登録免許税とは:計算方法から軽減税率まで分かる5項目

住宅購入にかかる税金には、建物の価格や住宅購入諸費用で発生する「消費税」をはじめ、不動産を取得したときに1回のみ必要になる「不動産取得税」などがあります。その他にも、本記事で解説していく「登録免許税」など、実にさまざまな種類の税金を住宅購入において負担しなければいけません。

これから住宅を購入しようと検討している方にとって、何をどのように考えていけばよいのかよくわからないのはもちろんのこと、何と言っても「お金の悩み」はつきものです。特に、家を買うときにかかる税金は普段聞きなれないものばかりであるため、それに対してお金を支払うのには抵抗があります。

そこで本記事では、これから住宅の購入を検討している方を対象に、住宅購入に必要な「登録免許税」に焦点をあてて、基本的な解説から具体的な税金額のイメージまで幅広く解説していきます。

これを読むことで、不動産免許税がなぜ必要であり、どのようなタイミングで支払わなければいけないのかを手に取るように分かります。

1.登録免許税とは

登録免許税とは、土地や建物などの不動産登記をするときに納める税金のことをいいます。

税金を納める場合、多くが「現金」や「預金」などで納めると思われますが、登録免許税の場合、登記するのに必要な金額の「収入印紙」を台紙に貼付します。そして、登記申請書などの必要書類と共に、法務局へ提出することで登録免許税を納めたことになる流れであるのが一般的です。

なお、収入印紙を貼付する台紙は専用台紙があるわけではなく、A4サイズのコピー用紙で問題ありません。多くの場合、登記手続きは「土地家屋調査士」や「司法書士」といった専門家が行いるため、一般にあまり馴染みがない税金といっても過言ではないでしょう。

1-1.登記とは

本記事における「登記」とは、不動産登記のことを指しており、不動産業者から購入した土地や建物が、自分の所有物であると主張するために必要な手続きのことをいいます。

この不動産登記にはさまざまな種類の登記があり、必ず行わなければならない「表示に関する登記(義務の登記)」と、どちらでもよい「権利に関する登記(任意の登記)」の2種類があります。

実際は、仮に任意の登記であったとしても、自分に不都合なことが生じた場合に対抗できるようにするために、登記手続きがしっかりと行われているのが一般的です。

1-2.抵当権とは

抵当権とは、仮に住宅ローンが滞ってしまって返済できなくなってしまったときに、金融機関が住宅ローンを返さない人の土地や建物を競売にかけて売却し、その売却代金を優先して受けられる権利のことをいいます。

住宅ローンの融資を受けるためには、申し込んだ金融機関が「1番抵当権を付す」ことが絶対条件として求められます。

この「1番抵当権」とは、万が一、住宅ローンが返済できなくなってしまったことによる債権回収について「最優先で得られる権利」のことをいい、金融機関はこのような方法で融資したお金について担保していることになります。

要するに、住宅ローンを支払えなくなった場合、回収できないお金の代わりに担保である土地や家を売却できる権利のことです。

2.登録免許税が必要な登記

本記事における「登録免許税が必要な登記」とは、住宅購入において手続きが必要な登記のことを指します。ここでは、注文住宅、建売住宅の購入において、必要な登記をまとめて以下の表で解説します。

登記の名称
(専門家)
手続き内容注文住宅の場合に
おける自己負担
建売住宅の場合に
おける自己負担
所有権保存登記
(司法書士)
誰の建物なのか
(所有権)を
明確にするための
登記手続き
×(不動産業者)
所有権移転登記
(司法書士)
不動産の所有者が
変更になった場合に、
次は誰の物になったのかを
明確にするための
登記手続き
抵当権設定登記
(司法書士)
住宅ローンなどの
債務が回収できなく
なった時に
優先的に不動産を
差し押さえられる権利を
設定するための登記手続き

注文住宅の場合における登記手続きと、建売住宅の場合における登記手続きでは、自己負担となる登記費用が異なっていることが表からわかります。

なお、これらの費用は一律ではなく、それぞれ依頼する専門家によって登記手続きの報酬額は異なります。

つまり、不動産業者が指定した専門家に必ず依頼しなければならないものではありません。そのため、費用が少しでも安い専門家を探して依頼することで、登記費用の削減につなげることもできます。

3.登録免許税の税率

ここでは、上記登記費用に必要な登録免許税の税率を、土地・建物それぞれ表を交えて解説していきます。

3-1.土地の場合

内容本則税率平成29年3月31日までの
軽減税率
売買で取得した場合2.0%1.5%
相続で取得した場合0.4%
贈与で取得した場合2.0%

上記表では、個人が住宅を取得する場合に考えられる内容のみを抜粋して紹介しています。

そのため、特殊な事情で住宅を取得した場合の登録免許税については、必ず税務署や専門家へ問い合わせるようにしてください。

3-2.建物の場合

登記の名称
(専門家)
対象住宅本則税率一般住宅
平成29年3月31日までの軽減税率
認定
長期優良住宅
平成29年3月31日までの軽減税率
建物表題登記
土地家屋調査士
すべての住宅登録免許税の負担はありません
所有権保存登記
司法書士
床面積50㎡以上の
家屋であること
0.4%0.15%0.1%
所有権移転登記
司法書士
床面積50㎡以上の
家屋であること

中古住宅の場合は
築年数が25年以内
(木造は20年以内)
であるか、一定の
耐震基準に適合
していること
2.0%0.3%0.1%
抵当権設定登記
司法書士
0.4%0.1%0.1%

本来、登録免許税は、原則として「本則税率」を乗じた税金を納めなければなりません。

ただし、住宅を取得するときの特典として、「軽減税率」の適用が平成29年3月31日まで認められています。

なお、上記表のとおり、建築した住宅が「一般住宅」の場合と「認定長期優良住宅」の場合によって税率が異なっておりますが、こちらの軽減税率の条件などについては「5.登録免許税は住宅用家屋に対して軽減税率が適用される」で詳しく解説していきます。

4.登録免許税を計算する方法

ここまで登録免許税について解説してきましたが「そもそも登録免許税はいくらになるのかを知りたい」と考えている人が多いと思います。そこでこの項では、登録免許税を計算する具体例を流れに沿って解説していきます。

4-1.固定資産税評価証明書を取得する

まず、登録免許税を計算するためには、固定資産税評価額を確認しておかなければなりません。この固定資産税評価額は、市区町村役場で発行する「固定資産税評価証明書」を取得することでその金額を確認することができます。

4-2.登記の目的を確認し税率を確認する

登録免許税の計算をするためには、登記の目的を確認する必要があります。住宅購入に関係する登記の目的とは、「所有権保存」「所有権移転」「抵当権設定」などを指し、それぞれの登記の目的にあてはまる税率を確認しておきます。

たとえば、不動産業者と売買契約を交わした後に建売住宅を購入した場合、「所有権移転登記」が行われます。このとき、持ち主が不動産業者から購入者に権利(所有権)が移る(移転)することになります。

よって、この場合の所有権移転登記にかかる登録免許税の税率は、購入した住宅が一般住宅の場合は「0.3%」となり、認定長期優良住宅の場合は「0.1%」になります。

登記の名称
(専門家)
対象住宅本則税率一般住宅
平成29年3月31日までの軽減税率
認定
長期優良住宅
平成29年3月31日までの軽減税率
所有権移転登記
司法書士
床面積50㎡以上の
家屋であること

中古住宅の場合は
築年数が25年以内
(木造は20年以内)
であるか、
一定の耐震基準に
適合していること
2.0%0.3%0.1%

4-3.登録免許税の計算をする

登録免許税の計算は、市区町村役場から取得した「固定資産税評価証明書」に記載されている「固定資産税評価額」に登記の目的に合致した「税率」を乗じることによって計算することができます。

たとえば、不動産業者から購入した一般の建売住宅(価格28,516,432円)の所有権移転登記をする際にかかる登録免許税の計算例を以下に解説していきます。

1 はじめに、1,000円未満の端数を切り捨てします。(課税標準額を確定)
この場合の課税標準額は、「28,516,000円」となります。

2 課税標準額に税率を乗じます。
28,516,000円 × 0.3%(一般住宅における所有権移転登記の税率) = 85,548円

3 納めるべき登録免許税が算出されます。(100円未満切り捨て)
この場合、「85,500円」が所有権移転登記にかかる登録免許税の金額になります。

5.登録免許税は住宅用家屋に対して軽減税率が適用される

登録免許税の軽減税率は、先に「3.登録免許税の税率」で解説したとおりです。

ここではさらに、住宅用家屋に対する軽減税率を適用するために必要な内容について、もう少し詳しく解説していきます。

5-1.住宅用家屋の軽減税率と適用内容

登録免許税の住宅用家屋の軽減税率と適用内容について、国税庁のホームページでは以下のように掲載しています。表の紹介後に解説していきます。

項目内容
住宅用家屋の
所有権保存登記
個人が、平成29年3月31日までの間に
住宅用家屋を新築又は建築後使用された
ことのない住宅用家屋の取得をし、
自己の居住の用に供した場合の保存登記
住宅用家屋の
所有権移転登記
個人が、平成29年3月31日までの間に
住宅用家屋の取得(売買及び競落に限ります。)をし、
自己の居住の用に供した場合の移転登記
認定長期優良住宅の
所有権保存登記など
個人が、平成28年3月31日までの間に
認定長期優良住宅で住宅用家屋に該当するもの
(以下「特定認定長期優良住宅」といいます。)を
新築又は建築後使用されたことのない
特定認定長期優良住宅の取得をし、
自己の居住の用に供した場合の保存又は移転登記
住宅取得資金の
貸付け等に係る
抵当権の設定登記
個人が、平成29年3月31日までの間に
住宅用家屋の新築(増築を含む。)
又は住宅用家屋の取得をし、自己の居住の
用に供した場合において、これらの
住宅用家屋の新築若しくは取得をするための
資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記

出典 国税庁ホームページ No.7191 登録免許税の税額表 より一部引用

登録免許税の軽減税率の適用を受けるためには、「内容に記載されている期限までに登記手続きを行い、次項で解説する3つの要件をすべて満たしていることが必要」といった意味になります。

5-2.住宅用家屋の軽減税率を適用するための要件

登録免許税の「住宅用家屋の軽減税率」を適用するためには、以下の3つの要件をすべて満たしている必要があります。

  1. 新築または取得後1年以内に登記すること
  2. 住宅の床面積が50㎡以上であること
  3. 対象の家屋について、市区町村長の専用住宅証明があること

逆に言えば、この中にある要件を一つでも満たすことができなければ、軽減税率を適用することはできません。

5-3.軽減税率を適用するために必要な書類

登録免許税の軽減税率を適用するためには、市区町村長が発行した「住宅用家屋証明書」を取得し、登記申請時にこの証明書を添付する必要があります。

登記手続きを専門家へ依頼した場合においては問題がないと思われます。

しかし、仮に専門家への報酬を節約するために自分で登記手続きを行おうと考えている人は、登記した後で証明書を提出しても軽減税率の適用を受けられないため、注意するようにしましょう。

5-3-1.住宅用家屋証明書を取得するための書類

住宅用家屋証明書を取得するための書類を以下に紹介していきます。

書類申請前に、必ずお住まいの市区町村役場のホームページや電話などで必要書類を確認してから手続きを取ることをおすすめします。

住宅用家屋証明書を取得するための書類は以下の通りです。

書類注文住宅建売住宅
分譲マンション
中古住宅
住民票
(発行日3ヶ月以内)
登記申請受領証
および
登記完了証
確認済証
または
検査済証
売買契約書
または
売渡証書
家屋未使用証明書
(原本)
認定長期優良住宅の認定通知書
認定長期優良住宅の
場合に限ります

認定長期優良住宅の
場合に限ります

まとめ

本記事では、住宅取得にかかる登録免許税について解説しました。改めて登録免許税について重要な部分を以下へ紹介していきます。

  • 登録免許税は、不動産登記をする際にかかる税金である
  • 登録免許税は、登記をする内容によって税率が異なっている
  • 登録免許税は、軽減税率が適用される場合がある
  • 登録免許税の軽減税率には、一定の要件がある

住宅購入において行われる不動産登記は、土地家屋調査士や司法書士といった専門家に依頼して手続きをしてもらうのが一般的です。そして、登記手続きの着手前に「報酬」と「登記にかかる諸費用」を支払うのが多くの慣例となっています。

専門家へ依頼することで、登記手続きはスムーズに行われ、かつ、登録免許税の軽減税率についても当然に適用されることになります。自分で登記手続きを行うよりも、負担やリスクが軽くなるのはいうまでもありません。

このページで解説したように、あくまでも概算計算として、土地や建物の金額に軽減税率を乗じることで、登録免許税がおおよそいくらぐらい必要なのか計算することができます。そのため、その計算結果を参考にして必要なお金をよせておくことが住宅購入準備として最も望ましい方法だと考えられます。

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