新築や中古住宅の買い替えと2回目の住宅ローン控除はどうなる?

人生で最も高い買い物と言われる「住宅購入」は、人生において一度きりである場合がほとんどです。とはいえ、中には、この住宅購入を2回以上なされる方もおり、このような方々からすると2回目の「住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除とします)」は適用になるのか気になるところだと思います。

一般に住宅購入は金融機関などから住宅ローンの融資を受けて購入されることが多いと思いますが、この際、国税庁が認めている住宅ローン控除の適用を受けられる方がほとんどです。

記事内容の結論から申し上げますと、仮に今の家とは別に新築や中古住宅を買うと2回目の住宅ローン控除の適用は「ケース・バイ・ケース」で適用の可否が変化します。

そこで本記事では、国税庁のホームページを基に2回目の住宅ローン控除の適用について幅広く解説していきたいと思います。

あらかじめ前置きしておくべき注意点と致しまして、あくまでも本記事の内容は参考程度に留め、本記事と同様のケースが生じる場合は、専門家である税理士や管轄の税務署へお尋ねしてみることを強く推奨致します。

1.2回目の住宅購入は住宅ローン控除を適用できるのか

冒頭でも軽く触れましたように、2回目の住宅購入において、住宅ローン控除を適用できる場合は、ケース・バイ・ケースになります。まずは、国税庁が公開している住宅ローン控除の解説文からその理由を探っていきます。

新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。その者が死亡した日の属する年又は家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年にあっては、これらの日まで引き続き住んでいること。

なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの住宅に限られます

出典:国税庁2住宅借入金等特別控除の適用要件(1)より引用

上記は、国税庁が公開している住宅ローン控除の適用条件の1つになります。

赤字で記載しているところが、問題になると考えられ、住宅が2つある場合は、主に住んでいる1つの住宅に対してのみ住宅ローン控除が適用になると読み取ることができます。

あまり多くはないと思われますが、住宅を購入し住宅ローン控除を受けている間(10年間)に、2つ目の住宅を購入し引き続き住宅ローンを組んだ場合、主に住んでいる住宅に対してのみ住宅ローン控除が適用になると解釈でき、この場合、結果として2回目の住宅ローン控除は適用できないことになります。

1-1.参考 2回目の住宅購入で住宅ローン控除を適用できる場合

住宅ローン控除は、金融機関などから住宅ローンの融資を受けていることが適用条件の1つであることから、住宅ローンの債務が残っている状態で融資がなされるのかといった問題が生じることも念頭に入れておく必要があります(親族や身内からの融資は住宅ローン控除の対象外です)

たとえば、住宅ローン控除の適用がすべて終了した後に、金融機関から住宅ローンの融資を受けて2回目の住宅購入をしたと仮定します。この時、2回目に建てた住宅に移り住むものとして毎日の生活を2回目に建てた住宅で営む場合、住宅ローン控除の対象になります。

あくまでも住宅ローン控除の適用条件をすべて満たしているという前提であり、少々現実離れしているように思えてしまいますが、この方法であれば2回目の住宅ローン控除の適用が可能だと推測されます。

1-2.住宅の売却が絡む場合は要注意!

前項の解説からの流れとなりますが、仮に現在住んでいる住宅を売却して新たな住宅を購入しようと考える方も多いと思います。しかし、このような考え方を実行する場合はあらかじめ注意が必要です。

たとえば、個人が住宅を売却した場合、税法上は「譲渡」とされることから、一定の計算式にあてはめた金額が譲渡所得として所得税や住民税の課税対象となります。

このとき、税法上、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という特別措置が認められており、住宅(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長い、短いに関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。

参考:国税庁No.3302マイホームを売ったときの特例

ざっくり解説しますと、上記の特例を使って住宅を3,000万円以下で売却した場合に税金がかかることはないといった有利な制度です。

ただし、仮に以前住んでいた住宅を売却した時に、先のことを考えずにこの特例を適用してしまったとしたら、残念ながら2回目に建てた住宅について住宅ローン控除の適用を受けることはできません。

つまり、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と「住宅ローン控除」はどちらも受けられない(併用できない)のです。

このような問題が発生する場合、どちらの方法を選択する方が有利なのかといった問題も生じることから、できる限り専門家である税理士へ相談した上で意思決定するのが得策だと考えることができます。

1-3.住宅ローン控除は生涯で何回使用できるのか

現行法上(平成29年5月現在)において、住宅ローン控除の適用回数に制限は設けられておりません。したがいまして、住宅ローン控除の適用条件をすべて満たしているということであれば何度でも適用することが可能です。

実際のところ、住宅ローン控除におけるすべての適用条件内容を考慮しますと生涯で2回適用できたら御の字と考えるのが無難だと思われます。

1-4.住宅ローン控除を受けられる期間は同じなのか

現行法上(平成29年5月現在)において、住宅ローン控除の適用期間は10年間であり、2回目以降の適用期間におきましても特別の規定がないため、同様の取り扱いであると考えることができます。

全体的にみて、住宅ローン控除の適用を2回以上受けられる方は稀なケースであることを踏まえますと、今後も引き続きこちらに関する法律上の改正はないものと推測されます。

2.新たに新築住宅やマンションを購入する場合、住宅ローン控除は対象なのか

こちらは、「1-3.住宅ローン控除は生涯で何回使用できるのか」でも解説しました通り、あくまでも国税庁が定めている住宅ローン控除の適用条件をすべて満たしているのであれば新たに新築住宅やマンションを購入する場合におきましても住宅ローン控除の適用対象となります。

個人が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得した場合で、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、次の全ての要件を満たすときです

出典:国税庁2住宅借入金等特別控除の適用要件より引用

なお、すべての要件につきましては、上記、国税庁のリンクを確認するか以下、同サイト内の記事を確認してみることをおすすめ致します。

住宅ローン控除(減税)とは:必要書類から確定申告の方法まとめ

2016年4月7日

3.新たに中古住宅や中古マンションを購入する場合、住宅ローン控除は適用できるのか

仮に新たな購入住宅が中古住宅や中古マンションであったとしても住宅ローン控除の適用は受けられます。ただし、中古住宅特有の条件もあることから、新築住宅よりも特に注意しなければならない項目があります。

以下、すべての条件にあてはまっている場合に中古住宅において住宅ローン控除は適用されます。

  • 建築後使用されたものであること
  • 取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと
  • 贈与による取得でないこと
  • 次のいずれかに該当する住宅であること

(イ)家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること

(ロ)地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの (耐震基準)に適合する建物であること

平成26年4月1日以後に取得した中古住宅で、(イ)又は(ロ)のいずれにも該当しない一定のもの(要耐震改修住宅)のうち、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修(住宅耐震改修特別控除の適用を受けるものを除きます。)により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること

参考:国税庁No.1214中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

ざっくりまとめますと、まずは身内や親族が所有している住宅を購入した場合や贈与を受けた住宅は住宅ローン控除の対象にはなりません。

また、築年数が25年を超えるような古い中古住宅を購入してリフォームをして住むなどの場合は、中古住宅を購入前に耐震改修の申請をして耐震基準の適合証明を受けていなければ住宅ローン控除は受けられないことになります。

中古住宅の購入を検討されている方は、これらの注意点や資金計画、返済計画などを含め専門家であるFPへ相談してみることをおすすめ致します。

4.買い替えも住宅ローン控除の対象になるのか

先に解説させていただきましたように、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と「住宅ローン控除」はどちらも受けられない(併用できない)ということであれば、3,000万円の特別控除を受けなければ住宅ローン控除を受けられると考えることができます。

実のところ、住宅を売却した際の譲渡所得を計算する上で売却した金額が、住宅を購入(取得)した金額よりも低ければ税金がかからないといった仕組みになっています。

たとえば、最初の住宅を3,000万円で購入(取得)したとします。これを2,000万円で売却したとしますと1,000万円の損失という考え方になり、結果として売却した2,000万円に税金はかからないことになります。

さらに、このような損失が生じた時は、一定の要件を満たすものに限って他の特例を適用することができます。

マイホーム(旧居宅)を平成29年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

これらの特例を、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます

出典:国税庁No.3370マイホームを買換えた場合に譲渡損失が生じたときより引用

上記特例と住宅ローン控除はどちらも適用可能(併用可能)であるため、賢く制度を利用することで大きな効果が期待できるものと思われます。

また、以前住んでいた住宅を売却したことで利益が生じた場合におきましても別の特例や注意点があることから、住宅を売却して新たに住宅を購入する場合は、利益・損失に関わらず、あらかじめ税理士へ相談しておくことを強く推奨致します。

まとめ

本記事では、国税庁のホームページを基に2回目の住宅ローン控除の適用について幅広く解説させていただきました。

おそらく本記事を読み進めていただいた皆さまが感じられていることは、住宅ローン控除だけではなく様々な特例があって、2回目はとても複雑といったことだと思います。そして、一筋縄ではいかないといったことも感じられたのではないでしょうか。

実際のところ、住宅ローン控除の影響はとても大きいため、制度適用の有無は税負担に極めて大きな影響を与えることは言うまでもありません。

また、住宅購入を人生に渡って2回以上行うということは、全体的にみると、そう多くはないことを踏まえますと、特殊な注意点が多いといったことも本記事を通じて確認することができたと思います。

特殊事情が多いからこそ、やはり税理士やFPといった専門家の協力を得て、満足のいく2回目の住宅購入を進めていくべきだと思われます。

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