不動産取得税の概要から計算方法、軽減税率が分かる9項目

これから住宅を建てるときに必要なお金は、土地や建物代金のほかに諸費用が必要になります。さらに残念なことに、これらの費用に追加して「税金」の負担があることをご存知でしたでしょうか。

通常、住宅を不動産業者と契約を結んで購入した場合、「不動産取得税」といった税金を納めなければなりません。

ただ、不動産取得税とはどのような税金なのか、いったいいくら負担しなければならないのか気になるところだと思います。

そこでこのページでは、これから住宅を建てようと検討している方を対象に「不動産取得税」に焦点をあてて基本的な部分から専門的な内容まで幅広く解説していきます。不動産所得税の計算方法や、軽減税率まで分かりやすく説明します。

1.不動産取得税とは

不動産取得税とは、土地や建物といった不動産を取得した場合において「1回だけ」支払わなければならない税金のことをいいます。

税金には、国税や地方税といったように、国に対して納める税金と地方公共団体に納めるものがあります。不動産取得税は、都道府県に対して納める地方税にあたります。

ただ、国税、あるいは地方税であっても納めなければならない税金に変わりはありません。そのため、国税、地方税の区別はさほど重要視するようなことではないと考えられます。

2.不動産取得税が「かかる場合」と「かからない場合」とは

前述の通り、不動産取得税は土地や建物などの不動産を取得した場合において「1回だけ」支払わなければならない税金である旨を解説しました。

ただし、不動産の取得方法などによっては、不動産取得税がかからない場合があります。以下の表を確認することで、不動産所得税がかからない不動産が分かります。

内容不動産取得税が
かかる場合
不動産取得税が
かからない場合
不動産を「売買」で
取得した場合
-
不動産を「新築」で
取得した場合
-
不動産を「中古」で
取得した場合
-
不動産を「贈与」で
取得した場合
-
不動産を「相続」で
取得した場合
-

上記の例は、これから家を建てようとしている人に、あり得る代表的な事柄をまとめて表にしてあります。

たとえば、住宅を建築しようとした際に、両親や祖父母から不動産の贈与を受けたり、資金援助を受けたりすることも時として考えることができます。これらの場合、すべて不動産取得税がかかることが表から見て取れます。

一方、両親や祖父母が死亡したことによって「相続」で住宅を取得することがあるかもしれません。不動産を「相続」で取得した場合は、不動産取得税がかからないことも表から確認することができます。

余談ではありますが、不動産取得税がかかる場合として、不動産を「増改築」したときなど、他にもさまざまな事例があげられます。しかし、このページでは、これから住宅を購入しようとしている人を対象にした解説をしているためここでは割愛します。

不動産所得税は、新築住宅、あるいは中古住宅を問わず、不動産業者と売買契約書を交わして住宅を購入する場合において、必ず必要な税金です。あらかじめ、この点を留意して資金計画を立てておくようにしましょう。

2-1.不動産取得税は、「有償」「無償」を問わずかかる

不動産取得税は、不動産業者と不動産売買契約を交わして「有償(お金などを支払うこと)」で不動産取得をした場合も、親子間で贈与契約書を交わして「無償」で不動産取得をしたとしても、どちらにおいてもかかることになります。

ただし、「4.不動産取得税は、一定金額に満たなければかからない」で解説するように、一定金額に満たない場合は、不動産取得税を納めなくともよいケースがあります。

2-2.不動産取得税は、登記手続きの有無を問わずかかる

通常、不動産を取得したときには「登記」を行います。このとき、登記を行ったとしても、行わなかったとしても、この税金は登記手続きに関係なくかかることになります。

3.不動産取得税の課税標準額(対象金額)とは

不動産取得税は、「課税標準額」と呼ばれる金額に税率を乗じることでその金額が算出されることになります。課税標準額とは、いわば不動産取得税の対象金額になります。詳しくは、「6.不動産取得税の計算方法」で解説していきます。

なお、住宅を建築するために購入した「土地」については、不動産取得税の課税標準額が平成30年3月31日までの取得に限り「2分の1」として評価されます。

たとえば、住宅を建築するために土地を1,000万円で購入した場合、土地の不動産取得税を計算するための課税標準は、1,000万円の2分の1である「500万円」になるといった意味になります。

4.不動産取得税は、一定金額に満たなければかからない

不動産取得税には、「控除額」や「特例」が設けられており、土地や建物によってこれらの条件は異なります。そして、定められた計算の結果や特例を満たした場合において、「取得した不動産に対して不動産取得税はかかることがない」といった仕組みになっています。

4-1.新築住宅の不動産所得税控除額

内容一般住宅認定長期優良住宅
新築住宅の
不動産取得税控除額
1,200万円1,300万円

上記表のとおり、取得した新築住宅(家屋)の場合「一般住宅(1,200万円)」と「認定長期優良住宅(1,300万円)」によって「控除額」が異なっているのがわかります。

4-2.中古住宅の不動産所得税控除額

内容新築された年月控除額
中古住宅の
不動産取得税控除額
昭和51年1月1日から
昭和56年6月30日まで
350万円
昭和56年7月1日から
昭和60年6月30日まで
420万円
昭和60年7月1日から
平成元年3月31日まで
450万円
平成元年4月1日から
平成9年3月31日まで
1,000万円
平成9年4月1日以降1,200万円

一方、中古住宅の場合、「新築された年月」によって控除額が異なっていることを確認できます。

不動産取得税は、新築住宅や中古住宅の控除額を下回った価格の場合において、税金を負担するといったことはありません。後述する「6.不動産取得税の計算方法」で計算例を見ることで、イメージがわきやすくなると考えられます。

5.不動産取得税の税率

不動産取得税にかかる税率は、土地や住宅、住宅以外の建物によって以下のように定まっております。

不動産取得日土地住宅住宅以外の建物
平成30年3月31日まで3%4%

不動産取得税の税率は、原則として4%ですが、平成30年3月31日までに取得した「土地」と「住宅(家屋)」に対する不動産取得税の税率は「3%」になっています。

6.不動産取得税の計算方法

先に解説したように、「土地」と「建物」に対する不動産取得税の計算方法は異なります。

ここでは、土地1,000万円(面積100㎡)、建物2,000万円(延床面積50㎡)、合計3,000万円の「一般注文住宅」を不動産業者と売買契約したものとして、不動産取得税の概算計算を紹介していきます。なお、必要な適用条件はすべて満たしているものとします。

6-1.住宅の不動産取得税の場合

  • 課税標準額 = 取得した住宅の価格 - 控除額

住宅の不動産所得税は、上記計算式で計算することができます。そのため、不動産取得税の対象となる課税標準額は、以下の計算式で求められることになります。

  • 2,000万円(取得した住宅の価格) - 1,200万円(控除額) = 800万円

上記800万円の課税標準額に対する不動産取得税の税率は、「5.不動産取得税の税率」で解説したとおり「3%」になります。

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  • 800万円(課税標準額) × 3%(税率) = 24万円

上記の計算結果、建物に対する不動産取得税は24万円かかることがわかりました。

6-2.土地の不動産取得税の場合

次に、土地の不動産取得税は、建物のように簡単に計算することは困難です。

内容金額
①土地の購入価格①1,000万円
②土地の課税標準額②500万円(①1,000万円×1/2)
③土地1㎡あたりの価格③5万円(②500万円÷100㎡)
④土地の不動産取得税④15万円(②500万円×3%)
⑤住宅用土地の軽減(後述します)⑤45,000円
⑥住宅用土地の軽減(後述します)⑥150,000円
(③×50㎡住宅床面積×2)×税率3%
⑦軽減額(⑤と⑥の高い方の金額)⑦150,000円
⑧納める土地の不動産取得税⑧0円(④150,000円-⑦150,000円)

土地の不動産取得税は、上記表のように手順を追って計算しなければいけません。さらに、土地の面積や建物の延床面積など必要な情報も収集しなければ導き出せない欠点があります。

ただし、多くの場合において上記の手順によって計算された「土地の不動産取得税」は0円の結果が多い事実があります。あくまでも参考程度ではありますが、一般的な大きさの住宅を購入するにあたって「土地の不動産取得税はまずかからない」と考えても差し支えないでしょう。

7.土地などに関する軽減措置

先に「6-2.土地の不動産取得税の場合」で計算例を示しましたように、土地の不動産取得税を計算する際には「軽減措置」があります。具体的には、次のいずれか高い方の金額が土地の不動産取得税額から減額されます。

  • 45,000円
  • 土地1㎡当たりの価格 × 住宅の床面積の2倍 × 3%

これを、「6-2.土地の不動産取得税の場合」にあてはめて考えてみます。

内容金額
⑤住宅用土地の軽減⑤45,000円
⑥住宅用土地の軽減⑥150,000円
(土地1㎡あたりの価格×住宅床面積×2)×税率3%

この場合、⑥の150,000円が⑤の45,000円よりも高いことから、土地の不動産取得税から減額される金額は150,000円であることになります。これら一連の流れが、土地などに関する軽減措置のことを指しています。

7-1.土地などに関する軽減措置を受けるための条件

土地に対する不動産取得税の軽減措置を受けるためには、いくつかある条件を満たさなければいけません。

ただ本記事では、これから住宅を購入しようとしている人を対象にした解説をしているため、あえてここだけ満たしていれば適用可能といった部分を3つ紹介します。

  1. 注文住宅の場合、土地を購入してから「2年以内」にその土地に住宅を建てること
  2. 建売住宅の場合、住宅が完成してから1年以内の建売住宅を購入した場合であること
  3. どちらの場合も、住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下であること

注文住宅を建てる場合、一般的に希望に沿った土地を探して、その土地に間を空けることなく住宅を建てると考えられます。また、極端に小さな家や大きな住宅を建てない限り、床面積の条件も満たされます。

ざっくり解説すると、土地に関する不動産取得税の軽減措置は、対策を意識することなく受けられるものと考えて差し支えないでしょう。

8.新築住宅・中古住宅の軽減措置について

前項では、「土地の軽減措置」について解説しましたが、ここでは「住宅の軽減措置」について解説していきます。新築住宅と中古住宅では軽減税率の考え方が異なるため、それぞれ説明します。

8-1.新築住宅・耐震基準適合既存住宅に関する軽減措置

新築住宅などにかかる不動産取得税の軽減措置は、先に「4.不動産取得税は、一定金額に満たなければかからない」で解説した以下の表のとおりです。

内容一般住宅認定長期優良住宅
新築住宅の
不動産取得税控除額
1,200万円1,300万円

新築住宅などは、建築した住宅が「一般住宅」なのか「認定長期優良住宅」なのかによって軽減措置が異なります。

床面積が50㎡以上240㎡以下であることといった条件もありますが、これは土地の条件と同じです。そのため、土地の軽減が受けられるということは、建物の軽減も受けられると考えてまず差し支えないでしょう。

8-2.耐震基準不適合既存住宅(中古)に関する軽減措置

「住宅を中古で購入する」ことを、検討している人も中にはおられると思います。中古住宅の場合も不動産取得税の軽減措置は受けられますが、条件は以下のとおりです。

  1. 床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下
  2. 自己の居住の用に供すること(別荘は対象外)
  3. 住宅を取得後6ヶ月以内かつ自己が居住を開始する前に耐震改修を行い、建築士等により新耐震基準に適合していることが証明されているもの
  4. 平成26年4月1日以降の取得のもの
  5. 取得の日から6ヶ月以内に、県財務事務所長に証明書を提出しかつ居住の用に供したもの

出典 静岡県公式ホームページ 不動産取得税より引用

8-2-1.軽減される額

新築時期軽減される額
昭和29年7月1日~昭和38年12月31日30,000円
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日45,000円
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日69,000円
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日105,000円
昭和56年7月1日~昭和56年12月31日126,000円

出典 静岡県公式ホームページ 不動産取得税より引用

9.不動産取得税の分割納付と徴収猶予について

不動産取得税は、土地や建物の大きさによって多くの金額がかかってしまうことがあります。さらに、不動産取得税は、「一括納付」が原則的な納付方法になっています。

ただ、住宅購入は大きなお金を支払わなければならないこともあり、一時的に不動産取得税を納めるのが困難な場合も考えられます。そのような時は、担当部署である「都道府県税事務所」へ分割納付について相談してみましょう。

多くの地方自治体では、不動産取得税の分割納付を認めています。

ただし、あくまでも一括払いの原則から外れているため、利息にあたる「延滞税」がかかる可能性があることを忘れないようにしましょう。

もう少しわかりやすく説明すると、「延滞税分、多く税金を納めなければならない可能性がある」ということです。そのため、あらかじめ資金計画をしっかりと立てて、不動産取得税や固定資産税といった税金納付のお金についても準備しておく対策が重要になります。

また、不動産取得税には徴収猶予(ちょうしゅうゆうよ:税金の納付を先延ばしにする緩和制度)といった制度があります。

これに関しても、結果として不動産取得税の納付を先延ばしにしているといった意味では、分割納付とさほど変わりません。そのため、前述の通り、税金納付のお金についてあらかじめ準備しておくことが重要です。

まとめ

このページでは、不動産取得税についてこれから住宅を購入しようとしている人を対象にした解説をしました。そのため、難しい内容や不要な内容を省略し、必要な部分のみ凝縮して解説してあります。

不動産取得税は、土地や建物の大きさや不動産価値などによって課せられる税金が、人それぞれ異なるといった欠点があります。そのため、どのくらいの不動産取得税がかかるのか確実に把握するのは困難です。

もし、事前に把握しておきたい場合、各都道府県の県税事務所や不動産業者などに必ず確認し、概算で必要な納税資金についてあらかじめ準備しておく対策が重要になってきます。