消費税10%の増税前に住宅購入をしてはいけない5つの理由

住宅購入は、「人生で最も高い買い物」と言われています。だからこそ、慎重に購入しなければならないものであるはずなのですが、中には目先の利益に捉われて住宅購入を決められる方は多いです。

その中の1つの例として、「消費税の増税」があります。現在の税率の8%から10%へ増税されると、数千万円単位の買い物である住宅購入では、消費税の負担額が大きくなります。

ただ、増税する理由のみで「人生で最も高い買い物」をはたしてするべきなのでしょうか。

たしかに、家を安く買えることに越したことはありません。しかし、「低価格で購入できるから」という理由だけで住宅購入をしてしまうと、納得のいくものを作るのは難しいです。ましてや、消費税の増税に追われてプランを決めてしまうと、冷静な判断ができない間に契約になってしまう可能性があります。

一般的に考えると、増税前に家を買ったほうがお得のように思えますが、実は、消費税が上がった後でも住宅を税率が変わる前と同じように安く購入することができます。

そこでこのページでは、消費税と住宅購入の関係を解説しながら住宅購入の考え方や注意点について詳しく解説していきます。これを読み終えることで、家を買うタイミングや購入動機の本質を理解できるはずです。

1.消費税増税とは

まず、消費税増税について解説していきます。単に「住宅」といっても、注文住宅と建売住宅にかかる消費税は異なるため、ここは確実に把握しておきたい内容です。

1-1.消費税の歴史

今でこそ、消費税は当たり前の税金になってしまいましたが、消費税が導入(1988年12月)されてもう20年以上も経過し、数年後には30年目に突入します。

この制度が始まった当初は、「負担が増えてしまって大変だ」と感じる人は大勢いたものの、今では消費税を支払うことは当たり前です。これについて改めて考えると、人は「馴れてしまう」のを改めて実感します。

実際に、消費税が2014年の4月に5%から8%に増税した当初は騒ぎ立てていましたが、今(2016年5月現在)では当たり前のように消費税を支払い、生活を送っています。

1-2.消費税が10%になる日

現在(2016年5月)、消費税率は「8%」ですが、平成29年4月よりこの税率が「10%」へ引き上げられる「予定」となっています。

1-3.消費税が10%になると住宅購入にどれだけの負担額が増えるのか

消費税が、現在の8%から10%へ引き上げられることによる負担の増加については、住宅購入する内容によって異なります。そのため、一概に解説できるところではありません。

しかしながら、住宅購入において以下の消費税のルールを知っていることは、おおよその負担額の目途は立てられると思います。

内容消費税かかる消費税かからない
土地の購入費用
建物の購入費用
住宅の外構費用
契約書の印紙代
火災保険料
団体信用生命保険料
事務手数料
仲介手数料
専門家への支払報酬
(司法書士・土地家屋調査士など)
登録免許税
不動産取得税
その他諸費用

消費税のかかる内容をすべて合算して、そこに税率をかけることで、おおよその負担増加分を求めることができます。不動産業者からの見積書を参考に、8%の場合と10%になったときのパターンで比較する方が簡単です。

1-4.なぜ、消費増税が行われるのか

消費税が増税される背景には、社会保障制度の財源といわれています。

しかしながら、実際に使われている実態を把握するのは、私たちではいささか困難です。有効活用されることをただ切に願うばかりです。

1-5.住宅請負契約と消費税の経過措置との関係

経過措置のイメージ

消費税の増税予定が平成29年4月に予定されていることは、先に解説したとおりです。このとき、上記図のように、住宅請負契約と消費税の増税には「経過措置」といった関係があります。

消費税の経過措置とは、「住宅購入の契約」と「住宅の引き渡し時期」によって消費税が8%のままか10%になるのかといったルールのことをいいます。

要するに、経過措置の要件を満たすことで、家の引き渡し時期が増税した後であっても、税金が上がる前の税率が適用されるということです。

こちらにつきましては、同サイト内の「消費税の増税における住宅購入の経過措置が分かる5項目」で詳しく解説しているため、目を通しておきましょう。

1-6.注文住宅と建売住宅で異なる消費税の考え方

注文住宅と建売住宅では、消費税の負担するものが異なります。

たとえば建売住宅の場合、先に解説した「1-3.消費税が10%になると住宅購入にどれだけの負担額が増えるのか」の表にもあるように、「住宅の外構(庭)費用」や「仲介手数料」、「専門家への報酬」などは、中には不必要なものもあることから、その分、消費税を多く負担する必要がなくなることになります。

建売住宅は、注文住宅に比べて価格が安いのですが、これには諸費用が抑えられるだけでなく、それに付随した消費税も支払わなくて済むといったことも考えられます。

なお、注文住宅と建売住宅の違いがいまいちわからない場合、「建売住宅と注文住宅の価格や特徴を6つの項目別で徹底比較」を読むことをお勧めします。

2.消費増税の負担を軽減するために用意された控除や給付金など

住宅購入した多くの方が受けられる代表的な制度には、「住宅ローン控除(減税)」と「すまい給付金」の2つがあげられます。ここでは、この2つの制度について簡単に解説していきます。

2-1.住宅ローン控除(減税)

住宅ローン控除のイメージ

住宅ローン控除は、家のローンを組んで住宅を購入した方を対象にした減税制度です。上記図のように、1年間に納めなければならない所得税や住民税が、住宅ローンの残高に応じて減税される特徴があります。

こちらにつきましては、同サイト内の「住宅ローン控除:借り換えや繰上返済する際の2つの注意点」で詳しく解説しているため、必ず確認してください。

2-2.すまい給付金

すまい給付金とは、消費税が増税されたことによる増税の負担を軽減するために設けられた制度です。一般的には、低収入や低所得者ほど消費税の増税に対する負担影響が大きいことから、そのような方を対象に国が条件によって一定金額を助成する仕組みになっています。

こちらにつきましても、同サイト内の「消費税の増税の味方!年収が大きく関係するすまい給付金とは」で詳しく解説しています。少しでも負担額を少なくできるように、必ず目を通しておきましょう。

3.駆け込み需要の罠

消費税が8%から10%に上がる前は、住宅の駆け込み需要が間違いなく生じることになると考えられます。しかしながら、この駆け込み需要には、大きな落とし穴(罠)が潜んでいます。ここでは、駆け込み需要の落とし穴についてひも解いていきます。

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3-1.増税後も家は安く買うことができるのか

消費税が8%から10%に増税になってしまうと、住宅は安く買うことができなくなるのでしょうか。この答えは「NO」です。つまり、10%になったとしても家を安く買うことができる場合があります。

一例として、「建売住宅」でその理由を考えてみましょう。

不動産業者の多くは、自社で仕入れた土地に建物を建設し販売しているところはたくさんあります。これがいわゆる「建売住宅」にあたります。そして、建売住宅は不動産業者からすると、いわば「販売商品」です。

商品を販売するためには、「原価(元値)」と「売価(販売価格)」の関係を考えることが絶対条件です。たとえば、原価1,000万円の建売住宅を、売価1,000万円で売ったとしても儲けは「0円」になります。これでは、経営が成り立ちません。

そこで、売価を当初の販売価格で3,000万円にしたとします。このとき、気に入ってくれたお客様が即契約してくれたと仮定すると、売価3,000万円から原価1,000万円を差し引いた2,000万円が不動産業者の儲けになります。

一方で、逆にいつまでも建売住宅が売れ残っていたらどうでしょう。

建売住宅を維持するための「費用(コスト)」が常にかかってきます。たとえば、固定資産税や火災保険、その他の損害保険料、場合によっては修繕費用などもかかるかもしれません。不動産業者からすれば、ただ費用を支払うよりも早く売りさばきたいと考えるようになります。

結果として当初の売価3,000万円は時の経過と共に少しずつ「値下がり」をしていきます。原価割れ(1,000万円より下回る)することは、さすがに考えにくいものの、増税されたとしても、住宅を安く買える方法はあるのです。

また、先に解説した住宅ローン減税やすまい給付金を活用することで、負担を少なくして家を買うことができます。

3-1-1.ハウスメーカーは増税のタイミングに便乗して家を売っているだけ

前述したような考え方を下にしますと、ハウスメーカーなどの不動産業者は住宅を売るための1つの方法として「消費税増税」といったカードを切ることは、自分たちにとって都合がよいことはあきらかです。

何よりも大切なのは、たとえ不動産業者に押し勧められたとしても、自分の考えをしっかりと持っていること、そしてぶれないことだと考えられます。増税による負担増などの損失を恐れて家を購入するのではなく、「なぜ欲しいのか」「本当に必要なのか」を今一度考えるようにしましょう。

3-1-2.「今、買わなければ損」は営業トーク

不動産業者の中には、残念ながら悪質な不動産業者が存在するのは紛れもない事実です。では、どのような不動産業者が悪い業者なのでしょうか。

これは、一概に言えない部分もありますが「消費税が上がる前に買わなければ」や「今、買わなければ損」といった営業トークをするような不動産業者は決して良い不動産業者とはいえないと思います。

お客様を第一に考えているのであれば、「なぜ必要なのか」という所にフォーカスを当てて提案してくれるはずだからです。仮に「早く買ったほうが良いタイミング」があるとすれば、既にデザインやその構成、機能性などが全て決まっている場合に限ります。

そうでない限り、「増税するから」といった安易な考えで家を購入してしまうと、トラブルや不満の原因になりかねません。家を購入する際は、冷静な判断が求められます。

3-2.客足が途絶えないように、必ず家を安く買う方法が出てくる

消費税増税によって、「駆け込み需要」や増税後の「販売の落ち込み」については、あくまでも自然な流れであるため、避ける手段はありません。

そのため、不動産業者からすれば、増税の対策を最初から十分とっていると考えることができます。たとえば、「売価を下げる」「独自のサービスを開始する」「国の制度に便乗する」などがあげられるでしょう。

消費税の増税は、今、始まったばかりではなく何度も税率が改正されていることから「従来通りの増税対応」がなされるのではないかと思われます。それは、自社の利益を確保するためには、「どのような工夫をしてお客様を取り込んでいくか」といったことに尽きると考えられます。

このことを考慮すると、必ず家を安く購入する方法はこれからも出続けてくることは間違いありません。

3-3.建物には消費税はかかるが、土地には消費税がかからない

先に解説した「1-3.消費税が10%になると住宅購入にどれだけの負担額が増えるのか」の表のとおり、建物には消費税がかかりますが、土地にはかかりません。

住宅購入において、消費税がかかるものと、かからないものがあるため、表で再度確認してみることをおすすめします。

4.消費増税に惑わされない資金計画が最も重要

住宅購入における「資金計画」は重要なポイントです。ここでは、住宅購入における資金計画や考え方について解説していきます。

4-1.増税に対する不安を掻き立てられて家を買っても後悔するだけ

不動産業者から、増税に対する不安を掻き立てられて家を買ったとしても、必ずしも後悔するとは限らない部分はあります。しかしながら、長い年月をかけて返済していく住宅ローンの義務を負うのはあなたです。

そのため、不動産業者のアドバイスを参考にしながらも、「今、住宅ローンを返済していくことができるのか、将来においても滞りなく返済していくことができるのか」といったことを最優先で考える必要があります。

4-2.消費税率が上がると、他の支出金額も基本的に増える

消費税が上がると、他の支出金額も基本的に増加することになりますが、消費税の法律上では、消費税がかからないものもあります。さらに、10%へ消費税が増税される予定において、負担の軽減を図るために「軽減税率」といったものも導入される予定になっています。

ただし軽減税率は、食料品など生活に必要な物が基本的に軽減の対象になるため、住宅購入においては期待しない方がよいと思われます。

4-3.ファイナンシャルプランナーに相談する

住宅購入において「資金計画を立てる」ことは、増税に惑わされることなく安全に住宅ローンを返済していけることにつながります。住宅購入は、消費税や資金計画だけでなく、住宅ローンの組み方や住宅購入諸費用など、総合的に考えてプランを立てることが重要になってきます。

そこで、このような悩みや疑問を解決してくれるファイナンシャルプランナーへ相談することを強く勧めます。たとえ一時的に数万円の報酬を支払ったとしても、将来的な住宅ローン返済金額などを考慮すると、相談しないよりもお金の支出が少なくてすむといったプラスに転じる場合がほとんどです。

さらに、自分で住宅ローンについて調べる手間が省かれることにもつながるため、負担が軽減される効果も認められるでしょう。

5.消費税増税のタイミングで家を買うべきか

ここまで消費税の増税や駆け込み需要などについて解説してきましたが「消費税の増税タイミングで家を買うべきか」といった疑問に対する答えは、おのずとお気づきだと思います。答えは「NO」です。

その理由は、先に解説しました「4.消費増税に惑わされない資金計画が最も重要」でもありますように、自分に合った資金計画(返済計画)を立てて実行することが重要だからです。

「大きな家がほしい」「小さくてもとにかく持ち家がほしい」などさまざまな想いを持っている方がおられますが、資金計画を立てた結果、しっかりと返済していける場合は消費増税前のタイミングで購入したとしても問題はないでしょう。

むしろ、希望通りの家を手に入れることができるため、住宅購入における後悔は少なくなります。

一方で、返済が厳しい場合、「先送りする勇気」も必要です。消費税が10%になったとしても、それを軽減する「すまい給付金」も先に解説しました。また、住宅ローン減税のような制度もあるため、焦って契約することだけはしてはいけません。

消費税の増税だけに特化して住宅購入することは、大きく間違っていることを肝に銘じておく必要があります。

まとめ

消費税が10%へ増税される前に、急いで住宅を購入するのは「NG」であることは、ここまで解説してきた内容を読んで既に納得していただけたと思います。

改めて消費税の増税前に、住宅を購入する場合における5つのポイントをおさらいしていきましょう。

  1. 資金計画を立てた結果、しっかりと返済していけるかどうかを確認
  2. すまい給付金・住宅ローン減税が消費税の増税対策で設けられている
  3. 不動産業者のセールストークに惑わされない
  4. 消費増税後でも住宅を安く購入できる可能性がある
  5. ファイナンシャルプランナーに住宅購入相談をしてみる

上記5つのポイントを再度確認し、消費税の増税といった理由で「人生で最も高い買い物」をしないよう心がけたいものです。

後悔する度合いが異なりすぎるからこそ、慎重に慎重を重ねて検討し、時には専門家のアドバイスを求めながら1つひとつ確実に積み重ねていくのが「最高の住宅購入」なのではないでしょうか。

この記事がきっかけで、住宅購入に対する考え方を見直していただければ幸いです。