個人事業主の自営業者が住宅ローンの審査に通過する7つの秘訣

一般に住宅ローンの審査は、公務員や上場企業へ勤めている正社員の場合に最も通りやすいと言われています。事業を営んでいる個人事業主などのいわゆる自営業者は、信用を得るのが難しいとされているからです。

実際のところ、住宅ローンの申し込み内容によって左右されることから、一概に自営業者が住宅ローンの審査に通過するのが難しいと言い切ってしまうことは、いささか乱暴な表現であるかもしれません。

とはいえ、多くの金融機関では、自営業者に対する住宅ローンの貸付を厳しく見ていることは紛れもない事実です。本記事におきましては、個人事業主や自営業者の方を対象に、住宅ローンの審査に通過しやすくなるための7つの秘訣について紹介していきます。

 住宅ローンは数社比較が必須!!

自営業の場合、住宅ローンは1社だけの審査ではとにかく通りづらいです。また、節税で低所得の年収で希望の金額を確実に融資してもらいたいなら、「住宅ローン一括審査申込」を活用して審査が緩い銀行を選びましょう。

1.そもそも個人事業主の自営業者が住宅ローンの審査を通過しづらい理由

個人事業主や自営業者が住宅ローンの審査を通過しづらい理由は、「不安定な収入」であるためです。

自営業者などは、仮に今はいくら収入があったとしても5年後、10年後といった将来にどのような収入状態になっているのか見通しが立ちません。だからこそ、お金を融資する金融機関側から信用を得るのは、どうしても難しくなってしまうことが考えられます。

このほか、仮に病気によって働けなくなってしまった場合、収入が激減してしまうだけでなく社会保障が充実していないこともあげられるでしょう。

公務員や会社員と比較すると、自営業者は大きな収入を得られる一方で「安定感」のみを比較検討した場合、総合的に劣ってしまうため、このような見方がなされると推測できます。

1-1.個人事業主の自営業者が住宅ローン審査を通過するにはいくらの年収が必要なのか

実のところ、多くの金融機関が自営業者などへ住宅ローンの融資を検討する場合、年収ではなく「所得金額で評価」します。所得金額とは、以下のイメージ図の赤枠部分です。

個人事業主の所得

たとえば、事業を営んでいる方の確定申告書を見て、上記の所得金額を見ることで大まかに「黒字」なのか「赤字」なのかを確認することができます。0円の場合は「赤字」もしくは「多少の黒字」であり、金額が記載されている場合は、その金額が「黒字」と大まかに判断できます。

本題に戻りますが、それぞれの金融機関によって、この所得金額の基準が異なっていることから、一概に「いくらであればよい」と言い切ることは残念ながらできません。

あくまでも参考ではありますが、某金融機関では「所得金額が100万円以上」、某〇〇金庫では「所得金額が150万円以上」などといった基準があります。そのため、自営業者などは、ある程度の黒字でなければ住宅ローンの事前審査すらしてもらえないといったことになります。

1-2.個人事業主の自営業者に必要とされる事業継続年数は何年なのか

多くの金融機関では、自営業者などの住宅ローンの申し込みにあたり「過去3年分の確定申告書(税務署受付印を押印したもの)」の提出を求めているところが多いです。

そのため、この3年間の数字で総合的に判断されると考えるのが自然でしょう。

1-3.最も重要なのは、「事業の経営状態が安定しているかどうか」

住宅ローンの申し込みを行う以前に、「金融事故履歴がない」といったことが大前提になります。これを踏まえた上で、自営業者が住宅ローンの審査を通過する上で最も重要なのは、「事業の経営状態が安定しているかどうか」だと推測されます。

多くの金融機関では、提出された確定申告書から過去3年分の所得金額を合計し平均を取っています。こういった一連の流れを踏まえますと、「過去3年間の事業の経営状態が安定していること」と読み替えて考えるのは自然です。

これら3年間の内、1年でも赤字である場合や所得金額が少ない場合、時に希望の借入金額の審査が無事通過しない懸念も生じてしまいます。そのため、自営業者などが近い将来において住宅ローンの申し込みを行う予定があるのであれば、年単位で対策をしておく必要性があると言えます。

1-4.創業したばかりでは極めて難しいのが現状

こちらも金融機関によって異なりはありますが、事業や会社を創業したばかりの状態で住宅ローンの審査に通過するのは、実質、極めて難しいのが現状だと思われます。

将来性、安定性などの面がまったく不透明であり、金融機関に関わらず、多くの方がお金を融資するのに躊躇(ちゅうちょ)してしまうのが現実ではないでしょうか。

創業したばかりというのは、会社員に例えると転職したばかりと考えることもできます。このように考えると、いずれの場合も将来性・安定性・信用性において不十分と言わざるを得ないでしょう。

1-5.中小企業の社長も自営業者として見られる

事業を営んでいる個人事業主のほか、中小企業の社長も自営業者として見られる特徴があります。

よく聞く「青色申告者」のように、貸借対照表と損益計算書を確定申告書のほかに添付しますが、中小企業の社長や個人事業主も基本的には同様の手続きとなるのが一般的です。

これは、言うまでもなく事業所の財政状態や経営成績といった状況を確認するためのものであるのと同時に融資しても大丈夫かどうかの確認手段でもあります。

2.自営業者が住宅ローンの審査を有利に通過するための条件

すべての金融機関に共通していることですが、住宅ローンの審査基準を公に公開している所は存在しません。そのため、自営業者が住宅ローンの審査を通過するための条件というものは、憶測にしか過ぎない部分もあります。

ただし、大まかな審査基準に関しては、どの金融機関でも共通しているものと考えられます。そこで、以下、自営業者が住宅ローンの審査を有利に通過するための条件を箇条書きで並べてみました。

  • 過去3年間事業が黒字経営であること
  • 過去3年間収入が安定していること
  • 他に借入をしていないこと
  • 個人だけでなく、事業所にも負債がないこと
  • 事業開始5年以上経過していること
  • 物件価格の2割以上の頭金を用意できること

上記すべての条件に合致することは、はっきりと申し上げて「不可能」です。

特に、運転資金や設備資金といった負債を抱えながらも、安定した収入や利益をあげている優良企業もある中で、上記すべてにあてはまるのは皆無と言っても決して過言ではありません。

スポンサーリンク

ただし、上記の条件をほぼクリアできているということであれば、少なからず多くの金融機関から「信用を得る」ことは十分可能であると推測できます。

3.個人事業主の自営業者にオススメする住宅ローン対策

自営業者などは、公務員や会社員に比べて住宅ローンの審査が通過しにくいことは、これまでの解説で雰囲気を掴むことができたと思います。

以下、これから自営業者などが住宅ローンの審査に通過しやすくなるための秘訣について、解説していきます。

3-1.安定した所得を3年間はキープしておく

先に解説した通り、希望の金額の住宅ローンを借りるためには、安定した所得を3年間はキープしておくことが求められます。

節税といった意味におきましては、所得金額が少ない程、負担する税金額も少なくて済みます。

しかし、住宅ローンの審査におきましては、残念ながらプラスに作用することはありません。「節税」と「ローン通過」の対策は別になりますので、税理士やFPといった専門家と相談しながら対策を行うのも一策です。

3-2.債務はできる限り返済しておく

住宅ローンの審査には、「事前審査」「仮審査」「本審査」と3つの審査があります。できる限り、仮審査や本審査前におきましては、抱えている債務を減らしておくことが望ましいです。

債務には、自動車ローンやクレジットカードのショッピング、キャッシングなど様々な債務があります。最も望ましい方法は、事前審査よりも前に余裕を持って、債務を完済しておく方法です。

この理由は、事前審査時に住宅ローン申込者の個人信用情報を確認されてしまうからです。これを調べることで、申し込み前に抱えていた債務の履歴が把握されます。

このとき、すでに抱えていた債務が無い(完済された)といった履歴が確認できることで、審査の通過がしやすくなると考えられるわけです。

また後程、解説する「返済負担率」の条件もクリアすることができると考えられ、一石二鳥の効果が得られることが期待できます。

3-3.頭金を用意する

頭金があるということは、その分、住宅ローンの借入金額が少なくて済むことから、住宅ローンの審査が通過しやすくなると考えられます。

ただし、あくまでも借入金額やその他の状況と総合的な判断の上で決定されるものです。そのため、「頭金はあった方が望ましい」といった程度に留めておくようにして下さい。

3-4.メインバンクを利用する

事業で利用しているメインバンクで住宅ローンの申し込みを行うことで、審査に通過しやすくなる可能性もあるかもしれません。

これはあくまでも憶測の範囲内であることから、最低限の融資条件を満たしていなければ、どの金融機関においても審査が通過できないことは言うまでもないでしょう。

3-5.無理なく返せる「返済金額」を意識する

住宅ローンは、無理なく返せる返済金額の範囲で借りることが重要になります。

具体的には、1ヶ月の手取金額から支出額を差し引き、余った金額からいくら住宅ローンの返済に回すことができるのかを考えて決定した金額が無理なく返せる返済金額です。

この辺をしっかりと加味することで、住宅ローンの審査通過に重要な「返済負担率」もクリアできると思われます。

返済負担率とは、年収に応じた1年間の借入金返済割合を表したもののことです。無理なく返せる金額で返済計画を立てることで、自ずと返済負担率が低くなる効果が期待できます。

3-6.審査を通過することばかりにとらわれずに、しっかり比較する

先にメインバンクの解説をさせていただきましたが、住宅ローンの融資条件は、それぞれの金融機関によってまったく異なります。そのため、必ずしもメインバンクの住宅ローンが自分にとって好条件であるといった保証はどこにもありません。

あくまでもメインバンクであり、総合的に比較検討し、自分たちにあった住宅ローンを探す手間を惜しまないようにすることが大きなポイントになります。

通常、事前審査から本審査の通過まで1ヶ月程度の期間を要することもあります。そのため、できる限り複数の金融機関にあらかじめ目星を付けておくことが重要です。

そして、それぞれの金融機関で必要書類の内容を確認してもらい、あわせて事前審査を受けておくことをおすすめ致します。

4.個人事業主の自営業者が審査に通りやすいのは「フラット35」

ここまで、自営業者は住宅ローンの審査に通過しにくい解説を延々として参りました。

しかし、「フラット35」は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携・提供している全期間固定金利住宅ローンになります。

仮に金融機関が取り扱っている住宅ローンの審査に通らなかったとしても、フラット35であれば自営業者でも住宅ローンの融資が受けやすい特徴があります。

4-1.フラット35なら、前年度・1年分の所得証明で審査が可能

フラット35の審査は、民間の金融機関が取り扱っている住宅ローンと異なり、自営業者の所得証明が前年分と前々年分の2年分で足ります。

たとえば、昨年・一昨年と黒字で3年前が赤字であったとしても、過去2年分の黒字分で評価してもらえるということです。また、赤字になった正当な理由を申し伝えることで、審査に加味してくれる場合もあります。

一例として、事業を始めて初年度・2年目は赤字であったものの、コツコツ業務を積み重ねてこなしたことによって3年目から黒字転換した会社があるとします。

以後、「安定して経営が推移しています」などのような回答を提出した確定申告書類などと整合性が取れることで、極端にマイナス評価にはならない可能性もあるということです。

ただし、担当者の手腕によって分かれる大きな分岐点でもあるため、場慣れしている担当者に当たることを期待したいものです。

5.フラット35を申し込む場合、頭金の用意は必須

フラット35を申し込む場合、頭金の用意は必須です。

この理由は、フラット35で実際に受けられる融資金額は、不動産の価格やリフォーム工事費用などに限られてしまうためです。

つまり、住宅購入諸費用にあたる「事務手数料」や「火災保険料」、「団体信用生命保険料」、「登記費用」などは、自己資金(頭金)から捻出する必要があり、融資の対象外となります。

ここが、一般の金融機関が取り扱う住宅ローンと違うところになります。フラット35は、融資が通りやすい反面、諸費用を含めたフルローンで組むことはできません。そのため、この辺は、本当に注意が必要な部分と言えます。

まとめ

本記事では、個人事業主や自営業者の方を対象に、住宅ローンの審査に通過しやすくなるための7つの秘訣について紹介させていただきました。改めて、7つの秘訣を以下、箇条書きでまとめて紹介します。

  1. 安定した所得を3年間はキープ
  2. 債務はできる限り返済しておく
  3. 頭金を用意する
  4. メインバンクを利用する
  5. 無理なく返せる「返済金額」で検討する
  6. 住宅ローンは比較検討する
  7. 融資が通りやすいフラット35を検討する

住宅ローンの審査に通過するための対策には、すぐに対応できるものと時間がどうしても必要なものがあります。

また、FPや住宅ローンアドバイザーなど専門家の意見を取り入れることで、より住宅ローンの審査に通過しやすくなるメリットも得られます。

自分がおかれている状況を再確認し、できるところから1つずつ確実な対策を取っておくことで、理想の住宅ローンの融資が受けられることでしょう。