個人事業主の所得や自営業の専従者給与が住宅ローン審査に与える影響

木の家と2人

住宅ローンの申し込みをこれから検討されているすべての方に共通することとして「安定した収入のあること」が求められます。

ここで言う「安定した収入」とは、会社員や公務員、自営業の専従者といった方であれば給料やボーナスのことです。

自営業の場合は、事業で得た所得(利益)が、希望の借入金額に対して合っているかが問われることになります。

ただ、実際のところ、住宅ローンの審査は「安定した収入」だけでなく、以下のような様々な事情が考慮された上で、決定されることになります。

  • 収入に対してどの程度の返済負担になるのか
  • 完済まで問題なく返済をしてもらえそうか

このため、安定した収入があるといった理由だけで、住宅ローンの融資が受けられるものではありません。

そこで本記事では、住宅ローン審査項目のうち、「安定した収入」にあたる個人事業主の所得や自営業の専従者給与が「住宅ローン審査においてどのような影響を与えることになるのか」について、詳しく解説を進めていきます。

1.個人事業主の所得や自営業の専従者給与が住宅ローン審査に与える影響

個人事業主の所得や自営業の専従者給与は、住宅ローンを毎月返済していくための返済原資になります。

このため、住宅ローン審査に与える影響は、極めて大きいのです。

実際の住宅ローン審査では、安定した収入があるかどうかの判断方法として、過去2,3年分の確定申告書や源泉徴収票の提出が求められます。

あわせて、提出されたこれらの書類の内容が本当に正しいものであるかどうかを「所得証明書」や「納税証明書」と突き合わせて確認します。

【補足】

所得証明書や納税証明書は、官公庁が発行している証明書です。

住宅ローンの申し込みをした金融機関によって、提出を求める書類の年分はそれぞれ異なります。

このため、あくまでも「過去2,3年分の確定申告書や源泉徴収票の提出」は、目安にすぎないとお考え下さい。

ただ、現状としましては、「所得証明書」や「納税証明書」の原本提出は、すべての金融機関で求められています。

2.所得証明書とは、「収入を証明する書類」

住宅ローン審査において、安定した収入があるかどうかの確認書類は「収入確認書類」とも呼ばれています。

収入確認書類は、

  • 源泉徴収票
  • 公的収入証明書(所得証明書や住民税決定通知書)
  • 確定申告書
  • 納税証明書

など、細かく分類されます。

住宅ローン審査において、上記の収入確認書類は、自営業や専従者など、就いている職業によって提出を求められる種類がそれぞれ異なることになります。

これは、住宅ローンを申し込みした金融機関の指示にしたがって、必要な年分の書類を準備することで足りるのです。

以下、自営業や専従者に関係する「収入確認書類」について、要点をまとめて解説しておりますので、参考にされてみて下さい。

2-1.確定申告書(自営業の方)

確定申告書は、「事業を営んでいる自営業の方が、1月1日から12月31日までの1年間の収入について、翌年2月16日から3月15日までの確定申告期間中に作成し税務署へ提出する書類」のことをいいます。

確定申告書は、税務署へ提出する「提出用」と、ご自身の控えにあたる「控用」の2部に分かれています。

そして一般的には、確定申告書を税務署へ提出した際に、税務署側から確定申告書を受け取った旨の「受付印」が控えの確定申告書へ押印され、この受付印が押されている確定申告書の提出を金融機関側より求められるのです。

自営業の方の場合ですと、住宅ローン審査で見られる安定した収入とは、以下の図の所得金額になります。

確定申告書

(出典:自営業の住宅ローン審査と所得や売上、収入、年収の関係性を解説

ただ、これは大まかな目安金額です。一般的には、住宅ローン審査における正確な所得金額を判断する上では、引き直し計算がなされることになります。

本記事では、引き直し計算の解説については割愛させていただきますが、こちらについて気になる方は、以下を参考にされてみることをおすすめします。

電卓

自営業の住宅ローン審査と所得や売上、収入、年収の関係性を解説

2018年3月31日

2-2.源泉徴収票(専従者の方)

源泉徴収票は、「給料の支払いを受けている方が、年末調整によって1年間の税金計算をして税金の精算をした時に発行される書類」であり、これは、勤務先が行うものになります。

そのため、たとえば、自営業の方で専従者に対して給料を支払っている場合には、個人事業主が年末調整を行うことになります。

一般的には、専従者に対して源泉徴収票を発行し、「法定調書」と呼ばれる書類を税務署へ、「給与支払報告書」と呼ばれる書類を専従者が住んでいる市区町村へ、翌年1月31日までに提出するのです。

源泉徴収票

(参考:国税庁 [手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)

専従者の収入は、源泉徴収票の「支払金額」で判断され、この金額が1年間の年収にあたります。

2-3.公的収入証明書(所得証明書や住民税決定通知書)

公的収入証明書は、所得証明書や住民税決定通知書などのことをいいます。これは、お住まいの市区町村といった地方自治体が発行する収入の証明書類になります。

なお、住宅ローンの審査においては、あくまでも住宅ローンを申し込んだ金融機関によって、必要な公的収入証明書は異なります。また、書類名称が地方自治体によって異なることもあるため注意が必要です。

所得証明書

(参考:米子市 所得(課税)証明

地方自治体が発行する所得証明書などの書式は、それぞれの自治体によって異なります。

しかし、赤枠で囲われている部分を見ることによって、所得金額などを確認することが可能です。

なお、所得証明書の発行は、1通あたり300円です。このため、仮に過去3年分発行してもらう場合には、900円の手数料が必要です。

そのほかにも、認印や運転免許証・健康保険証といった「本人確認書類」を持参して行くことが望ましいでしょう。

また、前年分の所得証明書は、翌年6月以降に発行されることになります。

このため、たとえば、住宅ローンの申し込みをした時期が4月や5月だった場合ですと、審査期間によっては、前年分の所得証明書の交付がされた後に提出が求められることもあります。

2-4.納税証明書

納税証明書は、「確定申告書等を提出した場合の納税額・所得金額または未納の税額がないことを証明するための書類」ことをいい、税務署が発行しています。

納税証明書は、全部で4つの種類に分かれています。

それぞれつの納税証明書が証明している内容は、以下の通りです。

  • 納税証明書(その1)・・・納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等の証明
  • 納税証明書(その2)・・・所得金額の証明(個人は申告所得税又は申告所得税及復興特別所得税に係る所得金額、法人は法人税に係る所得金額です。)
  • 納税証明書(その3)・・・未納の税額がないことの証明(税目を指定した「その3の2」(申告所得税及復興特別所得税と消費税及地方消費税)や「その3の3」(法人税と消費税及地方消費税)の証明もあります。)
  • 納税証明書(その4)・・・証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないことの証明

国税庁 [手続名]納税証明書の交付請求手続より引用)

納税証明書

(出典:国税庁 納税証明書の様式

住宅ローン審査におきましては、住宅ローンを申し込んだ金融機関が求めた納税証明書のみ、提出すれば大丈夫です。

たとえば、「納税証明書その1」および「その2」を過去3年分といった指示であれば、「納税証明書その3」および「その4」の発行および提出は、不要であることを意味します。

一方、金融機関が、「その1からその4まで」すべての納税証明書の提出を求めている場合は、必要とされる年分のすべての納税証明書を取得し提出しなければなりません。

なお、納税証明書の取得方法は以下の2つあり、それぞれの方法によって発行手数料が異なる特徴もあります。

  1. 直接税務署へ行って取得する方法
  2. オンラインで取得する方法
手数料

(出典:国税庁 [手続名]納税証明書の交付請求手続

2-4-1.納税証明書の発行に「委任状」が必要な場合があることに注意しよう

住宅ローンを夫婦で収入合算して申し込みを行う予定の方も多いと思います。

このような方々の場合、いずれか一方が直接税務署へ行き、ご夫婦それぞれの納税証明書を取得することもあると思われます。

しかし、このような場合、ご自身の納税証明書は取得できるものの、相手方の納税証明書は「納税証明書交付請求書」および「委任状」がなければ取得することができないため注意が必要です。

以下、納税証明書を、税務署の窓口で納税証明書交付請求書を提出して交付請求する場合の流れについて、国税庁のホームページより引用して紹介します。

 

納税証明書を請求するために来署される場合は、次のものを持参していただく必要があります。

(1)必要事項を記載した納税証明書交付請求書
(2)手数料の金額に相当する収入印紙又は現金
(3)本人確認書類及び番号確認書類
(4)ご本人の印鑑(法人の場合は代表者の印鑑、代理人の方が来署される場合は代理人の方の印鑑)
(5)ご本人(法人の場合は代表者)からの委任状
代理人の方(ご家族、代表者以外の役員、従業員の方を含む。)が来署される場合に必要です。

国税庁 [手続名]納税証明書の交付請求手続 納税証明書交付請求書(書面)での交付請求より引用・改変)

 

本人と配偶者の納税証明書を、税務署で直接受け取るために必要なものは、以下のようになります。

  • 本人と配偶者の納税証明書交付請求書をそれぞれ1部ずつ
  • 手数料の金額に相当する収入印紙又は現金
  • 運転免許証などの本人確認書類及び本人と配偶者の番号確認書類(マイナンバーカード)写し
  • 印鑑
  • 配偶者の委任状

なお、納税証明書交付請求書のダウンロードや書き方につきましては、国税庁のホームページから確認することが可能ですので、記載例を参考に記入して下さい。

納税証明書の交付請求諸様式

(出典:国税庁 [手続名]納税証明書の交付請求手続 [交付請求書様式・記載例]

3.「所得証明書」や「納税証明書」は、年末調整や確定申告をしていることで発行される

「所得証明書」や「納税証明書」は、年末調整や確定申告をしていることで発行される書類です。

実際に提出する際は、金融機関側から書類についての指示がありますので、その指示にしたがって必要な年分の原本を提出するようにして下さい。

ちなみに、「所得証明書」や「納税証明書」は、住宅ローンの仮審査が通過し、本審査をする際に必要となります。

なおかつ、発行から3ヶ月以内の原本を提出することが求められるため、事前の準備として「取得しておかない」方が良いでしょう。

あくまでも、金融機関側から提示を求められた段階で、速やかに書類を準備して提出するのが望ましいことになります。

まとめ

自営業や専従者は、収入を申告するための手段が異なります。

通常ですと、以下を行うことで、1年間の税金精算が終了します。

  • 自営業の方:確定申告
  • 専従者の方:年末調整

そのため、それぞれの立場によって、金融機関側から提出を求められる「所得証明書」や「納税証明書」が異なるほか、審査の年分も金融機関によって様々です。

たとえば、住宅金融支援機構が取り扱っている長期固定の住宅ローン「フラット35」では、勤続年数が1年に満たなくても申し込みをすることができる特徴があります。

さらに、民間金融機関と異なり、一般的には、過去3年分ではなく、「過去2年分」で住宅ローン審査がなされる特徴もあります。

このような場合、住宅ローン審査に通過する・しないに関わらず、1年分または2年分の「所得証明書」や「納税証明書」のみで良いと考えることもできます。

住宅ローン審査における所得証明書や納税証明書の役割とは、源泉徴収票に記載されている内容や確定申告書に記載されている内容が本当に正しいかどうかを確認することです。

つまり、安定した収入が確実にあるかどうかの確認となりますので、いずれかの証明書類は必ず取得しなければならないとお考え下さい。

とはいえ、所得証明書や納税証明書を取得する機会というものは、一生を通じてほとんどない貴重な機会かと思います。

これらの書類を取得する時間や手間をかみしめながら、住宅ローンの本審査に臨まれるポジティブな考えを持っていただきたいものと管理人は考えます。

自営業・個人事業主の方はフラット35が審査に通りやすくておすすめ

自営業の場合、会社員や公務員に比べて審査が通りづらいです。売上によって収入が変動するため、「不安定」という見方をされるからです。

ただし、フラット35(全期間固定金利)であれば話は別です。

民間金融機関の住宅ローンの場合、多くは「年収400万円以上で、安定した収入がある状態でなければ、そもそも申し込みすらできない」といった縛りがありますが、フラット35では、そのような収入に対する審査基準は一切ないからです。

さらに、通常は3年程度必要な過去の業績も、フラット35であれば、半年や1年の業績さえあれば審査への申し込みが可能です。

そのため、フラット35は自営業・個人事業主の方であっても審査に通りやすく、ほとんどの経営者がこれで住宅ローンを組んでいます。

以下に、自営業・個人事業主の方にお勧めのフラット35ランキングがありますので、参考にしていただけますと幸いです。

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