自営業の住宅ローン審査は白色申告・青色申告どちらが通りやすい?

自営業が、住宅ローンの審査をされる場合、毎年行っている確定申告の際に提出する確定申告書の内容をもって「安定した収入があるかどうか」を審査されることになります。

この時、自営業のように事業を営んでいる人は、大きく「白色申告者」と「青色申告者」に分けられます。

そして、それぞれの立場によって、提出する書類や受けられる税金の軽減効果も異なるのです。

また、住宅ローンの審査におきましても、「白色申告者」と「青色申告者」では、金融機関側の見方が大きく異なります。

少なくとも「青色申告者」の方が、住宅ローン審査に通りやすいのは確かです。

そこで本記事では、「白色申告者」と「青色申告者」の基本的な特徴を解説しながら、なぜ、青色申告者の方が住宅ローン審査に通りやすいのか解説を進めていきます。

1.確定申告の方法には、白色申告と青色申告の2種類がある

冒頭でもお伝えしましたように、自営業のように事業を営んでいる方は、大きく「白色申告者」と「青色申告者」に分けられます。

【補足】

確定申告において、白色申告者は、「白色申告」、青色申告者は、「青色申告」と呼ばれることもあります。

平成30年4月現在において、「白色申告者」と「青色申告者」の双方は、平成26年1月から施行された法改正によって「記帳・帳簿等の保存制度」が始まりました。

この時から、これまで必要がなかった白色申告者も、「帳簿を備え付けて収入金額や必要経費に関する事項を記帳する」とともに、「帳簿や書類を保存する」義務が生じました。

このようなことを踏まえまして、まずは、白色申告と青色申告の特徴およびそれぞれのメリットおよびデメリットについて要点を解説していきます。

個人事業主
青色申告書 白色申告
記帳方式 控除額 決算書様式 記帳方式 控除額 決算書様式
複式簿記 65万円控除 青色申告決算書(一般用) 簡易簿記 控除なし 収支内訳書
簡易簿記 10万円控除
現金主義 青色申告決算書(現金主義用)

(参考:MFクラウド確定申告

1-1 白色申告の特徴とメリットおよびデメリット

白色申告は、収入金額や必要経費に関する事項を記帳する方法は「簡易簿記」で行うことが認められています。

しかし、前項で解説した法改正によって、白色申告者であるメリットが全く無くなっているのが現状です。

青色申告と比較しますと、青色申告でも白色申告と同じように「簡易簿記」で収入金額や必要経費に関する事項を記帳する方法が認められていることが確認でき、かつ、控除額に10万円の違いがあります。

ざっくり解説しますと、白色申告は青色申告と同じことをしなければならない義務が生じているのにも関わらず、控除が受けられないデメリットが生じているのです。

このことから、青色申告者として確定申告をする方が得策なのです。

なお、簡易簿記は、家計簿を付けているようなイメージで、お金の支出内容や取引内容が簡易なものとなります。このため、住宅ローン審査において、自営業のような”所得が重視される方”にとって、金融機関が懸念するのも無理ないと言えます。

1-1-1.白色申告の場合における提出書類

すでに自営業を始めている白色申告者の方であれば、提出書類についてご存知のことと思いますが、白色申告の場合は、確定申告書に加え、「収支内訳書」を提出しなければなりません。

 

収支内訳 収支内訳2

(出典:国税庁 確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等 収支内訳書(一般用)【平成25年分以降用】

収支内訳書は、税務署への提出用とご自身の控用の二部構成(手書きの場合は複写)となっており、2ページ構成です。

1-2 青色申告の特徴とメリットおよびデメリット

青色申告も、以下については白色申告と同様です。

  • 収入金額や必要経費に関する事項を記帳する
  • 帳簿や書類を保存する義務がある

しかし、白色申告者に比べ、以下のような特典を受けられるメリットがあります。

  •  青色申告者のメリット1 青色申告特別控除

自営業で青色申告者の場合、所得に係る取引について正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳します。

そして、その記帳に基づいて作成した「貸借対照表」および「損益計算書」を確定申告書に添付して、翌年2月16日から3月15日までの法定申告期限内に提出します。

上記の場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することができるとお考え下さい。

たとえば、自営業で青色申告者の方が、平成30年分について青色申告特別控除65万円を受けるためには、

  1. 平成31年2月16日から3月15日までに
  2. 正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し
  3. その記帳に基づいて作成した「貸借対照表」および「損益計算書」を確定申告書に添付して提出する

以上が必要になってくる、という意味です。

上記を満たしていない場合の青色申告特別控除は10万円になりますが、白色申告者に比べて控除額が必ず適用になる点は、大きなメリットです。

  • 青色申告者のメリット2 青色事業専従者給与

自営業で青色申告者の方の中には、生計を同一にしている配偶者やその他の親族と事業を行っている方もおられると思います。

この時、年齢が15歳以上で、青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、税務署への届出を条件に、届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費として認められています。

なお、白色申告者の場合は、最低金額が設けられています。

事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円と定額です。

(参考:国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

青色申告者の特典はまだあるのですが、ここでは、住宅ローン審査に特に関係のある上記2つのメリットを解説しました。

その他の青色申告者のメリットについては、以下、国税庁HP「青色申告制度」から確認することが可能です。参照されてみることをおすすめ致します。

なお、青色申告のデメリットは、「税務署へ所定の届出をしなければならない」ことや「会計処理が面倒である」ことがあげられます。

ただ、自営業で、税理士などの外部へ委託するにしても、費用がかかってしまうというデメリットがあげられます。

1-2-1.青色申告の場合における提出書類

青色申告で確定申告を行う場合、青色申告特別控除を65万円適用するのか、10万円適用するのかによって、提出する書類が異なる特徴があります。

それぞれの場合に提出書類は、以下の通りです。

  • 青色申告特別控除を65万円適用する場合
所得税青色決算書 所得税青色決算書2 所得税青色決算書3 所得税青色決算書4

(出典: 国税庁 確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等 所得税青色申告決算書(一般用)【平成25年分以降用】

青色申告特別控除を65万円適用する場合には、青色申告決算書(一般用)の提出をしなければなりません。税務署への提出用とご自身の控用の二部構成(手書きの場合は複写)となっており、4ページ構成です。

  • 青色申告特別控除を10万円適用する場合
所得税青色決算書(現金主義) 所得税青色決算書(現金主義2)

(出典:国税庁 確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等 所得税青色申告決算書(現金主義用)【平成25年分以降用】

青色申告特別控除を10万円適用する場合には、青色申告決算書(現金主義用)を提出する必要があります。税務署への提出用とご自身の控用の二部構成(手書きの場合は複写)となっており、2ページ構成です。

2.白色申告より青色申告のほうが、住宅ローン審査に通りやすい

ここまで、白色申告と青色申告の特徴やメリットおよびデメリットについて解説をさせていただきました。

白色申告に比べて青色申告の方が、正確な所得が分かるほか、「事業の財政状態や経営成績がどのように推移しているのか」が、より把握しやすいのです。

このため、住宅ローンを融資する金融機関とすれば、貸し倒れリスクを抑えながら融資を実行しやすいことに繋がります。

そのため、現状の住宅ローン審査におきましては、以下の方が有利であると言い切ることができます。

  • (白色申告者よりも)青色申告者で、かつ
  • 青色申告特別控除を65万円適用されている自営業の方

また、納めるべき税金を軽減させる面におきましても、白色申告に比べて青色申告の方が控除を受けられます。

このほか、専従者給与の取り扱いや、本記事では解説していない「赤字の繰越控除」、「貸倒引当金の設定」などといった有利な面もあるのです。

このため、住宅ローンの審査対策には、青色申告者であることをおすすめします。

3.白色申告者の自営業が、青色申告者になるには届出が必要

自営業で白色申告者の方が、青色申告者として確定申告をするためには、原則としてその年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

そのため、「明日から私は青色申告者です」などといったことは当然認められませんので注意が必要です。

たとえば、平成30年時点で白色申告者の方が、青色申告者になる場合を考えてみましょう。

この場合、平成31年に入って、平成31年3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署へ提出することによって、平成31年分の確定申告から青色申告者として申告が可能になります。

4.前提として「住宅ローンを返済できる十分な安定収入があること」が大切

自営業の方が住宅ローンの審査を受ける上で、大前提として「住宅ローンを返済できる十分な安定収入があること」が求められます。これは、白色申告者・青色申告者であることを問いません。

そのため、仮に白色申告者であったとしても、以下の場合には、当然に住宅ローンの審査に通ることを意味します。

  • 住宅ローンを返済できる十分な安定収入がある
  • 住宅ローン審査にかかるその他の審査項目について問題がない

基本的には、様々な特典が受けられることから、青色申告がおすすめであることは確かです。

しかし、白色申告であったからといって、「住宅ローン審査に通らない」といったことはありません。

5.直近3年の確定申告を青色申告で行えば、住宅ローン審査の準備は完璧

一般に、住宅ローンの審査におきましては、直近3年分の確定申告書の提示が求められます。

このことから、直近3年の確定申告を青色申告で行えば、住宅ローン審査の準備としては望ましいとされています。

金融機関の中には、1年分の確定申告書でも住宅ローンの審査をしてくれるところもあるのもまた事実です。

ただ、この場合は、住宅ローンの審査にはなかなか通りにくいだけでなく、事前審査で落とされる懸念も大きくなることは否めません。

5-1.経費の計上は正確に!

自営業の場合、住宅ローン審査で安定した収入があるかどうかの判断は、「希望借入金額に対して所得が申し分ないのかどうか」が焦点となります。売上の計上はもちろん、経費の計上もしっかりとされていることが求められるのです。

自営業で、税理士などの専門家へ毎月の記帳代行や確定申告について依頼している方であれば、ここの部分は全く問題がありません。

その一方で、ご自身で会計処理を行い、確定申告を行う場合は、収入および支出の会計処理は正しく行われていなければなりません。

特に、個人消費したことによる経費按分(あんぶん)や経費の科目(勘定科目)の利用の仕方などには注意が必要と考えられ、白色申告者の時よりも正確さが求められるでしょう。

言うまでもなく、金融機関側は、提示された確定申告書だけではなく、一緒に提示された貸借対照表や損益計算書といった付表についても目を通します。そして、不自然な数値の流れになっていないかどうか、明らかな粉飾がないかどうかを見極めます。

この結果、大きな懸念が生じた場合には、当然に住宅ローンの融資は見送られることになるのです。

このため、常日頃から正しい会計処理を行うことが大切であるとお考え下さい。

なお、こちらについて不安な方は、商工会議所の会員や民主商工会の会員になることによって、会計処理のサポートが受けられるのでおすすめです。

このほか、税務署が毎年行っている「青色申告者に対しての説明会」に参加されるのも良いでしょう。

上記をうまく利用されることもおすすめですし、青色申告者に対して送付される「青色申告決算書(一般用)の書き方」を参考にされたり、ご自身で書籍を購入されたりと、様々な対策方法があります。ご自身に合ったものを選んで活用するのが望ましいでしょう。

(参考:国税庁 確定申告特集 確定申告書の様式や手引き

まとめ

自営業の方が、住宅ローンの審査において有利になるのは、以下の方です。

  • (白色申告者よりも)青色申告者で、かつ
  • 青色申告特別控除65万円の適用を受けている方

これは、住宅ローンの返済原資にあたる利益(所得)が正確にあるかないかを判断するための重要な情報となります。このため、簡易で作成された確定申告書よりも、信憑性が高いことが理由です。

ただし、住宅ローンの審査は、住宅ローンの申込者の個別属性を総合的に審査した上で決定されるものです。

このため、白色申告者であったとしても、希望借入金額と所得のバランスに無理がない場合には申し分ありません。

青色申告者は、負担する税金を考慮した場合、白色申告者よりも有利になります。

このほか、納めるべき税金が少なくなるということは、その分、手元に余るお金が多くなりますよね。このような将来的なことを考えた上で、現在、白色申告者の方は、青色申告者として確定申告をされていくことをおすすめします。

自営業・個人事業主の方はフラット35が審査に通りやすくておすすめ

自営業の場合、会社員や公務員に比べて審査が通りづらいです。売上によって収入が変動するため、「不安定」という見方をされるからです。

ただし、フラット35(全期間固定金利)であれば話は別です。

民間金融機関の住宅ローンの場合、多くは「年収400万円以上で、安定した収入がある状態でなければ、そもそも申し込みすらできない」といった縛りがありますが、フラット35では、そのような収入に対する審査基準は一切ないからです。

さらに、通常は3年程度必要な過去の業績も、フラット35であれば、半年や1年の業績さえあれば審査への申し込みが可能です。

そのため、フラット35は自営業・個人事業主の方であっても審査に通りやすく、ほとんどの経営者がこれで住宅ローンを組んでいます。

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