検討しながら中期目線で住宅ローンの審査対策を考えることが重要であると言えます。

3-2.自営業者の場合、安定した所得の確保が住宅ローン審査通過のポイントになる

住宅ローンを取り扱う金融機関が、会社員や公務員などに対して信用を持っている理由とは、「安定した収入が基本的に確保されている」からです。

要は、自ら退職をする場合や会社が倒産などといった何か偶発的な理由が無い限り、基本的に毎月の収入が安定して入ってくることになりますので、金融機関側としては、結果として貸したお金を返してもらえる可能性が高まります。

一方、収入が不安定な自営業者が金融機関から信用を得るためには、やはり「毎年の所得確保(利益確保)」につきると思われます。

住宅ローンの返済は、実際に事業で儲けた利益から支払われるものであることを踏まえますと、毎年安定した所得がある自営業者は、住宅ローンの審査に通過しやすいと考えることができます。

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よく、「3年間黒字経営をしている必要がある」などといったことを目にしたり耳にしたりすることがあると思いますが、絶対とは言い切れない反面、あながち間違ってはいない解釈であると思われます。

3-3.奥さん(配偶者)に給料を支払っている場合、収入合算できる

自営業を家族で営んでいる世帯では、配偶者や子どもに対して給料を支払うことも決して珍しくありません。

たとえば、奥さん(配偶者)が、青色事業専従者給与を受けている場合、その金額は、給与所得として所得税や住民税の課税対象になります。

ただし、住宅ローンを夫婦それぞれの収入を合わせて借りる「収入合算」につきましては、自営業で儲けた夫の事業所得と妻の給与収入(青色事業専従者給与)を合算して住宅ローンの審査および借入を受けることができます。

通常、収入合算をすることで希望の借入金額に対する住宅ローンの審査は通過しやすくなると考えられる一方、収入合算する相手側の収入金額や個人信用情報といった一定の条件が満たされていなければ、そもそも収入合算することができないといったデメリットもあります。

この辺は、あらかじめ収入合算が可能かどうか、ご希望の金融機関に対して確認しておくことが望ましいでしょう。

4.年収300万円程度の自営業者の場合、住宅ローンはいくら借りられるのか?

本項では、参考までに年収300万円程度の自営業者の場合、住宅ローンはいくら借りられるのか?といったことについて、ヤフー知恵袋の質問を例にして解説をしていきたいと思います。

フラット35のローン審査基準について

旦那は自営業で、現在年収は250万円ほどで申告をしています(実際は400万~500万円)。

マイホーム建築の予定ですが、現在の申告では、希望借入額での住宅ローンは無理なようで、今年からキチンと申告し、2年後~3年後にフラット35を利用してマイホーム建築の予定です。

土地は近々現金で購入予定です。

  • フラット35の審査は前年と前々年の2期分で審査されるのでしょうか??3期分必要ですか?
  • 2000万ほど借入たいのですが、年収はいくらくらい必要ですか?
  • 年収500万から700万円にすると、年間の税金は幾らくらいかかりますか??

初歩的な質問で申し訳ありませんが、詳しい方教えてください。

参考:ヤフー知恵袋より

質問内容から考えられる見解と懸念

全体的な質問内容を見ますと、言葉足らずの部分が多く、もしも直接相談されているとすれば再確認をしなければならない事項がたくさん見受けられます。

まず、「旦那は自営業で、現在年収は250万円ほどで申告をしています(実際は400万~500万円)」といったことから、いわゆる売上にあたる年商が、実際は400万円から500万円程度あるのにも関わらず、250万円で申告していると解釈することもでき、仮にそうだとしたら「脱税」とみなされても決しておかしくないと思われます。

また、仮に年商(売上)が250万円だとすると、住宅ローンの審査に直接関係する所得金額は、250万円よりも低くなることから、希望の2,000万円の借入を旦那さん1人の信用で行うのは難しいような印象を受けます。

情報不足で、より根拠のある解説をするのは、税金の質問も含めて残念ながら難しいのが率直な感想です。

仮に、質問者様の内容で250万円を所得金額だと推測し、返済負担率を25%で計算すると、年間の返済金額の限度額は625,000円で1ヶ月あたり約52,000円の返済となります。

これをフラット35の固定金利1.12%「住信SBIネット銀行の平成29年8月金利を参照」で計算し、フラット35のシミュレーターに数値をあてはめると、概算借入可能額は「1,806万円」という結果になり、希望の2,000万円には届かない結果となりました。

不透明な部分が多い印象を受けるだけでなく、節税もしくは脱税の形跡があることによって住宅ローンを早期に組むことができない典型パターンと解することができます。

4-1.いくら借りられるかよりも、無理なく返せる返済金額を考えることが重要

住宅ローンを検討する際の「大原則」として、いくら借りられるかといったことよりも無理なく返せる返済金額はいくらなのかを考えることが重要になります。

借りたお金は必ず返さなければならないわけでありますから、住宅ローンという借金も同じように、長期に渡って無理なく返していける金額はいくらなのか考えて検討することをしっかりと心掛けるようにしていただきたいものです。

4-2.住宅ローンの審査が心配な自営業者の方は、フラット35を活用しよう

一般に民間金融機関やネット銀行の場合、自営業者に対する収入の審査が厳しめの傾向にあることから、所得金額が十分ではない場合や毎年の所得が安定しない場合などにおきましては、スムーズな住宅ローンの審査通過が見込めないことがあります。

そのような場合は、住宅金融支援機構が取り扱っている「フラット35」を活用してみるのをおすすめ致します。

フラット35は、自営業者のように収入が不安定で信用を得るのが難しい職業に対しても審査基準が緩く、民間金融機関の住宅ローンに比べて融資が受けやすい特徴があります。

長期固定金利の住宅ローンであることから、完済までの返済金額が確定するため、返済計画が立てやすいといったメリットも忘れてはならない大きな特徴と言えます。

以下、同サイト内で公開している個人事業主向けの住宅ローン審査に関する詳細記事になりますので、本記事と併せて読み進めてみることをおすすめ致します。

個人事業主の自営業者が住宅ローンの審査に通過する7つの秘訣

2017.05.08

まとめ

本記事では、自営業者が住宅ローン審査に通過するための解説に焦点をあて、収入面の考え方について詳しく解説を進めさせていただきました。

自営業者の場合、「所得金額(利益)」が、住宅ローンの審査基準となりますので、住宅ローンの融資が実行されるまでの数年間は、極度の節税は避けておかなければなりません。

また、実際に住宅ローンを申し込む際に、単独で申し込むのか、収入合算で申し込むのかによって、住宅ローンの審査に通過するための所得金額に大きな違いが生じることから、この辺を含めた対策も少なからず必要になってくると考えられます。

自営業の方の中には、絶対に今、住宅ローンの審査に通過したいという方もおられると思いますが、民間金融機関の住宅ローンのハードルが高い場合や拒絶された場合は、迷うことなくフラット35を申し込んでみることをおすすめ致します。

おそらく、希望通りの融資を実行してもらえるきっかけになることと思われますし、仮にフラット35で審査に通過しないのであれば、何に原因があるのか専門家であるFPへ相談してみるなどして原因究明に力を注いでみるべきでしょう。