住宅ローンの審査項目には、勤続年数があり、一般に現在就いている勤務先に通算して3年以上勤めていることが条件としてあげられています。
その一方で、勤続年数が住宅ローンの申し込みをするのに問われないフラット35もあるため、たとえば、転職して1年未満で住宅ローンの申し込みを行うこと自体ができるところもあります。
そこで本記事では、転職1年未満で住宅ローンの申し込みをすることができるおもな金融機関や住宅ローンの審査について、解説を進めていきます。
目次
1.転職1年未満で住宅ローンの申し込みをできるおもな金融機関とは?
はじめに、住宅ローンの審査対象となる勤続年数とおもな金融機関の関係について以下、表にまとめて紹介していきます。
金融機関 | 審査対象となる勤続年数 |
フラット35 | 原則として勤続年数は問われない |
イオン銀行 | 勤続年数6ヶ月以上(給与所得者) 個人事業主は事業開始後3年以上 |
楽天銀行 | 勤続年数に関する記載なし |
住信SBIネット銀行 | 勤続年数に関する記載なし(ネット専用住宅ローン) |
勤続年数に関する記載なし | |
新生銀行 | 連続した就業年数2年以上、かつ、前年度の税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること(給与所得者の場合) |
三井住友銀行 | 勤続年数に関する記載なし |
三菱UFJ銀行 | 勤続年数に関する記載なし |
みずほ銀行 | 勤続年数に関する記載なし |
上記表を見ますと、転職1年未満で住宅ローンの申し込みをできる金融機関は、全体的に多くなっていることが確認できます。
ただし、勤続年数に関する記載がない金融機関に対して住宅ローンの借入を希望している場合は、事前に転職歴を相談した上で「申し込みが行えるのかどうか」を確認しておくことが望ましいでしょう。
また、住宅ローンの申し込みをするのと住宅ローンの審査に通過することは、全くの別物です。
このため、住宅ローンの審査に通過するための事前対策を確実に行っておくことが大切であることは、言うまでもありません。
2.住宅ローンの審査における勤続年数の重要性
前項では、転職1年未満で住宅ローンの申し込みをできる金融機関は全体的に多くなっていることをお伝えしました。
ただ、住宅ローンの審査における勤続年数の重要性は、以下の統計データを見ると一目瞭然です。

(出典:平成29年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書)
回答数に対して具体的な内容の数値は一致していないものの、勤続年数3年以上は271件・勤続年数2年以上が60件・勤続年数1年以上が645件と、全体の約85%が住宅ローンの審査において「勤続年数1年以上あること」を重視していると見ることができます。
そのため、転職をして勤続年数が1年未満の場合、住宅ローンの審査に大きな影響を与えることも十分予測されるのです。
住宅ローンの申し込みはできる一方、住宅ローンの審査に通過するとは言い切れないこともわかります。
3.転職1年未満で住宅ローンの申し込みをするならばフラット35が無難
転職1年未満で住宅ローンの申し込みを行い、かつ住宅ローンの審査に通過したいのであれば、フラット35の申し込みを行うことが無難な選択肢と言えます。
この理由は、そもそもフラット35の場合、勤続年数が審査対象になっていないという理由があるためです。
したがって、フラット35の審査に通過するためには、住宅ローンのその他の審査項目に重点をおいた上で対策を取っておくことが望ましいと言えます。
4.住宅ローンでおもに審査される項目とは
住宅ローンの審査において主に審査をされる項目は、以下の通りです。

(出典:平成29年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書)
さまざまな審査項目を総合的に判断して融資の可否が決定されることになります。
なお、転職1年未満でフラット35へ申し込みをする場合、勤続年数は問われないことを踏まえますと、おもに「返済負担率」や「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」については特に注意が必要な審査項目と言えそうです。
この理由は、現在抱えている自動車ローンやその他のローンをはじめ「個人信用情報」における信用状態に問題がなければ、住宅ローンの審査対策で十分通る見込みがあるためです。
その一方、特に個人信用情報に関しましては、ご自身で対策を取ることはできません。
このためローンを借入するためには、常日頃からのお金の管理と、返済が遅れていないなどのクリーンな履歴が必須事項になるとお考え下さい。
5.転職して1年未満であったとしても勤続年数があまり考慮されない一例
こちらはあくまでも、住宅ローンの申し込みを受けた金融機関が判断することになります。
そのため一概に言い切れない部分もありますが、一般に、転職して1年未満であったとしても勤続年数があまり考慮されない一例は以下の通りです。
- 同じ業界や同じ職種でキャリアアップのための転職をした場合
- 会社からの要請で、子会社など、同じグループ会社へ転職(転籍)した場合
- 士業や専門職など専門性を活かした転職
- 転職先の企業が大手などで、財務状況に著しい問題がない場合
このように見ますと、転職して1年未満であったとしても、転職理由に意味があることのほか、専門職など相当のスキルや収入が見込める場合においては、転職がローンの審査に大きく影響しにくいことがわかります。
その一方で、転職して1年未満の場合で職種に一貫性がない場合や転職を短いスパンで繰り返しているなどの場合は、住宅ローンの返済原資を得るための安定した収入が得られにくいと判断されます。
つまり、言うまでもなく転職が住宅ローンの審査においてマイナスの影響を与えてしまうのです。
6.転職1年未満で住宅ローン審査に落ちてしまった場合
住宅ローンの審査に落ちてしまった場合、通常、その理由について明確に教えてくれることはありません。
そのため、「なぜ審査に落ちてしまったのか」考えて対策を取っておく必要があるのです。
ただ、仮に本審査で落ちてしまった場合は、その履歴が半年程度に渡って残ることになります。
したがいまして、住宅ローンの審査に落ちてから再度、他の金融機関に申し込みを行った場合、申し込みを受けた金融機関は「一度審査に落ちたこと」を知ることになるのです。
そのため、「なぜこの方は審査に落ちたのか」確認されることになり、審査に通過するための心証としてはあまり良いものを与えないことは確かです。
このような事情を回避する意味合いにおきましても、一発で住宅ローンの審査に通過するための事前対策を行っておくことは大切だと言えます。
6-1.住宅ローン審査通過のための対策方法
住宅ローン審査通過のための対策方法はさまざまありますが、ここでは、転職1年未満の方がフラット35で審査に通過するためにやっておきたいことを箇条書きで紹介します。
- 個人信用情報を確認しておく(収入合算の場合は、収入合算者も両方)
- 返済負担率を確認しておく(30%以上の場合は危険水域)
- 返済負担率を低くするために、クレジットカードのキャッシング機能を解約しておく
- 返済負担率を低くするために、他のローンや借入を完済しておく
- 頭金(自己資金)を用意しておく
- 返済負担率が、上記の対策をしてもなお高い場合は借入金額を減額する
上記がしっかりとできていれば、転職1年未満の方がフラット35で審査に通過できる可能性は大きく高まるものと推測されます。
なお、個人信用情報を確認した結果「異動」の文字があった場合はブラックリスト入りが確定し、すべての金融機関から住宅ローンを借入することができません。
このような場合は、履歴が抹消されるまで5年程度の期間を要することになりますので、注意が必要です。
まとめ
転職1年未満であったとしても、住宅ローン審査は通る可能性は十分にあります。
ただし、フラット35への申し込みや他の住宅ローンの審査項目に著しい問題がない場合になりますので、ローンの申し込みや本審査の申し込みをする前にあらかじめ事前対策を行っておくことが必須です。
加えて、転職前と転職後の一貫性なども考慮されます。
この辺の部分が転職前後に意味のあるものであれば、転職1年未満であったとしても、さらにローンの審査に通過しやすくなると言えます。
「勤続年数がローンの審査に影響を与える」金融機関は選ばないようにして申し込みを行い、念入りな対策をしておくことで、ローンの承認が得られることでしょう。
審査が甘いフラット35を選ぶなら超低金利の今がチャンス
全期間固定金利であるフラット35を選ぶなら、間違いなく今がチャンスです。歴史的な超低金利が今も続いているものの、一生続くことは考えられないからです。
今後、少しずつ金利は上がっていくことが予想されるため、固定金利(当初10年など)や変動金利は金利上昇のリスクがあります。
その点、フラット35であれば契約とともに総支払額が確定します。
仮に金利が急激に上がっても、安定した支払いが可能です。
金利の変動で住宅ローンの支払いで破産する人は多いですが、フラット35なら家賃と同じように支出が見えるので家計のやりくりが簡単になります。
また、審査が緩いため、「年収が低い」「転職したばかりで勤続年数が少ない」などでも融資してもらえる可能性が高いです。
これらは融資条件に含まれていないからです。また、「自営業の方」や「派遣社員(パート・アルバイトを含む)」であっても審査が通りやすいのはフラット35だけになります。
「低金利のまま、最後まで安定した支払いを希望される方」や「審査に不安があるという方」はフラット35を選ぶようにしましょう。

自営業者の方はこちら↓↓↓
