税金対策をしている自営業は住宅ローン審査前に修正申告すべき?

確定申告

自営業をしているうえで、毎年ご自身の事業で得た収入について必ず確定申告が必要ですよね。

住宅ローン審査において自営業の方が見られる収入は、確定申告書で確認されることになります。

このとき、多くの自営業の方は、税金対策として事業所得をできる限り抑え、納めるべき税金を少なくしている対策をとっていることと思います。

ただ、住宅ローン審査におきましては、事業所得が少ないことによって、希望の借入金額を融資してもらえないリスクが高まることになります。

このようなとき、すでに確定申告をした内容について、再度修正する「修正申告」をするこ人がいます。

事業所得を増加させ、住宅ローンの審査に有利になるようにするといった対策です。

しかし、はっきりと申し上げて、このようなことはやるべきではありません。

通常、自営業の方が、修正申告をしてまで住宅ローン審査に臨むことはあまり考えられませんが、本記事では、なぜ、修正申告をしてまで住宅ローン審査に臨むべきではないのかについてわかりやすく解説を進めていきます。

1.そもそも個人事業主が行う修正申告とは?

修正申告とは、納める税金が少な過ぎた場合や、還付される税金が多過ぎることが無いようにするためのものです。

また、法定申告期限後に計算違いがあったなど、確定申告内容の間違いに気が付いた場合に誤った内容を訂正する申告のことをいいます。

補足

「法定申告期限後」とは、翌年3月15日以降のことを指します。

たとえば、平成29年度の確定申告をした後の法定申告期限後とは「平成30年3月15日以降」といったことになります。

一般に、修正申告を行うときというのは、税務署からの税務調査があった後に行うことが多いです。

自営業かつ、税理士などの専門家へ記帳代行や確定申告を依頼している場合は、通常、修正申告が行われることはほとんどありません。

なぜなら、修正申告を行うということは、税金を計算するための基礎となる毎月の会計処理が正しく行われていなかったことを意味するからです。

場合によっては、依頼されている税理士の信用問題や面子にも関わる話になると考えられます。

つまり、修正申告をするということは、適当に申告していると思われる可能性があるということです。

そのため、正しい記帳代行や確定申告を行っているのにも関わらず、住宅ローン審査のために修正申告をするということは悪い印象を与えかねません。

それだけでなく、毎月の会計処理を粉飾することにもなり兼ねません。

その結果、顧問をしている税理士としては、大きな責任問題に発展するリスクが高いことを踏まえますと、必ずしも応じるとは思えません。

一方、税理士を依頼しておらず、自分自身で確定申告書を作成している場合などでは、ご自身の考えによって修正申告をすることは可能です。

ただし、次項で解説するような大きなデメリットが発生することを理解した上で行う必要があります。

2.自営業の方が、住宅ローン審査のために修正申告をするデメリットや注意点

冒頭でもお伝えしましたように、自営業の方が、住宅ローン審査のために修正申告をすることは決しておすすめできるものではありません。

ここでは、その理由について個別に詳しく解説を進めていきます。

2-1.修正申告をする上で合理的な理由がなければ認められない

修正申告は、納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合に行うのが一般的です。

また、法定申告期限後(翌年3月15日以降)に計算違いがあったなど、確定申告内容の間違いに気が付いた場合に誤った内容を訂正する申告です。

そのため、上記のような理由以外では行うのは不自然に見えてしまいます。

「住宅ローン審査に通過したい」!といった理由で無駄に売上金額を増加させたり、本来生じている経費を無駄に削減するといったことは、考え方によっては粉飾にあたります。

そのため、決して望ましいことではなく、そもそも修正申告をする合理的な理由にはあたりません。

また、自営業の多くは、青色申告者として「青色申告特別控除(65万円)」の適用を受けられている方が多いです。

しかし、この控除の適用を受けるためには、複式簿記によって毎月の会計処理を正しく行うこと(正規の簿記の原則といいます)が要件の1つとして求められています。

つまり、修正申告の内容があまりにもひどい内容であったとするならば、この控除の適用についてまで税務署側から否認されてしまうのです。

それどころか、「かえって多額の税金を納めなければならない」といった最悪の事態に遭遇してしまうデメリットも否めないでしょう。

これでは、常日頃から税金対策をしていた意味すら無くなってしまいます。

併せて、住宅ローンを融資する金融機関側は、安定した収入から滞りのない返済を重要視しています。このことから、前述したようなことをするような自営業者に対して融資を拒むのは当然のことです。

2-2.修正申告書を作成し税務署に対して提出する手間と時間がかかる

修正申告をするためには、修正申告書を作成し税務署に対して提出しなければなりません。

申告書類を作成する手間と、時間がかかってしまうことはデメリットになると考えられます。

仮に、税理士へ依頼するとなると書類作成にかかる報酬も、当然に発生します。この辺にも注意が必要です。

 国税庁 申告書第五表(修正申告・別表)

参考:国税庁・申告書第五表(修正申告・別表)より引用

2-3.所得を大きく申告し直すことで、追徴課税の必要がある

修正申告をするということは、納めるべき税金が多くなることを意味し、本来納めなければならない税金を追加で納めなければなりません。

この時、本来納めなければならない税金(本税といいます)に加え、延滞税といったペナルティーとなる税金も合わせて納付しなければいけません。

納税負担が無駄に多くなってしまうことから、普段から行っている税金対策の意味がどこにあるのかわからなくなってしまいます。

また、「過小に申告をしたことによって加算される過少申告加算税は、自主的に修正申告を行った場合に発生しない」と国税庁では見解を示しております。

これはケース・バイ・ケースとなることが考えられ、延滞税および過少申告加算税の両方がペナルティーとして課せられる可能性があることも視野に入れておくべきでしょう。

参考:国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき (2) 納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合(注)

2-4.住宅ローン審査において、金融機関から悪い印象を持たれてしまう懸念が否めない

自営業の方が住宅ローン審査を受ける上で、確定申告書の提出が求められることになります。

このとき、修正申告をしている場合、修正申告書の提出も当然にしなければなりません。

住宅ローンの審査をする際、仮審査が通り本審査を行う場合に、税務署が発行する納税証明書の原本提出が求められます。

この納税金額や所得金額と、確定申告書に記載されている納税額が一致していなければ、提出された確定申告書が正しい内容ではないことが確認できます。

つまり、仮に、意図的に修正申告をしたことについて隠ぺいしたとしても、無駄であることを意味し、金融機関から悪い印象を持たれてしまうことは必至です。

併せて、通常、修正申告は、税務署側からのお尋ねや税務調査などによって行われることが一般的です。

そのため、修正申告を行っているということは、「何かしらの問題があって、普段の会計処理について問題があるのではないか?」といった疑いも少なからずかけられます。

合理的で自ら修正申告をする正当な理由がない場合においては、マイナスに作用するデメリットが生じてしまうと考えられます。

2-5.修正申告をしても、絶対に住宅ローン審査に通るとは限らない

これまで4つのデメリットを解説し、それなりのリスクを抱えていることがわかりました。

それを踏まえて修正申告をしたとしても、絶対に住宅ローン審査に通るとは限らないことが、ある意味最大のデメリットともいえます。

住宅ローンの審査対策において、しっかりとされている上で修正申告が必要な場合や得策になるのであれば、次項で解説するメリットが受けられます。

とはいえ、「圧倒的に大きなデメリット」とリスクを抱えてまで修正申告をする必要があるのかどうかは、慎重に判断しなければなりません。

3.修正申告をすることで得られる可能性がある2つのメリット

自営業の方が、住宅ローン審査において修正申告をすることで得られる可能性があるメリットは以下の2つです。

  1. 住宅ローン審査に通りやすくなる可能性が高くなる
  2. 融資額が増え、希望の住宅を購入しやすくなる

自営業の方が、修正申告をすることによって、事業の利益にあたる所得金額が増加する効果が得られることは、住宅ローンの返済原資が多いと判断されることになります。

そのため、結果として、修正申告の前よりも住宅ローン審査に通りやすくなる可能性が高くなるとも考えられます。

また、所得金額が増加するということは、当初の希望借入金額の融資がなされる可能性が高まると考えられ、ご自身が希望している住宅を購入しやすくなる効果も期待できます。

4.自営業の方が修正申告をする以前に、住宅ローン審査対策として確認しておくべきこと

自営業の方が、住宅ローン審査のために修正申告をすることは、いかにデメリットが多く、リスクを伴うということが確認できたと思います。

そもそも、自営業の方が修正申告をする以前に、住宅ローン審査対策として確認しておくべきことがありますので、以下、簡単に紹介しておきます。

  • そもそも、なぜ、修正申告をしなければならないのか、所得金額だけが問題なのか?
  • 本当に修正申告をすることによって住宅ローン審査に通りやすくなる見込みが立っているのか?
  • 別の審査項目には、懸念される問題は確実にないのか?

たとえば、国土交通省が毎年公開している「民間住宅ローンの実態に関する調査報告書」には、住宅ローンを取り扱っている民間金融機関が住宅ローン審査において重要視している項目を確認することができ、これと、ご自身が申し込みをした住宅ローンの内容や状況が大きく乖離している場合、住宅ローン審査に通りにくくなります。

(2審査項目)

  • 完済時年齢:98.8%
  • 健康状態:97.6%
  • 借入時年齢:97.6%
  • 担保評価:97.2%
  • 勤続年数:97.2%
  • 年収:94.4%
  • 連帯保証:93.5%

上記については、引き続き9割以上の機関が融資を行う際の審査項目としている。また、雇用形態(78.2%)を考慮する機関の割合については、増加傾向にある。

融資を行う際に考慮する項目

※クリックすると拡大されます。

出典:国土交通省 平成28年度民間住宅ローンの実態に関する調査報告書より引用

修正申告によって住宅ローン審査の項目に影響を与えるのは、「年収」と「返済負担率」になります。

そもそも、住宅ローンの申し込みを行った内容について、「完済時年齢」「健康状態」「借入時年齢」「担保評価」「勤続年数」といった、特に、審査割合の高い項目に問題がないのかについて確認しておく必要があります。

ざっくり言ってしまえば、これらに問題があって、「年収」や「返済負担率」に問題がなかったとするならば、そもそも修正申告を行う必要が無いことを意味し、時間、労力、お金の無駄になります。

また、住宅ローンの申し込みにあたって重要になるのは、住宅ローンの借入可能額ではなく、住宅ローンの返済可能額になります。

仮に、住宅ローンの借入可能額を限度額いっぱいまでで申し込みをした場合、「年収」や「返済負担率」の審査項目に問題が生じることになります。

このようなことから、自営業の方が修正申告をする以前に、住宅ローン審査対策として確認しておくべきこととは、「個々の住宅ローン審査項目の内、どこに問題があるのか?」または「どこに懸念要素があるのか?」を明確にしておくことが大切なのです。

返済負担率に関して理解不足の場合、以下よりあわせて学んでおきましょう。

住宅ローンの毎月々の返済金額平均と年収に見合う返済負担率とは

2017年2月22日

まとめ

自営業の方が、住宅ローン審査通過のために修正申告をすることは決しておすすめできないことが、本記事を通じてよくおわかりいただけたと思います。

通常、自営業の方は、普段から税金対策を行っていることと思います。

将来住宅ローンの申し込みをする予定がある方は、事業所得にかかる税金対策を控えめにしながら、住宅ローン対策をあらかじめ取っておくことが大切です。

住宅ローンの審査は、さまざまな審査項目が存在し、それらの「1つでも問題があれば融資不可」といったことではありません。

あくまでも総合的な与信判断によって決定されるべきものですから、修正申告をしたからといって住宅ローンの審査に無事通ったと考えられることはあまり無いと思われます。

このような理由から、安易に修正申告をしようと考える前に、事業での所得を増やすことや他の住宅ローンの審査項目に問題がないのか再度確認してみることが先決です。

なお、基本的に修正申告はおすすめすることができないものの、どうしても行いたい場合は、デメリットやリスクを踏まえた上で、自己責任で行なうようにしてください。

自営業・個人事業主の方はフラット35が審査に通りやすくておすすめ

自営業の場合、会社員や公務員に比べて審査が通りづらいです。売上によって収入が変動するため、「不安定」という見方をされるからです。

ただし、フラット35(全期間固定金利)であれば話は別です。

民間金融機関の住宅ローンの場合、多くは「年収400万円以上で、安定した収入がある状態でなければ、そもそも申し込みすらできない」といった縛りがありますが、フラット35では、そのような収入に対する審査基準は一切ないからです。

さらに、通常は3年程度必要な過去の業績も、フラット35であれば、半年や1年の業績さえあれば審査への申し込みが可能です。

そのため、フラット35は自営業・個人事業主の方であっても審査に通りやすく、ほとんどの経営者がこれで住宅ローンを組んでいます。

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