住宅ローンの融資を受けるためには、希望する金融機関に対して住宅ローンの申し込みを行い、様々な審査を通過する必要があります。
住宅ローンの審査では、住宅ローンを取り扱っている金融機関によって審査基準や審査結果までに要する日数が異なります。
時には、住宅ローンの審査期間が長くなってしまうことによって次のステップに進むのが遅くなるデメリットも生じてしまうほか、住宅ローンの審査期間中は、精神的にも余裕を持てない日々が何日か続いてしまうこともあると思われます。
そこで本記事では、住宅ローンの審査対策として、住宅ローンの審査期間が長くなってしまったことによって生じるデメリットの紹介をはじめ、できる限り住宅ローンの審査を早く通過するためのポイントについて解説を進めていきます。
目次
1.住宅ローンの審査期間が遅くなるデメリットとは
はじめに、住宅ローンの審査期間が遅くなることによって考えられるデメリットについて紹介していきたいと思います。
1-1.住宅ローンの審査期間が長くなってしまうことによって、次のステップに進むのが遅くなる
住宅ローンの審査期間が遅くなるデメリットとして考えられる1つ目として、「住宅ローンの審査期間が長くなってしまうことによって、次のステップに進むのが遅くなる」ことがあげられます。
住宅ローンの審査は金融機関によって審査段階がそれぞれ異なりますが、「事前審査」「仮審査」「本審査」と3つの段階に分かれており、金融機関によっては、事前審査と仮審査がセットになっているところもあります。
これらの審査の結果、融資が見合わせになってしまった場合、次の金融機関探しや住宅ローンの審査対策をするための時間が多く費やされることに繋がり、結果として次のステップに進むのが遅くなると考えられます。
1-2.予定していた金利で、住宅ローンを組めないことがある
住宅ローンの金利は、住宅ローンを申し込んだ時の金利が適用されるわけではありません。
融資が実行された時の金利が適用されることになるため、当初予定していた金利で、住宅ローンを組めないことがあります。
たとえば、住宅ローンを申し込んだ時の金利が「1.0%」、住宅ローンの審査が通過した時の金利が「1.1%」、住宅ローンの融資が実行された時の金利が「1.05%」だった場合、支払利息の計算に適用される金利は、住宅ローンの融資が実行された時の「1.05%」といったイメージです。
つまり、当初予定した金利よりも高くなる場合も低くなる場合も考えられることから、余裕を持った住宅ローンの返済計画を立てておくことが大切だと考えられます。
2.住宅ローンの審査が早い人と遅くなる人の違いは「返済能力が十分あるかどうか」
住宅ローンの審査結果が出るまでには、金融機関による違いはあるものの、やはり、直接的に影響を及ぼすのは、「住宅ローン申込者が、住宅ローンを完済まで滞りなく返済できる能力があるかどうか」に尽きるでしょう。
具体的には、金融機関がそれぞれ定めている住宅ローンの審査基準に準じることとなりますが、これらの詳細について、一般の私たちが知ることは残念ながらできません。
ただし、国土交通省が住宅ローンを取り扱っている金融機関に対して毎年アンケート調査を実施しており、その内容を確認することで、住宅ローンの審査を早く通過させ、より確実な融資実行といった結果を得るための対策に繋がることは確かです。
2-1.住宅ローンの審査項目を知っておこう
住宅ローンを取り扱っている金融機関が、住宅ローンの審査で考慮している審査項目は以下の通りです。
国土交通省・住宅局:平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書より引用
上記の統計は、平成29年3月に公開されている平成28年度の内容となっておりますが、多くの方が気にしている「年収」は、意外にも最上位の審査項目になっていないことが確認できます。
住宅ローンの審査を早く通過させ、より確実な融資実行といった結果を得るためには、これらの審査項目に対して問題が無ければ良いと考えられます。
住宅ローンの審査段階でこれらの項目1つひとつをしっかりと満たしていることによって、住宅ローンの審査が遅くなるといったことは少なからず防ぐことができるわけです。
住宅ローンの審査項目における詳細や解説につきましては、以下、同サイト内で公開している記事で確認することが可能となっておりますので、本記事での解説は割愛させていただきます。
3.住宅ローン審査の流れと、各段階でかかる日数の目安
こちらはあくまでも参考となりますが、住宅ローンの審査の流れと審査結果が出るまでに要する大まかな審査日数を紹介します。
3-1.事前審査(仮審査含む)
住宅ローンの事前審査とは、住宅ローン申込者の基本的な部分について確認することをいいます。
住宅ローン申込者の氏名や住所・電話番号といった個人情報はもちろん、職業・年収・希望借入金額などを確認し、そもそも「年収に合った借入金額であるかどうか」など、大まかな確認をするための審査と考えることが自然です。
金融機関によっては事前審査と仮審査がセットになっている場合も多く見受けられますが、この時点で審査に通過しなかった場合、本審査に進むことはできません。
このため、必然的に住宅ローンの融資は受けられなくなります。
特に、インターネットを利用したネット銀行の場合は、これらの審査が機械的に行われることになります。
審査結果が早いぶん、特殊な事情が加味されにくい場合もあることから、より確実に住宅ローンの審査に通過したいとご希望の方は、直接対面で相談できるタイプの住宅ローンの方が望ましいかもしれません。
事前審査(仮審査)は、審査結果が出るまで「最短でその日(ネット銀行の場合)から1週間程度」の期間を要することが多いようです。
3-2.本審査
事前審査(仮審査)に通過しますと、次は本審査に進むことになります。
本審査を無事通過するためには、すでに紹介をさせていただいたように、住宅ローンの審査で金融機関が特に考慮している審査項目を総合的に満たしていることがポイントです。
1つの項目に問題があったとしても、住宅ローンの審査に通らないといったことはありません。
あくまでも総合的な審査と判断がなされることになるため、金融機関が重視している審査項目を重点的に満たせるような対策が事前にできていれば、さほど本審査に通過することは難しいことではありません。
本審査の審査結果が出るまでには、概ね2週間程度かかる場合が多いようですが、中には3週間かかって無事通過した、1ヶ月かかって通過できなかったなど、様々なケースがあることから、あくまでも日数は目安としておくことが大切です。
4.住宅ローンの審査をスムーズに通るにはどうするべき?
解説が重複致しますが、住宅ローンの審査通過が遅くなることによるデメリットを避けるためには、それぞれの審査がより確実に通過できるような対策を住宅ローンの申し込み前から取っておくことが望ましいのは確かです。
実際のところ、事前審査や仮審査が通過し、本審査を通過するための条件として、たとえば「現在抱えている自動車ローンをすべて完済したら融資可能」などといった金融機関から何らかの条件提示をされることもあります。
このため、この辺も含めて余裕を持った対策を取っておくことが望ましいでしょう。
以下、参考として住宅ローンの審査をスムーズに通るためにやっておきたい対策について紹介しておきたいと思います。
4-1.住宅ローンの申し込みは、収入合算を検討してみる
住宅ローンは、年収と希望借入金額のバランスが非常に重要視されることから、いわば、年収に見合っていない借入金額の融資を受けることは基本的にできません。
そのため、希望している借入金額を確実に融資してもらうためには、たとえば、夫婦で収入を合算することで容易に審査基準を満たすことができる場合があります。
なお、夫婦で収入合算をする場合は、夫婦それぞれの個人信用情報が大きく関係します。
要は、これまでの金融事故やその他の借入金の返済遅延、割賦代金の返済遅延が著しい場合は、収入合算をすることができない場合があるため注意が必要です。
4-2.十分な頭金を用意しておき、希望借入金額を少なくする
現在、住宅ローンは頭金が無くても融資を受けられる時代となっています。
しかし仮に、十分な頭金を用意しておき、希望借入金額を少なくすることができれば、住宅ローンの審査に通りやすくなるだけでなく、金利の優遇が受けられる場合もあり、一石二鳥のメリットが得られます。
ちなみに、ここで言う「十分な頭金」とは、希望借入金額の2割以上であることが望ましく、それぞれの金融機関によって、頭金の金額に応じた金利の優遇がありますので、住宅ローンの申し込み前にしっかりと確認しておくことが望ましいでしょう。
4-3.夫婦それぞれの両親や祖父母から一時的な資金協力を得る
住宅ローンの審査において、収入に沿った1年間の借入金の返済割合(返済負担率)が審査項目としてあげられ、重要視される審査項目の1つとなっています。
そのため、仮に自動車ローンやクレジットカードの使用における割賦代金や他の借入金などは、住宅ローンの返済分と加味されて審査されることになるのです。
これが時として、前述した返済負担が重くのしかかることになると判断されてしまう場合があります。
つまり、住宅ローンを融資することによって「返済が滞ってしまう懸念が生じる」と判断されてしまう場合もあることから、自動車ローンなどといった月々の返済にかかるものは、できる限り完済しておくことが望ましいのは確かです。
すべての方にあてはまる対策ではありませんが、夫婦それぞれの両親や祖父母から一時的な資金協力を得ることができれば、返済負担の審査項目は解決することができると考えられ、より住宅ローン審査の通過に近づくことになると考えられます。
なお、一時的な資金協力には、主に「贈与」と「借入」がありますが、どちらの資金協力を受ける場合も贈与契約書や金銭消費貸借契約書といった書類を親族間であったとしても作成するようにして下さい。
これは、税金の問題も絡んでくるほか、親族間のトラブルを回避するための対策にもなるためです。
仮に、夫婦それぞれの両親や祖父母から一時的な資金協力を得られる見込みがある場合は、住宅ローンの申し込み前の対策も兼ねて、専門家にあたるFPなどへ注意点を詳しく確認しておくことを強く推奨します。
4-4.使っていないクレジットカードを解約しておく
クレジットカードは、主に買い物をする際に利用するショッピング枠と一時的にお金が必要になった際に借入することができるキャッシング枠に分かれる特徴があります。
特に、クレジットカードのキャッシング枠は、先に解説した返済負担に大きく関係し、キャッシングを利用していなくとも、いつでもお金を借りられるといった理由から、返済負担を考慮・審査する意味でマイナスに作用してしまいます。
そのため、使っていないクレジットカードはあらかじめ解約しておくことをおすすめするほか、夫婦で収入合算する場合におきましては、夫婦で使っていないクレジットカードを解約しておくことが望ましいでしょう。
4-5.ローンの申し込み書類は、郵送前にミスがないかを確認する(ネット銀行の場合)
こちらは、ネット銀行へ住宅ローンの審査申込を行う場合となりますが、審査に必要な書類を返送する際に不備や記載ミスがないかを再度確認しておくことが大切です。
これらのミスがあった場合は、手続きに再度の時間を要することになるため、結果として多くの時間を費やしてしまうことに繋がります。
まとめ
本記事では、住宅ローンの審査対策として、住宅ローンの審査期間が長くなってしまったことによって生じるデメリットの紹介をはじめ、住宅ローンの審査を早く通過するための参考情報を紹介させていただきました。
住宅ローンの申込者が置かれている状況は、1人ひとり異なることから、住宅ローンの審査期間が遅くなる原因や住宅ローンの審査対策が変わってくることも確かです。
そのため、まずは、本記事の内容を再度読み直していただきまして、ご自身にとって住宅ローン審査に支障が生じるような問題がないかどうかについて再確認することをおすすめ致します。
住宅ローン審査に通過することは決して難しいことではありませんので、あくまでも、ご自身が抱えている懸念要素をしっかりと払拭することができれば、何ら問題がないことをしっかりとご理解いただければと思っています。