低所得だと審査は厳しい?住宅ローンを組める最低年収とは

住宅ローンの融資を受けるための条件の1つに「安定した収入があること」といった条件が付されておりますが、そもそも「年収が低いことで住宅ローンの申し込みができないのか?」といった疑問をお持ちの方も少なくないようです。

結論から申し上げると、年収が低い場合やパートやアルバイトといった安定した収入が見込まれない職業に就いている場合は、当然に住宅ローンの審査に通過することは難しいのは確かです。

しかしながら、低年収や低所得といった理由だけで住宅ローンの審査に通過できないとは限らず、もっと重要なことがあることも紛れもない事実になります。

そこで本記事では、このようなことを踏まえまして、住宅ローンにおける最低年収やそれに係る重要なポイントについて焦点をあてて、詳しく解説を進めていきます。

1.住宅ローン審査において、最低年収は存在するのか?

住宅ローンを取り扱っている多くの金融機関では、住宅ローンの審査において最低年収や最低所得金額というものを設けておりますが、それぞれの基準金額は直接、金融機関へ尋ねてみる必要があります。

同じように、インターネットを利用したネット銀行の住宅ローンにおきましても、時間と手間を費やして審査に申し込むことは誰にでもできることを意味しますが、年収などがネット銀行の基準を満たしていない場合は、言うまでもなく事前審査の段階でお断りされることは「必至」です。

また、仮に、それぞれの金融機関が設けている最低年収の基準を満たしていたとしても、他の審査基準がダメであれば、住宅ローン審査に通ることはないため、単に最低年収や最低所得金額のみで判断できるものではないのは確かです。

1-1.最低年収が決まっているのは、審査の指標の一つにすぎない

住宅ローンを取り扱っている多くの金融機関で最低年収が決まっている理由は、「貸し倒れになるリスクを避けるため」になります。

貸し倒れとは、貸したお金が返ってこないことをいい、多額の住宅ローンを融資しても早い時期で貸し倒れが発生した場合は、融資をした金融機関側は、結果として多額の損失を被ることになってしまいます。

つまり、融資をする相手が、安定した収入があり、継続して住宅ローンを返済できる余力が無ければ、当然に融資するわけはないのです。

このように考えた時、年収や所得が多い人の方が少ない方の人に比べて住宅ローンを融資しやすくなるのは当然であると言えます。

ただし、住宅ローンの審査に通過するための年収や所得というのは、審査の指標の一つにすぎないことから「総合的」に審査基準を満たしている必要性があることを再度、ご理解していただきたいと思います。

1-2.「年収がいくらなら借りられるのか」ではなく、返していける金額から借入額を求める

住宅ローンを毎月無理なく返済していくためには、「いくらなら借りられるのか」ではなく、「いくらなら返していけるのか」といった金額を求めることが重要になります。

住宅ローンを融資する金融機関側からすると、「返済負担率」といった割合を下に、住宅ローンの返済が重くならないかどうかを判定・審査する流れになることから、たとえ年収が1,000万円あったとしても、返済負担率が高いと判断され、毎月の返済が厳しいローンは通らないと推測されます。

つまり、逆の考え方をすると、年収や所得が低かったとしても、返済負担率に問題がなく、無理なく返済できると判断される借入金額であったとすれば、低年収および低所得であったとしても住宅ローンの審査に通る可能性があるということになります。

あくまでも他の審査項目におかれましても、問題がないことが前提です。

2.年収は多いことに越したことはないが、返済負担率が重要な審査項目

先に解説しましたように、住宅ローンを融資する金融機関側からしますと、「貸し倒れリスク」を避けることが大前提であることから、住宅ローン申込者の年収は多いことに越したことはないと考える一方で、返済負担率が重要な審査項目になるのは間違いありません。

なお、返済負担率とは、年収に占めるすべての借り入れの年間合計返済額の割合のことをいいます。

ここで言う「すべての借り入れ」とは、申し込む住宅ローンの月々の返済金額のほか、他の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシングや商品の分割払い、リボ払いによる購入を含む)などの借り入れをいいます。

たとえば、長期固定金利で有名な「フラット35」では、年収と返済負担率の関係について以下のように明示しています。

年収400万円未満400万円以上
基準(返済負担率)30%以下35%以下

参考:フラット35・年収による融資額などの制限はありますかより引用

具体的な返済負担率の計算方法などにつきましては、「3.年収に応じた理想的な返済負担率の求め方」を参照して下さい。

2-1.そもそも、借入金額だけでなく、金利や諸費用も同時に考える必要がある

住宅ローンの審査が無事通過しますと、住宅ローンにかかる諸費用や住宅購入にかかる諸費用が必要になります。

また、住宅ローンの融資が実行された後も住宅を維持する費用を含めたお金の負担を考えていかなくてはならないことを踏まえますと、これらを含めた場合の許容金額は、どうしても小さくなってしまうと考えることができます。

また、住宅ローンを申し込む際の「借入期間」につきましても、短ければ短い程、月々の返済金額が大きくなってしまう点もあらかじめしっかりと押さえておかなければならないポイントです。

3.年収に応じた理想的な返済負担率の求め方

年収に応じた理想的な返済負担率の求め方について、同サイト内で公開している「住宅ローンの毎月々の返済金額平均と年収に見合う返済負担率とは」より引用して紹介します。

仮に年収が500万円で返済負担率が30%であった場合、返済金額は以下のような計算式で求めることができます。

500万円 × 30% = 150万円
150万円 ÷ 12ヶ月 = 125,000円

年収500万円の人が返済負担率30%以内に抑えるには、1ヶ月あたり125,000円以内の返済に留めておく必要があるといった見方になります。

より詳しく知りたい場合、以下のコンテンツを確認しておきましょう。

住宅ローンの毎月々の返済金額平均と年収に見合う返済負担率とは

2017.02.22

4.世帯年収300万円の方が組める住宅ローンシミュレーション

本項では、参考目安として世帯年収300万円の方が組めるであろうと推測される住宅ローンシミュレーションについて紹介していきます。シミュレーション条件は以下の通りです。

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シミュレーション条件

  • 年収300万円
  • 全期間固定金利【フラット35】0.93%(融資率9割以下、返済期間21年以上35年、2016年7月実行金利)
  • 返済期間35年
  • 元利均等返済、ボーナス返済なし
  • 住宅ローン以外借り入れはないものとする
  • シミュレーション条件以外の項目については考慮しないものとする

フラット35では、年収300万円の方に対して返済負担率は「30%以内」と定めていることから月々の最大返済金額は、以下のように算出されます。

300万円 × 30% = 90万円(年間返済金額)
90万円 ÷ 12ヶ月 = 75,000円(1ヶ月の最大返済金額)

上記の条件に合致しない場合、フラット35で融資を受けられることはありません。

なお、参考までに返済負担率と月々の返済金額の関係を以下、表へまとめて紹介します。

年収300万円の場合

返済負担率1ヶ月の返済金額概算借入可能額
30%(限度)75,0002,687万円
25%62,500
20%50,000

参考:フラット35・年収から借入可能額を計算

参考資料として、世帯年収が300万円から800万円までの返済負担率・返済金額・借入可能額の一覧表を以下で紹介します。

なお、シミュレーション条件として、フラット35のシミュレーターを利用し、「返済負担率25%」を条件とし、その他の条件は「4.世帯年収300万円の方が組める住宅ローンシミュレーション」に共通しているものとします。

世帯年収返済負担率1ヶ月の返済金額概算借入可能額
300万円25%62,500円2,687万円
400万円83,333円4,181万円
500万円104,166円5,226万円
600万円125,000円6,271万円
700万円145,833円7,316万円
800万円166,666円8,000万円
(フラット35融資限度額)

5.少ない年収でも住宅ローンの審査を通りやすくする方法

本記事の最後に、少ない年収であったとしても住宅ローンの審査に通りやすくなると考えられる方法についていくつか解説を進めていきます。

なお、解説前における前提条件として、住宅ローンの事前審査に通るための基本的な条件は、すべて満たしているものと仮定します。

5-1.頭金を用意する

頭金とは、住宅購入の際に住宅ローンを利用しないでまかなうお金のことをいい、頭金が多ければ多い程、住宅ローンの申し込み金額が少なくて済むことになります。

結果として、住宅ローンを融資する金融機関側も融資をしやすくなります。

実際に頭金が多い場合、多くの金融機関では、金利の引き下げなどの優遇をしているパターンが多く見受けられ、頭金を用意していることに対する評価が大きいことが伺い知ることができます。

5-2.夫婦で収入合算をして世帯収入で審査にのぞむ

夫婦が共働きの場合、収入合算をして世帯年収が増加することで住宅ローンの審査に通過しやすくなります。

これは、先に解説した返済負担率の割合が低くなると考えられるほか、住宅ローンを融資する側としても貸し倒れリスクを軽減させられる効果が得られるため、融資をしやすくなると考えられるためです。

ただし、夫婦で収入合算をする場合は、夫婦いずれも住宅ローンを融資するための最低限の条件を満たしている必要があり、いずれか一方に問題があった場合は、収入合算をすることがでませんので注意が必要です。

収入合算(ペアローンと連帯債務者と連帯保証人)の違いと控除

2017.05.14

5-3.購入する物件の価格を抑える

住宅ローンは、年収や所得に見合った返済負担となるような金額設定を行う必要性を求められることを踏まえますと、購入する物件の価格を抑えなければ、時として住宅ローンの審査に通過しないことも推測できます。

一生に一度の大きな買い物でありますから、理想の住宅購入を実現して頂きたい一方で購入する物件の価格を抑えるということは、少なからず希望や理想の住宅から遠ざかっている印象を受けます。

個々の考え方によって妥協する、妥協しないは異なる部分ではありますが、その辺をじっくりと考えて決断しなければならないことは確かになります。

5-4.他のローンを終わらせておく

住宅ローンの審査に通過するためには、返済負担率が許容範囲内に収まっていることが必要になります。

つまり、住宅ローンを申し込む前に、「自動車ローン」「教育ローン」「カードローン(クレジットカードによるキャッシングや商品の分割払い、リボ払いによる購入を含む)」といった既存の借り入れについて、できる限り完済しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

本記事では、住宅ローンにおける最低年収やそれに係る重要なポイントについて焦点をあてて、詳しく解説を進めさせていただきました。

住宅ローンにかかる最低年収や最低所得金額は、それぞれの金融機関によって異なりがあるため、直接尋ねてみるのが望ましいですが、住宅ローンの審査を通過するためには、年収や所得よりも「返済負担率」の方が重要であることを、多くの皆さまが本記事を通じて感じられたことと思います。

返済負担率の割合が低いということは、月々の返済が軽く感じるだけでなく、住宅ローンの審査にも通過しやすいといった「一石二鳥の効果」があります。

そのため、借入可能額で住宅ローン金額を考えるのではなく、返済負担率を考慮した返済可能額で住宅ローン金額を考えることが重要なポイントです。